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第0167話 別離
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体の上に膨らんだ衣服はしばらくの間、体にぴったりと張り付いていたが、やがてゆっくりと蕭炎の肌に吸い付いた。
吐き出された濁気を口から吐き出すと共に、蕭炎は立ち上がり、一旁で笑みを浮かべる藥老を見上げると、自身も口角を緩めて笑った。
その顔からは喜びが隠せない。
約1年を経て、彼はついに「斗師」の称号を得たのだ。
その過程には流した血と汗は数え切れないほどで、今日の化粋を実現できたのは奇跡と言える。
斗師という名は、彼が大衆から一歩引け違うことを意味する。
大陸においてもまだ下級に位置するこの称号だが、前段階の「斗」に比べれば遥かに強力で上位である。
そして最も重要なのは、蕭炎がまだ若いということだ。
未来への挑戦はこれからも続くのだ。
彼は拳を握りしめると、これまで体験したことのないほどの充実感が全身を駆け抜けた。
今や斗師となったからこそ、斗と斗師の間にどれほど大きな差があるのかを初めて実感した。
かつてミュウゼーとの戦いにおいては、地階級の技である薬老が伝えた「紫炎」の術を使わなければ、勝ち目はなかったのだ。
彼は右掌を前に伸ばし、突然強く握ると、紫色の斗気は体表面に浮き上がり、瞬く間に再び衣服に吸い込まれた。
その外見からは紫炎が微かに滲んでいるのが見て取れる。
これが「斗気紗衣」である。
かつてミュウゼー戦で見たように、これこそ最も実用的な技だ。
過去の蕭炎は局所的にしか覆えなかったが、今や全身を完全に被せることができる。
さらに驚くべきことに、この斗気紗衣は速度・防御・攻撃など全ての能力を向上させる。
それまでのミュウゼー戦で見せたような補助機能である。
紫色の炎が浮かぶような外見を見ながら、蕭炎は手早く数発の拳を繰り出した。
先日天地のエネルギーで鍛えた体は、単なる物理的な力だけで風切り音を立てるほど強くなっていた。
「焚決は進化したか? 中級か上級か?」
藥老の問いかけに、蕭炎は動きを止め、目を閉じて内臓の奥深く意識を潜り込ませた。
腹部の丹田に心神を集中させると、その場所には巨大な淡黄色い気旋が存在していたが、今は蕭炎の掌よりも小さい紫の気旋になっていた。
その小さな紫の気旋の中を意識で覗くと、そこには10数滴の小さな紫色液体がゆっくりと回転しているのが見えた。
それらは湖底に浮かぶ小魚のように優雅に動いていた。
好奇心から意識が紫の気旋に入り込み、一滴の液体を包み込むと、その内部で充実したエネルギーを感じ取った瞬間、蕭炎の心は急激に高揚した。
これらの紫色の小さな粒が秘めている豊かな力を目の当たりにしたのだ。
この発見から、斗級と斗師の間に存在する巨大な差異を再認識した。
例えば、斗級の気旋は空気を貯める「風船」のようなもので、その容量には限界がある。
一方、斗師の気旋は複雑な構造を持ち、液体化されたエネルギーが凝縮されている。
さらに、斗師になることで気旋内のエネルギーが再編成され、より濃密な液体に変換されるというメカニズムを理解した。
その結果、単純な斗級の気旋と比べて、質量や量が劇的に増加するのである。
意識を紫の気旋から引き上げると、以前の観察から、これらの小さな液体エネルギー1滴を作るには、未熟練時の淡黄色い気旋内に存在した3分の1程度のエネルギーが必要だった。
その逆算から、この微小な粒がどれほど強力な力を秘めているかが明確になった。
紫の気旋から意識を外し、一縄の紫色の斗気が「焚決」の経路に沿って流れ始めた。
その過程で、外界の火属性エネルギーが肌を通じて体内に入り込み、紫色の斗気と共に経脈を巡る循環が完成した。
このサイクルを終えてから、蕭炎は気旋内のエネルギーが数分前よりさらに充実していることに気づいた。
その瞬間、彼は目を開け、薬老を見上げて肩をすくいながら言った。
「黄級中段階だ。
進化したのは1段階だけだ」
「黄級中段階か? 予想通りだ」
薬老は蕭炎の言葉を聞いて、それほどがっかりしていないようだ。
彼の憂鬱な顔を見ながら笑いかけた。
「功法の進化には巨大な『異火』が必要なんだ。
貴方の紫火はその条件を満たしてないのに、それでも一歩進めたのは『焚決』の特性があるからね。
黄階中級までなら高段の功法と比べても遜色ないはずだよ。
満足すべきじゃないか?」
蕭炎は苦く笑った。
確かに不可能なことは分かっているが、いつか『玄階』に跳躍する奇跡を信じている自分がいる。
その願いは虚構のものかもしれない。
「あー、異火……紫火で苦しむのは辛いね。
でも得られる効果はそれほど大きくない。
もし本物の異火に出くわせば、どちらが誰に食われるか分からないよ」。
蕭炎は嘆息し、白く陰森な薬老の炎をちらりと見た。
首を横に振って、彼は落ち込みを捨てた。
「とにかく功法は進化したんだから、時間はまだある。
一歩ずつ進めよう。
いずれ本物の異火を見つけたら、『焚決』は伝説の天階功法になるはずだ」
薬老が笑みを浮かべる。
「貴方は今や斗師になったので、この魔兽山脉での修行も終了だね」
「あー、この山はもう嫌いだよ」
「明日出発しよう。
云岚宗との三年の約束まであと不足八ヶ月だ」
蕭炎が体を硬直させた瞬間、外の夜空を見つめた。
「あの彼女は今どの段階だろうか……」
薬老は笑って続けた。
「大斗師にはなれないかもしれないが、斗師クラスでの昇級はそれほど難しくない。
もし彼女が何か予期せぬ理由で急に強くなるとしても、私は云韻のような実力者も見向きもしないよ。
加玛帝国内のトップ3に入る実力だ」
「ふん、先生の言葉なら信じるさ!」
薬老は蕭炎の笑顔を見て白目を向けた。
「明日魔兽山脉を出て、次なる地はガマ帝国の辺境にあるタゴル大沙漠。
そこでの修業はここよりさらに厳しいから、心理的にも準備しておけ」
「ターゴル大沙漠……俺の二位兄貴はその近辺にいるらしいぜ、暇があったらちょっと覗いてみようか」
唇を歪めて笑った蕭炎が胸元を叩くと、薬老に向かって宣言した。
「おれの体に後遺症が出ない速攻で実力を上げるためなら、どんな苦行も俺の背負うぜ!」
「へへ、いい気性だな!」
薬老はニヤリと笑いながら、目を細めて蕭炎を見つめる。
「その時は逃げ出さんのか? でもその頃には、おれが強制で引き返すからな」
恥ずかしそうに笑った蕭炎は、意図的に沈黙を選んだ。
「じゃあ、寝てろ。
明日の朝一で出発だ」薬老が戒りに戻ろうとした時、忽然と体を硬直させた。
少したってから、彼は突然口を開いた。
「昔、ターゴル大沙漠に行ったことがあるぜ。
なぜなら、その砂漠に『異火』という伝説の炎があるらしいんだ。
ただし……俺は見つけることができなかった。
今回は運が良ければ……」
薬老の視線から外れた瞬間、蕭炎の目が輝いた。
「異火……」
緊握した拳を振り、山洞を出た蕭炎は、紫火の強大さを体験した後、そのさらに凶暴で恐ろしい異火への欲求が増す。
「必ず手に入れるんだ!」
少年の決意に貪欲な感情が交錯する声が、山洞内に残された。
吐き出された濁気を口から吐き出すと共に、蕭炎は立ち上がり、一旁で笑みを浮かべる藥老を見上げると、自身も口角を緩めて笑った。
その顔からは喜びが隠せない。
約1年を経て、彼はついに「斗師」の称号を得たのだ。
その過程には流した血と汗は数え切れないほどで、今日の化粋を実現できたのは奇跡と言える。
斗師という名は、彼が大衆から一歩引け違うことを意味する。
大陸においてもまだ下級に位置するこの称号だが、前段階の「斗」に比べれば遥かに強力で上位である。
そして最も重要なのは、蕭炎がまだ若いということだ。
未来への挑戦はこれからも続くのだ。
彼は拳を握りしめると、これまで体験したことのないほどの充実感が全身を駆け抜けた。
今や斗師となったからこそ、斗と斗師の間にどれほど大きな差があるのかを初めて実感した。
かつてミュウゼーとの戦いにおいては、地階級の技である薬老が伝えた「紫炎」の術を使わなければ、勝ち目はなかったのだ。
彼は右掌を前に伸ばし、突然強く握ると、紫色の斗気は体表面に浮き上がり、瞬く間に再び衣服に吸い込まれた。
その外見からは紫炎が微かに滲んでいるのが見て取れる。
これが「斗気紗衣」である。
かつてミュウゼー戦で見たように、これこそ最も実用的な技だ。
過去の蕭炎は局所的にしか覆えなかったが、今や全身を完全に被せることができる。
さらに驚くべきことに、この斗気紗衣は速度・防御・攻撃など全ての能力を向上させる。
それまでのミュウゼー戦で見せたような補助機能である。
紫色の炎が浮かぶような外見を見ながら、蕭炎は手早く数発の拳を繰り出した。
先日天地のエネルギーで鍛えた体は、単なる物理的な力だけで風切り音を立てるほど強くなっていた。
「焚決は進化したか? 中級か上級か?」
藥老の問いかけに、蕭炎は動きを止め、目を閉じて内臓の奥深く意識を潜り込ませた。
腹部の丹田に心神を集中させると、その場所には巨大な淡黄色い気旋が存在していたが、今は蕭炎の掌よりも小さい紫の気旋になっていた。
その小さな紫の気旋の中を意識で覗くと、そこには10数滴の小さな紫色液体がゆっくりと回転しているのが見えた。
それらは湖底に浮かぶ小魚のように優雅に動いていた。
好奇心から意識が紫の気旋に入り込み、一滴の液体を包み込むと、その内部で充実したエネルギーを感じ取った瞬間、蕭炎の心は急激に高揚した。
これらの紫色の小さな粒が秘めている豊かな力を目の当たりにしたのだ。
この発見から、斗級と斗師の間に存在する巨大な差異を再認識した。
例えば、斗級の気旋は空気を貯める「風船」のようなもので、その容量には限界がある。
一方、斗師の気旋は複雑な構造を持ち、液体化されたエネルギーが凝縮されている。
さらに、斗師になることで気旋内のエネルギーが再編成され、より濃密な液体に変換されるというメカニズムを理解した。
その結果、単純な斗級の気旋と比べて、質量や量が劇的に増加するのである。
意識を紫の気旋から引き上げると、以前の観察から、これらの小さな液体エネルギー1滴を作るには、未熟練時の淡黄色い気旋内に存在した3分の1程度のエネルギーが必要だった。
その逆算から、この微小な粒がどれほど強力な力を秘めているかが明確になった。
紫の気旋から意識を外し、一縄の紫色の斗気が「焚決」の経路に沿って流れ始めた。
その過程で、外界の火属性エネルギーが肌を通じて体内に入り込み、紫色の斗気と共に経脈を巡る循環が完成した。
このサイクルを終えてから、蕭炎は気旋内のエネルギーが数分前よりさらに充実していることに気づいた。
その瞬間、彼は目を開け、薬老を見上げて肩をすくいながら言った。
「黄級中段階だ。
進化したのは1段階だけだ」
「黄級中段階か? 予想通りだ」
薬老は蕭炎の言葉を聞いて、それほどがっかりしていないようだ。
彼の憂鬱な顔を見ながら笑いかけた。
「功法の進化には巨大な『異火』が必要なんだ。
貴方の紫火はその条件を満たしてないのに、それでも一歩進めたのは『焚決』の特性があるからね。
黄階中級までなら高段の功法と比べても遜色ないはずだよ。
満足すべきじゃないか?」
蕭炎は苦く笑った。
確かに不可能なことは分かっているが、いつか『玄階』に跳躍する奇跡を信じている自分がいる。
その願いは虚構のものかもしれない。
「あー、異火……紫火で苦しむのは辛いね。
でも得られる効果はそれほど大きくない。
もし本物の異火に出くわせば、どちらが誰に食われるか分からないよ」。
蕭炎は嘆息し、白く陰森な薬老の炎をちらりと見た。
首を横に振って、彼は落ち込みを捨てた。
「とにかく功法は進化したんだから、時間はまだある。
一歩ずつ進めよう。
いずれ本物の異火を見つけたら、『焚決』は伝説の天階功法になるはずだ」
薬老が笑みを浮かべる。
「貴方は今や斗師になったので、この魔兽山脉での修行も終了だね」
「あー、この山はもう嫌いだよ」
「明日出発しよう。
云岚宗との三年の約束まであと不足八ヶ月だ」
蕭炎が体を硬直させた瞬間、外の夜空を見つめた。
「あの彼女は今どの段階だろうか……」
薬老は笑って続けた。
「大斗師にはなれないかもしれないが、斗師クラスでの昇級はそれほど難しくない。
もし彼女が何か予期せぬ理由で急に強くなるとしても、私は云韻のような実力者も見向きもしないよ。
加玛帝国内のトップ3に入る実力だ」
「ふん、先生の言葉なら信じるさ!」
薬老は蕭炎の笑顔を見て白目を向けた。
「明日魔兽山脉を出て、次なる地はガマ帝国の辺境にあるタゴル大沙漠。
そこでの修業はここよりさらに厳しいから、心理的にも準備しておけ」
「ターゴル大沙漠……俺の二位兄貴はその近辺にいるらしいぜ、暇があったらちょっと覗いてみようか」
唇を歪めて笑った蕭炎が胸元を叩くと、薬老に向かって宣言した。
「おれの体に後遺症が出ない速攻で実力を上げるためなら、どんな苦行も俺の背負うぜ!」
「へへ、いい気性だな!」
薬老はニヤリと笑いながら、目を細めて蕭炎を見つめる。
「その時は逃げ出さんのか? でもその頃には、おれが強制で引き返すからな」
恥ずかしそうに笑った蕭炎は、意図的に沈黙を選んだ。
「じゃあ、寝てろ。
明日の朝一で出発だ」薬老が戒りに戻ろうとした時、忽然と体を硬直させた。
少したってから、彼は突然口を開いた。
「昔、ターゴル大沙漠に行ったことがあるぜ。
なぜなら、その砂漠に『異火』という伝説の炎があるらしいんだ。
ただし……俺は見つけることができなかった。
今回は運が良ければ……」
薬老の視線から外れた瞬間、蕭炎の目が輝いた。
「異火……」
緊握した拳を振り、山洞を出た蕭炎は、紫火の強大さを体験した後、そのさらに凶暴で恐ろしい異火への欲求が増す。
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カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
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