闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0262話 異火融合・仏怒火蓮!

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蒼穹の彼方。

四つの斗皇級の気勢が天を覆う。

周囲の空間はその圧力にわずかに震え始めた。

青空に浮かぶ悠然たる雲が暴虐的な勢いに引き裂かれ、粉々と散り散りになる。

盐城の中では、四つの勢いが絡み合う波動に人々が微かに揺らぐ。

その恐怖の圧力は重石を背負うような重さで、呼吸すらもわずかに沈む。

「グーマー、おもしろいね! あなたがここまで追われているなんて、彼らが笑顔になるわよ!」

八翼黒蛇皇の巨大な三角瞳孔は対岸の蕭炎と海波東を凝視し、その巨口から震える大笑声が響く。

「お前も毒牙の混血種だね。

私が護っている者たちがいるのに、彼らとの戦いに引き込まれるわけないでしょう?」

八翼黒蛇皇は尾をゆらめかせ、三角瞳孔でその女性を斜めに見やった。

「本当に碧蛇三花瞳なのか?」

「えぇ。

あなたの感覚も正しかったわ。

」青衣の女性は眉間に喜色を浮かべて頷く。

「そうか……よかったね。

でも、あの男の体から発する気配がなぜか奇妙に似たような気がするんだよ?」

八翼黒蛇皇は蕭炎の白い炎を見つめながら不思議そうな声を上げる。

「私も同じように感じているわ。

彼の体からは何か懐かしい匂いが漂っているみたいね。

でも私が出会った強者たちの数は多く、その気配と似た記憶はもう忘れてしまった」

「あー、それも運命的なものかもしれないな」八翼黒蛇皇は再び蕭炎に視線を戻し、「彼の体から発する白い炎は異火だろう。

でも具体的にはどの種類か分からないね。

凄まじい力だわ」

「えぇ、確かに異火よ。

私の万木の檻も全く効果なかったわ」

「ふーん、久しぶりに加マ帝国に戻ってきたのに、こんな強者が現れているとはね」八翼黒蛇皇は意外そうな笑みを浮かべる。

「もういいから、ここで騒ぎが大きくなっていて、雲来宗や加マ王家の老害が気づいているはず。

もっと待つと大変になるわ」

「あー、分かったよ。

うっかりした女だね」

八翼黒蛇皇は尾を振って嘆き声を上げ、「本来ならメデューザ女王との試合を楽しみにしてたのに、彼女が進化失敗したなんて残念だわ。

完璧な存在で、まさに本皇のために生まれてきたようなものよ」

「白牙。

発情しないで。

前回のあの惨憺たる敗北を忘れたのか?」

白目を向けて、藍色の服の女性はため息をついて言った。

「あー、私は彼女の暴力が好きなんだよ」八翼の黒蛇王は巨大な頭を振りながら大笑いした。

「いいや、君たち先に逃げて。

私が彼らを止めるから。

10分後に同じ場所で合流しよう」

「うん、気をつけないと。

この二人は簡単にはいかないぞ」頷いて、藍色の服の女性は背後の双翼を軽く振った。

そして遠方へ向けて爆発的に飛び去った。

「安心して。

飛行速度なら斗皇クラスの中でも私が最上だ」八翼の黒蛇王が彼女が消えた方向に尾を振りながら得意げな笑みを浮かべた。

「逃げるのか?人質は置いていかないぞ!」

蕭炎がその飛び去る女性を見ると顔色を変え、紫雲翼を羽ばたかせ、爆発的に飛び出した。

「おーい!貴方たちの敵は私だ」

八翼の黒蛇王が萧炎が上空から通り過ぎようとするのを見て笑みを浮かべ、八翼を揺らし巨大な体が瞬時に蕭炎の飛行ルートに現れた。

その尾の力は空間まで歪ませていた。

蕭炎がその恐怖の力を察知し、硬直せずに急転して回避したが、目的である追跡は阻まれた。

「くそっ!海老、動け!」

萧炎が低く罵りながら、八翼の黒蛇王からの連続攻撃を避けつつ、海波東に叫んだ。

「私が一時的に止めといてくれ」海波東が真剣な表情で手を結び、袖を震わせ、冷気を体から猛然と放出した。

瞬間、その周囲は寒気に包まれ、雪が舞い始め、次第に風が烈しくなり、氷の刃が形成された。

巨大な氷の竜巻が天空に浮かび上がり、海波東の額には冷ややかな汗が滲んだ。

彼は袖を振ると、その巨大な氷の竜巻は八翼の黒蛇王に向かって爆発的に襲いかかった。

「へー、見事な仕掛けだが、私は六星斗皇だぞ。

貴方の二星では敵わないわ!ハハ!」

八翼の黒蛇王が笑いながら巨大な頭を振ると、体から炎が噴出し、その上に同じ大きさの黒色エネルギーの八翼の黒蛇が形成された。



巨尾を猛然と振り上げた。

その完全に奇妙な黒炎で結晶した八翼の黒蛇が、猛スピードで飛び出した。

その動きは恐怖すら誘うほど強力だった。

接触する瞬間、空間が細かい裂け目で震えた。

「ポン!」

という衝撃音とともに、白と黒の二つの恐ろしいエネルギーが互いに抗い合い、やがて天高く爆発した。

その轟音は千メートル先にも響き渡った。

爆発の波紋が広がり、海波東と八翼黒蛇皇を後退させた。

「はは、お前がこんな無駄を続けている限り、たとえお前が斗皇の強者であろうとも、何度も繰り返せまい」八翼黒蛇皇は笑いながら、海波東の顔色を見やった。

突然、その巨大な三角目の瞳孔が収縮し、漆黒の鱗が奇妙に締まり、その隙間から不気味な黒い油膜が滲み出てきた。

八翼黒蛇皇の腰辺りで蕭炎の姿が現れた。

森白い炎を纏った拳が雷のように打ち下ろされると、広大な黒い袖が鋼鉄のように硬くなり反撃した。

「ポン!」

という衝撃音と共に、八翼黒蛇皇の体に触れた瞬間、蕭炎の顔色が急変した。

その滑りやすい油膜は、彼の打撃をまるで皮膚から弾き出すようにしたのだ。

しかし、わずかに当たった部分では、森白い炎の熱さが蛇鱗を曲げさせた。

「ウーカー!痛いぞ!」

八翼黒蛇皇は巨大な尾を振り回し、蕭炎を皮球のように弾き飛ばした。

「プチ」背中の衝撃で血を吐く蕭炎が、双翼を羽ばたくことでようやく体勢を立て直す。

「あー、やはり自分の力ではないからかぎりなく制御不能だ」と彼は内心で嘆いた。

「大丈夫?」

海波東が声をかけた。

「大丈夫さ」蕭炎は首を横に振ってみせ、遠くの空を見つめた。

八翼黒蛇皇が時間を稼ぐ間に、青衣の女は既に姿を消していた。



「どうしよう?彼は私たちを殺せないけど、速度が速いから私たちの進行を阻むのは簡単かもしれないね」海波東は苦しげに笑った。

「それにこのやつは私の属性を完全に制圧している。

鱗片の防御力も凄まじい。

もし前に異火を使わなかったらあの一撃でダメージがほとんど出なかっただろう」

蕭炎は歯を食いしばり、息を荒くしていた。

「私たちには破壊力が強大な斗技がないからこのやつを退けるのは難しい」海波東はため息をつく。

蕭炎は黙った。

骨霊冷火は薬老のものだから蕭炎の制御度は薬老に比べてずっと低かった。

そして魂魄も薬老の所有物だ。

これらは全て蕭炎が中間媒介役として扱われている部分だった。

八極崩でも八翼黒蛇皇には効果が薄い。

そこで蕭炎が残す最終手駒は地階斗技『焰分噬浪尺』しかない!

掌に肩を置き、背中の冷たい黒巨尺を感じたとき、彼はその最後の底牌を使う直前に左手の骨霊冷火を見つめた。

突然、一種の狂気じみた考えが無意識に浮かび上がってきた。

「それならもっと恐ろしいかもしれない」

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