闘破蒼穹（とうはそうきゅう）

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第0157話 紫焔

下方の廃墟となった院落を見下ろす小医仙は、数分後にようやくショックから回復し、美しい目で肩に重尺を担う少年を見つめながら、藍色の鳥の羽根を優しく撫でた。

そしてその鳥に乗ってゆっくりと空中を滑り、庭先に降り立った。

軽々と鳥の背から飛び降りると、小医仙は蕭炎の隣まで歩み寄り、穆蛇が飛んでいった方向を見つめながら、優しく尋ねた。

「彼はどうなっている？」

「少なくとも重傷だ。

」萧炎は笑いを浮かべてから突然激しく咳き出した。

手で口を押さえた瞬間、掌の間に血の跡が現れた。

小医仙は蕭炎の蒼白な顔を見つめながら、慌てて背中を軽く叩いた。

「大丈夫？」

「大丈夫だよ、疲れただけだ。

」と萧炎は肩をすかせたようにして、掌で埃っぽい壁角を払い除けると、その向こう側の廃墟が露わになった。

蕭炎は廃墟の中から微動脈する体を見つめ、黒目は淡然としている。

再び咳き込みながら、重尺を地面に引きずり、廃墟の隣まで移動した。

その手には重い刀を持ち、一拍子早く叩きつけた音と共に石片が飛び散り、惨白な顔と狼藉に満ちた穆蛇が現れた。

「ごめん、おまえは負けたよ。

」蕭炎は淡々と言った。

今の穆蛇は両足を砕かれ、惨白な顔は恐ろしいほどで、呼吸も次第に弱まり、明らかに油尽き灯枯しの状態だった。

「小坊主、俺はおまえを見下げたな……」虚弱な声で断続的に話す穆蛇だが、その怨毒は一粒たりとも減っていない。

蕭炎は笑みを浮かべながらも返事せず、目は依然として淡然と。

穆蛇の惨状にも動揺しない。

「小鬼、いずれ必ずおまえが生きていて後悔するようにする！」

穆蛇も悟っているのか、直接的な哀願ではなく、殺意に満ちた顔で切り捨てた。

「おまえにはその機会はもうないぞ。

」蕭炎は淡々と言った。

俯き見て掌を動かし、何かを探ろうとしたが何も見つからず。

首を傾げて石の箱について尋ねた。

「あの玄階の闘技術は？」

「おまえに欲しいのか？だが俺が死んでしまえば、もう手に入らないぞ。

」穆蛇は苦しげに顔を上げると、皮肉な笑みで続けた。

蕭炎は小さくうなずき、立ち上がった。

掌を開いて無力そうに見せる。

しばらく黙っていたが突然笑って言った。

「ならおまえの死ねばいい」

言葉が終わると同時に、手中の重い刀を胸に突き刺すように振り下ろした。

穆蛇はその瞬間に目を見開いた。

萧炎が玄階闘技術という誘惑を捨てたことに驚きを露わにした。

「許せ！俺が教えてやるぞ、その闘技術の場所と……おまえとの怨みもここで済ませよう！」

死の影の中で叫んだ穆蛇だった。



「不用了、玄階の闘技に比べれば、私は毒蛇のような冷血な生物が心の中に留まっているのが好きではない」

森然と笑みを浮かべた蕭炎は重尺を構え、ムウセイの胸元へと無情にも打ち込んだ

「ドン！」

低く響く音と共にムウセイの目玉が飛び出し、内臓が口から噴出する。

怨恨に満ちた視線で少年を見据える彼はやがて力尽きて地面に倒れ伏せた

その冷たい死体を前に蕭炎は目を閉じ息を吐き、小医仙の方向へと向かう

「行くか、ムウセイは死んだ。

狼頭傭兵団のリーダーももういない。

樹が倒れれば群猴散るように、狼頭傭兵団も崩壊した」

小医仙のそばに近づいた蕭炎の顔には疲れが滲んでいた

「うん」

優しく返事をして小医仙は周囲を見回す。

残された傭兵たちがムウセイの死を機に戦意を失い、狼のように四方八方に逃げ惑っている

嘆息する小医仙は唇を結び「もしかしたら帰る時間だわ」

振り返りながら小医仙は蕭炎を藍鷹の背に乗せると自らも乗り上げた。

玉手で羽ばたくと藍鷹が鳴き声と共に空へ昇り、速やかに蒼穹に消えた

彼らが去った直後、ムウセイの死は瞬く間に青山町中に広がった。

その衝撃的な事実を知る人々は皆驚愕し、特に当日狼頭傭兵団が少年を追跡した日に深山で追われたという話を聞いた時、驚愕はさらに恐怖へと変化した

二十歳未満の若者が狼頭三大团长を全て撃破したという残酷な現実に多くの人々は恥辱を感じた。

ムウセイの死によって狼頭傭兵団は解散し、かつて青山町で横行していた強力な勢力が少年の存在により最下位の組織へと堕ちた

狼頭傭兵団の結末は蕭炎にとっては意味を持たない。

彼にとって青山町はまだ序盤であり、いずれ修業を終えた時、あの深山に位置する小さな街を思い出す日が来るかもしれない。

小医仙の案内で彼らは薬草の生息する盆地へ向かった。

かつては採药隊と共に訪れた場所だが、今度は小医仙の導きで空から直接盆地の奥深くに到達した

盆地の深部でゆっくりと降り下がる小谷は、濃厚なエネルギーに満ちていて、蕭炎はその香りを深く吸い込みながらも顔を輝かせた。

精神が一瞬で覚醒した。

「どうだ？ここはいい場所じゃない？この小さな谷は外と完全に隔絶されていて、天候も濃霧で覆われている。

もし小嵐が偶然入ってこなかったら、私はこの奇異な地を発見することができなかっただろう」

萧炎の驚き顔を見た小医仙は得意げに笑みを見せた。

「確かに素晴らしい場所だ」

草棚の谷全体を見渡す蕭炎の目が突然輝いた。

谷中に珍しい薬草が生えていることに気づいて、彼はさらに喜びを増した。

薬草から漂う香りと霧の組み合わせが心地よい。

「ここでしばらく滞在してみようか？私の七彩毒経に必要な薬草がちょうどここにある」

小医仙は藍鷹を見ながら、少し商量するような口調で言った。

蕭炎は即座に同意した。

このような良い修業の場はそう簡単に見つかるものではないからだ。

谷は外界と隔絶されているため、移動には藍鷹が必要だが、蕭炎は薬老や紫雲翼があれば何があっても大丈夫だと考えた。

小医仙が藍鷹に竹笛を吹くと、彼女は草棚の一角を指して言った。

「これは私が以前作ったもの。

ここにしばらく住むよ」

「ふん、草棚でも美人と一緒にいるから快適だ」

蕭炎は草棚を見つめながら、小医仙の美しい横顔を眺めて調子を出した。

小医仙は頬を赤くし、彼を咎めるように見やった。

手にした小さな拳で軽く叩きつけた。

「私が弱いとでも思ったのか？」

蕭炎は笑みを浮かべて両手を振った。

「お前が毒を使うのは知らないぞ」

小医仙は鼻を横にすね、玉の手を上げて言った。

「行けよ。

私は薬草を集めるから、自由に歩き回っていいわ」

背中を見ながら、蕭炎は笑顔で谷上空を見て言った。

「老師、ここは問題ない？」

「地形が特殊だ。

外では見られない珍しい薬草が集まっているし、エネルギーも純度が高い。

これはあなたの修業に最適だ」

リングの中で藥老の声が響いた。

「ここで一ヶ月くらい練習すれば、真の斗師になることができるはずよ」

「斗師か……」

蕭炎は足を止めて空を見上げた。

彼は外出から半年以上経っていることを思い出し、三年の約束まであと一年も満たないことに気づいた。

「早く進まないとね。

魔兽山脉の修行も終盤だし、次はタゴル大沙漠だよ」

藥老の笑い声が幸災楽祸に聞こえた。

蕭炎は首を横に振って苦々しく笑った。

「私が苦しめられてきたか？」

「ふん、しっかり練習していれば、塔戈ル大沙漠で蛇女と出会えるかもしれないぞ。

その場合は…」

萧炎は白目を剥いて藥老の言葉を無視し、谷の環境を探り始めた。

ここでの静かな修業が終わるまで、彼は斗師を目指すつもりだった。