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第三話 終焉ヲ喰ラウ剣
しおりを挟む「あ、りあ?」
目の前にいる銀髪碧眼の少女はかつての婚約者のアリアと瓜二つだった。
(なんでここにアリアが、いや違う、アリアは死んだんだ、てことは、ただ、似てるだけか。いやいや、そうじゃない!俺は勇者に殺されたはず、なんで生きている?)
俺は自分の体に傷が無いか確認をした、勇者に斬られたところどころか古傷さえもきえていた。
(ふむ、心無しか背も前より縮んでるような。)
「あ、あの。」
一人で考察していると金髪青眼の方の少女が話しかけてきた。
「ん?なんだい?」
「あ、あなたは、いったい、何者なんですか?突然魔法陣から現れたり、エリーのことをアリアって呼んだりして。」
「ああ、すまない、紹介が遅れたね。」
そう言いながら、俺は服装を整えた。
「俺の名前はクオン、以後お見知り置きを。」
「あ、ご丁寧にどうもありがとう、私の名前はレナリア・グローリアよ、それでこの子は、」
「エアリア・グローリアです。」
(ふむ、グローリア、か聞かない家名だな。)
「失礼だが、あなた方の出身をお聞きしたい。」
「………はい、私達はグローリア王国の第二王女と第三王女です。」
「おっと、王女様でしたか、差し出がましく誠に申し訳ない。」
「あ、いえ、大丈夫です。」
(レナリア王女とエアリア王女、それにグローリア王国、俺はそんな王国は知らない、つまりここは未来かもしくは)
「つかぬことをお聞きしますが、ガヴァネス王国をご存知ですか?」
「ガヴァネス?いいえ、聞いたことありませんわ。」
「そうですか、ありがとうございます。」
(決まりだ、ここは俺のいた世界とは違う世界だ。)
「あ、あの、お姉ちゃん、そろそろあいつらが、」
「あっ、そうだったわね。」
「?どうかしたのか?」
「………いえ、なんでもありません、そこの貴方、逃げてください。」
「は?何故だ?」
「もうすぐ私たちの追手が来ます、彼らはとても強いです。無駄に命を散らすことはありません、さあ行ってください!わたしたちに構わず逃げてください!」
「?意味がわからない、何故俺が逃げなくてはならないのだ?」
「「はい?」」
「ん?ちょっとまてよ、……………全部で十三人か、お前ら何したんだ?」
「え?ちょっと待ちなさい!貴方探知魔法が使えるの!?」
「は?使えるに決まってるだろ?誰でもできるぞこんな魔法。」
二人の姉妹?まあ姉妹だろう髪の色と瞳の色は違うけど似てるしな、は絶句していた。
「はっ!貴方!探知魔法が使えるならわかるでしょう!彼らは強いの!だから貴方だけでも逃げて!」
「ん?強いってわかってんならなんでお前らは逃げようとしないんだ?」
「…………わたしたちは、もう、魔力欠乏症になってる、体も限界、しかもこの首輪は奴隷の首輪、どこへ逃げてもいずれ追いつかれる。」
エアリアが落胆気味に話した。
「ふむ、これが奴隷の首輪か。」
「そうよ、これを外すことは不可能よ!だから、」
「ん?外れたぞ?」
「「……………はい?」」
「だから、奴隷の首輪、外れたぞって言ってんだよ。」
レナリアはクオンの手にある首輪を見てから自分の首元を確かめると確かに首輪が外れていた。
「いったい、どうやって、」
「解放という魔法だな、…………これでよしっと。」
クオンはエアリアの首輪も外した。
エアリアも驚いてクオンの手の中にある首輪と自身の首元をいったりきたりさせていた。
レナリアとエアリアは目の前の現実を理解できていなかったがやがて、大声で泣き出した。
「「う、うわぁぁぁぁん!」」
「お、おい?どうしたんだ?」
この時クオンは理解していなかったが、この世界では奴隷の首輪は主人にしか外すことのできない物だったのだ。
王女が奴隷となったのならわざわざ外す物好きなといないだろう。
「ぐすん、ありがとうございます!この御恩は一生忘れません!」
「ありがとう、ございます!」
二人は頭を下げてきた。
「いや、大した手間じゃない、だからお礼は必要ない。」
「いや、でも、」
「いや待てよ、そうだな、それなら、ちょっと頼みたいことが、」
「いたぞぉ!王女たちだ!」
三人の目の前に山賊のような男たちが現れた。
「…………ああ、忘れてたよ、そういえば追手がいるんだったな、まあいい、一応聞くぞ、貴様らは何者だ?」
すると一人の男が歩み出てきた。
「おうおうにいちゃんよぉ、そこの後ろにいる王女様たちを寄越してくんねぇか?にいちゃんも痛い目にあいたくないだろう?」
「…………………」
(質問に答えろよ、阿保なのか?ああ、阿保だから一国の王女を狙ってんのか。)
「お頭!あいつ、びびってますぜ!」
「ギャハハハ!みっともねぇなぁ!」
「まあ、そっちは三人でこっちは十三人だからな!無理ないか!」
「…………………」
(一、二、…………………十三っと、人数に変わりなし、隠れている奴もなし。)
クオンは確認している間に好き勝手に言われていたが終始無言だった。
「ちょっと貴方!早く逃げなさい!死んじゃうわよ!」
「うん、わたしたちのことは気にせずに逃げて!」
二人の叫び声に気付き、クオンは振り向いて彼女たちの方を見た、二人とも気丈に振る舞っているが、肩が震えていた。
彼女たちの目は助けてと語っていた。
(……………自分たちも怖いだろうに、震えてなお、他者である俺を気遣うか、優しいんだろうな、この子たちは。)
クオンは彼女たちに微笑むと男たちの方に振り返った。
男たちはにやにやと薄気味悪く笑っていた。
「おーいー、早くしてくれや!殺しちまうぞぉ?」
よく見たことのある目だと思った。
俺が魔王に成りたての頃に俺のことを見た目で判断して舐めていた奴らの目だ。
あれは自分たちが狩る側だと勘違いしている奴等の目だ。
(………ふぅ、せっかく助けたんだからこいつらもついでに片付けとくか。)
「………………一つ教えてやろう。」
「あ?なんだって?」
クオンが右手をバッと前に伸ばすと黒いもやが発生した、
「終焉を喰らえ、ラグナロク。」
そのもやを掴み振りかぶった、するともやが晴れて黒く紅い線が迸る武骨な大剣が現れた。
「殺していい者は、殺される覚悟がある奴だけだ、さあ、選別の時間だ。」
クオンが足を前に一歩踏み出した、
「俺の前に立つ資格の無い雑魚は要らない、消えろ。」
その瞬間にクオンを中心として波動が放たれた。
すると、最初に話しかけてきた男を除いた男たち全員が口から泡と血を拭いて絶命した。
生き残った男は突然の仲間の死に戸惑い、この惨状を引き起こした元凶をにらみつけた。
「は?な、何をしやがったきさまぁ!」
「暴虐。」
「………………は?」
「暴虐だよ、今使った魔法の名前だ、そうだな、簡単に言えば、ただの威圧だ。」
暴虐……クオンの放った威圧の威力を何十倍にも増幅させる魔法、増幅は調整可能。この魔法を抵抗できない精神が弱い者はクオンの前に立ちはだかることすら許されない。この魔法をクオンは前の世界では己に立ち向かう真の強者の選別として多様していた。
「これでも弱くしたんだよ、従来の十%もないくらいだな、このぐらいに耐えられないなら、俺が手を下すまでもない、おそらく、剣を振った余波だけで死ぬ。」
事実そうだった、弱いものは少数いた本物の強い者と戦っている余波に巻き込まれて死んでいた。
「良かったな、お前は弱いけど、いちおう俺の前に立ちはだかるだけの資格はあるようだ。」
男は最初は何を言われているかわからなかったが、その言葉を侮辱だと理解すると怒りで頭が真っ白になっていた。
「き、きさまぁ!俺を、俺を舐めやがって!」
「ん?舐めてなどいないぞ?ただ、興味が無いだけだどうせお前は俺を殺せない、それどころか、剣を当てる事さえできない。だから真の強者足り得ないお前に興味など最初からない。」
男は更なる侮辱を言われることで怒りが限界突破し、逆に冷静になれた。
(その生意気な面を叩ききってやる!)
男は剣を構えると
「縮地!」
そう言い終わったときには十メートルはあった彼我の距離を一瞬で縮め、クオンの目の前に男がいた。
(貰った!)
「「クオン!」」
エアリアとレナリアは叫んだ。
クオンは剣すら構えていなかったのだ、この斬撃は無条件ではいる。
男はこの斬撃は当たると確信し笑みを浮かべた、エアリアとレナリアはこれから訪れるクオンの最後を幻視した。
クオンにこの斬撃は避けられない、誰もがそう思っていた。
「え?」
「「…………え?」」
男の斬撃は受け止められていた、クオンの左手の親指と人差し指の二本だけで。
クオンは落胆したように呟いた。
「遅い、な、遅すぎる。これじゃあ、剣を抜くまでもなかった。」
男は必死に剣を放させようとするがびくともしなかった。
「弱い、弱すぎる、話にならない。」
「は、はなしやがれ!」
(なんだ!?なんなんだこいつは!?)
「馬鹿か?放せと言って素直に放す馬鹿がいるわけないだろう。」
「ひっ!放せ!放せ!放せぇぇぇ!」
男は目に涙を浮かべながらクオンの胴体を蹴ったりして抵抗していた。
「はあ、期待外れだな。」
「ひぃっ!」
男は失禁していた、クオンに睨まれて常時発動している威圧にやられたのだ。
「お、お願いします!い、命、命だけは!助けてください!」
「………………」
「な、なんでもします!お好きな物を渡します!」
「………………なんでもって言ったな?」
「っ!はい、そうです、ど、奴隷とかどうですか!?綺麗所がたくさんいます!貴方様が気に入るのも、」
「そんなのはいらん、俺の要求はお前の死、それだけだ。」
「へ?」
「じゃあな、名前の知らない弱者よ。」
クオンは男を上に放り投げると剣を構え、男が自由落下して目の前に落ちて来ると、
「暴撃。」
大剣を一閃した、すると男の体は膨らんで破裂した。
暴撃…剣で斬りつけた箇所から魔力を放ち敵の全てを内部から破壊する。
前世ではこの技を喰らった者は皆等しく死んでいる。
外部からよりも内部から破壊した方が効率が良いとクオンが開発した。
外部からの衝撃には慣れているが内部から壊されたらどうしようもなかった。
「「…………………」」
リナリアとエアリアは声が出なかった、自分たちが苦戦どころか殺されかけた相手を一方的に殺し尽くしたのだ。
エアリアは血糊を剣を振るうことで払い、再び肩に担ぎ立つ後ろ姿はまるで、お伽話の英雄のようだ、そう思った。
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