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本編
縛り
しおりを挟む「そうですね…確かに。…イアリス様お気づきですか、クロウ様がこちらをずっと睨んでいます」
私は後ろを向く。あら、本当じゃない、すごい形相でこちらを見ているわね。もしかしたら、彼が女の子達を集めて私から離れたのは自分はこんなにモテてる男なんだ、と私に見て欲しいからだったのかもしれない。申し訳ないが、貴方は復讐をしたつもりでも私には全くダメージが無い。ほんと、馬鹿馬鹿しいぐらい。
人のパーティでそんな事をする男が婚約者なんて…どれだけ迷惑をかけるつもりなのだろう、とずっと思っている。
「そろそろ戻った方が良いですわね。では、シエルまた会いましょう」
私はひらり、と彼に手を振りベランダから出た。
「ええイアリス様、必ず、また」
必ず、という言葉は素敵ね。本当にまた会えるかしら。
ぎい、と扉を開けて会場へ戻っていく。
さて、クロウは私に何か話したいことがあるでしょうし。
「イアリス……今の男は何だと言うのだ!」
会場に響くほど大きな声で、クロウは私に問う。その声量に何だ何だ、と周りの方々がまるで花に群がる虫のように集まってくる。
「何って…昔の友人ですわ」
「そんな二人きりで話さなければいけなかったか?!」
何を言う。私を一人にしたのは貴方だというのに。二人きりになるのは当たり前だろう。
私たち以外の会話は全て止まり、招待された方々はこちらに集中する。ああ、恥ずかしい恥ずかしい。シエルもいるし、ローズもいるのよ。それに他の貴族たちも沢山居る。今まで私もそう叫びたい時があった、しかし我慢して堪えて夜な夜な枕に向かって怒っていた。それなのに、自分が気に食わぬ事があればこうやって晒しものにして。
本当、結婚する必要も我慢する価値もない男だったのね。しかも、懲りず、しぶとい。
「イアリス、帰るぞ!!」
「きゃ、」
クロウは私の手を掴み、強引に引く。痛い、力が入りすぎだわ。
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