花間の高手

きりしま つかさ

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第0219話 卑劣極まりない

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一団の警備員とチンピラは全く同質で、秋羽を群狼のごとく取り囲み「貴様が規律を知っているか」と問い詰めた。

顔色を変えた秋羽は冷たく言い放った。

「此処では、私が規律だ」

警備員たちが一瞬驚きの表情を見せた直後、狂気じみに笑い声を上げ「貴様が規律なら口先だけの奴だな」と嘲弄した。

その一人が罵倒するように叫ぶ。

「お前は誰だと思ってる?地獄の番人か?」

別の警備員が鼻で笑う。

「この野郎、第一高校では我々警備隊こそが規律さ」

現在は登校時間帯で多くの生徒が教室棟に向かっていた。

秋羽と警備隊が衝突している様子を見た生徒たちが足を止め、固唾を吞んで見守っている。

この警備隊はまだ二日目であり、彼らの行動はほぼ全ての生徒から嫌悪されていた。

男子に対しては脅迫し金品を要求し、断ると暴力で脅す。

女子には卑猥な視線を胸や太腿に向け、汚い言葉を吐きながら身体検査を強要する。

そのため学生たちは彼らを「チンピラ警備隊」と陰口で呼ぶが、報復を恐れて抗議できなかった。

現在秋羽は校内で最も有名人の存在であり、バイクを教室棟前に停め警備隊と対立している。

多くの生徒は内心拍手喝采しつつも心配していた。

「あの連中に勝てるのか?」

という疑問が頭の中を駆け巡る。

彼らは学校の公式勢力であり、学生が公然と抗うなど危険極まりない。

瞬く間に数百人の群集が形成され、皆秋羽と警備隊員に注目していた。

周囲の状況を見つめる人々の増加もあって警備隊は秋羽を完全に排除する決意を固めた。

彼らは正副長から「この野郎は校長が最も忌む存在だ、何とかして両足を折り損なわせろ」と指示されていたのだ。

現在こそ好機と判断し、校長の敵討ちも兼ねて警戒心を剥き出しにし全校生徒の前で威信を確立するつもりだった。

秋羽は周囲の八匹のチンピラのような連中に冷ややかな視線を向け「おれには暇はない。

殴られたくないならすぐに散らかせ」と低い声で言い放った。

観客たちは驚きの表情を見せ「秋羽さん凄い!こんなに彼らをるなんて!」

と内心喝采していた。

警備員八名が顔色を変え、憤怒のあまり言葉も出ない。

史磊が汚い言葉で罵りながら「お前の野郎!反逆か?この世から消えろ」と叫び、ゴム警棒を振り上げ秋羽の頭部に叩きつけようとした。

観客の中に怯懦な女子生徒たちが悲鳴を上げた。

「あー!」

「散らせ!」

と厳しく言い放ちながら秋羽は右足で相手の警棒を受け止め、跳躍してその警棒を掴み持ち上から叩きつけた。

当然それは相手の頭部へ向かっていた。

「バキッ!」

ゴム警棒が史磊の頭に当たった瞬間、彼は目の前が真っ暗になり意識を失い倒れ込んだ。

この連中の中で最も悪質なのがこの男だった。

まさに頭に膿瘻(うすろう)が生えているような存在だ。

昨日午後の出来事も忘れなかった。

ある女子生徒をバスケットゴールの下で無理やり引きずり込み、乱暴にキスしようとしたのだ。

その女子は悲鳴を上げながら必死に抵抗していた。

この畜生が秋羽に意識を取り戻す前に打倒されたのを見て多くの生徒たちは胸中で「痛快!」

と叫び声を上げていた。

後方から誰かが大声で喝破した。

「おーっ!」



「よくやった!」

次から次へと叫び声が飛び交う。

「打得好、その野郎は叩きたい奴だ」

「民衆の敵を排除した秋羽様は俺のヒーローさ」

仲間が倒れると他の警備員たちはさらに激しくなった。

秋羽を打ち破けなければ第一高校で何ができるというのかと。

「兄弟たち、一斉にやっつけてやれ!」

「この野郎叩き潰せ!」

七人の警備員が棍棒を振りかざして囲み込む。

「バキッ」「パチッ」「ドン」

彼らの動きは素早く、身体も柔軟だ。

しかし秋羽はそんなものなど構わず、肩に当たった棍棒の痛みを顔に刻みながら重いパンチを返す。

「ゴクリ」と鼻が折れ血を流し、肋骨二本折れた男が苦しげに逃げる。

突然教室から四人の巨漢が現れる。

「S校の警備員め、羽哥様に手を出すとは!死ね!」

彼らは木製バットを持って猛虎のごとく突進する。

黒いホンダ400が到着した。

「どうしたの?喧嘩?」

降りてきたのは最近女装に身を包むようになった徐洛瑶だ。

白いスカートとピンクシャツで、そのボディラインは眩しい。

「徐少!羽哥様がやられようとしている!」

校花の蘇紫雪が報告する。

彼女は秋羽の仲間であることを知り、徐洛瑶に助けを求める。

「バカヤロー!本少の奴らに手を出すとは許さん!」

彼女の姿はまさに猛獣だ。

人々は左右に避ける。

近づくと秋羽たちが戦っている様子を見つめ、彼女は一気に跳躍した。

「バキッ」警備員の背中に匡威シューズが当たり、バランスを崩す。

「お前の野郎!この小娘に構えるか?」

棍棒で殴り返そうとする警備員だが、徐洛瑶は旋風の足技で棍棒を弾き飛ばし、三連蹴りで顔面を叩く。

「バカヤロー!お前の鼻が潰れるわよ!」



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