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【第二部】
3
しおりを挟む「で、落ち込んでるわけ。もう帰りに買えば?」
「……。」
バイトの休憩中。
作ったのを見せろとせがまれ、今朝の流れを琉唯くんに説明した。
「…はぁ…」
「だっ、だって仕方ない…温めたら溶けると思うに決まってるし…」
「ググるくらいしろよ」
呆れてため息をつかれる事3回目。
休憩室のドアが開いて早野さんが入ってきた。
「なになに?喧嘩ですか?」
「いや、喧嘩じゃないんですけどこいつ…」
早野さんはうんうんと頷きながら、琉唯くんの隣の椅子に座る。
琉唯くんはすぐに説明しだした。
途中、ぐふっと笑いを堪えながら俺を見る早野さん。
恥ずかしすぎる。
なにも全部話さなくていいだろ。早野さんは料理得意そうだから、俺の気持ちなんか絶対分からない。
てか、何回も言うけど長い時間温めた方が確実に溶けると思うに決まってるし!!!
「あ、そうだ金条くん。ここキッチンあるから簡単なカップケーキでも作ったらどうですか?」
「えっ!」
ニコニコ優しそうな笑顔で俺に提案してくれる早野さんが天使に見える。
3時過ぎくらいから作り始めたら、黒川さんが迎えに来てくれる時間に、ちょうど出来上がるのではないかという話だ。
カップケーキかぁ、今朝作ったのでさえ失敗したのに大丈夫かな?
でも作ってみない事には始まらない。
「僕と店長と佐伯くんもいますし、もう少し頑張ってみませんか?」
「…やります。頑張ります!!」
数時間後。
丸焦げにならないよな?と一瞬心配になったのは杞憂だった。
「完成ですね!」
「完璧じゃん」
「…ふふ…ありがとうございました」
黒川さんが迎えに来てくれるまであと5分。
俺の手の中には、シンプルにラッピングされたチョコ味のカップケーキがある。
「喜んでくれると良いですね。金条くん、表で待ってましょう」
「はい」
カップケーキが潰れないよう、慎重にバッグの中に入れる。
琉唯くんと表に出ると、既に黒川さんが車を店の前につけていた。
「お疲れ」
「黒川さんもお疲れ様です」
頭をポンポンした後、黒川さんが運転席にまわる。
俺と琉唯くんも後部座席に乗り込んだ。
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