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第1章『始まりの村と魔法の薬』編
第20話 間奏/Interlude
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次の日、静かな朝。エレリアはソウヤと共に朝食を作っていた。
いつもはここにミサもいるのだが、夜通し彼女はスカースレット王国に届けるポーションを作成しているため、朝になっても食卓に姿を現さなかった。きっと今も、地下の研究室で研究に没頭しているのだろう。
だから、必然的に朝食はエレリアとソウヤの二人が作ることになってしまった。
「よし、そろそろ作ってくか」
ソウヤが腕をまくり、強く意気込みを口にする。
外は先ほどから雨が降っており、室内はいつもより薄暗かった。
「じゃあエレリア、まず卵とベーコンを取ってきてくれ」
いつの間にやらフライパンに火を点けたソウヤは声だけでエレリアに命令する。
そして、言われるがままエレリアは食品棚から卵とベーコンを取り出した。一体、何を作るつもりなのか。
ソウヤはエレリアから卵を受けとると、慣れた手つきで卵をフライパンのふちに軽く叩きつけ、破った殻の隙間から黄身をフライパンの上へ投下した。
「ソウヤって、意外と料理できるんだね。私、知らなかったよ」
フライパンの上で焼かれていく卵を見て、エレリアは感心したように口を開いた。
「おい、なんだよそれ。俺だって料理の一つや二つくらい作れるっちゅうの」
エレリアの発言にソウヤが口を尖らせる。その間も、ソウヤは手を休めることなく卵を割っていき、フライパンの上へ落としていった。
そして、次にソウヤは薄い3枚のベーコンを順番に卵の乗ったフライパンの上へ敷いていった。ベーコンの油が鉄板の上で音を立てて焼かれていく。
「いい感じだな」
ソウヤは満足気に胸を張り、フライパンの上で出来上がっていく目玉焼きに視線を落としていた。
そして数分後、食卓にはソウヤの作ったベーコンつき目玉焼きと、丸いブレッドが並べられていた。一応、ミサの分もちゃんと作っておいてある。
ミサが姿を現さないまま、エレリアとソウヤは朝食を共にすることにした。
窓の外はまだ雨が振っている。ただ地面を叩く無数の雨の音だけが耳に染み込み、陰湿な空気が部屋には満たされていた。
「あいつもまだ来ないみたいだし、俺たちだけでも先に食うか」
「うん」
ソウヤの目配せに、エレリアは首を縦に振った。
こうして彼と二人きりになるのは、あの時、海岸に行ったきりだろうか。その時以外はすべて、いつでも隣にはミサがついていてくれた。
ここに来てすでに何十日という日数が経ち、彼との生活もなんとかうまく送れている。
しかし、異性と二人きりになるのはやはり気恥ずかしいものだ。
男と女。彼はさほど気にしていないみたいだが、エレリアはテーブルを挟んで座っただけでも胸がドキドキしていた。できるなら早くここから立ち去ってしまいたい。そんな風に思っていた。
「おい、どうしたんだ?」
「あっ…」
気がついた時、眉根を寄せたソウヤがこちらを不信な目でにらみ返していた。
どうやら、無意識のうちにエレリアは彼の顔をまじまじと見つめていたらしかったのだ。考え事に夢中で、彼に視線を向けているなんて本当に気がつかなかった。
エレリアは頬を赤らめ慌てて目をそらしたが、彼に与えてしまった不信感は拭えそうにない。ソウヤはそのままエレリアに真意を問いただそうとする。
「俺の顔になんかついてんのか?」
「べ、別に、なんでもないよ…」
「おいおい、なんだよ。言いたいことがあるんなら、ちゃんと言えよ」
エレリアは本当のことを口にしたつもりだったのだが、彼はそれでも信じてくれそうになかった。こうなってしまっては、実際に真意を伝えたところで、信用してもらえないだろう。その間も、彼は怪訝そうにこちらを見つめかえしている。
途方に暮れてしまったエレリアは冷や汗を拭いながら、とりあえずその場しのぎの嘘をつくことに決めた。
「その…、なんていうか、ソウヤの作った目玉焼きが意外においしいなぁ、なんて…」
「おまえ、まだ食ってねぇじゃん」
「…!?」
彼の言うとおり、エレリアの皿の上には半熟の目玉焼きが焼けたベーコンと共に乗っている。
「しまった…」
即興で偽りの言葉を口にしたのはいいものの、もっとその内容を考えるべきだった。虚言を言ってせいで、かえって彼に思い違いを生んでしまったかもしれない。
エレリアは下唇を噛んで、自らの愚行で作りあげてしまった彼への誤解をいかにして説得させるか、そのことだけに全神経を違った。
「エレリアって、変なやつだな」
しかし、ソウヤはその言葉を最後にこれ以上エレリアを問いつめることはなかった。何事もなかったかのようにフォークを握り、目玉焼きの黄身を割いている。
とにかく、深く追及してこなくてよかった。
エレリアはほっと安堵の息を吐きつつ、無意識に行ってしまう自分の言動に注意して朝食をとることにした。
朝食を食べた後、ソウヤは一人で傘をさしてそそくさと雨の降りしきる玄関の外へ消えて行ってしまった。用事があるから、とだけ彼は言ってくれたのだが、詳しいことはエレリアが聞いても何も教えてくれなかった。
仕方なくエレリアは二人分の皿を洗い、そして、ミサの代わりに残った家事をすべて終え、気つけば一人食卓のイスに座っていた。
「あぁ、暇だな…」
机に突っ伏してエレリアは何気なく窓の向こうを眺めた。
外はまだ雨がしきりに降り続いており、そのため、どこかに出かけようにも出かけることができない状況だった。晴れていれば散歩でもできたのだが、わざわざ雨の中を歩いていく気にはならない。
「はぁ…」
時刻はお昼時の少し前。
手持ちぶさたになったエレリアは退屈そうにため息を漏らし、少し屈伸した。
ミサはまだポーションの研究に没頭しているのだろうか。はたまた、徹夜の疲れで寝ているのか。
どちらにせよ、彼女は昨夜からここへ姿を現していない。
ところで、食事はどうするのだろう。一応、今朝ソウヤと作った目玉焼きは彼女の分もちゃんと残してあるのだが、あれから数時間経ったため今は冷えて固くなってしまっている。
「ミサ、大丈夫かな…」
これだけ待っても姿を現さないとなると、なんだか心配になってくる。もしかしたら、体調を崩して倒れている可能性だってある。
「…ちょっと持って行ってあげようかな」
ふとエレリアはミサに朝食を届けてあげることを思い付いた。ついでに、声もかけてあげよう。
意を決したエレリアは勢いよくイスから立ち上がり、食品棚から冷めた目玉焼きとブレッドを取り出した。
そして、それをトレーに乗せ、そのまま研究室に続く扉の前にやって来た。
ミサのいる研究室は、一階にある扉を開けた地下に続く階段の向こうに存在する。しかし、実はエレリアはこの家に来てから一回もミサの研究室を訪ねたことがなかった。つまり、今回が初めての入室ということになる。
「どうしよ。勝手に入ってもいいかなぁ…?」
頑丈な木の扉の前、エレリアは足を前に進めることができずにいた。
もしかしたら、無許可のまま踏み入れてしまっては、彼女の研究の邪魔をしてしまうかもしれない。しかし、入らないと朝食を届けることができない。
どうすればいいのか。しばらく、エレリアは扉の前で立ち止まって一人考えあぐねた。
「うーん…」
そして、しばし思考した末、やはりミサに会いに行くことにした。彼女なら、ノックしただけで怒るようなことはしないだろう。
エレリアは意を決して、恐る恐る手を伸ばし、ノックしようとした。
手が扉に触れようとする。
するとその瞬間、いきなり扉がひとりでに勢いよく開いた。
「えっ!?」
突然の怪現象に、エレリアは急いで手を引っ込め、目を丸くした。
なぜ、いきなり扉が開いたのか。あまりに一瞬の出来事すぎて、思考が定まらない。
しかし、事態の真実は扉の向こうから現れた一人の人物によって、すべて解き明かされた。
「わっ、リアちゃん!?どうしたの、こんなところで…」
昨夜ぶりに姿を表したミサは、丸いメガネをかけ、短く切り揃えた髪を珍しく後ろに束ねていた。目元には薄暗いクマが出来ており、夜通し働き詰めた故の疲労ぶりが目を通して伝わってくる。
エレリアは白衣姿のミサを食卓に案内し、新しく目玉焼きを作り直してあげることにした。
「ありがと、リアちゃん」
エレリアは鍋に水を入れ、お湯を沸かした。
そして、ミサはエレリアによってコップに注がれた白湯にゆっくり口をつけ、深く息を吐いた。どうやら相当疲れているようで、眠たそうにあくびを何度も繰り返していた。
「ミサ、大丈夫?」
エレリアはそんな彼女の様子を見て、少しいたたまれない気持ちになり、すかさず声をかけた。
「うん、体調は今のところ大丈夫。まぁ、ちょっとだけ眠いけど、えへへ…」
ミサは少しはにかむように笑顔を漏らすと、自身の片目を手でこすった。
「ちなみに、ポーションの方はどんな感じなの?」
「うーんと、ポーションはね、おばあちゃんが残してくれた資料のおかげで、なんとか順調に進んで行ってるよ。あと数個材料を集めればもう完成しちゃいそう」
ミサが希望に満ちた口調でそう告げる。始めは、隣国スカースレットの王のためにポーションを作るという無謀な依頼を引き受けてしまい不安の念も大きかったが、今の彼女の言葉を聞いてエレリアは少し安堵していた。
すると、ミサはふと何かを思い出したように急に手を叩き、そして口を開いた。
「あっ、そうだ。そういえば、リアちゃんに言っておかなきゃいけないことがあったんだ」
ミサの言葉にエレリアは首を傾げる。
「私たちのね、次の目的地が決まったよ」
「次の目的地…?」
「そう」
ミサがエレリアの問いかけに小さく首を縦に振る。
次の目的地。
昨日は秘密の森に材料を取りに行った。恐らく目的地とは、外ポーションの材料を採取する場所のことだ。
では、次はどこに行くのだろう。村の周りは森と山ばかりだから、また昨日と同じ場所にでも行くのだろうか。
「私たちの次の目的地、それは…」
エレリアが思考を巡らしていると、早速ミサが本題に足を踏み入れようとする。
彼女の口から出る言葉のその一瞬を、エレリアは固唾を飲んでじっと待ち続けた。
そして、彼女の口が開いた。
「カロポタス村」
「…」
待ち続けた果てに飛び出たミサの言葉を耳にし、エレリアは思わずすっとんきょうな吐息を漏らしてしまった。
「えっ…」
今、彼女は何と言ったのだろうか。
「カロポタス村。ここが次の私たちの目的地だよ」
エレリアはミサの放ったその言葉を、頭の中で反芻し、そして理解しようとした。
カロポタス村。
彼女の口から聞かされたその名は、この村に住む者なら誰もが畏怖の念と共に想起される村の名だ。それは、ここから西へひたすら森を抜けた果ての孤島に存在する廃墟の村だ。今は誰も住んでいないが、かつてはフェイルメアという男が夢魔になり村を滅ぼしたと、いつか村長に教わった。
なぜ、そんな恐ろしいところにわざわざ材料を取りに行くのか。
「この世界のどこかにね、『月光草』という植物が生えてるの」
エレリアの疑問を見透かしたように、ミサが淡々と説明を口にする。
「月光草は、今回の夢魔対策のポーションには必要不可欠の材料で、逆にこれが無いと夢魔を追い払えなくなるの」
「じゃあ、それが無いと昨日採った材料の力も意味が無くなるっていうこと?」
「うん。そう思ってくれればいいよ」
エレリアの質問にも律儀に対応し、ミサの説明はさらに続いた。
「それでね、その月光草というのは生息条件がとても難しくて…」
この時初めてミサの顔が少し曇ったように見えた。
「まず、この植物は夜の闇の中じゃないと地上に現れないの。昼間は魔力によって肉眼じゃ見つけられないみたいで。それで、この月光草を見つける上で一番厄介なところ、それは夜は夜でも月が満月の夜じゃないといけないということ」
彼女の話を聞いて、エレリアは少し苦笑いを漏らした。
満月の夜じゃないと咲かない。月というものは一ヶ月の間に一度しか満月にならない。一年は12回だから月が満月になるのは12回、そして月光草という植物が咲くのもたったの12回。そんな植物、確率的に考えて本当に見つけることが可能なのか。
しかしその時、エレリアは彼女の発言からあることを悟った。
なぜ、彼女はわざわざ恐怖と悲しみを孕んだカロポタス村に行こうと提案したのか。その発言の真意がやっと理解できた。
エレリアはミサの顔を見つめる。
「じゃあ、ミサ。カロポタス村に行こうっていうのは…」
エレリアが尋ねると、ミサは口の端を何やら怪しげに歪め、そしてゆっくりと語った。
「そう、そこに月光草があるの」
彼女の返答を前に、エレリアは目を丸めはっと息を飲んだ。それは、自分の思っていた予想が当たっていたからというのもあるが、何より天文学的な確率でしか咲かない植物がそんな都合よく見つかるのかという現実に対しての懐疑的な感情だった。
「おばあちゃんが残してくれた資料を見ると、どうやらそのカロポタス村に月光草が生えているみたいで。逆に言うと、カロポタス村以外で見つけることはできない」
「でも、そこって魔物とかも出るんでしょ?昨日みたいなこと、私はもう勘弁なんだけど…」
そう言ったエレリアの脳内には、昨日の夕方、次々に魔獣が襲いかかって来る恐怖の光景が映し出されていた。こちらの都合など配慮してくれるはずもなく、無慈悲に命を刈り取ろうとしてきた魔獣。なんとかソウヤから受け継いだ『せいけんえくすかりばぁ』で追い払うことには成功したが、エレリアにとってはもう味わいたくないものだった。
「あぁ、そこは心配しなくていいよ。何かあった時のために、当日にはソウくんにも同行してもらうつもりだから」
しかしエレリアの懸念をよそに、ミサは何も気にしていないそぶりで語っている。ソウヤの戦闘能力については未知数だが、本当に安心していいのだろうか。
「ちなみにさ、出発はいつなの?」
「明日の夜だよ」
「えっ、明日の夜!?」
表情も変えずに語られたミサの発言に、エレリアは指摘せずにはいられなかった。
「ちょ、ちょっとミサ、分かってる?その日はまだ満月の日じゃないんだよ?満月の日はもうちょっと後のはず…」
「うん、確かにリアちゃんの言うとおり、その日は満月の日じゃないよ。それはもちろん、私もちゃんと分かってる。だけと正直、私たちにはもうあまり時間は残されてないの。あの日マルロスさんから与えられた猶予は一週間。だから、一か八か、満月の日じゃ無くても、月光草が生えてることを信じてカロポタス村に行く!それしかない」
「そっか…。そういうことか」
ミサの言い分を聞き、エレリアはようやく納得することができた。
しかし、それでもエレリアの胸から不安の念が消えることはなかった。あの村にはきっと魔物が住んでいる。そして、何よりも月光草が見つかるという保証はない。
ただそれでも、ミサは決して表情を曇らせることなく、常に笑みを絶やさなかった。
「大丈夫だよ。きっと、なんとかなる!昨日だって、そうだったでしょ?」
「うん…、そうだね」
浮かない表情を顔に貼り付けたエレリアを、ミサは持ち前の陽気な性分で、まるで励ますように言葉を送った。
その時、エレリアは彼女のその前向きさが羨ましかった。どんな状況でも屈することなく、むしろ果敢に立ち向かっていく。そんな彼女の性格を、エレリアは無意識のうちに羨望の眼差しで見つめていた。
「じゃあ、そういうことでよろしく。私はご飯食べたらまた研究室に戻るから、ソウくんにもこの件伝えてくれたら嬉しいな」
こうして、エレリアたちは明日の夜、カロポタス村に行くことが決まったのだった。
いつもはここにミサもいるのだが、夜通し彼女はスカースレット王国に届けるポーションを作成しているため、朝になっても食卓に姿を現さなかった。きっと今も、地下の研究室で研究に没頭しているのだろう。
だから、必然的に朝食はエレリアとソウヤの二人が作ることになってしまった。
「よし、そろそろ作ってくか」
ソウヤが腕をまくり、強く意気込みを口にする。
外は先ほどから雨が降っており、室内はいつもより薄暗かった。
「じゃあエレリア、まず卵とベーコンを取ってきてくれ」
いつの間にやらフライパンに火を点けたソウヤは声だけでエレリアに命令する。
そして、言われるがままエレリアは食品棚から卵とベーコンを取り出した。一体、何を作るつもりなのか。
ソウヤはエレリアから卵を受けとると、慣れた手つきで卵をフライパンのふちに軽く叩きつけ、破った殻の隙間から黄身をフライパンの上へ投下した。
「ソウヤって、意外と料理できるんだね。私、知らなかったよ」
フライパンの上で焼かれていく卵を見て、エレリアは感心したように口を開いた。
「おい、なんだよそれ。俺だって料理の一つや二つくらい作れるっちゅうの」
エレリアの発言にソウヤが口を尖らせる。その間も、ソウヤは手を休めることなく卵を割っていき、フライパンの上へ落としていった。
そして、次にソウヤは薄い3枚のベーコンを順番に卵の乗ったフライパンの上へ敷いていった。ベーコンの油が鉄板の上で音を立てて焼かれていく。
「いい感じだな」
ソウヤは満足気に胸を張り、フライパンの上で出来上がっていく目玉焼きに視線を落としていた。
そして数分後、食卓にはソウヤの作ったベーコンつき目玉焼きと、丸いブレッドが並べられていた。一応、ミサの分もちゃんと作っておいてある。
ミサが姿を現さないまま、エレリアとソウヤは朝食を共にすることにした。
窓の外はまだ雨が振っている。ただ地面を叩く無数の雨の音だけが耳に染み込み、陰湿な空気が部屋には満たされていた。
「あいつもまだ来ないみたいだし、俺たちだけでも先に食うか」
「うん」
ソウヤの目配せに、エレリアは首を縦に振った。
こうして彼と二人きりになるのは、あの時、海岸に行ったきりだろうか。その時以外はすべて、いつでも隣にはミサがついていてくれた。
ここに来てすでに何十日という日数が経ち、彼との生活もなんとかうまく送れている。
しかし、異性と二人きりになるのはやはり気恥ずかしいものだ。
男と女。彼はさほど気にしていないみたいだが、エレリアはテーブルを挟んで座っただけでも胸がドキドキしていた。できるなら早くここから立ち去ってしまいたい。そんな風に思っていた。
「おい、どうしたんだ?」
「あっ…」
気がついた時、眉根を寄せたソウヤがこちらを不信な目でにらみ返していた。
どうやら、無意識のうちにエレリアは彼の顔をまじまじと見つめていたらしかったのだ。考え事に夢中で、彼に視線を向けているなんて本当に気がつかなかった。
エレリアは頬を赤らめ慌てて目をそらしたが、彼に与えてしまった不信感は拭えそうにない。ソウヤはそのままエレリアに真意を問いただそうとする。
「俺の顔になんかついてんのか?」
「べ、別に、なんでもないよ…」
「おいおい、なんだよ。言いたいことがあるんなら、ちゃんと言えよ」
エレリアは本当のことを口にしたつもりだったのだが、彼はそれでも信じてくれそうになかった。こうなってしまっては、実際に真意を伝えたところで、信用してもらえないだろう。その間も、彼は怪訝そうにこちらを見つめかえしている。
途方に暮れてしまったエレリアは冷や汗を拭いながら、とりあえずその場しのぎの嘘をつくことに決めた。
「その…、なんていうか、ソウヤの作った目玉焼きが意外においしいなぁ、なんて…」
「おまえ、まだ食ってねぇじゃん」
「…!?」
彼の言うとおり、エレリアの皿の上には半熟の目玉焼きが焼けたベーコンと共に乗っている。
「しまった…」
即興で偽りの言葉を口にしたのはいいものの、もっとその内容を考えるべきだった。虚言を言ってせいで、かえって彼に思い違いを生んでしまったかもしれない。
エレリアは下唇を噛んで、自らの愚行で作りあげてしまった彼への誤解をいかにして説得させるか、そのことだけに全神経を違った。
「エレリアって、変なやつだな」
しかし、ソウヤはその言葉を最後にこれ以上エレリアを問いつめることはなかった。何事もなかったかのようにフォークを握り、目玉焼きの黄身を割いている。
とにかく、深く追及してこなくてよかった。
エレリアはほっと安堵の息を吐きつつ、無意識に行ってしまう自分の言動に注意して朝食をとることにした。
朝食を食べた後、ソウヤは一人で傘をさしてそそくさと雨の降りしきる玄関の外へ消えて行ってしまった。用事があるから、とだけ彼は言ってくれたのだが、詳しいことはエレリアが聞いても何も教えてくれなかった。
仕方なくエレリアは二人分の皿を洗い、そして、ミサの代わりに残った家事をすべて終え、気つけば一人食卓のイスに座っていた。
「あぁ、暇だな…」
机に突っ伏してエレリアは何気なく窓の向こうを眺めた。
外はまだ雨がしきりに降り続いており、そのため、どこかに出かけようにも出かけることができない状況だった。晴れていれば散歩でもできたのだが、わざわざ雨の中を歩いていく気にはならない。
「はぁ…」
時刻はお昼時の少し前。
手持ちぶさたになったエレリアは退屈そうにため息を漏らし、少し屈伸した。
ミサはまだポーションの研究に没頭しているのだろうか。はたまた、徹夜の疲れで寝ているのか。
どちらにせよ、彼女は昨夜からここへ姿を現していない。
ところで、食事はどうするのだろう。一応、今朝ソウヤと作った目玉焼きは彼女の分もちゃんと残してあるのだが、あれから数時間経ったため今は冷えて固くなってしまっている。
「ミサ、大丈夫かな…」
これだけ待っても姿を現さないとなると、なんだか心配になってくる。もしかしたら、体調を崩して倒れている可能性だってある。
「…ちょっと持って行ってあげようかな」
ふとエレリアはミサに朝食を届けてあげることを思い付いた。ついでに、声もかけてあげよう。
意を決したエレリアは勢いよくイスから立ち上がり、食品棚から冷めた目玉焼きとブレッドを取り出した。
そして、それをトレーに乗せ、そのまま研究室に続く扉の前にやって来た。
ミサのいる研究室は、一階にある扉を開けた地下に続く階段の向こうに存在する。しかし、実はエレリアはこの家に来てから一回もミサの研究室を訪ねたことがなかった。つまり、今回が初めての入室ということになる。
「どうしよ。勝手に入ってもいいかなぁ…?」
頑丈な木の扉の前、エレリアは足を前に進めることができずにいた。
もしかしたら、無許可のまま踏み入れてしまっては、彼女の研究の邪魔をしてしまうかもしれない。しかし、入らないと朝食を届けることができない。
どうすればいいのか。しばらく、エレリアは扉の前で立ち止まって一人考えあぐねた。
「うーん…」
そして、しばし思考した末、やはりミサに会いに行くことにした。彼女なら、ノックしただけで怒るようなことはしないだろう。
エレリアは意を決して、恐る恐る手を伸ばし、ノックしようとした。
手が扉に触れようとする。
するとその瞬間、いきなり扉がひとりでに勢いよく開いた。
「えっ!?」
突然の怪現象に、エレリアは急いで手を引っ込め、目を丸くした。
なぜ、いきなり扉が開いたのか。あまりに一瞬の出来事すぎて、思考が定まらない。
しかし、事態の真実は扉の向こうから現れた一人の人物によって、すべて解き明かされた。
「わっ、リアちゃん!?どうしたの、こんなところで…」
昨夜ぶりに姿を表したミサは、丸いメガネをかけ、短く切り揃えた髪を珍しく後ろに束ねていた。目元には薄暗いクマが出来ており、夜通し働き詰めた故の疲労ぶりが目を通して伝わってくる。
エレリアは白衣姿のミサを食卓に案内し、新しく目玉焼きを作り直してあげることにした。
「ありがと、リアちゃん」
エレリアは鍋に水を入れ、お湯を沸かした。
そして、ミサはエレリアによってコップに注がれた白湯にゆっくり口をつけ、深く息を吐いた。どうやら相当疲れているようで、眠たそうにあくびを何度も繰り返していた。
「ミサ、大丈夫?」
エレリアはそんな彼女の様子を見て、少しいたたまれない気持ちになり、すかさず声をかけた。
「うん、体調は今のところ大丈夫。まぁ、ちょっとだけ眠いけど、えへへ…」
ミサは少しはにかむように笑顔を漏らすと、自身の片目を手でこすった。
「ちなみに、ポーションの方はどんな感じなの?」
「うーんと、ポーションはね、おばあちゃんが残してくれた資料のおかげで、なんとか順調に進んで行ってるよ。あと数個材料を集めればもう完成しちゃいそう」
ミサが希望に満ちた口調でそう告げる。始めは、隣国スカースレットの王のためにポーションを作るという無謀な依頼を引き受けてしまい不安の念も大きかったが、今の彼女の言葉を聞いてエレリアは少し安堵していた。
すると、ミサはふと何かを思い出したように急に手を叩き、そして口を開いた。
「あっ、そうだ。そういえば、リアちゃんに言っておかなきゃいけないことがあったんだ」
ミサの言葉にエレリアは首を傾げる。
「私たちのね、次の目的地が決まったよ」
「次の目的地…?」
「そう」
ミサがエレリアの問いかけに小さく首を縦に振る。
次の目的地。
昨日は秘密の森に材料を取りに行った。恐らく目的地とは、外ポーションの材料を採取する場所のことだ。
では、次はどこに行くのだろう。村の周りは森と山ばかりだから、また昨日と同じ場所にでも行くのだろうか。
「私たちの次の目的地、それは…」
エレリアが思考を巡らしていると、早速ミサが本題に足を踏み入れようとする。
彼女の口から出る言葉のその一瞬を、エレリアは固唾を飲んでじっと待ち続けた。
そして、彼女の口が開いた。
「カロポタス村」
「…」
待ち続けた果てに飛び出たミサの言葉を耳にし、エレリアは思わずすっとんきょうな吐息を漏らしてしまった。
「えっ…」
今、彼女は何と言ったのだろうか。
「カロポタス村。ここが次の私たちの目的地だよ」
エレリアはミサの放ったその言葉を、頭の中で反芻し、そして理解しようとした。
カロポタス村。
彼女の口から聞かされたその名は、この村に住む者なら誰もが畏怖の念と共に想起される村の名だ。それは、ここから西へひたすら森を抜けた果ての孤島に存在する廃墟の村だ。今は誰も住んでいないが、かつてはフェイルメアという男が夢魔になり村を滅ぼしたと、いつか村長に教わった。
なぜ、そんな恐ろしいところにわざわざ材料を取りに行くのか。
「この世界のどこかにね、『月光草』という植物が生えてるの」
エレリアの疑問を見透かしたように、ミサが淡々と説明を口にする。
「月光草は、今回の夢魔対策のポーションには必要不可欠の材料で、逆にこれが無いと夢魔を追い払えなくなるの」
「じゃあ、それが無いと昨日採った材料の力も意味が無くなるっていうこと?」
「うん。そう思ってくれればいいよ」
エレリアの質問にも律儀に対応し、ミサの説明はさらに続いた。
「それでね、その月光草というのは生息条件がとても難しくて…」
この時初めてミサの顔が少し曇ったように見えた。
「まず、この植物は夜の闇の中じゃないと地上に現れないの。昼間は魔力によって肉眼じゃ見つけられないみたいで。それで、この月光草を見つける上で一番厄介なところ、それは夜は夜でも月が満月の夜じゃないといけないということ」
彼女の話を聞いて、エレリアは少し苦笑いを漏らした。
満月の夜じゃないと咲かない。月というものは一ヶ月の間に一度しか満月にならない。一年は12回だから月が満月になるのは12回、そして月光草という植物が咲くのもたったの12回。そんな植物、確率的に考えて本当に見つけることが可能なのか。
しかしその時、エレリアは彼女の発言からあることを悟った。
なぜ、彼女はわざわざ恐怖と悲しみを孕んだカロポタス村に行こうと提案したのか。その発言の真意がやっと理解できた。
エレリアはミサの顔を見つめる。
「じゃあ、ミサ。カロポタス村に行こうっていうのは…」
エレリアが尋ねると、ミサは口の端を何やら怪しげに歪め、そしてゆっくりと語った。
「そう、そこに月光草があるの」
彼女の返答を前に、エレリアは目を丸めはっと息を飲んだ。それは、自分の思っていた予想が当たっていたからというのもあるが、何より天文学的な確率でしか咲かない植物がそんな都合よく見つかるのかという現実に対しての懐疑的な感情だった。
「おばあちゃんが残してくれた資料を見ると、どうやらそのカロポタス村に月光草が生えているみたいで。逆に言うと、カロポタス村以外で見つけることはできない」
「でも、そこって魔物とかも出るんでしょ?昨日みたいなこと、私はもう勘弁なんだけど…」
そう言ったエレリアの脳内には、昨日の夕方、次々に魔獣が襲いかかって来る恐怖の光景が映し出されていた。こちらの都合など配慮してくれるはずもなく、無慈悲に命を刈り取ろうとしてきた魔獣。なんとかソウヤから受け継いだ『せいけんえくすかりばぁ』で追い払うことには成功したが、エレリアにとってはもう味わいたくないものだった。
「あぁ、そこは心配しなくていいよ。何かあった時のために、当日にはソウくんにも同行してもらうつもりだから」
しかしエレリアの懸念をよそに、ミサは何も気にしていないそぶりで語っている。ソウヤの戦闘能力については未知数だが、本当に安心していいのだろうか。
「ちなみにさ、出発はいつなの?」
「明日の夜だよ」
「えっ、明日の夜!?」
表情も変えずに語られたミサの発言に、エレリアは指摘せずにはいられなかった。
「ちょ、ちょっとミサ、分かってる?その日はまだ満月の日じゃないんだよ?満月の日はもうちょっと後のはず…」
「うん、確かにリアちゃんの言うとおり、その日は満月の日じゃないよ。それはもちろん、私もちゃんと分かってる。だけと正直、私たちにはもうあまり時間は残されてないの。あの日マルロスさんから与えられた猶予は一週間。だから、一か八か、満月の日じゃ無くても、月光草が生えてることを信じてカロポタス村に行く!それしかない」
「そっか…。そういうことか」
ミサの言い分を聞き、エレリアはようやく納得することができた。
しかし、それでもエレリアの胸から不安の念が消えることはなかった。あの村にはきっと魔物が住んでいる。そして、何よりも月光草が見つかるという保証はない。
ただそれでも、ミサは決して表情を曇らせることなく、常に笑みを絶やさなかった。
「大丈夫だよ。きっと、なんとかなる!昨日だって、そうだったでしょ?」
「うん…、そうだね」
浮かない表情を顔に貼り付けたエレリアを、ミサは持ち前の陽気な性分で、まるで励ますように言葉を送った。
その時、エレリアは彼女のその前向きさが羨ましかった。どんな状況でも屈することなく、むしろ果敢に立ち向かっていく。そんな彼女の性格を、エレリアは無意識のうちに羨望の眼差しで見つめていた。
「じゃあ、そういうことでよろしく。私はご飯食べたらまた研究室に戻るから、ソウくんにもこの件伝えてくれたら嬉しいな」
こうして、エレリアたちは明日の夜、カロポタス村に行くことが決まったのだった。
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