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2章 少女の覚醒
013 騎士団長ルーザ
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「あん!?テメェ何様だ?俺達はこのカスと話をしてるんだ、関係ない奴は引っ込んでろ!」
「市民が暴行されようとするのは見逃せないんでね、そんな事したら税金泥棒になっちまう、取り敢えずお前ら全員外に出ろ、店の迷惑になる」
カウンターの男はポケットから出した銀色のメダルをならず者達に見せつける、アレは確か騎士団のメダルだ、前にブラボーに来た騎士のお客さんに見せてもらった事がある。
「お前…騎士団か?バカな奴だな、魔力持ち5人を相手に1人で何が出来る、良いぜ、帝国兵士の実力を教えてやるよ」
「あーはいはい、とにかく外に出ようや、店長、悪いが俺にもマッドボアのグリルを追加で頼む、出来上がる頃には戻ってくるから」
騎士団の男はならず者達を引き連れて店から出て行く、加勢するべきだろうか、迷っている俺に店長さんが話掛けてきた。
「君達、不快な気分にさせて悪かったね、あの人の事なら心配しなくても大丈夫だよ、あんな風でもこの街の騎士団長だからね」
「騎士団長って…あの『夢幻のルーザ』!?ちょっと私見学してくる!騎士団長の戦いだなんて滅多に見られる物じゃ無いわ!」
アンが慌てて店から出て行く、つられて店から出た俺達の眼には5人の男と対峙した騎士団長の姿が映った。
「オッさん、カッコ付けたのが運の尽きだったな、土下座して謝るなら許してやるぜ、勿論慰謝料は払ってもらうけどな」
兵士崩れ達が下品な笑い声をあげる、対する騎士団長、ルーザさんはどこ吹く風だ、余裕が感じられる。
「あーもしもし?こちらルーザ、精霊の石窯亭の前に帝国兵崩れを5人転がしとくから捕まえに来るように、俺非番だから連れてったヤツの手柄にしていいからさ、お願いね」
先程のメダルにルーザさんが話掛ける、確か通話の出来る魔道具が埋め込まれているって話だったな。
「なめやがって!このクソ親父!」
「はい失格、予備動作が大きすぎる、20点」
帝国兵崩れの1人が拳を振り上げルーザさんに殴り掛かる、しかし振り抜かれた拳は空を切った、男の体が力無く倒れる、カウンター気味にルーザさんの掌底が顎にヒットしたのだ。
「面倒だから全員一緒に来いよ、時間の無駄だ」
残された男達が剣を抜く、剣の刃が淡く光を放つ、魔力だ、俺がクロスの試運転を兼ねたパトロール中に捕まえた帝国兵崩れの中にもあの技を使ってくる者がいた、確か剣速と殺傷力が上がる技だった筈だ。
「あーあ、抜いちゃったね、人間に対する武器の使用って罪が重いの知らないの?これで5年は臭い飯だよ」
4人の男達が一斉に斬りかかるがルーザさんには掠りもしない、1人また1人と男達が倒れていく。
「な、なんなんだよテメェ、なんで魔力強化した刃が当たらないんだ!?魔法を使ったのか!?」
「いや、俺魔力ないし、お前が最後だな、おやすみ」
最後の1人も地に倒れた、4人が抜刀して1分も経って無い。
「ハンパないな…アン、お前何が起きたか判ったか?」
「全然判らなかったわ、悔しいけど同じ体術でも私とは次元が違う…」
「1人目はカウンター気味の掌底、2人目は斬撃を避けての金的だろ、3人目は…」
「ちょっとヨーグ!貴方あの動きが見えていたの!?詳しく教えて頂戴!?」
ついうっかり口にでてしまったか、ルーザさんは動きに緩急をつけ人間の意識の隙を突いて動いていた、アン達にも見えていた筈だが脳が騙されてしまったのだろう。
「おっ、そこのお兄ちゃん凄いね、初見で動きを読まれたのは久しぶりだよ、どうだい、騎士団に入らないか?優秀な若者が入団してくれれば俺も少しは楽ができるんだけど」
俺達の話を聞いていたルーザさんが食いついてきた、クロスに変身する様になってから俺は普段の身体能力や五感が強化されている、ルーザさんの動きが見えたのもそのおかげだ。
「いや、偶然ですよ、偶然、当てずっぽう言ってカッコ付けただけです、すみませんでした」
「ほんとぉ~?完全に俺の動きが見えてたみたいだけど?」
ルーザさんが俺にデコピンをしようと腕を伸ばす、つい反射でその腕を掴んでしまった。
「ほら、やっぱり見えてるじゃん、まぁ無理に勧誘はしないからさ、気が向いたらでも騎士団を訪ねてきてよ」
なんだか喰えない人だな、悪い人ではなさそうだか飄々として底が見えない。
「あの!俺達Cランク冒険者パーティの『導きの星』って言います!良かったら食事しながらルーザさんの武勇伝を聞かせてもらえないでしょうか!?」
「私からもお願いします!体術使いとしてルーザさんの動きに見惚れてしまいました」
「前途ある若者達にそんな風に言ってもらえて悪い気はしないね、良し、店に戻って飲み直そうや」
どこからか警笛の音が聴こえてきた、ルーザさんの呼んだ騎士団が来たのだろうか、店内に戻った俺達を店長さんが迎えてくれた。
「お帰りなさい、マッドボアはまだ焼けていません、早すぎですよ」
「ギャラリーが居たんでちょっと張り切っちゃった、この子達と仲良くなったんで今から一緒に飲みなお…」
その時店の前に大勢の人間の気配が止まった、騎士団が到着したのだろう、1人の騎士が店の入り口を開ける。
「団長!ご無事でしたか!非番中に申し訳ありませんが店の前に転がっていた連中の罪状確認にご協力下さい!」
「やっぱりそうなるよね…おじさん知ってた、店長、俺の分のマッドボアはこの子達にプレゼントしてあげて」
会計を済ませたルーザさんが悲しそうな瞳で石窯を見つめながら店から出て行く、残された俺達は先程のルーザさんの戦いについての話で大いに盛り上がり夜が更けていった。
「市民が暴行されようとするのは見逃せないんでね、そんな事したら税金泥棒になっちまう、取り敢えずお前ら全員外に出ろ、店の迷惑になる」
カウンターの男はポケットから出した銀色のメダルをならず者達に見せつける、アレは確か騎士団のメダルだ、前にブラボーに来た騎士のお客さんに見せてもらった事がある。
「お前…騎士団か?バカな奴だな、魔力持ち5人を相手に1人で何が出来る、良いぜ、帝国兵士の実力を教えてやるよ」
「あーはいはい、とにかく外に出ようや、店長、悪いが俺にもマッドボアのグリルを追加で頼む、出来上がる頃には戻ってくるから」
騎士団の男はならず者達を引き連れて店から出て行く、加勢するべきだろうか、迷っている俺に店長さんが話掛けてきた。
「君達、不快な気分にさせて悪かったね、あの人の事なら心配しなくても大丈夫だよ、あんな風でもこの街の騎士団長だからね」
「騎士団長って…あの『夢幻のルーザ』!?ちょっと私見学してくる!騎士団長の戦いだなんて滅多に見られる物じゃ無いわ!」
アンが慌てて店から出て行く、つられて店から出た俺達の眼には5人の男と対峙した騎士団長の姿が映った。
「オッさん、カッコ付けたのが運の尽きだったな、土下座して謝るなら許してやるぜ、勿論慰謝料は払ってもらうけどな」
兵士崩れ達が下品な笑い声をあげる、対する騎士団長、ルーザさんはどこ吹く風だ、余裕が感じられる。
「あーもしもし?こちらルーザ、精霊の石窯亭の前に帝国兵崩れを5人転がしとくから捕まえに来るように、俺非番だから連れてったヤツの手柄にしていいからさ、お願いね」
先程のメダルにルーザさんが話掛ける、確か通話の出来る魔道具が埋め込まれているって話だったな。
「なめやがって!このクソ親父!」
「はい失格、予備動作が大きすぎる、20点」
帝国兵崩れの1人が拳を振り上げルーザさんに殴り掛かる、しかし振り抜かれた拳は空を切った、男の体が力無く倒れる、カウンター気味にルーザさんの掌底が顎にヒットしたのだ。
「面倒だから全員一緒に来いよ、時間の無駄だ」
残された男達が剣を抜く、剣の刃が淡く光を放つ、魔力だ、俺がクロスの試運転を兼ねたパトロール中に捕まえた帝国兵崩れの中にもあの技を使ってくる者がいた、確か剣速と殺傷力が上がる技だった筈だ。
「あーあ、抜いちゃったね、人間に対する武器の使用って罪が重いの知らないの?これで5年は臭い飯だよ」
4人の男達が一斉に斬りかかるがルーザさんには掠りもしない、1人また1人と男達が倒れていく。
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「いや、偶然ですよ、偶然、当てずっぽう言ってカッコ付けただけです、すみませんでした」
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ルーザさんが俺にデコピンをしようと腕を伸ばす、つい反射でその腕を掴んでしまった。
「ほら、やっぱり見えてるじゃん、まぁ無理に勧誘はしないからさ、気が向いたらでも騎士団を訪ねてきてよ」
なんだか喰えない人だな、悪い人ではなさそうだか飄々として底が見えない。
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