江戸時代にタイムスリップしたのでヤりたい放題ヤッてみます。

今宵叫ぶ

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第三章 出世をかけた戦い

第十六話 亀の甲羅

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 書庫の管理を行う俺達の直の上司、亀山高石は月末になってやっと書庫に現れた。家禄は1000石と俺の倍ある厄介な相手だ。

「亀山様。ご相談したいことがあるのですがよろしいですか?」

 俺の意を持った田川さんがいかにも悪代官の様な外見をしている高石に話しかけた。悪代官は田川さんをギロっと見つめると自分の部屋に来るよう言った。二人は不穏な空気の中、亀山の部屋へと入って行く。

「田川殿……大丈夫だろうか……」

 亀山は自分の保身にしか興味がない男のようで、新しい事には手を出さない。極めて保守的な男であった。その上幕府上層部と太めのパイプを持っているという噂がある。そんな男に新しい事を提案するということはかなり危険な綱渡りを行う様なものだった。

「なぜですか亀山様!!」

「そう声を荒げるのではない!」

「亀山様だってご存知でしょう。この書庫の蔵書が少しずつ減っていることを!!」

「うるさい!!」

 部屋から二人が言い争う声が聞こえた。随分と白熱している様子が想像される。

 それからしばらくして部屋から田川さんが戻ってきた。随分としょんぼりした様子だ。

「どうでした?」

 エ口えぐちさんが念の為質問した。誰もが分かっていると思うが万が一億が一って可能性も……ないか……

「きんしん……」

「へ?」

「謹慎だそうだ。規律を乱す不届き者には沙汰を下すと申された。俺はその答えが出るまで謹慎だそうだ。」

 この場にいた誰もが唖然としていた。何故田川さんが処分を受けなければいけないのだ。俺が言い出したことなのだから俺が処分を受けなければいけない!!

「田川さんじゃない。処分を受けるなら俺が!」

 亀山がいる部屋に向かおうとした俺の手を引いて止めたのは田川さんだった。

「だめだ。宇都宮。お前はだめだ。」

「でも!分類法は俺が……」

 田川さんの鋭い視線が俺の目の中に差し込まれた。目元に涙が溜まっていて悔しさが見て取れる。

「お前は若い。ここで負けられては困るのだ。」

 田川さんが俺を抱きしめる。悔し涙が頬を伝って床にシミを作ってしまった。

「これは宇都宮に返しておくよ。どうか頑張ってくれ。」

 田川さんはそれだけいうと長年働いていた書庫を去った。書庫の門をくぐるときは堂々と見事にやってのけたと後日になってエ口えぐちさんたちから聞いた。

 なんでだ……なんでなんだ……

 まさかこのあとあんなことが起きるだなんて大体の未来が分かる俺にだって予想できない事だった。
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