花間の高手

きりしま つかさ

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第0105話 誰もが顔を立てる

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秋葉がまだ眠っていると、クラスメイトたちは驚きの声を上げていた。

澄んだ空に浮かぶ二つの風船——約十メートルにも及ぶ巨大なものだ。

その下には金色の大文字で「秋葉おじょうさん、愛してる」や「秋葉、結婚しよう」と書かれた横断幕が揺れていた。

瞬く間に高三五組の教室は沸き立った。

「誰がこんな大規模な行動を起こしたんだろう? 秋葉への熱い想いだね」

「これはあえて秋葉に感動させようという計画じゃないのか」

「堂々とプロポーズするなんて、ずい分勝手なことだわ」

皆の囁き声が響く中、主人公である秋葉は相変わらずのんびりと寝ていた。

隣の夏蘭は呆れ顔で、「このバカ! 入学してたった三日目なのにこんな騒動起こすなんて……でもまあ、話題性があるわね」

「おっさん、目を開けて見てみろよ——秋葉おじょうさん、愛してるって書いてあるんだぜ」

何大剛たちが秋葉を揺り起こそうとする。

眠たげな秋葉は不満顔で、「お前らも静かにしろよ。

寝ててもいいじゃないか」

「シュウパイ、もっと早く起きろよ——秋葉おじょうさん、愛してるって書いてあるんだぜ」

秋葉が目をこすりながら起き上がると、胡州が驚きの声を上げた。

「おっさん、まだ眠ってるのか? 今度は大規模なプロポーズだぞ! 水位上昇か地震かと思ったよ」

朱彪が笑いながら言う。

「それより面白いのはこれだ——見てみろ」

クラスメイトたちが秋葉を窓際に引っ張り出すと、何大剛が空を指さした。

「おっさん、そっちを見てみて——風船に『秋葉おじょうさん、愛してる』って書いてあるんだぜ」

秋葉も目を見開いた。

自分の名前が確かに書かれている。

慌てて周囲のクラスメイトたちに尋ねる。

「学校には他の秋葉なんていないのか? たぶん間違えたんだろう……」

「ありゃしないよ——学校で同じ名前の人はいないんだぜ」

「お前の姓はめったにないけど、邱(ちゅう)という姓もいるさ。

でも耳付きの邱だぜ」

「おっさん、もう言い訳するな——これはお前が主人公なんだぜ」

秋葉は首を横に振る。

「いや……ありゃしない……」

すると校外から音楽が流れてきた。

次々と歌声が響く。

「君のために小さな輪を作りたい——二人だけの世界を囲んで……」それは流行中の『妻は一番』という曲だ。

教室全体がその旋律に包まれる。

「おっさん、どこから聞こえてくるのかな? あれは学校の東側の大型ショッピングモールかな」

クラスメイトたちは驚きの声を上げた。

「ほんと? そこには大きなステージが組み立てられてるみたいだぜ——赤い絨毯が敷かれ、背景にアニメ風のデザインがあるんだよ。

星々が輝く夜空の下、波光りする海辺に城がそびえている……」

その背景は非常に美しかった。

少女のイラストと実寸同サイズで、紫髪青目の美少女が橙色のドレスを着て白い足をさらし、遠方に目を向けていた——秋葉たちの教室方向だ。

「おっさん、見てみろよ——『秋葉、君は僕を待っているのかな』って書いてあるんだぜ」

秋葉はため息をついた。

「またしても……」

舞台の上部に赤い横断幕が垂れ下がり、金色の大文字で「秋羽へ捧げるコンサート」と書かれていた。

その少女の絵柄は3年5組の生徒たちにとってもなじみ深いものだった。

法拉利を乗り回して学校に現れたあの美女だ。

彼女が秋羽への熱意を再び歌で表現するとは、誰も予想外のことだった。

ステージの両脇にはプロ用の音響機材が並んでおり、5~6人のバンドメンバーが演奏を続けていた。

ステージ中央ではメイクアップした若い女性歌手が「奥さん大好き」という歌詞に合わせて妖艶なダンスを披露している。

既に数百人もの人々が集まり、賑やかな雰囲気に包まれていた。

3年5組の生徒たちが再び騒ぎ出す。

「見てるぞ!羽哥のためにステージまで作ってコンサートを開いた大美女だぜ!」

胡州がテーブルに乗りながら叫んだ。

他の生徒たちは笑いながら「凄い」と応じていた。

その時、校舎の他の窓から驚きの声が上がった。

ほぼ全クラスの生徒たちが窓際に集まり、何事か目を丸くしている。

社会人女性が学校の男子のためにこんな大規模なイベントを開催するとは、誰も見たことがない光景だった。

第一高校の教職員は皆驚愕に包まれていた。

彼らが初めて見る空前絶後の光景——社会の若い女性が自腹を切ってステージを設置し、バンドや歌手を雇ってコンサートを開催するなんて、あり得ない話だ。

これが報道されれば校長室は大変なことになる。

教頭室ではヤン・トクザンが窓際に立っていた。

彼の顔は怒りで歪んでいた。

「くそっ!あの秋羽め、前にも脅かしたやつだ。

こんな騒動を起こして記者に記事にしてあれば、俺の首はどうなっちまうんだ」

少し考え込んだヤン・トクザンは電話機に向かった。

受話器を取ると「ゴウチゅう」と名乗る教頭室の副主任が応答した。

「コンサートについてだが…」とヤンが告げた瞬間、相手の声から不自然な笑いが漏れた。

副主任は化学教室で40代の独身女性教師と話していた。

彼女を落とすためのアプローチを練っていた矢先に電話がかかってきた。

「はい、承知しました。

すぐに止めさせます。

彼らが聞き入れなければ警察を呼びます」

「分かりました…」副主任は電話を切ると、急いで教室から飛び出した。

その頃、歌手は最後の曲を終えて休憩に入り、副主任は怒りで顔を赤くしながらステージに上がった。



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