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第14話 雷には気をつけろ!
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事務所で書類作成やアポ取りの電話を進める、営業係の4人。キーボードをたたく音と、「はい、では〇日にお伺いさせていただきますので…」という声が行き交う中、ゴロゴロという不穏な音が部屋に響いた。
「あっ、雨降ってきましたねー」
ふと窓のほうを見た土師が呟く。どんよりとした曇り空からぽつぽつと雨粒が落ちてきたかと思うと、あっという間にバケツをひっくり返したような豪雨となった。
激しい雨音に、澤山も眉をひそめて外を見つめる。
「あちゃー、俺、今日は折りたたみ傘しか持ってきてないな…帰りまでに止むといいんだが……」
「大丈夫ですよ澤山さん。雨雲レーダーを見たところ、1時間後には止んでいそうです。いわゆるゲリラ豪雨ですね」
「へー、そんなのあるのか。馬路、ちょっとそれ見せてくれよ」
「もちろんですよ」
こちらです、と馬路がスマホの画面を澤山に見せる。雨雲レーダーには現在の降水量と今後の雨雲予報が載っており、現状、事務所付近は降水量が多いことを示す赤で塗りつぶされていた。
「なるほど……これ、便利だな? 外回りの時、役に立つだろ絶対」
「ほかにも、雷レーダーなんかもありますよ。そちらも現在の落雷情報と、今後の予報が出るんです」
「さすが馬路さん、いろいろ知っててすごいです! ね、安保さん!……安保さん?」
土師が同意を求めて安保のデスクの方を向くが、そこに安保の姿はない。不思議に思った土師が近寄って見ると、彼女は何故かデスクの下で体育座りしていた。
「あ、安保さん? ど、どうしたんですか?」
「カミナリが……鳴ってるから……」
「なんだ安保。お前、雷苦手なのか? 意外だな」
「カミナリは明らかに勝てない相手だからいやです……強風とか大雨とか、最悪地震とかも、発生後に何かしらアクションとれるじゃないっすか。でも、カミナリってどうあがいても無理じゃないですか。光速で落ちてきて、かつ致命傷を与えてくるんですよ。怖すぎる」
「ど、独特な怖がり方ですね……」
3人が怒涛のカミナリ怖い論に圧倒されていた、その時、
ドゴーーーン!!
という轟音とともに地面が揺れ、事務所の電気がフッと消えた。
「ミ゛ャーーー!!! だから言った!! だから言いましたカミナリいやだって!!」
「えええ、なにも見えないんですけどぉおわぁ?!」
「土師お前は動くな!!」
瞬間的に阿鼻叫喚の地獄絵図となった事務所だったが、30秒もたたないうちに電気が復旧し、明かりが灯る。
いつの間にか、外はずいぶんと静かになっていた。どうやら、ぎゃあぎゃあと騒いでいるうちに、雨雲は遠ざかっていったようで、雷の音も小さくなっていた。
4人はほっと一息つき、作業を再開しようと各々がデスクに戻り、作業中のパソコンに目を向ける。
「「「「―――あ゛」」」」
そこには、真っ暗な画面が鎮座してた。
「ヤバイヤバイヤバイ! 俺さっきまでの作業まだ保存してないぞ!!」
「うえええん! 僕のPC起動しないんですけど?!」
「バックアップが、バックアップが残っていれば何とか……!」
「もーヤダ。人類、カミナリに完全敗北じゃないすか」
結局、この日は4人とも残業することになったのだった。
「あっ、雨降ってきましたねー」
ふと窓のほうを見た土師が呟く。どんよりとした曇り空からぽつぽつと雨粒が落ちてきたかと思うと、あっという間にバケツをひっくり返したような豪雨となった。
激しい雨音に、澤山も眉をひそめて外を見つめる。
「あちゃー、俺、今日は折りたたみ傘しか持ってきてないな…帰りまでに止むといいんだが……」
「大丈夫ですよ澤山さん。雨雲レーダーを見たところ、1時間後には止んでいそうです。いわゆるゲリラ豪雨ですね」
「へー、そんなのあるのか。馬路、ちょっとそれ見せてくれよ」
「もちろんですよ」
こちらです、と馬路がスマホの画面を澤山に見せる。雨雲レーダーには現在の降水量と今後の雨雲予報が載っており、現状、事務所付近は降水量が多いことを示す赤で塗りつぶされていた。
「なるほど……これ、便利だな? 外回りの時、役に立つだろ絶対」
「ほかにも、雷レーダーなんかもありますよ。そちらも現在の落雷情報と、今後の予報が出るんです」
「さすが馬路さん、いろいろ知っててすごいです! ね、安保さん!……安保さん?」
土師が同意を求めて安保のデスクの方を向くが、そこに安保の姿はない。不思議に思った土師が近寄って見ると、彼女は何故かデスクの下で体育座りしていた。
「あ、安保さん? ど、どうしたんですか?」
「カミナリが……鳴ってるから……」
「なんだ安保。お前、雷苦手なのか? 意外だな」
「カミナリは明らかに勝てない相手だからいやです……強風とか大雨とか、最悪地震とかも、発生後に何かしらアクションとれるじゃないっすか。でも、カミナリってどうあがいても無理じゃないですか。光速で落ちてきて、かつ致命傷を与えてくるんですよ。怖すぎる」
「ど、独特な怖がり方ですね……」
3人が怒涛のカミナリ怖い論に圧倒されていた、その時、
ドゴーーーン!!
という轟音とともに地面が揺れ、事務所の電気がフッと消えた。
「ミ゛ャーーー!!! だから言った!! だから言いましたカミナリいやだって!!」
「えええ、なにも見えないんですけどぉおわぁ?!」
「土師お前は動くな!!」
瞬間的に阿鼻叫喚の地獄絵図となった事務所だったが、30秒もたたないうちに電気が復旧し、明かりが灯る。
いつの間にか、外はずいぶんと静かになっていた。どうやら、ぎゃあぎゃあと騒いでいるうちに、雨雲は遠ざかっていったようで、雷の音も小さくなっていた。
4人はほっと一息つき、作業を再開しようと各々がデスクに戻り、作業中のパソコンに目を向ける。
「「「「―――あ゛」」」」
そこには、真っ暗な画面が鎮座してた。
「ヤバイヤバイヤバイ! 俺さっきまでの作業まだ保存してないぞ!!」
「うえええん! 僕のPC起動しないんですけど?!」
「バックアップが、バックアップが残っていれば何とか……!」
「もーヤダ。人類、カミナリに完全敗北じゃないすか」
結局、この日は4人とも残業することになったのだった。
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