花間の高手

きりしま つかさ

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第0051話 美女の関門

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まだ明け方で、秋羽は小便を我慢して目覚めた。

ぼんやりと起き上がり、靴も履かずに裸足でトイレへ向かった。

ドアを開けると、髪の乱れた小蓮が座布団に座りながら下着を上げていた。

白い尻と長い脚が露わになり、薄手のパンツは膝の辺りからずれ落ちている。

「お前は……」

小蓮は寝ぼけたまま振り返ったが、秋羽の熱い視線に気づき慌てて下着を下ろし、「何をしているんだ!」

と叫んだ。

「えっ、いや、ただトイレに行きたくて……小蓮さん、後でいいから」と言い訳する秋羽は頬を染めながら部屋を出た。

ドアを閉めた途端、息が荒くなった。

まさか本当に見てしまったのか。

しばらくして水音が響き、小蓮が出てきて険しい目つきで詰め寄る。

「くそっ子! 何を見ていたんだ?」

「なにも……見てないよ!」

「ふざけんじゃないわね! 次からは気をつけてね。

お前は自分でドアロックしてなかったからだわ」

秋羽が不服そうに抗議するのと同時に、彼女は頬を赤らめて去っていった。

その後もトイレで我慢しながら、小蓮の体温が残る座布団に腰掛けた秋羽は、なぜか毛一つない尻に違和感を感じていた。

まさか白虎の伝説は本当なのか?

朝食後、秋羽は薬方を書いてキッチンへ向かった。

「小蓮さん、これをお嬢様に渡して」

洗い物を片付けていた小蓮が手拭いで手を拭きながら近づいてくると、「どうしたの?」

と尋ねた。

その態度からはトイレでの出来事が忘れられているようだ。

秋羽は薬方を差し出した。

「お嬢様にこれをお渡しください。

煎じる前に他の材料が必要です」

「なぜお前が直接渡さないの?」

「階段が苦手だから……」とためらうように言い訳する秋羽の目は、夏蘭の姿を連想して虚ろになる。

小蓮はその意図を悟り、「わかったわ」と笑顔で受け取った。



「遠慮なくどうぞ、学校に行くんですか?」

「はい」

「気をつけてね」

「分かりました……」

江陽市第一高校の朝は人車混雑で賑やかだった。

授業開始間近の三・五組では、三人一組、五人一組と笑顔が絶えない。

最後の二分を活用するように、様々な話題が飛び交っている。

秋羽が新品同様の姿で教室に入ると、皆が目を奪われた。

彼が古ぼけた服を脱ぎ捨てた瞬間、思わず「かっこいい」とため息が出るほど、爽やかな少年だった。

ブランド物の全身も数千円級と見えて、侮れない存在感があった。

ある女子はその変化に気付きながら、昨日の格闘シーンを思い出し、秋羽が好ましい相手だと感じたようだ。

文化委員の蘇玉敏は開放的な性格で、卵型の顔には輝く大きな目がある。

ミニスカートとタンクトップ姿で、発達した身体を惜しげもなく披露している。

彼女は最近別れさせられたばかりで、空いている状態だった。

秋羽が通る際に、蘇玉敏は白い腕を上げて銃形を作り、「動くなよ!」

と冗談めかして言った。

秋羽は驚いて足を止めた。

「この子の名前も知らないのに……」と思いながら、昨日の威圧的な姿とは違い、緊張していた。

周りが哄笑すると、男子生徒が「金目当てか色目当てか?」

と叫んだ。

女子が「敏姐はお金に困ってないから、当然色目当てさ」と返すと、全員爆笑した。

秋羽も白い歯を見せて笑った。

その歯は整っていて、上品な白さで、真玉のように磨き上げられたようだった。

蘇玉敏の心臓がドキッと鳴った。

「あの歯、冷たくて清涼感があるわ……キスしたらどうなるんだろう?」

と想像した。

「見ての通りだよ」と何大剛がからかい、「羽哥は美女にやられちまったんだぜ」

胡州が笑いながら言う。

「俺にはそんな運はないな……」

秋羽もリラックスして、隣の女子に向かって冗談を言った。

「逆に私がお前を襲うぞ」

驚いたことに蘇玉敏は笑顔で「いいわよ」と応じた。

また哄笑が起こり、「敏姐は凄い! 堂々とやるね!」

「猛女だぜ……」

四大精鋭の何大剛らが叫ぶ。

「羽哥、今すぐ飛び込んでいけよ! 俺たちがお手伝いするんだぞ」

「玉ちゃんの足を押さえろとか、腕を抑えろとか……」

秋羽は笑って首を横に振った。

「君の方が凄いね、私は恐縮だわ」彼は蘇玉敏の白い手を軽く押しのけて自分の席へ向かった。

「あーあ」と何大剛がため息をつく。

「羽哥も英雄なら、美人にやられちまったんだぜ……」

朱彪が笑う。

「お前なんか分からないんだよ、これが恋の罠さ」

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