貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。

あおい

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本編

溢れた愛 (5/18追加一話目が消えていました)

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(まさか一話が消えてるとは知らず…二話から読んでくださった方も多いと思うので、本当に申し訳ありません)


「あのクロウ様…、」
「クロウ様ぁ~!私と一緒にランチに行きましょう?」

学園の廊下にて彼に話しかけようする私を横から突き飛ばすかのように、彼女は割り込む。彼女はシェリー様。最近のクロウ様のお気に入りの方のよう。

「…すまないイアリス。今日のお昼は彼女と共にする。君とはまた明日にしよう」


シェリーのさんの肩を抱き、クロウ様は私の前から立ち去ってゆく。抱かれているシェリーさんは、ああなんて光悦そうな表情。まるで私に嫉妬して欲しくてこの様な行動をしているのかと見えるほど、彼女は口元を緩めながら。


そう言えば昔の私もシェリー様ように、クロウ様とお昼を一緒に過ごしましょう、と何度もお願いしに行ったわね。腕も勝手にだけれど、組んだりもした。あーん、だってやらせてみせた。


でも、もうそんな事できない。限界よ。


…私の中で何かひらり、と落ちてゆく心地がする。

立派な枯れ木にて、ずっと耐えていた一枚の葉が力をなくし、舞いながら落ちる感覚が。


ああ私は、何故彼にアレほど執着していたのだろう。
私へ愛を向けられることなど、ある訳ないのに。

幼い頃から愛をたっぷりともらった彼に、どれだけの愛情を注いでも溢れていくばかり。溢れていった私の愛と時間と労力は何かになった?

…まあ彼の自信にはなったわね。


今や学園で、最もモテる男はクロウ様だと小耳に挟んだ。彼は私の婚約者であるにも関わらず、沢山の女性へ手を出す。一人の女性とそのまま恋愛に発展すること無く、三週間程恋人ごっこを楽しめばまた次の女性へと変えてゆく。

あまり若くしてこの様な遊びにハマるなど、お義母様が知れば激怒してしまうかも。何度も私は止めるべきだとも言った。


全く聞いてはくれなかったけれど。

クロウ様だけを思い、クロウ様とのこれからの未来の為に働いた。
彼に遊ばれた女性のケアも姿見せる事なくしたこともあった。



私はベンチに座っているクロウ様とシェリー様のを一瞬だけ、みた。そして見るべきでは無かったと後悔した。


全く…無意味なことを私はし続けていたのね。


もう、二度と彼と幸せになろうなど思わないでおこう。

愛のない婚約でいいの。
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