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第一章 始まりの板橋宿
第五話 暴動騒動
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「なんじゃこりゃー!!」というきぬの絶叫で屋敷の男性陣4人は朝がやって来たことを知った。
きぬは早めに酔ってしまったらしく、早々に自室へと戻り眠っていたのだ。その後まさか男たちが大広間を盛大に汚すだなんて誰が思っただろうか。
具の入った味噌汁が畳の上へ流れ出ていて、茶碗、皿などもひっくり返り、しっかり置かれているもののほうが少ないと来た。
荒らした者どもは未だ夢見心地である。きぬは呆れて言葉もなかった。
その後、俺達4人はきぬにこっぴどく叱られてしまった。
「だいたいですよ。いくら無礼講だったとはいえ何時まで飲んでたんですか!?お椀はひっくり返すし、せっかく作った料理も食べないで絵の具にされる。全く、どうなったら………」
それに対して我々は「返す言葉も御座いません」以外を言えるわけもなく、それぞれ罰を受ける事になった。
七之助は屋根のホコリを払う仕事。末吉は庭掃除。四郎は厠の掃除。そして俺はきぬの買い物の荷物持ちをする事になった。
きぬが支度を終えるまでに少し時間があるというので、俺は廃寺に向かって大量の金塊を持って帰ってきた。彼らは俺に部屋の押し入れの中に隠されている。
「それじゃあ旦那様。参りましょうか。」
そう言って迎えに来たきぬの腕には3つのかごがかかっていた。これは随分重労働になるだろう……
俺の予想道理に八百屋をはしごし魚屋をはしごし、肉屋ははしごしたが何も買わなかった。それから、雑貨屋によって色々買って店を出ようとした時だった。きぬの肩が人相の悪い侍の肩とぶつかったのだ。
「おい。何すんだよ。」
「す、すみません!」
きぬは必死に謝ったが侍に許す気は内容だった。鬼の形相を崩さないままきぬを道の真ん中へと引きずり出す。このままではきぬが危ない。
俺は持っていたものを全て放り投げて侍の背中めがけて踵落としをした。
この技は俺の十八番で、仲間内では地獄への扉とも呼ばれていた。地獄への扉を食らった侍は受け身をとって振り返った。
「何をする。」
「それはこちらのセリフだ。家の者に手を出すということをわかっているのか?」
「お前もただの浪人だろう。ただの町娘相手にカッコつけてんじゃねぇよ。」
侍のターゲットが俺に移してからきぬを離れたところに逃がす。侍が刀を抜き俺の方へと向けてくる。棒を持つ相手に戦うのは鉄パイプで修練済みだ。
侍がまっすぐ振り上げた刀を俺めがけて振り下ろしてくる。俺は刀の道筋を右に滑って外れると、後ろから両足を払った。地面との接点がなくなった侍は素頓狂に背骨を打ち付けた。
苦しむ侍の右手を踏みつける。悪党の手から刀が落ちる。顔を近づけて警告する。
「いいな?これで分かったらもっと優しく生きることだな。」
掴んでいた胸ぐらを離して俺は口を開けて驚いているきぬの手を取り、人が集まり始めたここを足早に去っていった。
「旦那様、お強いんですね。」
「まあ、地元では頭張ってたからなぁ。」
「頭?張る?」
「ごめんごめん。なんでもないよ。」
ちょっとやりすぎたかな?なんて思いつつ二人でゆっくりと屋敷へと帰っていった。
きぬは早めに酔ってしまったらしく、早々に自室へと戻り眠っていたのだ。その後まさか男たちが大広間を盛大に汚すだなんて誰が思っただろうか。
具の入った味噌汁が畳の上へ流れ出ていて、茶碗、皿などもひっくり返り、しっかり置かれているもののほうが少ないと来た。
荒らした者どもは未だ夢見心地である。きぬは呆れて言葉もなかった。
その後、俺達4人はきぬにこっぴどく叱られてしまった。
「だいたいですよ。いくら無礼講だったとはいえ何時まで飲んでたんですか!?お椀はひっくり返すし、せっかく作った料理も食べないで絵の具にされる。全く、どうなったら………」
それに対して我々は「返す言葉も御座いません」以外を言えるわけもなく、それぞれ罰を受ける事になった。
七之助は屋根のホコリを払う仕事。末吉は庭掃除。四郎は厠の掃除。そして俺はきぬの買い物の荷物持ちをする事になった。
きぬが支度を終えるまでに少し時間があるというので、俺は廃寺に向かって大量の金塊を持って帰ってきた。彼らは俺に部屋の押し入れの中に隠されている。
「それじゃあ旦那様。参りましょうか。」
そう言って迎えに来たきぬの腕には3つのかごがかかっていた。これは随分重労働になるだろう……
俺の予想道理に八百屋をはしごし魚屋をはしごし、肉屋ははしごしたが何も買わなかった。それから、雑貨屋によって色々買って店を出ようとした時だった。きぬの肩が人相の悪い侍の肩とぶつかったのだ。
「おい。何すんだよ。」
「す、すみません!」
きぬは必死に謝ったが侍に許す気は内容だった。鬼の形相を崩さないままきぬを道の真ん中へと引きずり出す。このままではきぬが危ない。
俺は持っていたものを全て放り投げて侍の背中めがけて踵落としをした。
この技は俺の十八番で、仲間内では地獄への扉とも呼ばれていた。地獄への扉を食らった侍は受け身をとって振り返った。
「何をする。」
「それはこちらのセリフだ。家の者に手を出すということをわかっているのか?」
「お前もただの浪人だろう。ただの町娘相手にカッコつけてんじゃねぇよ。」
侍のターゲットが俺に移してからきぬを離れたところに逃がす。侍が刀を抜き俺の方へと向けてくる。棒を持つ相手に戦うのは鉄パイプで修練済みだ。
侍がまっすぐ振り上げた刀を俺めがけて振り下ろしてくる。俺は刀の道筋を右に滑って外れると、後ろから両足を払った。地面との接点がなくなった侍は素頓狂に背骨を打ち付けた。
苦しむ侍の右手を踏みつける。悪党の手から刀が落ちる。顔を近づけて警告する。
「いいな?これで分かったらもっと優しく生きることだな。」
掴んでいた胸ぐらを離して俺は口を開けて驚いているきぬの手を取り、人が集まり始めたここを足早に去っていった。
「旦那様、お強いんですね。」
「まあ、地元では頭張ってたからなぁ。」
「頭?張る?」
「ごめんごめん。なんでもないよ。」
ちょっとやりすぎたかな?なんて思いつつ二人でゆっくりと屋敷へと帰っていった。
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