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第五話 王城へ
しおりを挟む茶番開始から十分経つとクオンはあることに気づいた。
二人の痛々しい傷とボロボロの衣服だ。
クオンはズカズカと、二人に近づいて行き。
「「ひっ!」」と二人は怯えて抱きついていたがが問答無用。
二人に向かって手をかざすと、
「…………………時よ戻れ、時遡」
魔法を発動した。
すると、二人の怪我が治るだけでなく、衣類や靴、が修復され、おまけに体の汚れまで落ちていた。
二人は体の痛みが消えていることに気付くと、目を丸くして目の前にいる魔法を使った張本人を見つめた。
「と、時魔法、まで?」
「しかも、衣類まで修復するなんて、ここまで使いこなせるのは並大抵じゃないです、流石です、魔王様。」
「ふう、お前らよく聞け、俺は奴隷など…………要らん。」
すると、何故かガーンと反応しているエアリア。
「え、じゃ、じゃあ、私たち、二人とも殺されるの?」
「違うわ、俺はお前らを殺さない、それなら何のために俺はお前らを守ったんだよ?」
「痛ぶって泣き叫ぶ私たちをお酒の肴にする為?」
お前の中の俺はどんだけ鬼畜なんだよ?
「違う、俺は殺すとしてもなるべく痛みがなく殺している、例外はあるがな。」
そう、前世でも俺は命を奪う時は一撃で痛みが無いように殺していた、だが魔王になったばかりの頃は復讐心で自分の心の思うままに暴れたため、よく覚えていなかった。
あの日、アリアを失ってからクオンはすぐに隣国に復讐をしに行った。
そして、クオンは隣国を三日で滅ぼした。
きっと今のクオンなら一日どころか一時間も要らないだろう、暴虐を国中に放つだけで全てが終わる。
暴虐を放った後には強者しか残らない。
その強者を潰すのに、十分も要らない。
クオンを前に背を向けたらその背を向けた臆病者から死んで行った。
暴虐は一度生き残ってもその基準を下回っただけで死ぬのだ。
クオンに背を向けるもの、すなわち敵前逃亡をするものは精神が弱体化しており、等しくクオンの暴虐の餌食となった。
「ふう、とにかく、俺はお前らを殺さないし、害さない、これだけは覚えて置いてくれ。」
すると、エアリアとレナリアは二人して首を何度も縦に振っていた。
「よし、じゃあ助けたお礼として、」
「エッチなことするの?」
レナリアよ、頭の中沸いているのか?
「しねぇよ。」
だからエアリアよ、何故お前はショックを受けている。
「エッチなことはしない、助けた代わりに王都を案内してくれ。」
「……………それだけ?」
「ああ、なんだ?なんか不満でもあるのか?」
「いや、違うのよ、あのね、私たちは第二王女と第三王女よ?王族よ?王族を助けたんだから大抵の物は用意できるわよ?なんか、こう、お宝が欲しい!だとか、爵位が欲しい!だとかは無いわけ?」
「うわ、いらねぇ。」
「そんなノータイムで返さなくても。」
「いや、だって、邪魔だろ?」
お宝はまあいいとしても、爵位なんてはっきり言って邪魔だ、貴族になんかなるつもりは毛頭ない。
「…………………ならば、魔王様には、」
「クオンだ。」
「………………魔王様、」
「クオン。」
「………………まお、」
「クオンと呼べ。」
「……………………………クオン様、には私自身をお渡しします。」
「………………アホか。」
まただ、エアリアはガーンとショックを受けていた。
「な、何故ですか?クオン様。」
「いやいやいや、王女なんて貰ってどうすんだよ。」
「…………………………結婚?」
「しねぇよ。」
「……………………」
しゅん、とエアリアは落ち込んでしまった、ちょっとだけ可愛かった。
「まあ、とにかく王都にお前らを返しに行くとしようか。」
「「え?」」
レナリアとエアリアは目を丸くして、どうやってとでも言いたげな顔をしていた。
「っと、そうだ、レナリア、ちょっと来い。」
「?分かったわ。」
レナリアはすっと立ち上がるとクオンの方に歩いてゆき、目の前で止まった。
「ちょっと、記憶を見せて貰うぞ?」
「えっ?きゅう!」
突然レナリアの前にクオンの顔があったのだ、自分とクオンのおでこをゼロ距離でくっつけていた。
「あ、あわわ、あわわわわわ!」
「動くな、……………………記憶読感」
(ふむ、これがグローリア王都か、そしてこれが王城、これは、玉座の間、うん?これは執務室だな、うん、ここが丁度いい。)
クオンはレナリアの記憶を読み取るとおでこを離した。
「うん?どうしたレナリア?」
「ぷ、ぷしゅうううう。」
レナリアは顔が真っ赤で焦点があっていなかった。
「おい、レナリア?大丈夫か?」
「………………………お姉ちゃん、ずるい。」
エアリアは頬を膨らませていた。
レナリアが復帰するまで十分掛かった。
「よし、じゃあ、お前らの家、王城に行くぞ。」
「「……………………え?」」
「俺の体のどこでもいいから触れてろ、置いて行かれたくなかったらな?」
すると、レナリアはクオンの左の手のひらを、エアリアはクオンの右腕を自身の豊満な胸に挟んでいた。
「……………………」
クオンはもう何も言わずに、少しだけ感触を楽しんだ。
「………………よし、行くぞ、……………………………転移。」
クオンがパチンと指を鳴らすと同時に魔法が発動した。
すると、一面森ばかりだった景色から豪華な部屋の一室に変わった?
「え?えっ!?」
「これは、転移?転移魔法まで使えるんですかクオン様?」
「まあな、それよりも、気づいたらしいな、そろそろ来るぞ?」
「「?」」
二人は分からなかったようだが、俺は気付いている、この執務室に急い近づいてくる人を。
彼らはドアの前に立つと、バンっと開け放ち。
「何者だ!」
と叫んだ。
すると、続々と兵士が入って来た。
リナリアとエアリアの二人はクオンの後ろに隠れており、よく見えないのだろう。
姫君の顔をここの兵士が知らない訳無いからな。
「ふむ、ここまで兵士が来るとは、中々壮観だな、よし、そこのお前!」
一人の兵士が指さされた、兵士は俺のこと?と首を傾げていた。
「そう、お前だ、国王を呼んで来い、大切な姫君を不甲斐ないお前らの代わりに助けてやったぞ、とな。」
クオンは前置きも無く、いきなり爆弾を投下した。
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