江戸時代にタイムスリップしたのでヤりたい放題ヤッてみます。

今宵叫ぶ

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第三章 出世をかけた戦い

第十八話 殺害5秒前の出来事

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 田川さんの屋敷は千住からそう遠くはない上野にある。ダッシュすれば20分程で着く。wakipedeliaワキペディアの記事によると今夜中に田川さんが殺されてしまう。

 そう考えたら辛いはずの道のりが全くの苦もなく走り切ることが出来た。今前に見えている大名屋敷の角を曲がればもうすぐ着く。疲れてきた足に力を込めて前に前にと蹴り出し進んんで行く。

 見えた。あの屋敷が田川さんの屋敷だ。800石の下級旗本にしては広めの屋敷だ。それだけ日々の頑張りが評価されたのかもしれない。

 ドンドンドン!ドンドンドン!と門を叩いた。屋敷側からの反応はなく静まり返っている。俺は塀に手をかけて屋敷内に侵入する。屋敷の中はまだ明るい。

「田川さん!田川さん!」

 玄関に向かって走りながら叫ぶ。頼む。気がついてくれ!!間に合ってくれ!!

「なんだよ。こんな夜中に。」

 俺の声に気がついたのか田川さんが玄関から出てきた。しかし、その背後には大きな男の影が見える。影は腰の近くに右手を動かす。まずい。このままだと田川さんが殺されてしまう!!

「危ない!!」

 俺は腰に刺していた太刀(本物)を鞘ごと影に向かって投げた。太刀は見事に田川さんの顔の横、数mmを横切り影の頭端部に命中した。

 何が起こったのか理解できていない田川さんが驚きながら首をあちこちに振っている。

「宇都宮。どういうことだ!!説明してくれ!!」

「この男に田川さんが殺されそうになったんですよ。」

「何!?どういうことだ!?」

「田川さん。昼間亀山と何を話していたんですか?」

 俺の質問に田川さんはすぐには答えなかった。俺に答えるべきなのかそれを考えていたのかもしれない。

「致し方ないな。命が狙われた以上、情報の共有はしていかなければな。」

 外で話すのもなんだからと俺たちは田川さんの屋敷の中で話すことになった。人払いも済ませこの離れには俺と田川さんの二人だけが残っていた。

「実はな、ここ最近蔵書の数が段々と減ってきているのだ。」

「え!?」

「誰も気付きはしないだろう。一月に一冊減るくらいだからな。だが無くなっているのは売ればそれなりの金になるものばかり。しかし何の本がどこにあるのかだなんて決まっていないから確信を持てなかったのだ。」

「そこで、延宝書物分類法を採用させて……」

「そうだ。犯人を炙り出すつもりだったのだが、どうやら別のことで犯人がわかってしまったな。」

「そうですね。この状況で殺し屋を送り込んでくるだなんて普通に考えたら一人だけ。満場一致で推薦した延宝書物分類法を拒絶したあの人ですね。」

「「亀山高石。」」
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