現代兵器で異世界無双

wyvern

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陸編

 24.夜襲

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再びところ変わってデスニア帝国軍先遣部隊指揮所
夜の出撃に向け慌ただしく準備を始める歩兵や騎兵部隊を横目に魔術化部隊と呼ばれる魔法に特化した歩兵部隊の一種の部隊はとある訓練をしていた。
コンダート王国軍にも帝国軍にも魔法化部隊は存在しているのだが、帝国には遊牧民が多く、都市に住む人が少ないため魔法を教育されている兵が少ないので帝国軍内部では希少価値の高いものである。しかし量が多い王国に比べ帝国の場合そういった特色から魔法教育に力を入れているので質がいい、そのため戦場に出ることは少ないものの重要な局面で帝国軍の勝利を支えている影の立役者でもある。
今回、重要な役割を任された千人余りの魔法化部隊の兵たちは訓練に励む、その訓練を指揮しているのはリレイの副官のユリーシャだ、ユリーシャ自身大事な役割を任されているためか、会議の時の大人しそうな印象が嘘のように激しく怒鳴ったり、大声で指示を飛ばしていたり、ものすごく真剣に訓練を施している。
「いいか貴様ら!この一戦は帝国にとって大事な一戦だ!とても難易度は高い作戦だとは思うがこの作戦が成功すれば今の階級から一気に上へと上がれるだろう!」
ユリーシャの励ましの言葉によって兵たちは歓声をあげ、きつい訓練で少し疲弊していたがその言葉によって元気付けられたのかさらなる訓練をこなしていく。

夜になり兵士たちは戦闘を前に食事を済ませ、すぐに野営地を片付け行軍を始める。
それに続いて前回出撃しなかったリレイを含める将校達も馬に乗って兵と共に行軍を始める。
行軍中、リレイに寄り添うようにしてユリーシャは今回の作戦内容を確認する。
「リレイ閣下、今回私が率いる魔法化部隊ですが“例”のものができるようにしておきました」
「よくやった、ユリーシャこの作戦は君が要だ、しっかりと頼むぞ」
「ハッ!御身のままに」


夜になったハミルトン城で兵たちは交代で歩哨につき、残りの兵たちは夕食をとっていた。
俺たちもこの時間の間に腹ごしらえをすることにした。サクラとミントエレシア達は町の食堂でご飯を食べているらしいが、俺は食欲がないため、LiSMで栄養補給食と翼を授けると謳い文句のドリンクを召喚して、兵たちのテント近くで口に入れていた。
シルヴィアとキューレ・エレザ姉妹は当初は食堂に一緒に行くことになっていたが、俺の食欲がないことを理由に行かないと言って残ると、彼女らも残ると言い出した。どうやらシルヴィアとキューレはノアのことがまだ許せないらしく近づきたくないようだ。ただエレザとミレイユの二人は単に兵器の手入れをしたいとのことだった(それを聞いてちょっと残念)。

「ワタ……様、この後戦いが終わったらメリア女王と一緒になるんですよね?そうしたら私たちは邪魔者ですか?」
キューレは唐突にそんなことを言い出した。どうやらずっとこのことが気になっていたらしく、少し前まで静かにしていたようだ。
「何を急に言い出すんだ、君たちと別れることは今後一切ないよ、第一一緒についてきてくれるんだろう?」
「ううっ!あ、ありがとうございます!一生ついて行きます」
ほっとしたのか、キューレは安心した顔になってほろほろと涙を流す
「そ、そんなこと言うなら、わ、私だって、一生下僕としてついてまいります!」
キューレの言葉に同調してか、シルヴィアは顔を俯かせながら言ってくる
「そんな生ぬるいやつじゃなくて、君たちは……俺の――」

「敵襲!!全員戦闘配置に付け!」
敵が来たため、静かに夕食をとっていた兵たちも即座に武器を取り各部署へと戻っていく。
キューレやシルヴィアは俺の言葉を待っていたようだが、すぐに真剣な顔に変え召喚して供与してからずっと愛用してくれているSIG716にマガジンを込めチャージングハンドルを引き初弾装填までを淀みなく行っていった。同時にエレザとミレイユもHK416を同じように撃てるようにする。
 すぐにガトリング班は銃座が設置してある城壁の上に走っていき、迫撃砲射撃班はあらかじめ距離、方向を決めて設営しておいた射撃陣地へと走る、当初は城壁内からの射撃を予定していたが、見通しも利かず城壁への誤射の可能性もあるため門の手前の平らな場所を選んだ。迫撃砲は40門設置した。
 今回俺はガトリング班と一緒になってGAU-19で射撃に参加する、下の班とは事前に渡してあった無線機で連絡を取ることにしてある、使い方は講習と同時に教えてある。
 城壁の上から暗視装置付きの双眼鏡を使って、敵の向かってきた方向を観察する。
 敵は縦隊で進んできていた、こちらが気付いていないと思ってか、身をかがめもせず、足音も普通に聞こえてくる。
俺は身に着けていたインカムで下の班に指示を出す
「迫撃砲は合図あるまでそのまま!」
「「「了解!」」」
「ガトリング班は俺の射撃と同時に射撃開始!」
「「「「了解!」」」」


帝国軍は城に接近し始めると、かねてから訓練してきた作戦を実行に移した。
「魔術化部隊各員につぐ、直ちに部隊前方に対衝撃シールドを展開せよ!」
部隊長に促され、魔術化兵たちは戸惑うことなく完璧なシールドを展開した
(よしこれでいける!我らの帝国魔術化兵ならきっと敵の攻撃をしのいでくれるに違いない)
リレイはそんなことを思いながら、自信に満ち溢れた表情で戦線を見守る。
まもなく敵の城が視界内に入ってくる――――


暗視装置付きの双眼鏡越しに敵の動向を窺っていた俺は、有効射程圏内(両方の銃の射程圏が重なる位置)に到達したことを確認したので、下の班にとある作戦を実行してもらうことにした
「こちら迫撃砲班ノア、射撃準備完了」
「了解、弾種照明、撃ち方用意」
「了解!」
「良し、来たぞ!全砲斉射 撃ち方はじめ!」

ボン!ボン!ボン!
下の方から断続的に射撃音が続く。
「撃ち方やめ!」
「40発発射完了!」
「了解、次の指示があるまで待て」
「了解!」

しばらくすると上空に到達した40発の照明弾が時限信管の作動により次々と発光していく。
昼間のように明るくなったおかげで敵の位置から配置までまるわかりである。敵は急にまぶしくなったためその場でたたらを踏み、ゆっくりとした行軍もぴたりと止まった。

「続いて、弾種榴弾、基準砲試射はじめ!」
「了解!試射はじめ……撃てッ!」
「弾ちゃーく……今!」

ボン!と一発敵の左中央に着弾し爆炎が見える

「右前方に修正射、基準砲撃て」
「了解!修正射……撃てッ!」
「弾ちゃーく……今!」

今度は敵の隊列の一番前の列に着弾した
「目標前方に着弾!効力射はじめ!全砲門斉射!」
「了解!全砲門斉射はじめ!撃てッ!」

最初の二発ではびくともせずとどまっていたが、無数の砲弾が向かってくると隊列を乱しバラバラにこちらに突撃し始めた。
すでに照明弾の明かりが消えてしまっているので、再び照明弾を撃ちあげてもらう。

「迫撃砲班、弾種変更、照明弾、明かりが薄くなり次第射撃せよ!」
「迫撃砲班了解……撃てッ!」

再度明かりがともされた機会にガトリング班も射撃を開始
「ガトリング班射撃開始!てッ!」
「「「「了解!」」」」

ヴォォォォォオォォォォオォォ!

12.7㎜と7.62㎜の無数の鉄の矢が敵に向かって撃ち出される。
目の前ではこの“鉄の暴風”の中勇猛果敢に突撃してくる連中がいたがさすがに弾量が多くすぐに血の海へと消えていく、盾を前に前進してくる集団もあったが薄い鉄板であったら易々と貫通する7.62㎜の弾では紙以下でしかない、その弾で済めばよいが、今回その上位の12.7㎜も使用しているので恐らく、そのすさまじい威力によって単発であればまだ穴が開くか千切れ飛ぶぐらいだろうが、無数の弾が飛び交うこの場では人間はもはや形すら残らないだろう。

しばらく射撃を続けていると、前線にいた敵兵は文字通り“消え失せていた”

「総員射撃中止!迫撃砲班は撤収せよ!」

号令をかけた後敵の方向を双眼鏡で確認すると奥に少数であるが残存する兵が残っていた。

広場に集まるとそこではもうすでに勝利を喜び、酒を飲み始める連中がいた。まだ敵が完全に撤退したわけではなさそうだが、兵たちはそんな束の間を過ごしていた。
俺が下に行くとすでにローレンスやノア達も集合していた
「陛下この度の勝利、おめでとうございます!これで今夜はゆっくり寝れそうです」
ローレンスは今まで以上に明るい表情で話しかけてきた、きっと本人は今までの重責がストレスとしてあったのだろうが、今回の戦闘で少しは楽になったのだろう。
「いやローレンスさんこれはみんなの総力によって成し得たことです、ご苦労様です」
そういって俺は腰を折って礼をする
「いえ、陛下、これは陛下の兵器のおかげでもありましょう、本当に感謝しています」
ノアも嬉しそうに返してくる
「ただ、それでも今は追い返しただけこの後の殲滅戦が重要」
ミレイユは珍しく少し上気した顔でそう言ってきた。
「そうだね、この後も引き続き警戒を怠らないように、親衛隊長は関係各所に伝達をお願いできますかな?」
「ハッ、直ちに!」
ローレンスが伝達に行ったのを見送った後、俺はある作戦についてキューレ達を呼び話し合いを始めた。


そのあと、俺らもこのままでは体が持たないので町の広場の一角にある防衛隊のテントの一部を借りて仮眠をとることにした。
 そのまま何事もなくテントで一夜を明かした――――
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