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第7章:愚者の目覚めは月の始まり編
第277話:●●●
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「―――つまり、殆ど何も思い出せないと・・・?」
「そうだ。でも問題無い」
「いや、問題大有りだろ・・・」
「何故そうなる?私がお前を守護する事に変わりは無いし其れは私の誓約であり、お前にとっても毎日私の脱ぎたての下着を入手出来てウィンウィンでは無いか」
「それのどこに俺にウィンの要素があるんだよ!?って言うかもう、その話題は蒸し返すな!!」
堪らず叫ぶ俺を心底不思議そうに見つめる女だが、俺達は未だに十五層のボス部屋で先の見えない議論をしている。
議論と言っても女が結局、自分の名前すら覚えていないので話をする事すらままならない状況だ。
「全く巫山戯た奴だなお前は。私は自分の名前も覚えて無いが、お前をこの命に替えても護ると言う誓約は私の奥底に消える事無く存在している。それで良いだろ」
「だから良くねぇんだよ!巫山戯てんのはお前だろッ!第一、お前に護ってもらう必要なんてねぇし、得体の知れないお前を仲間にするメリットがねぇんだよ!」
「仲間?私はお前の仲間などになるつもりは無いから問題無いぞ」
「あ?だったら―――」
だったら何になるつもりだと言いかけて止めた。
そんな事を聞いたらこの女の事だ、またとんでもない事を言い出すに違い無い。
俺もちゃんと学習して成長するのだよ!
ふははははッ
「私はお前の生涯の伴侶であり、お前が望むどんなエロい事も全て、そう全てのエロい事を受け入れる。そんな●●●みたいな存在だ」
「ぎゃーーーーッ!!??何で言っちゃうの!?何でそう言う事口に出す訳!?あと、何でエロ限定な訳!?」
「???」
シレっとぶっ込んで来る女に俺はもう涙目になりながら必死に訴えるが、まるで俺の言っている事が理解出来ないとでも言う様に首を傾げる女を見て訳が分からなくなった。
とんでもない女だ!此奴は!
でも滅茶苦茶可愛い―――い、いや!何を考えてるんだ俺は!?
履いていた自分のパンツを脱いでその場で渡して来たり、自分の事を●●●とか言い出す女だぞ!?
ってか、その前に此奴は人間じゃ無いだろッ
本気で目眩さえしてくる女とのやり取りに気を取られてすっかり忘れていたが、後ろから妙にヒリヒリする視線が向けられているのを感じ取り後ろを振り向く。
「――うッ、や、やめて、そんな眼で見ないで・・・」
主にサリーを抜かした女性が俺に冷ややか―――と言うには優し過ぎる、凍てつく様な視線を俺に向けている。
俺の言葉に反応を示すでも無く、無言でただ俺を見つめるその視線に耐えられなくなり、無様にも何故か俺が言い訳を始める。
「こ、此奴が言ってる事嘘だって、俺には何の関係も無いって事くらい分かるよな!?第一、此奴アンドロイドだぞ!?そんな存在が俺の知り合いな訳ないし、そもそも殆どの記憶が無くなってるとか言う奴の言う事を真に受ける訳ないよな!?」
早口でそんな言い訳じみた事を言うが、アリシエーゼとイリアとモニカは更にその目を細めて俺を凍えさせる。
誰か助けてくれと他の仲間達に視線を送るが、ドエインは苦笑いを浮かべるだけ、ダグラスに至っては女の言葉に赤面してモジモジしている。
だから童貞かよッッ
デス隊に至っては、何故かウンウンと頷き、「流石ハル様だ」とか訳の分からない事をほざく始末だ。
もう駄目だ・・・
本当に疲れた・・・
迷宮の構造が変わったり、ボスみたいな魔物が復活していたりと確実にイレギュラーな事が起こっているだろうと想像出来るし、もしかしたらそれ以外も何か恐ろしい事が起こるかも知れない。
他は何も起こらなくとも、そもそもこのまま地上に向けて進めば帰れるかすら分からない状況で、皆何も言わないが気を張っていて心労は時間を追う毎に増すばかりなのだ。
そんな状態なのに、よく分からない女が登場し場を引っ掻き回す。
手っ取り早く俺の能力で色々知れれば良かったが、それもままならず会話で色々と理解しなくてはならないのだが、その会話すら真面に出来ない状態なのだから余計に心労は増す。
「お主は少し黙っておれ」
俺の慌て様とは打って変わって、落ち着いた口調でアリシエーゼが俺にそう言ってアンドロイド女と対峙する。
アリシエーゼが介入すると余計滅茶苦茶になりそうだ!
これ以上ストレスかめ溜まる様な事は避けたかった俺は、アリシエーゼと女の間に入り取り繕う様に口を開く。
「ま、待てッ、とりあえずここは俺に任せて―――」
「黙っておれと言ったんじゃ」
「ひ、ひぇッ」
俺の仲介を不快に感じたのか、アリシエーゼがドスの効いた声で俺を睨み付けて言う。
声も然る事ながら、アリシエーゼのその表情は単純に恐ろしかった・・・
俺以外はアリシエーゼを後ろからしか見ていないので、この世のものとは思えないこの表情は確認出来ない状態なのだが、モニカが見たら絶対に失禁するなと思った。
「女狐、まずお主名前も思い出せないと言っていたが本当か?」
「本当だ。私に今あるのはマスターとの絆だけ。悠久の時を超えマスターとは―――」
「無駄な事は口にするな。聞かれた事だけ答えれば良い」
「・・・・・・・・・」
うへぇッ
何だこの修羅場は!?
速攻でアリシエーゼと女の間に冷ややかな空気が渦巻き、俺はもう直ぐにでもこの場を去りたかった。
「では逆に覚えておる事は何じゃ」
「それも伝えた。私が覚えているのは、マスターとの主従関係、守護の誓約、そしてマスターの子孫を後世に残す事だ」
おいおい、大真面目にそんな事言っちゃう!?
「子孫って何よそれ!?」
そこに後ろで控えていたイリアが飛び込んで来る。
「何とはどう言う事だ、子孫と言う言葉の定義か?」
「そうじゃ無いわよッ、何でアナタがハルの子供を産むだとかそう言う話になってるのよ!?」
「そう言う命令を受けている」
命令・・・?
「誰がそんな事命令したのよ!?」
「それは―――――誰だ?分からないが、私の真相意識下の、人間で言う魂に刻み込まれているのだからマスターの守護同様、私の存在意義として認識している」
アンドロイドが魂とか言いますかね・・・
「分からないって何よッ、そんなの信じられる訳無いでしょ!」
「別にお前に信じて貰う必要は無い。要は私とマスターだけ存在していれば―――」
「要らん事は喋るなと言った筈じゃが?」
ヒートアップするイリアを無視してアリシエーゼが女に言うが、女も売り言葉に買い言葉なのかイリアをまるで挑発する様な物言いで一歩も引かずにいた。
「だからお前の質問は既に―――ッッ!?」
そう言い掛けた女の頭が急に下へ下がる。
何だと思ったが、よく見るとアリシエーゼが女が着ている制服、リボン部分を掴み引き寄せていた為、アリシエーゼと女の顔がくっつきそうな勢いになっていたのだ。
「お、おい―――」
流石にやり過ぎかと思ったので止めようと近付いて分かる。
こ、此奴・・・
自分の近くに引き寄せた女の顔を睨むアリシエーゼのその瞳が金色に輝いていた。
暴走覚醒モード入ってんじゃねぇか!?
焦った。心底焦った。
このモードに入ると解除した後はすぐ様眠気が襲い、大量の血肉を補給しないと不味い状態に陥る為、あまり積極的にはやりたがらないそのモードにこんな口喧嘩程度で発動してしまうとは思ってもみなかった。
イリアもそれに勘づいて若干引いていたが、直ぐに気を取り直してアリシエーゼと同じ様に女に詰め寄る。
俺はアワアワしているだけだった・・・
「エロガキは邪魔なんで引っ込んでて下さいよ」
後ろからそう言って近付いて来たモニカが俺を突き飛ばす。
「なッ!?」
「聞こえなかったですか?エロガキは死んで下さいって言ったんですよ」
えぇぇッ!?
そんな事言って無かったよね!?
「――うッ、はい・・・」
だが俺は素直に従うしか無かった。
女性陣のあまりの剣幕に俺はどうする事も出来ず、腕捲りをしながらアリシエーゼ達の元に向かうモニカの後ろ姿を見送った。
怖いって・・・
「そうだ。でも問題無い」
「いや、問題大有りだろ・・・」
「何故そうなる?私がお前を守護する事に変わりは無いし其れは私の誓約であり、お前にとっても毎日私の脱ぎたての下着を入手出来てウィンウィンでは無いか」
「それのどこに俺にウィンの要素があるんだよ!?って言うかもう、その話題は蒸し返すな!!」
堪らず叫ぶ俺を心底不思議そうに見つめる女だが、俺達は未だに十五層のボス部屋で先の見えない議論をしている。
議論と言っても女が結局、自分の名前すら覚えていないので話をする事すらままならない状況だ。
「全く巫山戯た奴だなお前は。私は自分の名前も覚えて無いが、お前をこの命に替えても護ると言う誓約は私の奥底に消える事無く存在している。それで良いだろ」
「だから良くねぇんだよ!巫山戯てんのはお前だろッ!第一、お前に護ってもらう必要なんてねぇし、得体の知れないお前を仲間にするメリットがねぇんだよ!」
「仲間?私はお前の仲間などになるつもりは無いから問題無いぞ」
「あ?だったら―――」
だったら何になるつもりだと言いかけて止めた。
そんな事を聞いたらこの女の事だ、またとんでもない事を言い出すに違い無い。
俺もちゃんと学習して成長するのだよ!
ふははははッ
「私はお前の生涯の伴侶であり、お前が望むどんなエロい事も全て、そう全てのエロい事を受け入れる。そんな●●●みたいな存在だ」
「ぎゃーーーーッ!!??何で言っちゃうの!?何でそう言う事口に出す訳!?あと、何でエロ限定な訳!?」
「???」
シレっとぶっ込んで来る女に俺はもう涙目になりながら必死に訴えるが、まるで俺の言っている事が理解出来ないとでも言う様に首を傾げる女を見て訳が分からなくなった。
とんでもない女だ!此奴は!
でも滅茶苦茶可愛い―――い、いや!何を考えてるんだ俺は!?
履いていた自分のパンツを脱いでその場で渡して来たり、自分の事を●●●とか言い出す女だぞ!?
ってか、その前に此奴は人間じゃ無いだろッ
本気で目眩さえしてくる女とのやり取りに気を取られてすっかり忘れていたが、後ろから妙にヒリヒリする視線が向けられているのを感じ取り後ろを振り向く。
「――うッ、や、やめて、そんな眼で見ないで・・・」
主にサリーを抜かした女性が俺に冷ややか―――と言うには優し過ぎる、凍てつく様な視線を俺に向けている。
俺の言葉に反応を示すでも無く、無言でただ俺を見つめるその視線に耐えられなくなり、無様にも何故か俺が言い訳を始める。
「こ、此奴が言ってる事嘘だって、俺には何の関係も無いって事くらい分かるよな!?第一、此奴アンドロイドだぞ!?そんな存在が俺の知り合いな訳ないし、そもそも殆どの記憶が無くなってるとか言う奴の言う事を真に受ける訳ないよな!?」
早口でそんな言い訳じみた事を言うが、アリシエーゼとイリアとモニカは更にその目を細めて俺を凍えさせる。
誰か助けてくれと他の仲間達に視線を送るが、ドエインは苦笑いを浮かべるだけ、ダグラスに至っては女の言葉に赤面してモジモジしている。
だから童貞かよッッ
デス隊に至っては、何故かウンウンと頷き、「流石ハル様だ」とか訳の分からない事をほざく始末だ。
もう駄目だ・・・
本当に疲れた・・・
迷宮の構造が変わったり、ボスみたいな魔物が復活していたりと確実にイレギュラーな事が起こっているだろうと想像出来るし、もしかしたらそれ以外も何か恐ろしい事が起こるかも知れない。
他は何も起こらなくとも、そもそもこのまま地上に向けて進めば帰れるかすら分からない状況で、皆何も言わないが気を張っていて心労は時間を追う毎に増すばかりなのだ。
そんな状態なのに、よく分からない女が登場し場を引っ掻き回す。
手っ取り早く俺の能力で色々知れれば良かったが、それもままならず会話で色々と理解しなくてはならないのだが、その会話すら真面に出来ない状態なのだから余計に心労は増す。
「お主は少し黙っておれ」
俺の慌て様とは打って変わって、落ち着いた口調でアリシエーゼが俺にそう言ってアンドロイド女と対峙する。
アリシエーゼが介入すると余計滅茶苦茶になりそうだ!
これ以上ストレスかめ溜まる様な事は避けたかった俺は、アリシエーゼと女の間に入り取り繕う様に口を開く。
「ま、待てッ、とりあえずここは俺に任せて―――」
「黙っておれと言ったんじゃ」
「ひ、ひぇッ」
俺の仲介を不快に感じたのか、アリシエーゼがドスの効いた声で俺を睨み付けて言う。
声も然る事ながら、アリシエーゼのその表情は単純に恐ろしかった・・・
俺以外はアリシエーゼを後ろからしか見ていないので、この世のものとは思えないこの表情は確認出来ない状態なのだが、モニカが見たら絶対に失禁するなと思った。
「女狐、まずお主名前も思い出せないと言っていたが本当か?」
「本当だ。私に今あるのはマスターとの絆だけ。悠久の時を超えマスターとは―――」
「無駄な事は口にするな。聞かれた事だけ答えれば良い」
「・・・・・・・・・」
うへぇッ
何だこの修羅場は!?
速攻でアリシエーゼと女の間に冷ややかな空気が渦巻き、俺はもう直ぐにでもこの場を去りたかった。
「では逆に覚えておる事は何じゃ」
「それも伝えた。私が覚えているのは、マスターとの主従関係、守護の誓約、そしてマスターの子孫を後世に残す事だ」
おいおい、大真面目にそんな事言っちゃう!?
「子孫って何よそれ!?」
そこに後ろで控えていたイリアが飛び込んで来る。
「何とはどう言う事だ、子孫と言う言葉の定義か?」
「そうじゃ無いわよッ、何でアナタがハルの子供を産むだとかそう言う話になってるのよ!?」
「そう言う命令を受けている」
命令・・・?
「誰がそんな事命令したのよ!?」
「それは―――――誰だ?分からないが、私の真相意識下の、人間で言う魂に刻み込まれているのだからマスターの守護同様、私の存在意義として認識している」
アンドロイドが魂とか言いますかね・・・
「分からないって何よッ、そんなの信じられる訳無いでしょ!」
「別にお前に信じて貰う必要は無い。要は私とマスターだけ存在していれば―――」
「要らん事は喋るなと言った筈じゃが?」
ヒートアップするイリアを無視してアリシエーゼが女に言うが、女も売り言葉に買い言葉なのかイリアをまるで挑発する様な物言いで一歩も引かずにいた。
「だからお前の質問は既に―――ッッ!?」
そう言い掛けた女の頭が急に下へ下がる。
何だと思ったが、よく見るとアリシエーゼが女が着ている制服、リボン部分を掴み引き寄せていた為、アリシエーゼと女の顔がくっつきそうな勢いになっていたのだ。
「お、おい―――」
流石にやり過ぎかと思ったので止めようと近付いて分かる。
こ、此奴・・・
自分の近くに引き寄せた女の顔を睨むアリシエーゼのその瞳が金色に輝いていた。
暴走覚醒モード入ってんじゃねぇか!?
焦った。心底焦った。
このモードに入ると解除した後はすぐ様眠気が襲い、大量の血肉を補給しないと不味い状態に陥る為、あまり積極的にはやりたがらないそのモードにこんな口喧嘩程度で発動してしまうとは思ってもみなかった。
イリアもそれに勘づいて若干引いていたが、直ぐに気を取り直してアリシエーゼと同じ様に女に詰め寄る。
俺はアワアワしているだけだった・・・
「エロガキは邪魔なんで引っ込んでて下さいよ」
後ろからそう言って近付いて来たモニカが俺を突き飛ばす。
「なッ!?」
「聞こえなかったですか?エロガキは死んで下さいって言ったんですよ」
えぇぇッ!?
そんな事言って無かったよね!?
「――うッ、はい・・・」
だが俺は素直に従うしか無かった。
女性陣のあまりの剣幕に俺はどうする事も出来ず、腕捲りをしながらアリシエーゼ達の元に向かうモニカの後ろ姿を見送った。
怖いって・・・
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