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【第一部】
2 side 金条 華
しおりを挟む今回も車を安全運転してくれる黒川さん。
今日はスーツじゃなくて黒の七分袖のシャツと黒のスキニーだ。
やっぱり黒が良くお似合いです。
なのに俺は黒川さんがシックで大人っぽいのと対称的に、普通の白シャツにクロップドパンツというなんとも子供っぽい格好で少し恥ずかしくなる。
そして俺の膝の上にはずっしり重いコンビニ袋。
さっき『食え』という一言と共に渡されたものだ。
ガサッと音を立てながら中身を見ると、パンやおにぎり、ジュースお茶お菓子....。
「あの、黒川さんは食べないんですか?」
「あ?あぁ、朝はあんま食べないかな。それお前の。」
一瞬だけこちらを向き答える黒川さん。
え、....ならこれ俺一人分?えげつなくね?あ、何が好きかとか分からないからこんなに?俺のためにだよな?見た目のわりに意外と優しいんだな、と袋の中身を眺めて少し感心。
「あんま食べないって事は食べる時もあるって事ですよね。はい、どうぞ」
運転してもらってるのに俺一人だけ食べるのは申し訳ないので、おにぎりの包みを外し黒川さんに差し出す
「片手で運転できねーよ」
「あっ、そうですねごめんなさい邪魔でしたよね…」
まだ午前中とは言え今日は日曜日。車も結構多い。
朝はあんま食べないって言ってるのに迷惑な事しちゃったな。
ちょっと恥ずかしい、と右手に持ったおにぎりを自分で食べようとしたその時
「.....んー、だから食わせて」
「え、」
横から伸びてきた左手に俺の右手首を掴まれる。
その手に持ったおにぎりは黒川さんの口に.....
「ん、酸っぱ!梅?」
「え、え?梅、はい」
もぐもぐと口を動かしながら眉を顰め、左手で俺の右手首を掴んだまま器用に片手で運転している。
大きくブレることなく先程と変わらない安全運転。
「....片手で運転できるじゃん」
「バレた、残りも食わせて」
「なんか腹立つから嫌です。俺はサンドイッチ食べます」
口の端を上げ意地悪に笑う黒川さん。
おにぎりの残りを唇に押し付けるとぱくんと口に吸い込まれた。
「結局食わせてくれんじゃん」
「うるさいです。早くサンドイッチ食べたかっただけだし」
「ははっ、それ全部やるよ」
「アリガトウゴザイマス」
今度は意地悪そうな顔じゃない顔で笑った。
そしてまたあの甘い香りがふわふわと漂ってくる。
なんか恋人同士っぽいやり取りにムズムズしながらたまごサンドを頬張った。
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