大罪を極めし者〜天使の契約者〜

第十三話 ルシファーの罪

「ルシファー様、すごいですね！瞬く間に悪魔を倒していって、とってもすごかったです！」
ここは天界ヘブンズ・ヘブン
そこには天使の都があった。
「そんなことはないよ。ただ、いつも通りやっているだけだよ。」
ルシファーは大天使長として、日々悪魔の軍勢と戦いを繰り広げていた。
「いやー、ルシファー様は本当にすごいですよっ！私たちが、足でまといではないかといつも思ってしまいますよ！」
彼女の部下たちが、そう言って自嘲していた。
「ううん、そんなことはないよ。私はあなたたちに助けられているから。」
ルシファーは部下たちを可愛いがっていた。
人間で言うところの家族みたいなものだった。
「へへっ、俺はルシファー様のためなら死ねるぜ！」
「いや、あんたが死んだら私たちはなんとも思わないけどルシファー様が傷つくからやめてよね。」
「おい、おい、そりゃあねぇだろう！」
「「「「ぷっ、わはははは！」」」」
「クスクス。」
ルシファーはこの光景を守りたいと思っていた。
彼等とならいつまでも上手くやっていけるだろう、そう思っていた。


いつも通りの悪魔の軍勢との戦闘をしていたが、ルシファーは違和感を感じていた。
「おかしい、私の部下たちがどこにもいないなんて。」
ルシファーの部隊は遊撃を主にしていた。
それにしても誰一人として遭遇しないのはおかしい。
ルシファーは焦燥を感じていた。
「おーい、アーカス！ティル！スカー！シーラ！どこにいるの？」
ルシファーは戦場を飛び回った。
しばらくして、ひとつの洞窟を発見した。
その洞窟に警戒しながら入ってみると、そこには。見るにも無残し姿をしていたルシファーの部下たちの姿だった。
「み、みんなー！」
その声で、まだ息のあった部下の一人が死力を振り絞って叫んだ。
「る、ルシファー様っ！お逃げ下さい！」
ルシファーは混乱していた。
なんでそんなことを言うのか？自分の部下たちをこんなふうにしたのは誰なのか？
「おや、おやおやおや？あなたは大天使長のルシファー様ではないでーすか？」
その時気味の悪い面をかぶった悪魔がいた。
「あなたなの？私の部下たちをこんなふうにしたのは？」
「ああ～ルシファー様の部下だったのですかぁー？すいませんねぇあまりに雑魚だったので下っ端の下級天使かと思っていましたよ。いやぁ～失敬失敬。」
ルシファーはかつてないほどの怒りを感じていた。
「あなたが、やったんですね？」
「はい、さっきからそう言ってますよね？」
「じゃあ、死んで。」
ルシファーは全力で魔法を放った。
紫電が舞い荒れ狂っていた。
「はあ、はあ、はあ。」
そこには洞窟も悪魔の姿も何もかも無かった。
「みっみんなっ！大丈夫？」
ルシファーは部下たちに駆け寄った、
「る、ルシファーさま、」
「喋っちゃだめだよ。死んじゃうよ！」
「ルシファーさま私、はもう駄手遅れ、です。」
「そんなこと言わないでよっ！」
「ルシファーさま、あ、なたは優しい御方、です。その優しさ、をどうか、どうか、失わないで、く、ださい。」
「駄目、だめだよ、死んじゃダメっ！」
その時優しく微笑んでこう言った。
「ルシファー、さま、どう、かお元気で、あなたの、こと、を部下一同、いつまで、も思って、おりま、す。」
その言葉を遺して逝ってしまった。
安らかな顔だった。最後にルシファーにめとって貰えて嬉しかったのだろう。
「どうして、どうしてなの？どうして私を残してみんな行っちゃうの？」
ルシファーは悲しみにくれていた。
「うわぁ、うわぁぁぁぁぁ！」





天界ヘブンズ・ヘブン
「ルシファー、汝は汝の部下を全て虐殺した罪で堕天させ、封印することとする。」


ルシファーはこうして、ダンジョンの奥深くに封印された。