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3話

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「ここがキリカ村かぁ…うーん…空気が美味しい…」

「お嬢様、村の者が集まっています。あまりはしたない真似をなさいません様に…」

長時間馬車に揺られて身体がギチギチだ。馬車を降りて背伸びをしているとマーカスがグチグチと小言を言ってきた。

「しょうがないじゃない?身体中ギチギチなんだからさ」

「あんのー。おたく様が侯爵様のところのお嬢様ですかい?」

馬車の周りに集まって来た村人の中から1人の老人が進み出て私に声を掛けて来た。

「はい。私の名前はミラン=オークス。貴方の仰った通りオークス侯爵は私の父にあたります。失礼ですが貴方は?」

「ワシは侯爵様にこの村の事を任されとるバレルっちゅうモンですわ。貴族様の礼儀作法は知りませんので無礼が有れば申し訳ございません。侯爵様から娘を頼むっつー手紙が届いて、いつお嬢様が来られるか村のモン皆でお待ちしてました」

「バレル様は村長としてもう何十年もこの村を管理されているお方です。ご主人様とも長いお付き合いですので、信用出来る方でございます」

マーカスが補足で説明を入れてくれる。バレルさんかぁ…いかにも人の良いお爺さんって感じの人だなぁ。

「おんや?マーカスさんでねぇですか?お久しぶりですなぁ」

「ご無沙汰しておりますバレル様。本日よりお嬢様ともどもこの村でお世話になりす。改めてよろしくお願いしますね」

「えっ…!?ちょっとマーカス!貴方もこの村で生活するの!?私聞いて無いんだけど!?」

「それはお嬢様には言っておりませんでしたので、聞いて無いのは当たり前の事です。ご迷惑でしたか?」

「いじわる…迷惑な筈なんてないじゃない」

家を追い出され知らない村で知らない人達の囲まれて生活を送る事になると思っていたが、マーカスが一緒にいてくれるならこんなに心強い事は無い。
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