花間の高手

きりしま つかさ

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第0032話 身の程知らず

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「田舎の小僧が女神・夏蘭に手紙を書いたって話で教室が騒ぎ立てる。

特に噂好きの女子たちが囁き合う声が大きくなる」

「ちっちゃくてかわいい子が褒めるように『意外と秋羽はロマンチックだね、手紙なんて書いてたんだ』と」

「ぽっちゃりした子が鼻をつまんで『剃刀屋の先に火が出るほど熱心だけど、自分の条件も見てないでしょ。

夏蘭さんを狙うなんて自己中心的よ』と」

「小柄で整った顔の子が反論する『そんなこと言わないで、本当の恋は貧富に関係ないんだから』と」

「明るい子が皮肉めかして『そりゃそうだけどね。

私は貴方を追いかける自由があるし、貴方は拒む権利もあるわ。

凤姐さんもオバマさんにアプローチしたことがあるのよ……』と」

「夏蘭に片思いする男子たちは内心で憤る『この野郎!女神様は俺の理想像なんだぞ、お前が手を出すなんて無理がある!』と」

「何大剛たちがからかうように『羽哥さん、眼光が凄いね。

見事に選んだわよ』と」

「『オネーちゃんは目利きだね』と」

「『早く紙片拾って読ませてみろ!羽哥さんの文章力も気になるし……』と」

「『早く!みんなで参考にするからさ、羽哥さんも格闘技が上手いし恋愛の腕前もそれほど悪くないはずだよ……』と」

「胡州が一歩前に出て紙片を拾い上げ立ち上がると同時に笑顔で秋羽に尋ねる『羽哥さん、私が読むのを許可してくれますか?』と」

「秋羽は内心で考える『とにかく俺じゃないから問題ない。

もしかしたら何か手がかりになるかもしれないし……』と肩をすくめる『構わないよ、どうぞ大きな声で読んでくれていいわ。

みんな聞いてみようよ……』と」

「問題児たちが拍手するように叫ぶ『羽哥さん!男気があるね、堂々としてる!』と」

「『さすがだね、正真正銘の男前だぜ!』と」

「『早く読むんだよ、胡州!羽哥さんが許可したんだから……』と」

「胡州は笑顔で言う『待ってみんな静かに。

これから読むわ……』と息をついて紙片を読み上げる『夏蘭さんへ……』と」

「その一言だけで夏蘭の頬が真っ赤になる。

リンゴみたいに赤くなる」

「鄭語菡は振り返り、新入生の秋羽を見ながら驚きの表情で笑う。

しかし秋羽は変わらず落ち着いていた。

特に動揺する様子もない」

「遠くから李偉がため息をつく『まさか私が仕掛けた手紙が公開されるなんて……』と」

「みんな爆笑しながら興味津々に見守る。

この騒動の全容を」

「何大剛は舌打ちして褒める『羽哥さん!言葉遣いが凄いね、圧倒的だよ!』と」

「朱彪が待ちきれないように言う『なかなかいいじゃないか!早く続きを読んでくれ!』と」

「孫涛も促す『面白いぜ!胡州早く読め!』と」

「胡州は手紙を手に持ち続ける『では続きから……』と息をついて読み上げる『あなたが初めて目にした時、私は電流で打たれたように深くあなたを愛するようになりました。

あなたは月のように清らかな顔立ち、しなやかで優美な姿勢、一言一笑全てが私の心を奪い取り夜も眠れない……』と」

「その瞬間みんなが叫ぶ『素晴らしい!文才があるね!』と」

「『凄いわ!誰か寝不足になるほどだよ!早く続けろ!』と」

秋羽が低く答えた。

「本当に私が書いたわけないでしょう。

こんなに上手な文章なんて私には書けないわ……」

すると夏蘭の目が鋭くなった。

「黙れ!」

騒動が収まった後、胡州は言った。

「蘭ちゃん、私はあなたを愛しています。

海枯石烂まで、一生変わらないでください。

私の恋人になってください。

ずっとあなたに尽くし、溺愛します……」

ある女子生徒が驚いて叫んだ。

「わぁ!なんてロマンチックなの~!」

何大剛は感心して言った。

「凄いね羽哥さん!この手紙の文章も凄いけど、武道と文学の両方で優れているってことだよ」

夏蘭の頬が真っ赤になり、険しい目線をその男に向けた。

「あの野郎……こんな恥ずかしい内容まで書くなんて本当に下品ね!」

胡州は続けた。

「次は署名です。

ずっとあなたを愛している聞慕白……」と突然気づいたように慌てた。

「えっ?この手紙は羽哥さんじゃないんだわ!」

みんなが驚き、「聞慕白って、あの三大悪……」と言いかけて急に口をつぐんだ。

「三大邪少の一人で、聞少様のことだよ」

その言葉に全員が共感した。

「そうね。

この学校では聞慕白という名前は誰もが知ってるわ」

「つまりこれは羽哥さんの手紙じゃないの?聞慕白のものよね」

「蘭ちゃんは羽哥さんを疑ったんだわ……」

李偉は肩の力を抜いた。

「任務完了だね。

成功したかどうかはともかく、今は蘭ちゃんが相手の正体を知っているからいいや」

夏蘭は目を見開いて立ち上がり、「その手紙渡して見せて!」

と叫んだ。

胡州が慌てて手紙を渡すと、夏蘭はそれを受け取り、署名部分に視線を向けた。

確かに「聞慕白」と書かれていた。

彼女は憤りのあまり罵声を上げ、「もんぼうはく!この野郎は腹一杯になってるのか?こんな恥ずかしい手紙を……」と破き揉み、壁際のゴミ箱に投げ捨てた。

夏蘭は不機嫌そうに席につき、自分が秋羽を疑ったことを思い返し、謝りたい気持ちと顔が引きつるのを同時に感じていた。

秋羽は肩をすくめて両手を広げ、「何度も言っているのに信じてくれないんだから……今回は事実で明らかになったわ」

夏蘭はため息混じりに言った。

「分かりました。

ごめんなさいね」

秋羽は無関心そうに笑った。

「謝らなくていいよ。

私が正直者だって分かればそれでいいのさ」

「正直者?ふーん……」

この手紙が誰のものか知った夏蘭は吐き気がした。

その男、もんぼうはくという名前の人間は見た目からして下品で、悪名高い人物だった。

多くの女子を三段階の手段で占領するなどと噂されていた。

まさか自分がその男に狙われているなんて……本当に卑劣だ。

隣を見やると秋羽がいることに安堵感が湧いた。

「まあ、私の護衛は頼もしいわ」

多くの生徒たちは心配そうだった。

もんぼうはくという人物は学校内で横暴を働き、誰も手が出せない悪徳者として知られていた。

彼の狙いを逃れる夏蘭が大丈夫なのか?

秋羽はその視線を感じ取り、笑みを浮かべた。

「大丈夫よ。

私がいるから」

夏蘭の胸が温かくなった。

この男、時々は憎めないものだわ……

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