ガゼル

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バトルロワイヤル

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参加者は生死が掛かって居るだけあって
100人しか居らず
場所は草原、
そして、これは出来レースだ
なぜこんな事をしたのか分からない

彼女が何を思ってこんなことをしたのかなんて知らない。

「それでも、僕は彼女を愛している」

妄信的に

「彼女の愛のみが欲しい」

彼女が

これが望みと言うなら僕は

願いを叶えようとした99人を殺し尽くす

彼女からの僕の恋人からの愛を得るために


それはどこにでもいる主婦だった。

当たり前にいる主婦だった。

夫と子供に事故で先立たれた不幸な主婦だった。


異能は刃物の召喚、望む刃物を望むだけ召喚し操る

願いは息子と夫との日常を取り返すために
草原に居る目につく人々を
無差別に殺す。
主婦は自身を囲うように身の丈の透明な剣を周囲を守って居た。
何が起きてもいいように

自身の願いのために

涙を流し

人殺しという精神の負荷に吐きながら

それでも目につくものを

刺し殺し 切り殺す

ひたすらに

目を背けずに
目を背ければ自分が殺されるから

それは、異常な光景だが、それだけ、主婦があの日の日常を望んでいるのだろう。

しかし、これは主催者が仕組んだ出来レースだ。


彼女は目にしてしまった_絶望を。



僕はバトルロワイヤルですぐに殺された
無数の剣を操り、周囲の人々を

涙を流し
吐きながら
声にならない叫びを上げながら
それでも的確に
目に映る人々を
目を逸らさずに
確実に殺す
彼女に

それでも僕は起き上がる。
これは出来レースだ。

僕に与えられた異能は復活
何度死のうと生き返る
バトルロワイヤルに置いてはチートとも言えるものだ。
そして、もう一つ

それは、呪い
彼女がなぜこんなものを授けたのかは知らない。
彼女が青い血を流し、
世界の誰もが彼女を狙い
攫われる直前に
この、バトルロワイヤルが始まる直前に
僕に授けた祝福

世界を殺すという殺意

主婦は見てしまった

それを、

自身に近づく少年

殺しても生き返る。

五体をバラしても

心臓を貫こうとも

頭を潰しても

死なない少年を

膨大な殺意を持つそれを

少年に授けられた殺意

世界を殺すという殺意は呪いである

大地に殺意を向ければ触れた大地は枯れ果て

生物に向ければ触れた生物は死ぬ

だが

バトルロワイヤルでは祝福と言える

少年が近づき触れるだけで敵は死ぬのだから

だから、少年は殺されながら主婦に触れ殺した。

これが彼女に対しての愛の証明であり

愛を得るための試練なのだから

残りも

殺し尽くす





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