大罪を極めし者〜天使の契約者〜

月読真琴

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第十九話 決闘

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俺は決闘が決まったらまず、最初に受け付け嬢に謝りに行った。
「すまんな、決闘を受けちまったから明日の試験はできそうにないよ。」
「いえいえ、気にしないで下さい。それよりもカッコよかったですよ。奥さんを守るためにAランク冒険者にあそこまで言い切れる人は中々いませんよ?」
「そう言ってくれると嬉しね。えーっと。」
「テミスですよ、レッドさん。」
「テミスは俺が負けるとは思わないのか?」
「ええ、私はエルフなので長い期間受け付け嬢をやってきています。色々な冒険者を見てきました、冒険者に向いて無い人、虚勢ばかりはっている人、弱いけどそれを補う別の強さを持つ人、そしてあなたみたいな本当に強い人。」
「そうか、すごい特技だな。」
「はいっ。」
「そう言えば、聞いてもいいか?明日の決闘だが、審判はどうなっているんだ?」
「それは、」
「俺がやろう。」
振り返って見るとそこには巌のような巨躯の大男がいた。
「ぎ、ギルドマスター!」
「なに?ギルドマスターだと?」
「ああ、俺はギルドマスターのセイズだ。これでも元SSランク冒険者だった。審判としては文句はあるまい?」
鑑定をせずともわかる、強者の空気を纏っている。
「いや、ギルドマスターなら文句はないさ、明日の件よろしく頼む。」
「うむ、任された。」
そうして俺たちは今度こそ、ギルドを出ていった。



翌日闘技場
何故か、人がかなりいた。
聞いてみると、あのチャラチャラペインが宣伝したらしい、麗しの姫君を助ける冒険者ペインだとか。全く反吐がでる。
冒険者だけではなく、一般市民もいるそうだ。
ちなみに賭けもやっていたので自分にとりあえず白金貨を掛けておいた。
白金貨は日本円では約100万円だ。
オッズは俺5ペイン1.3だ。
やはりAランクの名はだてじゃあないらしい。
「ふっ、逃げずに来たようだな!そこは褒めてやろう。」
ああ、うぜぇ。
「御託はいいからとっとと始めようぜ。」
「では、これよりAランク冒険者暴嵐槍のペイン対Fランク冒険者レッドの決闘を始める。」
ペインのやつ暴嵐槍とか二つ名持ってんのかよ似合わねぇ(笑)
俺とペインは剣と槍をそれぞれ構えた。
「決闘、開始っ!」
ズドンッ
「覚ごはっ!」
勝負は一瞬だった。
まず、最初にペインとの距離を一瞬で詰めてペインの槍を目にも止まらない速度で切り刻んだ、その次に剣を納刀して、素手で身体じゅうを殴りまくった、その後に思いっきり股間を蹴飛ばした。最後に顔面を殴って壁まで吹っ飛ばした。
この間僅か0、1秒。観客は何が起こったのかすら分からなかった。
「ギルドマスター!」
ギルドマスターも硬直していた。
「し、勝者レッド!」
少しの沈黙のあと。
「「「うぉぉぉぉぉぉー!」」」」
歓声が上がった。
「すげぇ!お前見えたか?今の!」
「ああ、すごかったな。」
「きゃーカッコイイ~!」
俺は舞台を降りていった。歓声は全然途切れなかった。


「暁っ!」
「ルシ。」
ルシファーがこっちに走ってそのまま抱きついてきた。
「おめでとうっ。カッコよかったよ。」
彼女は笑ってそう言った。
「ありがとうルシ。」
俺からも抱き締めた。
「ギルドに行くか。」
「うんっ。」
その後ギルドに行くと。
「やるなぁ、兄ちゃん!せいせい、したぜっ!」
「かははっ!いいのう、若人は。」
「か、かっこよかったです!」
色々な人から声を掛けられた戸惑っていると、ギルドマスターとテミスさんが来た。
「おめでとう、素晴らしい戦いだった。」
「おめでとうございますっ!レッドさん。」
「ありがとう。二人とも。」
「おい、お前ら二人ともギルドカードを出してくれ。」
そう言われて出すとギルドマスターは奥に行った数分後戻ってきたら、
「ほらよっ、お前ら今日からAランク冒険者だ。」
赤色のギルドカードにしっかりとAランク冒険者と書かれていた。
「は?なんでAランクなんだ?」
「お前な、あれはなAランクでも強い部類に入るやつだったんだぞ?そいつを瞬殺したんだからAランクは当たり前だ。」
「おうそこは理解しただが、なんでルシもAランクなんだ?」
「どうせお前の嫁さんも化け物レベルの強さなんだろ?みているだけで強ぇってわかるぞ?」
やはり元高ランク冒険者は違うな。
「まあ、貰っといて損はないか。サンキューな。」
「おうっ、これからはドンドン高ランクの依頼をうけてくれよっ?」
「ははっ、わかったよ。」
「ああ、忘れてたわ、ギルドカードにアイツの全財産入れといたぞ。随分溜め込んでいたらしい。何をしていたのかは知らんが白金貨千枚はあったぞ。」
思わぬ所で臨時報酬が入った。

小鳥のさえずり亭
コンコン
「誰だ?」
「暁。私だよ、開けて?」
(こんな時間になんの用だろうか?)
ガチャッ
「どうした?ルシ。」
「お礼しに来たの。」
「礼?」
「取り敢えず中に入れて?」
俺はルシファーを中に入れて鍵を閉めた。
「で、なんで礼なんかしに来たんだ?」
「それはね、あの誓いを守ってくれたから。」
あの化け物と戦闘を繰り広げていたときに暁がルシファーにした誓いを。
「別に構わねぇよ、俺が勝手に誓っただけだからな。」
「それでもね、嬉しかったの。ここら辺がねすごくポカポカするの。だからねうけとって?」
「はっ?なにを?」
その時ルシファーにベットに押し倒されてキスをされた。
かなり長い時間キスをされた。
「お、おいルシ?」
「あなたに、私の全てを捧げたいの。」
「ルシっ、なにを言って?」
「私はねこの時をずっと待っていたんだよ?それこそ初めて契約を交わしたあの時から」
だんだんと手が下の方に伸びていっていた。
ルシファーの顔は蕩けまくっていた、すごく卑猥な顔だった。
「ダメ、かな?」
暁は覚悟を決めた。
「いいのか?」
「うん、いいよっ、私はあなたのお嫁さんにして、一生を生きていくパートナーだから。」
食わぬは据え膳の恥とも言うしな。
「止められないからな、というかやめてっていってもやめないぞ?覚悟しろよ?」
「うん、きて暁っ!」
その晩俺はルシファーと初めて結ばれた。
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