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◆イケメン御曹司とドキドキ同居
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キラキラとまぶしい太陽が照り付ける八月。
ついに、未来君が我が家にやって来た。
「はじめまして、大門寺未来です。これからお世話になります」
未来君を目にした瞬間に、幼少時のキャンプの記憶が脳裏に一気に押し寄せてくる。
「……うそ。ミィちゃん?」
このキャンプで初めて顔を合わせた社長さん夫婦の子・ミィちゃんと、私はすぐに仲良くなった。
同い年のミィちゃんは色素の薄い白い肌に、黒茶の瞳をした絶世の美少女だった。瞳と同色の髪はツヤツヤで天使の輪っかができていた。私よりちょっと背が低くて、うんと華奢な体つきをした彼女は『リオちゃん、リオちゃん』といつも不安そうに私の後ろをついて回っていた。
危なっかしい足取りを見兼ねて私が手を引くと、ミィちゃんはいつも満面の笑み浮かべたものだった。
そのミィちゃんの面影を色濃く残す美少年が「大門寺未来」と名乗り、我が家の玄関先で太陽よりまぶしい笑顔を浮かべている。
私の脳内は、なんで、どうしてのオンパレードになっていた。
「やぁ! 久しぶりだね、里桜ちゃん」
私の呟きを聞き付けて、ミィちゃんが……いや。未来君が弾けるような笑みを向ける。
「うそでしょう!?」
「え?」
「だって、ミィちゃんって女の子じゃなかったの!?」
突拍子もなく叫ぶ私に、未来君は元より、パパとママも揃ってキョトンとした顔をした。
「そっか、里桜ちゃんは僕のことを女の子だと思ってたんだね。昔から親戚の人たちにも『女の子みたい』ってずっと言われていたんだ。だから里桜ちゃんが誤解していたのも無理はないよ」
最初に口を開いたのは未来君で、彼は私の勘違いをさりげなくフォローしてくれた。だけど、その表情は心なしか沈んで見えた。
「ご、ごめん! 私、キャンプで一緒に遊んだミィちゃんと未来君のことが上手く繋がってなくて……。無神経なことを言って、ごめんなさい」
「はははっ、構わないよ。たしかに昔は『女の子みたい』って言われるのが嫌だったんだけど、そのおかげで男らしくなろうって体を鍛えたりとか、色んな経験を積むきっかけにもなったんだ。それで、どう? 今はもう、女の子には見えないだろう?」
私が慌てて謝ると、未来君は白い歯をこぼし、悪戯っぽく笑ってみせた。
「もちろん、もう女の子になんてみえないよ。それどころか、すごく……っ、ううん! とにかく、見違えちゃってビックリした!」
思わず口から出そうになった「かっこいい」の一語を、ハッとしてのみ込んだ。
……そう。未来君は、すごくかっこよくなった。それに比べて私は……。
チクリとした胸の痛みを覚えながら俯いたら、前で握っていた両手が目に飛び込んだ。緩く組んだ指は決して短くはないはずだけれど、その肉付きのよさで相対的に短く、不器用そうに見えた。さらに手の甲はこんもりとのったお肉で血管の一本も見えず、ふくふくした太い腕には手首の括れがなかった。
恐いもの見たさで視線を横に立て掛けられた姿見に向ければ、ドッシリと重そうな体をした冴えない私が映っていた。体の厚みは、スラリとした体形をした未来君のゆうに二倍はありそうだった。
私が認識した現状に打ちのめされていると、未来君が向かいからスッと右手を差し出す。
「よかった。それじゃ里桜ちゃん、これからよろしく」
……あ、握手?
「う、うん。よろしくね」
彼の意図に気づき、私も咄嗟に右手を伸ばした。けれど、気恥ずかしさから直前で重ねるのをちゅうちょした。すると、未来君が私の手を取って、力強く握り込む。
私の手をすっぽりと包み込んでもまだあまる大きさと逞しさにドキリとした。同時に、お肉がむきゅっと沈み込む感触に、泣きたくなった。
どんよりと重たい気分の私を余所に、未来君は握手を解くとパパとママに向き直った。
「細井さんと奥さんには、父がご無理を言ってすみませんでした。こうして居候を了承していただいて、本当にありがとうございます」
「いやあね、未来君。そんなに畏まらなくていいのよ。それに未来君のお父様たちとは昔からの付き合いなんだから、ちっとも気にしなくていいのよ」
「いえ、父の強引さは僕も常々知るところです。自分のことは、できるだけやるようにします。それから、もし一緒に生活していく中で気になることがあれば言ってください。直していきますので」
「まぁ! 未来君はしっかりしてるのね。うちの里桜は、身の回りのことなんててんで無頓着よ。未来君の爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだわ」
ママはすっかり未来君を気に入ったようで、弾む声音で告げる。とはいえ、私が『身の回りに無頓着』などという情報は、明らかに余計だが。
「だったら同じですね、僕だって家では母に任せきりです。身の回りのことは、サマースクールの寮生活でやらざるを得ない状況になって、それで身に着いただけですから」
「あら。だったら、これからはここを我が家だと思って肩の力を抜いて過ごしてちょうだい」
「ありがとうございます」
「さぁ。ママも未来君も、立ち話もなんだ。続きは居間でお茶でも飲みながら話そう」
パパのひと声で皆はリビングに場所を移し、にこやかに会話は進んだ。ところが、盛り上がる皆を余所に、私の頭の中は色々な感情が忙しなく入り乱れていた。
お茶請けに出されたフレッシュフルーツとクリームがたっぷりの大好物のタルトにも、なぜか手を付ける気にはならなかった。
「……ん? どうした里桜ちゃん、さっきから黙り込んで。あれ、タルトも食べてないのかい?」
気付いたパパが、問いかけた。
「なんだか、食欲なくて」
「え!? 食欲がないだなんて、どこか具合が悪いのかい!? どれ、熱は?」
「どこか悪いなら早めにお医者様に診ていただいた方がいいわ。ええっと、保険証はたしか財布に……」
私の答えにパパは体温計を取りに、ママは保険証を用意しに、それぞれ席を立った。
「平気だよ! ……ちょっと、疲れちゃっただけ。少し部屋で休めば治っちゃうから」
私は慌ててふたりに待ったをかけた。
「里桜ちゃん、大丈夫?」
「うん、ごめんね未来君。学校のこととか、また改めて説明するね!」
心配そうに見つめる未来君に言い残し、逃げるようにリビングを出て二階の自室へと階段を駆け上った。しかし最後まで上りきる前に息が上がり、足が重くなってしまった。
……だめだ。学校が夏休みに入ってから、前より体が重くなってる。
自己嫌悪と共に手擦りを掴み、残る数段をのっしのっしと上った。
部屋に入ると、本棚からお気に入りの漫画雑誌を取って窓際のベッドに直行し、ゴロンと寝転がった。
漫画の中には、キラキラとした学園生活がいっぱいに詰まっている。学園を舞台に、ヒロインの女の子たちが同級生や先輩、時には先生たちと繰り広げる恋模様は、私の心を弾ませる。だけどページを捲っても捲ってもヒロインは皆、吹けば飛びそうに華奢で可愛い子ばかりだ。
「……そりゃそうだ。巨漢のヒロインじゃ、ヒーローが逃げ出しちゃうよね」
なんとなく今日は大好きな漫画にも集中できず、窓の外に広がる晴天をレースのカーテン越しにあおぎ見た。
――コン、コン。
「はーい。どうぞ」
廊下から扉がノックされ、背中を向けて寝転んだまま気のない返事をする。
……もう、ママったら『平気』って言ったのに。ママはあれで、実はパパよりも心配性だ。きっと飲み物か氷枕でも運んできてくれたのだろう。
――キィイイイ。
「お邪魔します」
え!? 扉を開く音に続いて上がった声にギョッとして、跳ねるように体を起こして振り返る。
「み、未来君!」
……うそ。だらしなく寝転がっているのをよりにもよって未来君に見られた。
扉から顔を覗かせる未来君を目にし、自己嫌悪で消えたくなった。彼は扉を閉め切らず、わざと隙間を残したままにして、ゆっくりと部屋の奥へと足を進める。
どうして、ろくすっぽ確認しないで『どうぞ』だなんて言っちゃったんだろう。
きっと、未来君は緩みきった私の生活態度に呆れちゃったよね。……いや、この緩みきった体を見ていたら、それも今さらかもしれないけれど。
「ねぇ里桜ちゃん、もしかして僕との同居は嫌だった?」
ひとり、ぐるぐると考えを巡らせていると、未来君がベッドの前で立ち止まり重く口を開いた。
「……え?」
私は咄嗟に言葉の意味が理解できず、首を傾げた。それというのも、こういった時に同級生の男の子たちが掛けてくる言葉は表現に差こそあれ『だからデブなんだよ』といった内容と相場は決まっており、未来君からもこれに近い台詞を投げられると思い身構えていたのだ。
ところが未来君の言葉は想像と違い、私はそのことに戸惑った。
「もし、同居を両親から説得されて断れなかったのなら、僕は親戚の家に行く。先方の都合があるから、数日は我慢してもらわなきゃならないけど」
私が言葉を発せられずにいたら、未来君はこんなふうに口にした。
「違うの! 未来君との同居が嫌とかじゃないの!」
「本当?」
慌てて否定すると、未来君は私の真意を探ろうとでもいうようにジッと見つめてくる。
「うん! 本当だよ!」
ママに押し切られた感があるのは事実だが、だからと言って未来君との同居が嫌かと問われればそんなことはない。
「それなら、どうして里桜ちゃんはそんなに元気がないの?」
「それは……」
この質問には、思わず言い淀む。胸にくすぶる劣等感を打ち明けたくなんてないけれど、未来君は言わないと納得してくれなそうだった。
「……それは、未来君があんまり素敵になっちゃって」
「え?」
「それに比べて私ときたら、……みっともないでしょう?」
「ちょっと待って。みっともないって、一体なんのことを言ってるの?」
未来君は私がここまで言っても、なぜか分ってくれない。
「ほら。だって私、この体形だから。八年振りに再会した幼馴染がこれじゃ、がっかりしちゃったよね」
どうして分ってくれないのかと、若干、自棄になって打ち明けた。
私の物言いが余程に予想外だったのか、未来君はキョトンとした様子だった。
「もしかして、里桜ちゃんは体形のことを気にしているの?」
もしかしなくとも、その通りだ。この段になると、鈍すぎる未来君に少しイライラしつつ頷くことで応えた。
「そっか……」
未来君はなにを考えているのか、顎に手をあてて黙り込んでしまった。私は沈黙が居た堪れず、自分の部屋なのに逃げ出したい思いだった。
「ねぇ里桜ちゃん。この機会にダイエットをしない?」
「……」
今度は、私が黙り込む番だった。『ダイエット』をした方がいい……ううん、しなきゃダメなことくらい自分でも分かってる。だけど、意思の弱い私は食べるのを我慢することも、運動も、どれも三日と続いたことがなかった。
ここで安易にダイエットをすると答えても、たぶん私は未来君の期待を裏切ってしまうだろう。
「里桜ちゃんが体形のことで自分に自信が持てないでいるのなら、絶対に痩せた方がいい」
「やっぱり、未来君も細い女の子が好き?」
自信うんぬんについてはよく分からなかったけれど、未来君に「痩せた方がいい」と言い切られて、思わず尋ねていた。
私はいまさら、なにを分かり切ったことを聞いてるのか……。言った後で後悔したが、一度口にした言葉は戻ってはくれなかった。
「いいや。白状するとね、僕がサマースクールで滞在したアメリカの学生寮で憧れていたのは、砲丸投げの米国女子代表選手だった先生なんだ。彼女は胴回りや腕なんて僕の三倍はあったから、決して細身ではなかったよ。だけど健康的で、朗らかな人だった。それに彼女は、あらゆるファッションを自信満々に楽しんでいたよ」
「……未来君の三倍?」
「そうさ。人種の違いもあるのかもしれないけど、あっちは日本と違って体形や髪型なんか実に多種多様なんだ。だから『美しさ』の基準だって、ひとつじゃない。事実、その先生に憧れていた男子生徒は少なくなかった」
そんな規格外の体格の女性に未来君が憧れていたというのは、にわかには信じ難かった。
「それって、太っていてもいいってこと?」
「ああ、太っていてもいいんだ。もちろん、健康を維持できているのが大前提でね」
「なんだか嘘みたい。私の同級生の男の子たちは皆、細くて華奢な女の子のことが好きだもの」
「はははっ。それはどうかな。里桜ちゃんが知らないだけで、皆が皆そうではないと思うけどね」
ここで未来君はスッと表情を引きしめた。
「だけどね、太っていることで心が健康でないのなら、それはやっぱりうまくないと思うんだ」
「え?」
「僕はサマースクールでの体験もあって、必ずしも痩せていることが正解とは思わない。だけど、体形のことで里桜ちゃんが卑屈に感じてしまったり、自信を持てずにいるのだとしたら、痩せた方がいい。痩せたら体だけじゃない、心が軽くなる。里桜ちゃんの人生が、きっと明るく拓けるよ」
予想外の言葉に、パチパチと目をしばたたく。
これまでダイエットは、色んな人から耳にタコができるくらい勧められてきた。だけど、こんなふうに勧められたのは初めてだった。
なにより、これまではずっと痩せていることが正解で、太っていることは不正解だと思っていた。未来君の言葉は、そんな既成概念を打ち砕く、影響力を持っていた。
……もし、私が痩せたら、その先にどんな明るい未来が待っているんだろう。
その未来を、見てみたいと思った。
「私、ダイエットをしてみようかな」
長い間を置いて重く告げたら、未来君は弾けるような笑みを浮かべ力強く頷く。
「いいね! 僕も協力するよ。まずは体力をつけて、健康的な体形を目指そう!」
私もそれに、コクンと首を縦に振り――。
「……ぅううっ。だけど、本音を言えばやっぱりお菓子が食べたいよ」
ふいにこぼれた本音に、未来君はプッと吹き出した。
「はははっ。正直だね。だったら里桜ちゃん、お菓子を食べながらダイエットしない?」
「そんなこと、できるの?」
「もちろん、これまで通りに市販品のお菓子を好きなだけってわけにはいかないけどね。僕がヘルシーな素材でできた低カロリーのお菓子を作るよ」
「未来君が作るの!?」
まさかの答えに、私は目を丸くした。
「里桜ちゃんにだけ教えると、昔からお菓子作りや料理が趣味なんだ。昔、男友だちに『お菓子作りなんて女みたいだ』って笑われてからは、あえて人に言うことはしなくなったけど、今も休みの日にはよく作ってる」
「えー、男も女もないよ。すごく素敵な趣味だよ!」
「ありがとう」
私が即答すれば、未来君は少し驚いたように私を見てクシャリと笑った。
「最近は、この趣味を将来に生かしたいなって考えるようになっていたんだ。それで、父さんの会社を継いだらやってみたいことがある」
「やってみたいこと?」
「会社が展開している事業のひとつに痩身サロンがある。そこが今、すごく人気で、業績も好調なんだ。だけどそこは徹底した食事制限の指導をしていて、結果が得やすい反面、サロン退会後にリバウンドしてしまうケースが結構あるみたいなんだ」
……私には、よく分かる。一食節制すれば、反動で次の食事には倍以上も食べてしまう。
「気持ち、分かるなぁ。一定期間、食べたいのを我慢して厳しく節制していたら、絶対に反動が出ちゃうよね」
「そういうこと。だから僕は継続的な運動習慣を身に着けて、後は適度にガス抜きしながら健康的な体形を目指したいんだ。ちなみに、その『ガス抜き』が僕考案のヘルシーだけど、ちゃんと満足できるお菓子ってわけ」
私は将来のことなんて、真面目に考えたこともなかった。
「もちろん、将来サロンで提供する時にはもっと内容を精査しないとダメだろうし、お菓子だけじゃなく食事、運動、生活習慣、全てをサポートする体制を作ろうと思ってるけどね」
「すごいなぁ」
目をキラキラさせて将来の展望を語る未来君がまぶしかった。そんな彼を見ていると、無性にうずうずした。
「未来君、私のダイエットをサポートしてください」
私も、新しい自分に一歩を踏み出してみたくなった。そしてその最初の一歩は、未来君と一緒に踏み出したかった。
「もちろん、協力させてもらうよ」
「ううん。協力じゃなくて、さっき言ってた『食事、運動、生活習慣、全てをサポート』ってやつをやって欲しいの。私で、未来君の考案するプランを試してみない!? きっと、将来の予行練習になると思うの!」
「……本気で言っているの?」
「もちろんだよ!」
未来君は一度キュッと唇を引き結ぶと、少しの間を置いて開いた。
「よし、分かった。僕が里桜ちゃんを、健康的に痩せさせてみせる! これから一緒に、頑張ろう!」
「うん! よろしくお願いします!」
こうして私は未来君との同居と同時に、ダイエットを始めることになった。
ついに、未来君が我が家にやって来た。
「はじめまして、大門寺未来です。これからお世話になります」
未来君を目にした瞬間に、幼少時のキャンプの記憶が脳裏に一気に押し寄せてくる。
「……うそ。ミィちゃん?」
このキャンプで初めて顔を合わせた社長さん夫婦の子・ミィちゃんと、私はすぐに仲良くなった。
同い年のミィちゃんは色素の薄い白い肌に、黒茶の瞳をした絶世の美少女だった。瞳と同色の髪はツヤツヤで天使の輪っかができていた。私よりちょっと背が低くて、うんと華奢な体つきをした彼女は『リオちゃん、リオちゃん』といつも不安そうに私の後ろをついて回っていた。
危なっかしい足取りを見兼ねて私が手を引くと、ミィちゃんはいつも満面の笑み浮かべたものだった。
そのミィちゃんの面影を色濃く残す美少年が「大門寺未来」と名乗り、我が家の玄関先で太陽よりまぶしい笑顔を浮かべている。
私の脳内は、なんで、どうしてのオンパレードになっていた。
「やぁ! 久しぶりだね、里桜ちゃん」
私の呟きを聞き付けて、ミィちゃんが……いや。未来君が弾けるような笑みを向ける。
「うそでしょう!?」
「え?」
「だって、ミィちゃんって女の子じゃなかったの!?」
突拍子もなく叫ぶ私に、未来君は元より、パパとママも揃ってキョトンとした顔をした。
「そっか、里桜ちゃんは僕のことを女の子だと思ってたんだね。昔から親戚の人たちにも『女の子みたい』ってずっと言われていたんだ。だから里桜ちゃんが誤解していたのも無理はないよ」
最初に口を開いたのは未来君で、彼は私の勘違いをさりげなくフォローしてくれた。だけど、その表情は心なしか沈んで見えた。
「ご、ごめん! 私、キャンプで一緒に遊んだミィちゃんと未来君のことが上手く繋がってなくて……。無神経なことを言って、ごめんなさい」
「はははっ、構わないよ。たしかに昔は『女の子みたい』って言われるのが嫌だったんだけど、そのおかげで男らしくなろうって体を鍛えたりとか、色んな経験を積むきっかけにもなったんだ。それで、どう? 今はもう、女の子には見えないだろう?」
私が慌てて謝ると、未来君は白い歯をこぼし、悪戯っぽく笑ってみせた。
「もちろん、もう女の子になんてみえないよ。それどころか、すごく……っ、ううん! とにかく、見違えちゃってビックリした!」
思わず口から出そうになった「かっこいい」の一語を、ハッとしてのみ込んだ。
……そう。未来君は、すごくかっこよくなった。それに比べて私は……。
チクリとした胸の痛みを覚えながら俯いたら、前で握っていた両手が目に飛び込んだ。緩く組んだ指は決して短くはないはずだけれど、その肉付きのよさで相対的に短く、不器用そうに見えた。さらに手の甲はこんもりとのったお肉で血管の一本も見えず、ふくふくした太い腕には手首の括れがなかった。
恐いもの見たさで視線を横に立て掛けられた姿見に向ければ、ドッシリと重そうな体をした冴えない私が映っていた。体の厚みは、スラリとした体形をした未来君のゆうに二倍はありそうだった。
私が認識した現状に打ちのめされていると、未来君が向かいからスッと右手を差し出す。
「よかった。それじゃ里桜ちゃん、これからよろしく」
……あ、握手?
「う、うん。よろしくね」
彼の意図に気づき、私も咄嗟に右手を伸ばした。けれど、気恥ずかしさから直前で重ねるのをちゅうちょした。すると、未来君が私の手を取って、力強く握り込む。
私の手をすっぽりと包み込んでもまだあまる大きさと逞しさにドキリとした。同時に、お肉がむきゅっと沈み込む感触に、泣きたくなった。
どんよりと重たい気分の私を余所に、未来君は握手を解くとパパとママに向き直った。
「細井さんと奥さんには、父がご無理を言ってすみませんでした。こうして居候を了承していただいて、本当にありがとうございます」
「いやあね、未来君。そんなに畏まらなくていいのよ。それに未来君のお父様たちとは昔からの付き合いなんだから、ちっとも気にしなくていいのよ」
「いえ、父の強引さは僕も常々知るところです。自分のことは、できるだけやるようにします。それから、もし一緒に生活していく中で気になることがあれば言ってください。直していきますので」
「まぁ! 未来君はしっかりしてるのね。うちの里桜は、身の回りのことなんててんで無頓着よ。未来君の爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだわ」
ママはすっかり未来君を気に入ったようで、弾む声音で告げる。とはいえ、私が『身の回りに無頓着』などという情報は、明らかに余計だが。
「だったら同じですね、僕だって家では母に任せきりです。身の回りのことは、サマースクールの寮生活でやらざるを得ない状況になって、それで身に着いただけですから」
「あら。だったら、これからはここを我が家だと思って肩の力を抜いて過ごしてちょうだい」
「ありがとうございます」
「さぁ。ママも未来君も、立ち話もなんだ。続きは居間でお茶でも飲みながら話そう」
パパのひと声で皆はリビングに場所を移し、にこやかに会話は進んだ。ところが、盛り上がる皆を余所に、私の頭の中は色々な感情が忙しなく入り乱れていた。
お茶請けに出されたフレッシュフルーツとクリームがたっぷりの大好物のタルトにも、なぜか手を付ける気にはならなかった。
「……ん? どうした里桜ちゃん、さっきから黙り込んで。あれ、タルトも食べてないのかい?」
気付いたパパが、問いかけた。
「なんだか、食欲なくて」
「え!? 食欲がないだなんて、どこか具合が悪いのかい!? どれ、熱は?」
「どこか悪いなら早めにお医者様に診ていただいた方がいいわ。ええっと、保険証はたしか財布に……」
私の答えにパパは体温計を取りに、ママは保険証を用意しに、それぞれ席を立った。
「平気だよ! ……ちょっと、疲れちゃっただけ。少し部屋で休めば治っちゃうから」
私は慌ててふたりに待ったをかけた。
「里桜ちゃん、大丈夫?」
「うん、ごめんね未来君。学校のこととか、また改めて説明するね!」
心配そうに見つめる未来君に言い残し、逃げるようにリビングを出て二階の自室へと階段を駆け上った。しかし最後まで上りきる前に息が上がり、足が重くなってしまった。
……だめだ。学校が夏休みに入ってから、前より体が重くなってる。
自己嫌悪と共に手擦りを掴み、残る数段をのっしのっしと上った。
部屋に入ると、本棚からお気に入りの漫画雑誌を取って窓際のベッドに直行し、ゴロンと寝転がった。
漫画の中には、キラキラとした学園生活がいっぱいに詰まっている。学園を舞台に、ヒロインの女の子たちが同級生や先輩、時には先生たちと繰り広げる恋模様は、私の心を弾ませる。だけどページを捲っても捲ってもヒロインは皆、吹けば飛びそうに華奢で可愛い子ばかりだ。
「……そりゃそうだ。巨漢のヒロインじゃ、ヒーローが逃げ出しちゃうよね」
なんとなく今日は大好きな漫画にも集中できず、窓の外に広がる晴天をレースのカーテン越しにあおぎ見た。
――コン、コン。
「はーい。どうぞ」
廊下から扉がノックされ、背中を向けて寝転んだまま気のない返事をする。
……もう、ママったら『平気』って言ったのに。ママはあれで、実はパパよりも心配性だ。きっと飲み物か氷枕でも運んできてくれたのだろう。
――キィイイイ。
「お邪魔します」
え!? 扉を開く音に続いて上がった声にギョッとして、跳ねるように体を起こして振り返る。
「み、未来君!」
……うそ。だらしなく寝転がっているのをよりにもよって未来君に見られた。
扉から顔を覗かせる未来君を目にし、自己嫌悪で消えたくなった。彼は扉を閉め切らず、わざと隙間を残したままにして、ゆっくりと部屋の奥へと足を進める。
どうして、ろくすっぽ確認しないで『どうぞ』だなんて言っちゃったんだろう。
きっと、未来君は緩みきった私の生活態度に呆れちゃったよね。……いや、この緩みきった体を見ていたら、それも今さらかもしれないけれど。
「ねぇ里桜ちゃん、もしかして僕との同居は嫌だった?」
ひとり、ぐるぐると考えを巡らせていると、未来君がベッドの前で立ち止まり重く口を開いた。
「……え?」
私は咄嗟に言葉の意味が理解できず、首を傾げた。それというのも、こういった時に同級生の男の子たちが掛けてくる言葉は表現に差こそあれ『だからデブなんだよ』といった内容と相場は決まっており、未来君からもこれに近い台詞を投げられると思い身構えていたのだ。
ところが未来君の言葉は想像と違い、私はそのことに戸惑った。
「もし、同居を両親から説得されて断れなかったのなら、僕は親戚の家に行く。先方の都合があるから、数日は我慢してもらわなきゃならないけど」
私が言葉を発せられずにいたら、未来君はこんなふうに口にした。
「違うの! 未来君との同居が嫌とかじゃないの!」
「本当?」
慌てて否定すると、未来君は私の真意を探ろうとでもいうようにジッと見つめてくる。
「うん! 本当だよ!」
ママに押し切られた感があるのは事実だが、だからと言って未来君との同居が嫌かと問われればそんなことはない。
「それなら、どうして里桜ちゃんはそんなに元気がないの?」
「それは……」
この質問には、思わず言い淀む。胸にくすぶる劣等感を打ち明けたくなんてないけれど、未来君は言わないと納得してくれなそうだった。
「……それは、未来君があんまり素敵になっちゃって」
「え?」
「それに比べて私ときたら、……みっともないでしょう?」
「ちょっと待って。みっともないって、一体なんのことを言ってるの?」
未来君は私がここまで言っても、なぜか分ってくれない。
「ほら。だって私、この体形だから。八年振りに再会した幼馴染がこれじゃ、がっかりしちゃったよね」
どうして分ってくれないのかと、若干、自棄になって打ち明けた。
私の物言いが余程に予想外だったのか、未来君はキョトンとした様子だった。
「もしかして、里桜ちゃんは体形のことを気にしているの?」
もしかしなくとも、その通りだ。この段になると、鈍すぎる未来君に少しイライラしつつ頷くことで応えた。
「そっか……」
未来君はなにを考えているのか、顎に手をあてて黙り込んでしまった。私は沈黙が居た堪れず、自分の部屋なのに逃げ出したい思いだった。
「ねぇ里桜ちゃん。この機会にダイエットをしない?」
「……」
今度は、私が黙り込む番だった。『ダイエット』をした方がいい……ううん、しなきゃダメなことくらい自分でも分かってる。だけど、意思の弱い私は食べるのを我慢することも、運動も、どれも三日と続いたことがなかった。
ここで安易にダイエットをすると答えても、たぶん私は未来君の期待を裏切ってしまうだろう。
「里桜ちゃんが体形のことで自分に自信が持てないでいるのなら、絶対に痩せた方がいい」
「やっぱり、未来君も細い女の子が好き?」
自信うんぬんについてはよく分からなかったけれど、未来君に「痩せた方がいい」と言い切られて、思わず尋ねていた。
私はいまさら、なにを分かり切ったことを聞いてるのか……。言った後で後悔したが、一度口にした言葉は戻ってはくれなかった。
「いいや。白状するとね、僕がサマースクールで滞在したアメリカの学生寮で憧れていたのは、砲丸投げの米国女子代表選手だった先生なんだ。彼女は胴回りや腕なんて僕の三倍はあったから、決して細身ではなかったよ。だけど健康的で、朗らかな人だった。それに彼女は、あらゆるファッションを自信満々に楽しんでいたよ」
「……未来君の三倍?」
「そうさ。人種の違いもあるのかもしれないけど、あっちは日本と違って体形や髪型なんか実に多種多様なんだ。だから『美しさ』の基準だって、ひとつじゃない。事実、その先生に憧れていた男子生徒は少なくなかった」
そんな規格外の体格の女性に未来君が憧れていたというのは、にわかには信じ難かった。
「それって、太っていてもいいってこと?」
「ああ、太っていてもいいんだ。もちろん、健康を維持できているのが大前提でね」
「なんだか嘘みたい。私の同級生の男の子たちは皆、細くて華奢な女の子のことが好きだもの」
「はははっ。それはどうかな。里桜ちゃんが知らないだけで、皆が皆そうではないと思うけどね」
ここで未来君はスッと表情を引きしめた。
「だけどね、太っていることで心が健康でないのなら、それはやっぱりうまくないと思うんだ」
「え?」
「僕はサマースクールでの体験もあって、必ずしも痩せていることが正解とは思わない。だけど、体形のことで里桜ちゃんが卑屈に感じてしまったり、自信を持てずにいるのだとしたら、痩せた方がいい。痩せたら体だけじゃない、心が軽くなる。里桜ちゃんの人生が、きっと明るく拓けるよ」
予想外の言葉に、パチパチと目をしばたたく。
これまでダイエットは、色んな人から耳にタコができるくらい勧められてきた。だけど、こんなふうに勧められたのは初めてだった。
なにより、これまではずっと痩せていることが正解で、太っていることは不正解だと思っていた。未来君の言葉は、そんな既成概念を打ち砕く、影響力を持っていた。
……もし、私が痩せたら、その先にどんな明るい未来が待っているんだろう。
その未来を、見てみたいと思った。
「私、ダイエットをしてみようかな」
長い間を置いて重く告げたら、未来君は弾けるような笑みを浮かべ力強く頷く。
「いいね! 僕も協力するよ。まずは体力をつけて、健康的な体形を目指そう!」
私もそれに、コクンと首を縦に振り――。
「……ぅううっ。だけど、本音を言えばやっぱりお菓子が食べたいよ」
ふいにこぼれた本音に、未来君はプッと吹き出した。
「はははっ。正直だね。だったら里桜ちゃん、お菓子を食べながらダイエットしない?」
「そんなこと、できるの?」
「もちろん、これまで通りに市販品のお菓子を好きなだけってわけにはいかないけどね。僕がヘルシーな素材でできた低カロリーのお菓子を作るよ」
「未来君が作るの!?」
まさかの答えに、私は目を丸くした。
「里桜ちゃんにだけ教えると、昔からお菓子作りや料理が趣味なんだ。昔、男友だちに『お菓子作りなんて女みたいだ』って笑われてからは、あえて人に言うことはしなくなったけど、今も休みの日にはよく作ってる」
「えー、男も女もないよ。すごく素敵な趣味だよ!」
「ありがとう」
私が即答すれば、未来君は少し驚いたように私を見てクシャリと笑った。
「最近は、この趣味を将来に生かしたいなって考えるようになっていたんだ。それで、父さんの会社を継いだらやってみたいことがある」
「やってみたいこと?」
「会社が展開している事業のひとつに痩身サロンがある。そこが今、すごく人気で、業績も好調なんだ。だけどそこは徹底した食事制限の指導をしていて、結果が得やすい反面、サロン退会後にリバウンドしてしまうケースが結構あるみたいなんだ」
……私には、よく分かる。一食節制すれば、反動で次の食事には倍以上も食べてしまう。
「気持ち、分かるなぁ。一定期間、食べたいのを我慢して厳しく節制していたら、絶対に反動が出ちゃうよね」
「そういうこと。だから僕は継続的な運動習慣を身に着けて、後は適度にガス抜きしながら健康的な体形を目指したいんだ。ちなみに、その『ガス抜き』が僕考案のヘルシーだけど、ちゃんと満足できるお菓子ってわけ」
私は将来のことなんて、真面目に考えたこともなかった。
「もちろん、将来サロンで提供する時にはもっと内容を精査しないとダメだろうし、お菓子だけじゃなく食事、運動、生活習慣、全てをサポートする体制を作ろうと思ってるけどね」
「すごいなぁ」
目をキラキラさせて将来の展望を語る未来君がまぶしかった。そんな彼を見ていると、無性にうずうずした。
「未来君、私のダイエットをサポートしてください」
私も、新しい自分に一歩を踏み出してみたくなった。そしてその最初の一歩は、未来君と一緒に踏み出したかった。
「もちろん、協力させてもらうよ」
「ううん。協力じゃなくて、さっき言ってた『食事、運動、生活習慣、全てをサポート』ってやつをやって欲しいの。私で、未来君の考案するプランを試してみない!? きっと、将来の予行練習になると思うの!」
「……本気で言っているの?」
「もちろんだよ!」
未来君は一度キュッと唇を引き結ぶと、少しの間を置いて開いた。
「よし、分かった。僕が里桜ちゃんを、健康的に痩せさせてみせる! これから一緒に、頑張ろう!」
「うん! よろしくお願いします!」
こうして私は未来君との同居と同時に、ダイエットを始めることになった。
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