闘破蒼穹（とうはそうきゅう）

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第0461話 赫長老

蕭炎の冷たい言葉に、柳菲の顔が次第に険しくなった。

彼女に特別な修練室を用意するようにと言わせれば、学院内外で笑いが沸き起こるだろう。

カナン学院が大陸での地位を考えれば、彼女の才能は優秀とされる程度の者にその特権を与えることはありえない。

ましてや内院で名を馳せる表親・柳擎（りゅうけい）ですらも、その資格を持たないはずだ。

したがって、蕭炎の言葉は明らかに大きな侮辱だった。

その場全体が彼の一言で静まり返った。

修練室の外には、暴風雨を思わせる重厚な空気が漂っている。

一隅で雷ナ（らいな）もようやく我に返り、炎の方を見つめるようになった。

険しい表情で蕭炎を睨みつけながら、僅かに嗄れた声で憤怒を抑えた。

「小僧め、気があるなら……」

「規則が分からないのか？挑戦する前に必ず修練室外の挑発鈴（ちょうはつすず）を押さなければならない。

お前のようにドアを乱暴に叩くのは、力を見せつけたいだけだろ？」

蕭炎は目を上げて冷ややかな光を黒い瞳孔に宿らせた。

指先で門の近くにある黒い装置を示し、険しい声で続けた。

「この塔では実力が強い者が最良の修練環境を得る。

しかし逆に、誰かが既に修練室を使っているなら挑戦するには必ず鈴を押す必要がある。

その際は火晶カード（かしょうかーど）を差し込んで『炎能』を1日分消費させる。

すると修練中の者が心火の減少を感じ、安全に覚醒できるようになっている。

だが雷ナはそれを無視して最も効果的な方法で相手を驚かせたんだ。

」

「この扉も特殊素材で作られているが、その音響効果は内部の修練者に干渉し、強制的に中断させることも可能だ。

だから蕭炎が出した後からずっと険しい表情だったんだろうね。

」

雷ナの挑発を受けたのか、彼女は一瞬途端に硬直し、さらに憤りが増す。

「普段から横暴なだけに規則なんて無視する習性があるんだよ。

ましてや三階で修練しているような弱者と比べれば……」そう言いながら、険しい笑みを浮かべた。

「いいだろう。

確かに手のひらが痒い気分だ。

今日はじっくり揉んでやるぞ！」

その言葉と共に彼女の体から強大な圧力が放出され、周囲の修練生たちが反射的に後退した。

「四星斗霊（しすてんとれい）程度か……フオウオウよりは上かもしれない」──雷ナの気配を感じ取った蕭炎は無表情ながらも正確に評価を下していた。



柳フィが不機嫌な顔をようやく取り戻した。

雷ナがレオンに向けた歩みを見ても口を挟まなかった。

これまで彼女はほとんど屈辱を感じたことがない。

しかし今日、レオンの弱々しい釘のようにも見える存在が、彼女の心を刺り傷つけたのだ。

そのため、誰かが彼を教訓を与える様子を見るのは喜ばしく思えた。

「レーナお兄さん、手加減しろよ。

もし表哥（※ここは原文の**で置換された可能性あり）に知られたら……」柳フィはレオンを見やりながら淡々と雷ナに言った。

「へへ、分かったさ」と雷ナが笑いながら頷き、すぐにレオンを睨むように顔を向けた。

拳に強烈な気功が急激に凝縮されていく。

その様子を見て周囲の者は慌てて後退し、巻き添えになることを避けるためにはと必死だった。

冷ややかにレナの獰悪な表情を見つめるレオンはさらに顔を曇らせた。

塔内に漂うほのかな温もりを感じながら、低い声で言った。

「本当に殴りたい？」

「怖がった？」

雷ナもまた牙を剥き、「この修業室から出て、フィーリー（※柳フィの愛称）に謝罪し、この高級区域にはもう来ないようにすれば許すぜ」と言い放つ。

その言葉を聞いたレオンは目を伏せた。

頷くと指先で紫の薬を口に入れた。

ゆっくりと咀嚼しながら。

「ふーん、丹薬で強引に実力をつけようとしてるのか？」

雷ナがレオンの動きを見て冷笑した。

「おれの鼻は鋭いぜ。

大斗（※ここも**補完が必要）左右には届かない」

無視してレオンは口を開き、紫の炎を吐き出し掌に閉じた。

「ん？」

雷ナが驚きの表情を見せ、「少しは実力があるのかな。

それだけじゃ勝てないけどね」と冷笑道。

レオンは相変わらず無関心だった。

右手をゆっくり開くと青い炎が突然飛び出した。

その両方の炎を見た雷ナの目に初めて驚異の色が浮かんだ。

彼は狂おしいほどに自己中心的だが、賢明でもある。

二つの炎から放たれる熱気は相当なものだった。

「もう待てないぜ」そう思った瞬間、雷ナの体が震えた。

目には見えない深黄色のエネルギーが全身を包み込む。

「小子よ、内院で生きるなら低姿勢にしろってことを教えてやるんだ」黄い光球の中から雷ナの冷笑が響き、その足音は巨大な獣のように凶暴だった。

レオンに向かって突進する。

冷たい目線を向けたまま、強烈な風圧で黒い長袍が体に張り付く。

雷ナの姿が急速に大きくなり、レオンは左へ一歩ずらしてその衝撃を回避した。

地面に足を着けずに反転し、空気を劈くような鞭の一撃をレオンの頭に向かって放った。



双腕を強く合わせた。

その間に青い炎と紫の炎が急速に絡み合う。

火の光は電気のように跳ね、鋭い息遣いと共に吐き出される。

頭に向かって鋭い気流を感じたとき、蕭炎は体を猛然と斜めに倒した。

わずかに傾いた足で地面を踏みつけた瞬間、エネルギーが爆発する音とともに、その角度のままの蕭炎は反動で後退し始めた。

雷納は脚を振り上げ、空中高く跳ね上がり、両掌を開き鷹のように襲い掛かってきた。

背後の岩に蹴りを入れることで反動を得て、蕭炎は雷納の凶猛な突進を回避した。

その間に視線を手元の炎に向けた。

そこでは青紫の炎が徐々に収束し、間もなく仏怒火蓮が形成されれば相手を傷つけることができる。

彼には持久戦は不要だった。

今後の厄介者を恐れるためには、圧倒的な力で自身の威信を確立する必要があった。

仏怒火蓮による驚異的効果は全てに優るだろう。

雷納の両爪が地面を叩き、その鋭い気流は頑丈な黒石板に細かい裂け目を作り出した。

わずか二分未満の時間で双方が攻撃と回避を繰り返し、十数回のやり取りが行われた。

激しい気流と飛び交う人影が周囲の観客から驚きの声を引き出す。

彼らは雷納の手の早さに驚愕しつつも、大斗師である蕭炎が四星斗霊の彼とこれほどまで戦い続けていることにさらに驚嘆していた。

「チラッ」

次の猛攻撃で、わずかに動きを遅らせた蕭炎は黒袍を引き裂かれたが、身体には無傷だった。

意図的に回避した雷納の顔に怒りが深まり、彼は上を見上げて笑みながら言った。

「お前はウサギか？正面で戦えよ」

その言葉に周囲の観客は暗躍し、内心で嗤った。

四星斗霊が大斗師を脅迫するなど、本当に相手が馬鹿だとでも思っているのかと。

しかし彼らの嘲笑が聞こえる直前、蕭炎は突然動きを止めた。

彼は地面に膝をつき、両掌を開き炎を収束させた。

雷納はその光景を見て目を見開いたが、次の瞬間には既に仏怒火蓮が完成していた。

「チラッ」

雷納の顔が驚愕と恐怖で歪みながら、彼は最後の息を吐いて地面に倒れた。