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術式学校編
花の姫君
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ここは【葉塔学園】。中学・高校一貫の学校だが、この学校は退魔術式者の卵達を育てる学校であり、能力の持たない一般の国民は入れないのである。
季節は巡って3月の春。高校3年生達はもうすぐでこの学園を卒業し、【日本術式者協会】の仲間入りをするのである。そんな中、ここの学園の生徒達はある1人の少女に注目していた。
「あ!見て、あの人だよ!」
「彼女だろ?今年首席で卒業するっていう」
「ああ、聞いたところによると歴代で最高の成績らしい」
「成績が優秀ってだけじゃなくて顔も可愛いしな」
「いや、美しいの間違いだろ?彼女今年でいなくなるから告白も多かったらしいぞ」
「そうそう中には学校一のイケメンの岩田先輩にも告られたって」
「でもフラれたんだろ?」
「高嶺の花すぎるよな~【花姫】」
生徒達に【花姫】と言われているのはこの学園のトップの成績を収めた生徒、【冷美華】である。華が歩いていると、後ろから大声で走って来る生徒が1人。
「は~な~!」
「渚……廊下を走ったら先生に怒られるよ?」
「大丈夫だよ!いつものことだし」
そう言って華に満面の笑みを見せるのは、華に次ぐ成績で卒業する予定の【葵渚】である。
「今日の実習って訓練室だっけ?」
「うん。といってももう本格的な授業は無いから自習になると思うけど」
「自主練か~華はどうせ真面目にやるんでしょ?」
「うん。私はいつも通りに練習するよ」
「じゃあ私も付き合うよ。華の練習付き合ってたらいつの間にか成績上位まで行って最終的には学年成績2位まで行っちゃったからな~」
「何か不満でもあるの?」
「いや?私の親友は優秀だなぁって思って」
二人でそんな話をしながら自分たちの教室へ入っていく。華たちが教室に入るのと同時に授業の予冷が鳴り、教師が一人入ってくる。
「んじゃ級長、号令お願い」
級長の号令が終わると担任の池波が今回の授業について話す。
「とりあえず授業は終わりだから自習と言いたいとこだがこのクラスの中でちゃんと自習するのは冷美だけだろ」
「せんせー!あたしは?」
「葵……お前は冷美に引っ付いてたから成績良かっただけだろ」
「うわ、ひどい!あたしだって頑張ったのに……!」
「俺は知ってるぞ。お前が授業中寝てたことくらい」
「ギクッ!」
「冷美がいなかったら成績一番酷かったんじゃねぇか?」
「そんなことないもん!華がいなくたって成績よかったもん!」
池波と渚のやり取りを見てクラスが笑いに包まれ、収まったとこで本題を話し始める。
「まぁ冗談はここまでにして本題だ。再来週にはお前たちは卒業するわけだが、卒業していきなり協会に入れば分からない事だらけだろうから、今日は本格的な術式者のイロハを教える。といってもほぼ今までやってきたことのおさらいになるけどな。んじゃまずは【術式者】について、冷美答えてみろ」
「はい。術式者ははるか昔に世界中の【術】を合わせた【術式】を扱える人たちのことで【霊力】があります。霊力のない一般の人はそもそも術式を使えません。その術式者を集めた組織が【世界術式者協会】で各国にもその国の協会があります」
「よしOKだ。それじゃあ日本術式者協会について葵、言ってみろ」
「ふぇえ!?は、はい!えっと、日本術式者協会は日本で術式を扱える人たちが集まった組織で、自分の使える色ごとに配属先が決まっていて色はそれぞれ【赤組・橙組・黄組・緑組・青組・藍組・紫組】に分けられています」
「よし。ちなみにこのクラスは何色だ?」
「このクラスは青色術式のクラスです」
「よしいいだろう。油断してたことはチャラにしてやる」
「バレてた……」
「当たり前だろ教師何年やってると思ってんだ。……話が脱線したが、このクラスは青色術式の使える奴らが集まってるから卒業したら全員【青組】に配属される。そして、実績の良かった術式者たちが大晦日に各色で大会に出る。これを優勝すると、次の年から晴れて【虹孔雀】になる。虹孔雀っていうのは各色の【最強】達のことだ。虹孔雀になると協会の上層部の会議に参加したり、同じ色の術式者に指示を出せたりできる。まぁいわゆるリーダーだな。ちなみに青組は歴代最年少で【青色虹孔雀】になった【池田水希】ってやつだ。水希は確か丁度二十歳になったとき、虹孔雀になったから卒業して2年でなっている」
「せんせー!じゃあ全虹孔雀の中でも最年少は彼女なんですか?」
「いや、全虹孔雀だと歴代最年少は現【赤色虹孔雀】の【青宮】ってやつだな。青宮は卒業して1年で赤色虹孔雀になっているお前らも1年目から活躍すれば虹孔雀になれる権利はあるから頑張れよ」
「でもこの中だったら一番なりやすいのはやっぱり華だよね~当時の成績だったら今の池田さんじゃなくて華の方が上なわけだから華もいきなり2年目から虹孔雀になれるんじゃない?」
「それはないよ。その人だってまだ若いんだから更に強くなってるだろうし、学校の成績なんかただの数字に過ぎない。もしかしたら私じゃなくて他の人がなるかもしれないよ?」
「またご謙遜を~もしかしてそれは強者の余裕ってやつか?この生意気な~!」
渚はそう言いながら華にヘッドロックして頭をぐりぐりとする。
「ち、ちょっと渚!」
「おい劣等生が優等生にちょっかい掛けてんじゃねぇよ」
「あたしだって優等生です~」
そういったやり取りをしながら授業を進めていると授業終了の鐘が鳴り、場所は変わって訓練室。
「今日も自習にしようと思ったが、サボり始める奴もいるだろうからな実戦練習するぞ」
池波がそう言うとクラスがざわつき始める。すると渚が質問をする。
「せんせー実戦っていつもの二人一組じゃないんですか?」
「違うな。今回の相手は人間じゃねぇ。妖魔だ」
ざわついてたクラスがさらにざわつき始める。すると今度は華が質問をする。
「妖魔って……危なくないんですか?」
「この施設には今まで協会が倒してきた妖魔のデータを元に妖魔を作れるようになっている。カリキュラムが終わり、卒業間近の生徒はここで早めの訓練することになっている。危なくなっても我々教師が止めればいいだけだから安全性は大丈夫だ。とりあえずまず一体出すから冷美、倒してみろ」
華は「は、はい!」と答えると、訓練室の真ん中に立つ。すると奥から2mくらいの高さの妖魔が現れた。
「まずは下級妖魔から始める。俺の合図とともに動き出すからかまえとけ」
「はい!」
「いくぞ……始め!」
池波の合図とともに華は妖魔に向かって突っ込む。華が近づいたところを妖魔が攻撃するが、華は高く飛び上がり妖魔の後ろに着地すると同時にもう一度突っ込み、背後から妖魔を蹴っ飛ばす。飛ばされた妖魔は地面に野垂れ、起き上がれない。その隙を華は逃さず、術式を展開する。
「術式展開!【青色術式:流水花】」
華の周りを水の花達が囲う。
「出た!華の術式!」
「【流水弾】!」
華がそう叫ぶと、周りの花達が一斉に妖魔へ向かって飛んでいき命中する。すると妖魔は塵のように消えていった。
「そこまで!」
池波が合図をすると、生徒たちから拍手が上がる。
「すげ~流石【花姫】!」
「同い年とは思えないよな」
「さっすがあたしの親友!鼻が高いよ」
「何言ってんだ。次はお前の番だぞ、葵」
「えぇ!?」
「当たり前だろ、さっき散々優等生ぶってたんだから優等生っぽく倒してみろ」
渚は渋々訓練室の真ん中に立つが、いざ始まると妖魔を難なく倒した。
「う~やっぱ華みたいにかっこよく倒せなかった……」
「でもしっかり倒してるからいいじゃない?」
「ちがうの!あたしは華麗に倒したいのよ!」
「……葵さんも何気にすげぇよな」
「おう……確かに花姫ほど鮮やかさはなくてもしっかり倒せてるもんな。俺はあんなに早く倒せる気がしない……」
「それに可愛いし、誰でも接しやすくて、さらに巨乳!」
「あぁ!あのエロさであのコミュ力は誰でも勘違いするよな!」
男子たちの話は当然、華や渚の女子たちにもしっかり聞こえていて彼女らは犯罪者を見るような目で引いていた。
「男子って……」
「本当にバカだよね……」
「ちょっと男子たちそういう話を大声でするな!この変態ども!」
「はぁ!?彼女のいないこっちとしてはこういう話をしないとやってられないんだよ!」
「そうだそうだ!」
男子と女子達が言い合っている中、華は訓練室の入口の方を見つめていた。
「華?どうしたの?」
「誰かが今こっちを見ていた気がして……」
「ふ~ん……気のせいじゃない?」
「うん……そうだね!」
華と渚は元の場所に戻ると池波が男子と女子の言い争いを制止する。
「はいはい。お前らそこまでにしとけ。男子どもはこれ終わったらグラウンドの外周10周な」
この言葉に男子たちから反感の声が、女子からは歓声が上がる。
実戦の授業が終わり、華たちが更衣室へ戻ろうとすると、床から術式が次々と現れ先程の妖魔達が現れた。
「え……なにこれどういうこと?」
渚がそうつぶやくと妖魔は目の前にいる、女子生徒に向かって攻撃を仕掛けた。
「え……?」
彼女は訳が分からずその場で立ち尽くしていたがすぐにその場が土煙で覆われる。
「レ……レイ……カ?」
「が……殺された……?」
しかしレイカと呼ばれた生徒は間一髪、華によって助け出され攻撃した妖魔の後ろにいた。すると華はすぐにほかの生徒に向かって叫ぶ。
「皆この場から離れて急いで先生たちを呼んで!こいつらはさっき私たちが戦った訓練用の妖魔じゃない!本物の妖魔だ!」
その言葉で我に返った生徒たちは悲鳴を上げながら逃げていく。渚も訓練室から出ようとしたが、途中で足を止め振り返る。
「華!?何してんの!」
「私はここで妖魔を食い止める!私まで逃げたらここにいる妖魔達が学校中に広まって収拾がつかなくなる!倒し切らなくても先生達が来れば一網打尽に出来るから私は残る!」
華が渚にそう叫んでいると後ろから妖魔が近づき華に攻撃をする。
「華!後ろ!」
「!しまっt」
華が妖魔に殴られ、訓練室の壁に叩きつけられる。それを見た渚は華に駆け寄る。
「華!」
「渚……!何してんの!」
「親友残して逃げられるわけないでしょ!華が戦うならあたしも戦う!」
「何馬鹿なこと言ってんの!?この妖魔達はさっき戦った妖魔じゃなくて本物なのよ?」
「バカなのはどっちよ!?」
「っ!」
渚の怒鳴り声に華は一瞬怯む。
「華があたしを死なせたくないのと一緒であたしも華に死んでほしくないの……!でも華は人のためなら自分の命を投げ捨てでも助けるのも知ってる。ならせめて一緒に戦いたい!華が皆んなを守るならあたしはその華を守りたい!」
「渚……」
渚はそういうと真面目な表情からいつもの笑顔の表情で
「それに、勝つにも負けて死ぬにも一人じゃ寂しいでしょ?」
そう言った渚に華は諦めた表情をし、立ち上がる。
「……わかったわ。なら手伝って渚」
「りょーかい!それじゃ妖魔さん達、あたしは普段からうるさいんだけど戦う時はもっとうるさくなるから気をつけてね」
渚は妖魔に話しかけながら術式を展開させる。
「術式展開!【青色術式:荒海】!」
すると渚の周りが荒れた海に満たされる。
「行くよ渚!」
「うん!」
二人は合図すると一斉に大量の妖魔達に向かって行った。
Stay tuned……
季節は巡って3月の春。高校3年生達はもうすぐでこの学園を卒業し、【日本術式者協会】の仲間入りをするのである。そんな中、ここの学園の生徒達はある1人の少女に注目していた。
「あ!見て、あの人だよ!」
「彼女だろ?今年首席で卒業するっていう」
「ああ、聞いたところによると歴代で最高の成績らしい」
「成績が優秀ってだけじゃなくて顔も可愛いしな」
「いや、美しいの間違いだろ?彼女今年でいなくなるから告白も多かったらしいぞ」
「そうそう中には学校一のイケメンの岩田先輩にも告られたって」
「でもフラれたんだろ?」
「高嶺の花すぎるよな~【花姫】」
生徒達に【花姫】と言われているのはこの学園のトップの成績を収めた生徒、【冷美華】である。華が歩いていると、後ろから大声で走って来る生徒が1人。
「は~な~!」
「渚……廊下を走ったら先生に怒られるよ?」
「大丈夫だよ!いつものことだし」
そう言って華に満面の笑みを見せるのは、華に次ぐ成績で卒業する予定の【葵渚】である。
「今日の実習って訓練室だっけ?」
「うん。といってももう本格的な授業は無いから自習になると思うけど」
「自主練か~華はどうせ真面目にやるんでしょ?」
「うん。私はいつも通りに練習するよ」
「じゃあ私も付き合うよ。華の練習付き合ってたらいつの間にか成績上位まで行って最終的には学年成績2位まで行っちゃったからな~」
「何か不満でもあるの?」
「いや?私の親友は優秀だなぁって思って」
二人でそんな話をしながら自分たちの教室へ入っていく。華たちが教室に入るのと同時に授業の予冷が鳴り、教師が一人入ってくる。
「んじゃ級長、号令お願い」
級長の号令が終わると担任の池波が今回の授業について話す。
「とりあえず授業は終わりだから自習と言いたいとこだがこのクラスの中でちゃんと自習するのは冷美だけだろ」
「せんせー!あたしは?」
「葵……お前は冷美に引っ付いてたから成績良かっただけだろ」
「うわ、ひどい!あたしだって頑張ったのに……!」
「俺は知ってるぞ。お前が授業中寝てたことくらい」
「ギクッ!」
「冷美がいなかったら成績一番酷かったんじゃねぇか?」
「そんなことないもん!華がいなくたって成績よかったもん!」
池波と渚のやり取りを見てクラスが笑いに包まれ、収まったとこで本題を話し始める。
「まぁ冗談はここまでにして本題だ。再来週にはお前たちは卒業するわけだが、卒業していきなり協会に入れば分からない事だらけだろうから、今日は本格的な術式者のイロハを教える。といってもほぼ今までやってきたことのおさらいになるけどな。んじゃまずは【術式者】について、冷美答えてみろ」
「はい。術式者ははるか昔に世界中の【術】を合わせた【術式】を扱える人たちのことで【霊力】があります。霊力のない一般の人はそもそも術式を使えません。その術式者を集めた組織が【世界術式者協会】で各国にもその国の協会があります」
「よしOKだ。それじゃあ日本術式者協会について葵、言ってみろ」
「ふぇえ!?は、はい!えっと、日本術式者協会は日本で術式を扱える人たちが集まった組織で、自分の使える色ごとに配属先が決まっていて色はそれぞれ【赤組・橙組・黄組・緑組・青組・藍組・紫組】に分けられています」
「よし。ちなみにこのクラスは何色だ?」
「このクラスは青色術式のクラスです」
「よしいいだろう。油断してたことはチャラにしてやる」
「バレてた……」
「当たり前だろ教師何年やってると思ってんだ。……話が脱線したが、このクラスは青色術式の使える奴らが集まってるから卒業したら全員【青組】に配属される。そして、実績の良かった術式者たちが大晦日に各色で大会に出る。これを優勝すると、次の年から晴れて【虹孔雀】になる。虹孔雀っていうのは各色の【最強】達のことだ。虹孔雀になると協会の上層部の会議に参加したり、同じ色の術式者に指示を出せたりできる。まぁいわゆるリーダーだな。ちなみに青組は歴代最年少で【青色虹孔雀】になった【池田水希】ってやつだ。水希は確か丁度二十歳になったとき、虹孔雀になったから卒業して2年でなっている」
「せんせー!じゃあ全虹孔雀の中でも最年少は彼女なんですか?」
「いや、全虹孔雀だと歴代最年少は現【赤色虹孔雀】の【青宮】ってやつだな。青宮は卒業して1年で赤色虹孔雀になっているお前らも1年目から活躍すれば虹孔雀になれる権利はあるから頑張れよ」
「でもこの中だったら一番なりやすいのはやっぱり華だよね~当時の成績だったら今の池田さんじゃなくて華の方が上なわけだから華もいきなり2年目から虹孔雀になれるんじゃない?」
「それはないよ。その人だってまだ若いんだから更に強くなってるだろうし、学校の成績なんかただの数字に過ぎない。もしかしたら私じゃなくて他の人がなるかもしれないよ?」
「またご謙遜を~もしかしてそれは強者の余裕ってやつか?この生意気な~!」
渚はそう言いながら華にヘッドロックして頭をぐりぐりとする。
「ち、ちょっと渚!」
「おい劣等生が優等生にちょっかい掛けてんじゃねぇよ」
「あたしだって優等生です~」
そういったやり取りをしながら授業を進めていると授業終了の鐘が鳴り、場所は変わって訓練室。
「今日も自習にしようと思ったが、サボり始める奴もいるだろうからな実戦練習するぞ」
池波がそう言うとクラスがざわつき始める。すると渚が質問をする。
「せんせー実戦っていつもの二人一組じゃないんですか?」
「違うな。今回の相手は人間じゃねぇ。妖魔だ」
ざわついてたクラスがさらにざわつき始める。すると今度は華が質問をする。
「妖魔って……危なくないんですか?」
「この施設には今まで協会が倒してきた妖魔のデータを元に妖魔を作れるようになっている。カリキュラムが終わり、卒業間近の生徒はここで早めの訓練することになっている。危なくなっても我々教師が止めればいいだけだから安全性は大丈夫だ。とりあえずまず一体出すから冷美、倒してみろ」
華は「は、はい!」と答えると、訓練室の真ん中に立つ。すると奥から2mくらいの高さの妖魔が現れた。
「まずは下級妖魔から始める。俺の合図とともに動き出すからかまえとけ」
「はい!」
「いくぞ……始め!」
池波の合図とともに華は妖魔に向かって突っ込む。華が近づいたところを妖魔が攻撃するが、華は高く飛び上がり妖魔の後ろに着地すると同時にもう一度突っ込み、背後から妖魔を蹴っ飛ばす。飛ばされた妖魔は地面に野垂れ、起き上がれない。その隙を華は逃さず、術式を展開する。
「術式展開!【青色術式:流水花】」
華の周りを水の花達が囲う。
「出た!華の術式!」
「【流水弾】!」
華がそう叫ぶと、周りの花達が一斉に妖魔へ向かって飛んでいき命中する。すると妖魔は塵のように消えていった。
「そこまで!」
池波が合図をすると、生徒たちから拍手が上がる。
「すげ~流石【花姫】!」
「同い年とは思えないよな」
「さっすがあたしの親友!鼻が高いよ」
「何言ってんだ。次はお前の番だぞ、葵」
「えぇ!?」
「当たり前だろ、さっき散々優等生ぶってたんだから優等生っぽく倒してみろ」
渚は渋々訓練室の真ん中に立つが、いざ始まると妖魔を難なく倒した。
「う~やっぱ華みたいにかっこよく倒せなかった……」
「でもしっかり倒してるからいいじゃない?」
「ちがうの!あたしは華麗に倒したいのよ!」
「……葵さんも何気にすげぇよな」
「おう……確かに花姫ほど鮮やかさはなくてもしっかり倒せてるもんな。俺はあんなに早く倒せる気がしない……」
「それに可愛いし、誰でも接しやすくて、さらに巨乳!」
「あぁ!あのエロさであのコミュ力は誰でも勘違いするよな!」
男子たちの話は当然、華や渚の女子たちにもしっかり聞こえていて彼女らは犯罪者を見るような目で引いていた。
「男子って……」
「本当にバカだよね……」
「ちょっと男子たちそういう話を大声でするな!この変態ども!」
「はぁ!?彼女のいないこっちとしてはこういう話をしないとやってられないんだよ!」
「そうだそうだ!」
男子と女子達が言い合っている中、華は訓練室の入口の方を見つめていた。
「華?どうしたの?」
「誰かが今こっちを見ていた気がして……」
「ふ~ん……気のせいじゃない?」
「うん……そうだね!」
華と渚は元の場所に戻ると池波が男子と女子の言い争いを制止する。
「はいはい。お前らそこまでにしとけ。男子どもはこれ終わったらグラウンドの外周10周な」
この言葉に男子たちから反感の声が、女子からは歓声が上がる。
実戦の授業が終わり、華たちが更衣室へ戻ろうとすると、床から術式が次々と現れ先程の妖魔達が現れた。
「え……なにこれどういうこと?」
渚がそうつぶやくと妖魔は目の前にいる、女子生徒に向かって攻撃を仕掛けた。
「え……?」
彼女は訳が分からずその場で立ち尽くしていたがすぐにその場が土煙で覆われる。
「レ……レイ……カ?」
「が……殺された……?」
しかしレイカと呼ばれた生徒は間一髪、華によって助け出され攻撃した妖魔の後ろにいた。すると華はすぐにほかの生徒に向かって叫ぶ。
「皆この場から離れて急いで先生たちを呼んで!こいつらはさっき私たちが戦った訓練用の妖魔じゃない!本物の妖魔だ!」
その言葉で我に返った生徒たちは悲鳴を上げながら逃げていく。渚も訓練室から出ようとしたが、途中で足を止め振り返る。
「華!?何してんの!」
「私はここで妖魔を食い止める!私まで逃げたらここにいる妖魔達が学校中に広まって収拾がつかなくなる!倒し切らなくても先生達が来れば一網打尽に出来るから私は残る!」
華が渚にそう叫んでいると後ろから妖魔が近づき華に攻撃をする。
「華!後ろ!」
「!しまっt」
華が妖魔に殴られ、訓練室の壁に叩きつけられる。それを見た渚は華に駆け寄る。
「華!」
「渚……!何してんの!」
「親友残して逃げられるわけないでしょ!華が戦うならあたしも戦う!」
「何馬鹿なこと言ってんの!?この妖魔達はさっき戦った妖魔じゃなくて本物なのよ?」
「バカなのはどっちよ!?」
「っ!」
渚の怒鳴り声に華は一瞬怯む。
「華があたしを死なせたくないのと一緒であたしも華に死んでほしくないの……!でも華は人のためなら自分の命を投げ捨てでも助けるのも知ってる。ならせめて一緒に戦いたい!華が皆んなを守るならあたしはその華を守りたい!」
「渚……」
渚はそういうと真面目な表情からいつもの笑顔の表情で
「それに、勝つにも負けて死ぬにも一人じゃ寂しいでしょ?」
そう言った渚に華は諦めた表情をし、立ち上がる。
「……わかったわ。なら手伝って渚」
「りょーかい!それじゃ妖魔さん達、あたしは普段からうるさいんだけど戦う時はもっとうるさくなるから気をつけてね」
渚は妖魔に話しかけながら術式を展開させる。
「術式展開!【青色術式:荒海】!」
すると渚の周りが荒れた海に満たされる。
「行くよ渚!」
「うん!」
二人は合図すると一斉に大量の妖魔達に向かって行った。
Stay tuned……
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