花間の高手

きりしま つかさ

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第0200話 残忍な手口第0201話 唯我独尊

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秋羽が山里で鍛えた体躯は、英豪会の襲撃をものともせず、双雄さえ凌駕する存在となった。

放課後、彼は四大精鋭に「一人で歩かないように」と囁きながら、夏蘭のポルシェで林家別荘へと向かう。

車内で夏蘭が山中での出来事を熱心に質問すると、秋羽は冗談交じりに答えた。

「痛いのは当然だ。

山の中で熊や猪と戦ったこともあれば……」

「誰が殴ったの?」

「師匠たちさ。

修行不足なら叩かれるし、狩りで獲物を減らすと怒られるんだよ」

夏蘭は目を丸くして。

「そんな理不尽なこと……」

秋羽は笑いながら続けた。

「でもね、逆にやっかいな手紙を送ったり、トイレの便器に水を入れたりするんだ。

師匠が寝ている時に氷水をかけたこともあったぜ」

夏蘭の銀色の髪が揺れ、彼女は楽しげに笑った。

その頬の鼓動と震えを見つめる秋羽の手は、山で木や獣と戦う日々とは無関係な欲望に駆られる。

「師匠たちも可哀想だね」

「そうだけどさ、俺だって我慢しないんだよ。

例えば二師叔がトイレに行く時、便器に水を流す音を立てて逃げるんだ」

夏蘭は首を横に振った。

「知らないわ、田舎のトイレって汚いんでしょう?」



「非常に汚い、山の中のほうがもっと汚かった。

いくつかの老人が面倒を省いて大きな穴を掘り、その上に二本の丸太を置き、簡易的な木板の壁を作っただけで、それで完成したんだ。

二師叔は最初の夜に私を叩いた直後、翌日トイレに行くときに私は化学肥料と草木灰を使った土製爆弾を便所の中に投げ込んだ。

すると大きな音と共に便器の中身が飛び散り……」

「えっ、なんてことだ!あの可哀そうな二師叔さんったら…?」

秋羽は笑いを堪えながら続けた。

「彼の全身に糞尿まみれになり、驚きで便所の中に落ちそうになった。

出てきたときには頭から顔まで全てが汚れている、まさに『糞人』になってしまった……」

「あーっ!吐けそう…」夏蘭は干潟状態になりながらもすぐに爆笑した。

笑い止まった後、秋羽を睨みつけて言った。

「あなたは本当に悪党ね。

もし私が何か失礼なことをしたら、あなたもこんな卑劣な手を使うの?」

秋羽は恥ずかしげに笑った。

「しないわ……」

「なぜ?明らかに復讐好きよね。

どうして私だけ特別なの?」

夏蘭が不思議そうに尋ねると、秋羽は頬を染めて答えた。

「その…あなたはとても綺麗だから、手が出ないのよ」

この些細な理由で夏蘭は顔を赤くし、心もとろけるような表情になった。

車内の空気は少しだけ甘酸っぱい。

二人とも頬を染めながら黙り返す。

夏蘭が音楽プレイヤーを操作すると、最新曲『冤家』のメロディーが狭い空間に響き渡った。

「意地っ張って無視した

あなたに気付かせるためさ

普通じゃない子は

恋する小悪党さ

冷たいあなたの心を

憎んでいたわ

蹴りたくても

離れたくないわ

驕れる顔叩いてやりたいけど

手が出ないのよ

笑顔で待つのは苦しい

あなたが嫌いなのに

好きなのよ

馬鹿な冤家

ずっと一緒にいたい…」

現代風の軽薄な歌詞だが、安綺玉の透明感ある声は聴く者に幸福感をもたらす。

音楽に包まれながら夏蘭の頬はさらに赤くなり、無意識に心を刺すような言葉が胸に響いた。

彼女は不満げに歌い手を非難した。

「誰が書いたんだろう?レベルが低いわ、馬鹿馬鹿しい」

秋羽は驚きの目で見つめた。

「いいえ、私はこれが結構好きよ。

少なくとも私が書けるわけないもの」

夏蘭は鼻を鳴らして言った。

「あなた…文字も汚いのに歌詞なんて書けるわけないでしょう。

安綺玉さんをご存知ですか?この曲の歌手ね」

秋羽は首を横に振った。

夏蘭は軽蔑的な表情になった。

「ふーん…時代遅れよね、あなたと話すのは無駄よ。

安綺玉さんは私のアイドルなの。

今は一番人気のある歌手で、歌も美しくて若いし、すごくかわいいの」

秋羽は唇を尖らせた。

「彼女がアイドルでもどうせ食べ物じゃないんだから」

夏蘭は憤りを込めて言った。

「理解不能よ。

あなたみたいな偶像無視の人とは話すのが馬鹿馬鹿しいわ…」

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