二卵性の双子。恋に落ちました。

第一章 まさかの同居

第6話 入学式

　入学式。それは今後の勉学に対する決意を固める場。

　しかし、そんなものは教員たちが生徒たちに共用した建前であり、実際は違うと俺は思う。

　教員たちは、入学した生徒たちを見て、大体の第一印象を確認する。これは、今後の成績にも結構関わってくる大切なものだと思う。

　しかし、一方の生徒たちは校長を始めとする学校重役の人間や、来賓の長ったらい話を聞き、うんざりする。と言うのがいつものことだ。

　そんな苦の儀式のために、初めて買ったスーツに袖を通すだなんて少し嫌気がさす。

    鈴はなんだかウキウキしているが、正直その神経がよくわからない。まあこれも、二卵性双生児の特徴なのだが。


　大学までは、電車で二駅。およそ10分ほどかかる。

　鈴の浮かれ具合を見ていると、大丈夫なのか？とも思ってしまうが、鈴なら大丈夫だろう。

　
　大学へ行くと、既に多くの学生が集まっていた。中には親と一緒に来ている人もいたが、家は家業が忙しいため、来なくていいと言ってある。

　
　入学式と大きく書かれた看板の前で写真を取る親子がたくさんいた。だけど俺はそんなものの何がいいのかさっぱり分からない。


　鈴は、そんな親子たちをなんだか羨ましそうにじーっと見ていた。

「鈴。ちょっとこい。」

俺は鈴の腕をとり、列に並んだ。

「どうしたの？お兄ちゃんこういうの苦手でしょ？」

「いいんだよ。せっかくの記念なんだから。」

そういうと、鈴は「ありがとう…」と小さくつぶやいた。

やっぱり鈴は写真が撮りたかったんだ…

後ろに並んでいた人に撮影をお願いした。パシャという撮影音は、俺達の大学生生活の開始を告げるベルだった。



その後、前述通りの長ったらしい来賓の話を聞き、大学の校内を一通り見学して俺は、帰宅した。

鈴は、早速作った友達と遊んでから帰るそうだ。大丈夫だろうか、兄として、少し心配だ…