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第4章 「木星」
メディカル
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数分間の沈黙のあと、直径1.5mサイズの穴が開いた。
左胸に、やたら派手なリボンがいくつもならんでいる濃紺の制服を着た、おそらく上級の士官が入ってきて、右手を伸ばした。
巡洋艦と言っていたが、リボンに見合う立場の士官と言えば……。
赤毛のビアード髭の士官は手を伸ばしたまま言った。
なめらかなテノールの声で。
「こういう時の挨拶を知らないので、これで」
「ああ。俺もなんと応えていいのかわからない」
そう言うと、俺は出された右手を握り返した。
常套句では「歓迎する」だが、俺たちはむしろ「招かれざる客」だ。
船乗りの心情としてはもちろん助けたいが、上の判断が逆になることもある。
その時は往々にして「不慮の事故」「手遅れ」が起きるが、その結果責任を取らされるのも艦長だ。
ここ……おそらくは爆発物処理設備から出されるのは、人道的側面もあるだろうが、むしろ監視カメラとマイクが無数に隠されている部屋で不用意な発言をして、その記録が残されるのを防ぎたいというのが本音だろう。
ここを出ることは、むしろこちらにはリスクが高まる。
「そう身構えないでください」
俺の内心を読んでか、艦長が手を引いた。
「こちらも船乗りですし、船乗りの礼は知っています」
1m近い厚さを持つ、もはやトンネルと呼べる隔壁を出た先は廊下だった。
8角形というか、正方形の角をとったような形状をした、1辺2.5mほどのライトグレイの通路だ。
突き当たりまでの壁までは、ドアのサイズから勘案すれば、およそ50mほどか。
床や天井、壁にはレールが走っていて、それに沿う形で照明が灯ってる。
レールは大型船の船内移動に使うハンドグリップが滑るようになっている。
普段は意味を持たないが、担架などを引っかけて移動するのに使う、軍艦の標準装備だ。
「クワジマ航海士。あなたの操船記録を確認しました」
そう言いながら、すれ違う若い兵士の敬礼に答礼して、さらに言葉を続けた。
「今の連中。もちろん私への挨拶もありますが、あなたへのリスペクトも少なくないんですよ。
よくもまあ、あの船であんな飛行ができたものだと。
あなたがもう少し若くて、姫様の許可が出たら、この船の航海士に迎えたいくらいです」
社交辞令とおだてがあるはといえ、悪い気はしない。
「そういえば、俺の船はどうなった? デブリの仲間入りか?」
「証拠として、ケーブルに繋いで引っ張っています。
何より私も……あの船の操船データが欲しいですから。
いささか今更ですが、私が舵を握れるなら、チャレンジしてみたいです。
現実には、シミュレーターへの入力さえ止められるとは思いますが」
…………ん?
「アンタ、航海士あがりか?」
「ええ。それが何の因果か、今ではこの艦一番の閑職ですよ」
「ははははは。ざまぁないな」
我ながら単純だとは思うが、同じ航海士というだけで気が緩む。
「ガキ。アンタの言う『姫様』と同じで、数合わせの置物になっちまったか。
こっちの船のオーナーは俺で……」
ちらっとガキに目をやった。
「船の記録をトレースしたんならわかるだろう。
俺たちは木星に突入してから、かれこれ30時間以上、もう40時間になるか、不眠不休だ」
そう言うと、俺は自分の下腹部を押さえて見せた。
「失礼。気がつきませんで。メディカルに案内します。
ただ、クワジマ航海士はともかく姫様サイズのライトスーツもブーツもありません。
この艦は軍艦なんです」
航海士あがりというのは、俺を油断させるための方便ではなく、本当らしい。
こちらの「その間トイレにも行っていない。ライトスーツの中身は察しろ」が通じている。
「贅沢は言わない。
ガキは見た目通りの身体だから、出る方もたかがしれている。オムツの許容内だろう。
俺の方は少し、残念なことになっていると思うがな」
「ずっこい!」
俺のライトスーツを掴んで黙ってついてきたガキが、掴んだ拳を握ったまま、俺の背中を叩いた。
落としどころはこのあたりか。
「メディカルが使えるんなら、今のうちに頼む」
「さすがにどこか痛めましたか?」
フェアバンクス艦長が半ば本気で心配するのを、俺は笑い飛ばした。
「俺はただの経年劣化だ。もう50年もこの身体を使っているからな。
それよりガキを看てやってくれ。
『上』が結論を出した後じゃ、アンタもやりにくいだろう」
そう。俺はこの艦の名前はともかく、どこの所属かも知らない。
リンドバーグ家の強大な力は、バランスを取るように、同じ規模の反リンドバーグ派をつくる。
この艦の所属する政府がそちら側だったら……。
そういう連中にとっては、なまじ健康体でいるよりも、半死半生の方が使いやすい。
いや。健康体でも、あえて「そう」するだろう。
そのためにはメディカル、つまり医務室ほど都合のいい設備もない。
注射1本で病人が作れ、軍艦ならそれを完治させられる薬も常備している。
「上」がそういう判断をする前に、手を打って欲しいという提案だ。
フェアバンクス艦長は、すっと真顔に戻って、俺の目を見て言った。
「申し訳ありませんがスカウトの話は忘れてください。
部下の目が良すぎると、上司が疲れるんですよ」
言われて俺は口角を上げた。
「老眼が始まっていてな。
近くはからっきしだが、遠くは無駄に見えるようになってきた」
返す俺に艦長は俺とガキを一瞥して、やはり口角を上げた。
「そのようですね」
メディカルチェックはすぐ終わった。
がらんと広い部屋の片隅に、メディカルスペースがあり、その一角に直径1mほどの乳白色の円柱が天井までのびている。
万が一、有事になれば、この空いたスペースには担架やベッド、ひょっとしたら治療カプセルがならぶのだろう。
俺は円柱のドアを開けてその中に入り、ブーツを残し全裸になる。
入って正面のパネルを押すと、30cm四方の穴が開き、そこに脱いだ物を全部入れる。
あとは人工音声のガイドアナウンスに従って、目を閉じて立っているだけでいい。
半円形の板に凹みがあり、そこに首を乗せる。
板の下にあるレバーをひねると、残りの半円が閉まり、ギロチン台から首を出したような形になる。
ほどなく、断頭台の刃の代わりにゼリー状のゴムのような物質が首に叩きつけられて、「断頭台」と板の隙間を埋めて固まる。
過酸化水素水が、板で仕切られた首から下に浴びせられる。
もしケガをしていれば、激痛に大人でも悲鳴を堪えられないが、外傷がなければこれほどの快感も少ない。
揮発性の高い過酸化水素水を身体に浴びて、爽快感と……ミキシングブラシによる心地よい刺激が全身をほぐしてくれる。
見た目に反して自由がほとんどなく、生命のリスクすらある船外活動に対する報償とでも言うべきか。
この快感を求めて、あえて船外活動を希望する船乗りは少なくない。
逆に言えば、この報償がなければ船外活動は押し付け合いになって、人間関係がギスギスする。
それほどまでにこの洗浄による快感は大きく、船外活動は過酷だ。
カージマーのように小さな船ならともかく、20人以上のクルーを抱える中型以上の船では必需装備とも言える。
身体洗浄が終わったというアナウンスに先ほどのレバーをもう一度ひねると、隙間うめのゴムを連れて板が割れ、「断頭台」から解放された。
そのあと「堅く目を閉じてください」というアナウンスがあって、閉じた瞼ごしにも光が眩しい。
紫外線と赤外線、それに可視光線で身体を滅菌しているのだ。
ほどなく闇が戻ってきた。音声ガイドを待つ。
終了のアナウンスを受けて目を開き、入って最初に押したパネルを押す。
薄水色のライトスーツがあった。
胸元には[Canberra]の刺繍がある。
新品か?
もともとライトスーツはなかば消耗品で予備は捨てるほどあるし、妙なものの持ち込みを避けるという意味でも、妥当だろう。
どこで採寸したのか、サイズは俺にぴったり合った。
左胸に、やたら派手なリボンがいくつもならんでいる濃紺の制服を着た、おそらく上級の士官が入ってきて、右手を伸ばした。
巡洋艦と言っていたが、リボンに見合う立場の士官と言えば……。
赤毛のビアード髭の士官は手を伸ばしたまま言った。
なめらかなテノールの声で。
「こういう時の挨拶を知らないので、これで」
「ああ。俺もなんと応えていいのかわからない」
そう言うと、俺は出された右手を握り返した。
常套句では「歓迎する」だが、俺たちはむしろ「招かれざる客」だ。
船乗りの心情としてはもちろん助けたいが、上の判断が逆になることもある。
その時は往々にして「不慮の事故」「手遅れ」が起きるが、その結果責任を取らされるのも艦長だ。
ここ……おそらくは爆発物処理設備から出されるのは、人道的側面もあるだろうが、むしろ監視カメラとマイクが無数に隠されている部屋で不用意な発言をして、その記録が残されるのを防ぎたいというのが本音だろう。
ここを出ることは、むしろこちらにはリスクが高まる。
「そう身構えないでください」
俺の内心を読んでか、艦長が手を引いた。
「こちらも船乗りですし、船乗りの礼は知っています」
1m近い厚さを持つ、もはやトンネルと呼べる隔壁を出た先は廊下だった。
8角形というか、正方形の角をとったような形状をした、1辺2.5mほどのライトグレイの通路だ。
突き当たりまでの壁までは、ドアのサイズから勘案すれば、およそ50mほどか。
床や天井、壁にはレールが走っていて、それに沿う形で照明が灯ってる。
レールは大型船の船内移動に使うハンドグリップが滑るようになっている。
普段は意味を持たないが、担架などを引っかけて移動するのに使う、軍艦の標準装備だ。
「クワジマ航海士。あなたの操船記録を確認しました」
そう言いながら、すれ違う若い兵士の敬礼に答礼して、さらに言葉を続けた。
「今の連中。もちろん私への挨拶もありますが、あなたへのリスペクトも少なくないんですよ。
よくもまあ、あの船であんな飛行ができたものだと。
あなたがもう少し若くて、姫様の許可が出たら、この船の航海士に迎えたいくらいです」
社交辞令とおだてがあるはといえ、悪い気はしない。
「そういえば、俺の船はどうなった? デブリの仲間入りか?」
「証拠として、ケーブルに繋いで引っ張っています。
何より私も……あの船の操船データが欲しいですから。
いささか今更ですが、私が舵を握れるなら、チャレンジしてみたいです。
現実には、シミュレーターへの入力さえ止められるとは思いますが」
…………ん?
「アンタ、航海士あがりか?」
「ええ。それが何の因果か、今ではこの艦一番の閑職ですよ」
「ははははは。ざまぁないな」
我ながら単純だとは思うが、同じ航海士というだけで気が緩む。
「ガキ。アンタの言う『姫様』と同じで、数合わせの置物になっちまったか。
こっちの船のオーナーは俺で……」
ちらっとガキに目をやった。
「船の記録をトレースしたんならわかるだろう。
俺たちは木星に突入してから、かれこれ30時間以上、もう40時間になるか、不眠不休だ」
そう言うと、俺は自分の下腹部を押さえて見せた。
「失礼。気がつきませんで。メディカルに案内します。
ただ、クワジマ航海士はともかく姫様サイズのライトスーツもブーツもありません。
この艦は軍艦なんです」
航海士あがりというのは、俺を油断させるための方便ではなく、本当らしい。
こちらの「その間トイレにも行っていない。ライトスーツの中身は察しろ」が通じている。
「贅沢は言わない。
ガキは見た目通りの身体だから、出る方もたかがしれている。オムツの許容内だろう。
俺の方は少し、残念なことになっていると思うがな」
「ずっこい!」
俺のライトスーツを掴んで黙ってついてきたガキが、掴んだ拳を握ったまま、俺の背中を叩いた。
落としどころはこのあたりか。
「メディカルが使えるんなら、今のうちに頼む」
「さすがにどこか痛めましたか?」
フェアバンクス艦長が半ば本気で心配するのを、俺は笑い飛ばした。
「俺はただの経年劣化だ。もう50年もこの身体を使っているからな。
それよりガキを看てやってくれ。
『上』が結論を出した後じゃ、アンタもやりにくいだろう」
そう。俺はこの艦の名前はともかく、どこの所属かも知らない。
リンドバーグ家の強大な力は、バランスを取るように、同じ規模の反リンドバーグ派をつくる。
この艦の所属する政府がそちら側だったら……。
そういう連中にとっては、なまじ健康体でいるよりも、半死半生の方が使いやすい。
いや。健康体でも、あえて「そう」するだろう。
そのためにはメディカル、つまり医務室ほど都合のいい設備もない。
注射1本で病人が作れ、軍艦ならそれを完治させられる薬も常備している。
「上」がそういう判断をする前に、手を打って欲しいという提案だ。
フェアバンクス艦長は、すっと真顔に戻って、俺の目を見て言った。
「申し訳ありませんがスカウトの話は忘れてください。
部下の目が良すぎると、上司が疲れるんですよ」
言われて俺は口角を上げた。
「老眼が始まっていてな。
近くはからっきしだが、遠くは無駄に見えるようになってきた」
返す俺に艦長は俺とガキを一瞥して、やはり口角を上げた。
「そのようですね」
メディカルチェックはすぐ終わった。
がらんと広い部屋の片隅に、メディカルスペースがあり、その一角に直径1mほどの乳白色の円柱が天井までのびている。
万が一、有事になれば、この空いたスペースには担架やベッド、ひょっとしたら治療カプセルがならぶのだろう。
俺は円柱のドアを開けてその中に入り、ブーツを残し全裸になる。
入って正面のパネルを押すと、30cm四方の穴が開き、そこに脱いだ物を全部入れる。
あとは人工音声のガイドアナウンスに従って、目を閉じて立っているだけでいい。
半円形の板に凹みがあり、そこに首を乗せる。
板の下にあるレバーをひねると、残りの半円が閉まり、ギロチン台から首を出したような形になる。
ほどなく、断頭台の刃の代わりにゼリー状のゴムのような物質が首に叩きつけられて、「断頭台」と板の隙間を埋めて固まる。
過酸化水素水が、板で仕切られた首から下に浴びせられる。
もしケガをしていれば、激痛に大人でも悲鳴を堪えられないが、外傷がなければこれほどの快感も少ない。
揮発性の高い過酸化水素水を身体に浴びて、爽快感と……ミキシングブラシによる心地よい刺激が全身をほぐしてくれる。
見た目に反して自由がほとんどなく、生命のリスクすらある船外活動に対する報償とでも言うべきか。
この快感を求めて、あえて船外活動を希望する船乗りは少なくない。
逆に言えば、この報償がなければ船外活動は押し付け合いになって、人間関係がギスギスする。
それほどまでにこの洗浄による快感は大きく、船外活動は過酷だ。
カージマーのように小さな船ならともかく、20人以上のクルーを抱える中型以上の船では必需装備とも言える。
身体洗浄が終わったというアナウンスに先ほどのレバーをもう一度ひねると、隙間うめのゴムを連れて板が割れ、「断頭台」から解放された。
そのあと「堅く目を閉じてください」というアナウンスがあって、閉じた瞼ごしにも光が眩しい。
紫外線と赤外線、それに可視光線で身体を滅菌しているのだ。
ほどなく闇が戻ってきた。音声ガイドを待つ。
終了のアナウンスを受けて目を開き、入って最初に押したパネルを押す。
薄水色のライトスーツがあった。
胸元には[Canberra]の刺繍がある。
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