闘破蒼穹（とうはそうきゅう）

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第0043話 「師弟の絆」

場中で完膚に傷つけられたように敗れた蕭寧を見つめる人々は、暫くの沈黙の後、再び騒動が起きた。先ほどまで消えていた衝撃が、胸中でゆっくりと湧き上がってくる。

蕭家の若手たちが目を丸くして倒れている蕭寧を見る。同世代の中では薰以外に勝る者はいないが、この僅かな二度の対戦で完全に打ち負かされたという突然の展開は、誰もが予期せぬ変化だった。

観客席から、赤らむらの唇を開いて驚きを表す蕭玉の顔が目に入る。暫く経ってようやく意識を取り戻した彼女は、白い項に血潮が上ったまま「この小坊主、どうしてこんなに強くなったの？斗気を鍛える時間も空いているのか？」とつぶやいた。

席上で、雅妃は先回りしていたはずなのに、蕭炎の技に驚く。彼女は「萧戦が特別指導したのでは？」と目を細めながら尋ねた。しかし蕭戦は笑みを消せない。「教えたことも指導したこともない。そもそもあの奇特な斗術は家族で知っているものではない」

二老は複雑な表情で蕭炎を見つめる。彼は勝利の余裕もなく、ただ静かに立っていた。その背中には未だ秘密が隠れているように見えた。

場外では、倒れた萧寧が突然起き上がり、斗気を爆発させる。木屑が四方八方に飛び散り、黒服の少年は再び躍り上がった。

目を鋭く見据えるように、徐々に近づいてくる蕭炎を見つめる。血の跡が付いた顎のラインは歪んでおり、その表情は醜悪なほど不気味だった。「小混蛋、死ね！」

「萧宁、止まれ！」

突然の変化で二长老は一瞬硬直したが、次の瞬間暴喝を上げた。しかし、怒りと嫉妬に支配された蕭寧はその声を無視し、『増気散』の薬効を得て牙を剥き出し、萧炎へ向かって突進する。

場の急激な変化が観客席に波紋を作った。貴賓席の蕭戦たちも顔色を変えた。彼らは今や蕭寧が斗者級の実力を持っていることを鮮明に感知していた。

「増気散を服用したのだ」雅妃は実力急上昇の蕭寧を見て眉を顰め、低い声で言った。「混蛋！」それを聞いた蕭戦の顔色はさらに暗くなり、拳がテーブルを裂く。その目は大长老の顎に鋭利な眼光を向けた。「この野郎、我が子が何事か？お前の孫は死に物語だ！」

現在の蕭炎の持つ可能性は蕭寧を遥かに超えており、もし試合中に蕭寧の乱行で不可逆的な重傷を負ったなら、大长老の庇護下にある蕭寧でも家族が許すまい。

大长老は狼のような視線で睨まれた。その顎の筋肉が小刻みに震え、口調は苦々しかだった。「この若造がまだ以前のままなら、重傷などそれだけだ。だが今や……この子を捨てられるか？」

場上では二长老の喝声も無意味だった。近距離で蕭寧は瞬時に蕭炎の横に迫り、拳から斗気を凝縮させ「鉄山拳！」と叫んだ。

その強大な圧力が風を引き裂き、蕭炎の額前の髪が逆さに立つ。しかし彼は意外にも後退せず、右拳を握り締め曲げた体勢で、獅子のような威厳を放ちつつ、突然前進した。

二长老は呆然と「馬鹿や！」と叫んだ。その瞬間、蕭炎の胸中で暗闇が広がる。「八極崩！」

大长老の目が驚きに開き、その前に突進する拳が迎え撃つ。爆発的な衝撃音と共に、蕭寧の顎から血が滲み出し、白い顔色がさらに蒼白になった。

「バキバキ」と袖を鳴らす気配と共に、蕭炎は一歩踏み出した。その背中からは異様な静けさが漂い、周囲の視線が集まる。高台から飛び降りた蕭寧の体は風に翻舞し、その姿は観衆の目に不気味な影のように映った。