神さまの手違いで異世界転生！？

転生

ヒューッ。風がたなびく中、草原の中心で目覚める。

「ここは…どこだ？」

どうやら記憶は失われているようだ。
周りを見渡すとここら一帯は広大な草原だとわかる。

「はてさてどうしたものか…」

まあ色々思い出していくだろう。
とりあえずは歩こう。

しばらく歩いていると白い塔が見えてくる。

近づくとオンボロで今にも倒れそうなツタの生えた塔だとわかる。
どうやら数十年は使われていないようだ。

グ～。するとお腹が鳴る。

「こんなところに飯があるわけないしなぁ…」

とりあえずは塔の周りを散策する事にした。
すると塔の裏側に黄金に輝く果実を見つける。
いかにも怪しそうだ。

しかし背に腹はかえられぬためその果実を取り食べる。

ビクンッ。
すると突然身体は熱くなり意識が朦朧とする。

意識が回復すると目の前に人が立っている。いや、これは人ではない。
人に翼が生えている。

しばらく気絶しているフリをしていると人の様なものが喋りだす。

「気絶しているフリをしていても無駄です。私はこの世界の神ステイシア。
どうやら手違いで記憶を失ったままこの世界に転生してしまったみたいなの。」

状況が飲み込めない。この世界の神だと！？異世界転生モノのラノベじゃあるまいし。すると神さまが話しだす。

「あなたの名前はカズト。あなたにはお詫びとして加護を授ける予定だったけどその必要はないようね。」

「な、勝手に転生させておいて加護すらくれないだと！？それはあんまりだ…」

「ああ。言い忘れていたわね。あなたがさっき食べた黄金に輝く果実は神界の果実と言って数千年に一度生えるかどうかっていうくらい希少な果実なのよ。」

「神界の果実！？それを食べたら何かあるのか？」

「ふふ。そうね。神には敵わないだろうけど神に等しい力を手に入れる事ができるはずよ。ま、といってもあなたはまだ食べたばかりだから効果は薄いでしょうけど。」

「そうだったのか…ところでここは神界と言ったがここに人はいないのか？」

「下界には人間達や魔族など多種多様な種族がいるわ。」

カズトはまだこの現状を受け止めていないようだ。

「そうね。あなたにはこれから下界に降りて第2の人生を歩んで貰うわ。」

「わかった。自由に生きさせてもらう　よ。」

すると目の前に扉が出現する。どうやら下界に繋がる扉のようだ。

「それでは第2の人生頑張ってね。」

カズトは扉を開け前に進んで行った。