大罪を極めし者〜天使の契約者〜

月読真琴

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第二十五話 あなたを救うために

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嘆きの森

「ウォォォォォォォォォォォ!」

「アァァァァァァァァァァァ!」

キィンンンン!
キンッ!、キンッ!、キンキンキィン!

森の中に甲高く剣を互いに交錯させた音が響き渡った。

この二人の剣を交錯させる速度は常人の目では追えないほどに加速していた。

二人は均衡を保っていたように見えた、だが、

(やっぱり、強い。しかも暁の方が手数が多い。)

それはそうだろう、ルシファーは細剣、暁は直剣の二刀流、手数が違うのは明らかだった。
(けど、技術は明らかに私が上回っている。)

暁は剣をただ振り回すだけに対してルシファーは細剣と直剣であり膂力も違うが、技術と紫電の蛇剣の効果で雷を纏わせて剣を振るう速度を上げてカバーしていた。

「ウォォォォォォォォォォォ!」

「フッ!」

暁がほんの少しだけ体勢を崩した、ルシファーがその一瞬の隙を突き、キィンと音を響かせて暁の剣を弾いた。

暁は体勢が大幅に崩れる。

ルシファーは勝負を決めに行ったその時、

「ッ!」

暁は体勢を崩されているにもかかわらず反対側の剣を振るってきた。

ルシファーは攻撃をキャンセルして、防御に移ったが、完全に剣の間合いをはじき出されてしまった。

「流石だね、暁。今のは流石に決まったと思ったよ。」

内心ルシファーは焦っていた。

(今ので、決められなかったのは痛かったかな。)

今の隙は絶好のチャンスだったのだ。

暁は今後さっきのような隙を晒さないだろう、つまり

(手詰まり、かな?)

いや、まだルシファーには手があった、けれどもかなり危険な橋を渡らなくてはならなかった。

「ウォォ、る、シフぁー。ウァァァ!」

(暁は、苦しんでいる、戻すにはしかない、なら私も腹をくくる!)

そして、ルシファーは詠唱を始めた。

「我は闇を照らす光、暗き大地に光を呼ぶ者。」

ルシファーが紡ぐのは全ての穢れを祓う神聖な光、だが、その詠唱の完成まで、暁が待つ理由が無い。

暁は本能で何かを感じ、ルシファーに斬りかかった。

だが、ルシファーは暁の攻撃の全てを捌いていた、ルシファーは完全に防御に回ることでを可能としているのだ。

この世界に並行詠唱を出来る人はどのくらい居るだろうか?

ましてや、今のルシファーが紡ぐのは独自詠唱魔法であり、かなり長い時間の詠唱が必要とされている。

「かの迷える者にどうか、道しるべを描いてほしい。」

暁の攻撃は苛烈さを増していた。
ルシファーの身体のところどころに切り傷が刻まれていく。

服に血が滲んでいった。
だが、ルシファーは、

「それでもまだ、迷い、嘆くと言うのなら。」

詠唱を止めなかった。

「私自身があなたの道しるべとなろう。」

詠唱が完成に近付く、

「聞き入れよ私の声を、感じよ私の温もりを。」

だんだんと、ルシファーも暁の攻撃を捌ききれなくなってきた。

「そして今、あなたの心の穢れを祓う時!」

詠唱が完成すると同時に暁に剣を宙に弾かれた、否、ルシファーは暁に剣を、そうして暁に一気に接近して、

穢れ祓う天の光アマテラス

その言葉と共に暁にキスをした。

辺りに光が広がった、なぎ倒された木々はたちまち元の形になり、変色していた草花も元の色を取り戻していた。

そうして、辺りには幻想的な光景が広がった。
「ウォぉぉお、…………る、ルシファー、か?」

暁の瞳に理性が戻っていた。

「うん、そうだよ、私はルシファーだよ!」

詠唱が完成するまで暁の攻撃を捌ききれるかは賭けだったのだ。
その賭けが成功して、暁に理性が戻った。
「おかえり、暁っ!」

「ああ、ただいま。」

二人は抱き締めあった。

「そう言えば、ルシお前怪我しているじゃないか!」

「ん、このくらい平気だよ。」

ルシファーは暁の攻撃を受け続けていたので、身体はボロボロだった。

「すまないな、俺のせいで、こんなに怪我をさせちまって。」

暁は自分自身に嫌悪感を抱いていた。
守ると誓った少女を自分が傷つけてしまったことに。

「ううん、大丈夫だよ。それに暁に憤怒を発動させちゃったのは私のせいだから。」

ルシファーと暁は互いが互い申し訳なくおもっていて、話が全く進まなかった。

「ん、だからこの話はもうやめよ?私は、ルシファーはあなたのことを許します、これで終わりっ。」

暁は数秒間ポカンとしていたが、その言葉を理解したようで。

「分かった、俺も、暁もルシのことを全て許そうと思う。」

はにかんだ笑顔で互いが互いに謝った。

「話が終わったから、治療するね?」

ルシファーが詠唱を始めた。

「望むは治癒、傷を癒す、神秘の光。」

ルシファーは回復魔法の超級を使った。

完全治癒パーフェクトヒール

暁とルシファーの傷が癒された。

「ありがとう、ルシ。」

「ん、どういたしまして。」

ルシファーははにかみながらそう言った。

「じゃあ、戻るか、依頼も完了した事だしな。」

「ん、賛成。」

「っと、その前に。」

暁はゴブリンデミゴッドに近付き胸の中の魔核を取り出した。

「なんだこりゃ、色が全然違うじゃねぇか。」

普通は紫色なのにゴブリンデミゴッドの魔核は黒色だった。

「何が起きているんだか。」

暁は疑問を残しながら、街へ帰っていったのだった。



????side

「おや?実験体が一匹倒されましたか。」

「おい、実験体とはエンペラー種のことか?」

「そうですよぉー、まあ、たった一匹倒されたくらいじゃあ、問題はないでしょう。」

「おい、本当に問題はないんだろうな?俺たちの計画に支障をきたすなら容赦はしないぞ?」

「んっふっふ、問題はありませぇん、エンペラー種はゴブリン一匹だけではありませんので。」

「………まあいい、それよりも続きだ。」

「はい、そうしましょう、全ては我ら戒禁の紡ぎ手、十戒の名のもとに、邪神様への供物を捧げん。」

薄ら笑いを浮かべた十人が、最悪の十人が水面下で静かに動き始めた。

その中には、気味の悪い面を被った者がいた。
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