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第0487話 宝探し
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無数の星々が夜空を埋め尽くし、冷たい月明かりが山脈全体を薄い銀色に包み込み、その神秘的な雰囲気を作り出していた。
深夜の森は、夜行性の魔獣たち以外は全て巣穴で眠っているため、深い静寂が支配していた。
時折遠くから響き渡る悠長な唸り声が、やがて闇に溶けて消えていく。
漆黒の空を横切るように飛ぶ影が一瞬だけ現れた。
巨大な翼が僅かに震えると同時に微かな気流が生じたが、その姿は夜空で一瞬にして消え、何もかもを驚かせることなく…
「休」
谷外の一木の頂上から突然人間の影が現れ、灼熱の視線で闇の谷を見やった。
昼間に凶暴な隊伍が侵入したその谷口は、大小様々な坑穴が無秩序に散らばり、狼藉の跡を残していた。
深い谷を見つめながら消炎は軽く笑み、袖を軽く振ると七色の影が現れ、彼の周囲を回旋しながら「嘶ー」という音を連発した。
「本当に甘い奴だ」吞天蟒(トンテンパオ)が納戒に鋭い目で注視しているのを見て消炎はため息をつき、伴生紫晶源(バンセイシージョウゼン)の瓶を取り出した。
紫晶源が現れた瞬間、吞天蟒は電光石火のように瓶を掴み、舌先で中から吸い取り、その量が約三分の一に減った。
消炎が頬杖をつけて瓶を取り戻すと、残り三分の二の量を見た彼女はため息をつき、「この貪欲なやつ…以前なら数滴で済んだのに」と心の中で嘆いた。
紫晶源を飲み干した吞天蟒が満足げに舌を出しながら、消炎の肩に体を巻き付ける。
月光に反射する七色の鱗は美しい輝きを放ち、かつて見たメデューサ女王との類似点に消炎は気づく。
喉を鳴らして唾を飲み込むと、消炎は吞天蟒と妖艶な蛇同(セイント)が互いに見つめ合う様子を見た。
その瞬間、彼女の胸中で一種の違和感が湧き上がった——美杜莎女王との類似点が増えていることに気付く。
苦しげに笑みながら消炎は手を優しく蛇頭に当てると、吞天蟒は温かく舌を伸ばし、掌に湿り気を感じさせる。
「小やつよ。
お前は耐え抜かないと、あの女に魂を食われてしまうぜ。
そうなったら俺たちもろくな終着点なんてないさ」消炎がため息混じりに首を横向けた。
その妖艶な美杜莎女王の姿を思いやるだけで頭痛がするのだ。
無論、こんな実力でさえも斗宗級の超強者と複雑な関係を持つなど誰だって苦しいだろう。
ましてや人命を草芥のごとき殺戮を日常茶飯事にするような相手だらけ。
その言葉に通じたのか、吞天蟒が「シィ」と微かな鳴き声を上げた。
蛇の目は妖艶な光を宿していた。
「あー、それはいずれの問題だよ。
お前も腹いっぱいになったから働かせろや。
怠けたら紫晶源なんて与えねーぞ」消炎が吞天蟒の頭に軽く叩いた。
その瞬間、彼の心は一気に晴れやかさを取り戻した。
消炎の脅しは明らかに吞天蟒を圧迫していた。
小やつは慌てて頷きながら尾を振って七彩の光の塊となって消炎の前に現れた。
その速度は瞬時に消炎の視界から幾重もの光線が飛び交うように見えた。
頭を振り切ると、背中の紫雲翼がゆっくりと羽ばたいた。
彼の身体は次第に空へと昇り、静かに谷間へ向けて進み始めた。
その周囲では吞天蟒が行き来し、彼を守護するように飛び回っている。
消炎の飛行速度は極めて遅く、谷口まではほとんど音も立てずに到達した。
しかし、消炎が谷口からたった十メートルほど離れたところで、側面にいた吞天蟒が突然鱗を逆立てる。
鋭い「シィ」という鳴き声が谷間全体に響き渡り始めた。
その様子を見て消炎は驚きのあまり動きを止めた。
体内の斗気を駆動させながら、幽深な谷間に目を凝らすと──
時間と共に漆黒の谷から赤い光点が現れ始めた。
それが次第に大きくなり、低く重たい足音と共に月明かりの中には赤銅色の巨眼が浮かび上がった。
月光に映える雪魔天猿を見た瞬間、消炎は安堵の息を吐いた。
その毛並みは再び純白に戻り、かつての圧倒的な気魄も衰えを見せていた。
明らかに血脈覚醒後の衰弱がピーク期には至っていないようだ。
巨眼は半空の消炎──正確には彼の傍らの吞天蟒を死に物狂いに凝視していた。
同類である吞天蟒のその気配は雪魔天猿にとっても異質なものだった。
その不穏さと恐怖が混ざり合った。
月明かりの中、蛇と猿が互いに睨み合う。
両者の雄々しい気魄が次第に膨らんでいく。
消炎の今の実力では息苦しささえ感じられるほどの圧迫感だ。
突然、指先の黒い戒子から無形の霊力が放出され、消炎を包み込むと同時に吞天蟒と雪魔天猿の気魄を断ち切った。
薬老の声が彼の心に響く。
「吞天蟒で雪魔天猿を止めろ。
お前は谷中に『地心淬体乳』を探せ」
「うむ」消炎が微かに頷き、一匹の吞天忙(とんてんぼう)に向かって低く命令した。
「小坊主、止めてやれ」
「スー」
消炎の指示を受けて吞天忙は鋭い鳴き声を上げた。
その体から突然七色の光が爆発的に溢れ出し、同時に前足の先端から巨大な尾が伸びて空高く舞い上がった。
瞬間、その七彩の輝きに包まれた吞天忙は見る間に十メートルを超える巨体へと成長し、夜空を震わせながらゆっくりと動き始めた。
「眠り続けていたのに、この子の実力がまた上昇したか……やはり吞天忙という名にふさわしい。
もしもその頂点に達したら、天地を滅ぼすほどの力を得るだろう」消炎は雲嵐宗(うんらんしょ)での前回よりもさらに巨大化した吞天忙を見つめながら感嘆の声を上げた。
「吞天忙は確かに上古の異種だが、通常なら百年以上かかる進化をここまで早めたのは、メデューサ(みどろうさ)の魂が同調し続けているからだ。
この子が強くなっているのは、むしろメデューサの力を浪費していると言っても過言ではない」薬老(やくろう)は淡々と説明した。
消炎は黙って頷いた。
「メデューサ……その女は本当に恐ろしい存在だ」
深呼吸を一つし、約十秒間立ち止まっていた消炎が双翼を一気に広げると、影となって山谷から疾走していった。
消炎の動きに気付いた雪魔天猿(せつまてんえん)は怒りの咆哮を上げ、地面を蹴って巨大な体を砲弾のように突進させた。
その途端、七彩の光がさらに輝き始め、吞天忙の尾が空中から鋭く振り下ろされた。
雪魔天猿はその直撃を受け付け、山壁に叩きつけられた。
激痛に耐えながらも赤い目を充血させ、体表に氷結エネルギー(ひょうげんりょくりょく)を纏わせた。
巨大な牙を開いて半メートルにも及ぶ氷の渦巻球を作り出し、吞天忙に向かって放った。
空高く舞う吞天忙はその氷の渦巻を見つめ、七彩の輝きを爆発させた。
夜空に七色の太陽が現れ、氷と光の衝突が山谷全体を揺らした。
深夜の森は、夜行性の魔獣たち以外は全て巣穴で眠っているため、深い静寂が支配していた。
時折遠くから響き渡る悠長な唸り声が、やがて闇に溶けて消えていく。
漆黒の空を横切るように飛ぶ影が一瞬だけ現れた。
巨大な翼が僅かに震えると同時に微かな気流が生じたが、その姿は夜空で一瞬にして消え、何もかもを驚かせることなく…
「休」
谷外の一木の頂上から突然人間の影が現れ、灼熱の視線で闇の谷を見やった。
昼間に凶暴な隊伍が侵入したその谷口は、大小様々な坑穴が無秩序に散らばり、狼藉の跡を残していた。
深い谷を見つめながら消炎は軽く笑み、袖を軽く振ると七色の影が現れ、彼の周囲を回旋しながら「嘶ー」という音を連発した。
「本当に甘い奴だ」吞天蟒(トンテンパオ)が納戒に鋭い目で注視しているのを見て消炎はため息をつき、伴生紫晶源(バンセイシージョウゼン)の瓶を取り出した。
紫晶源が現れた瞬間、吞天蟒は電光石火のように瓶を掴み、舌先で中から吸い取り、その量が約三分の一に減った。
消炎が頬杖をつけて瓶を取り戻すと、残り三分の二の量を見た彼女はため息をつき、「この貪欲なやつ…以前なら数滴で済んだのに」と心の中で嘆いた。
紫晶源を飲み干した吞天蟒が満足げに舌を出しながら、消炎の肩に体を巻き付ける。
月光に反射する七色の鱗は美しい輝きを放ち、かつて見たメデューサ女王との類似点に消炎は気づく。
喉を鳴らして唾を飲み込むと、消炎は吞天蟒と妖艶な蛇同(セイント)が互いに見つめ合う様子を見た。
その瞬間、彼女の胸中で一種の違和感が湧き上がった——美杜莎女王との類似点が増えていることに気付く。
苦しげに笑みながら消炎は手を優しく蛇頭に当てると、吞天蟒は温かく舌を伸ばし、掌に湿り気を感じさせる。
「小やつよ。
お前は耐え抜かないと、あの女に魂を食われてしまうぜ。
そうなったら俺たちもろくな終着点なんてないさ」消炎がため息混じりに首を横向けた。
その妖艶な美杜莎女王の姿を思いやるだけで頭痛がするのだ。
無論、こんな実力でさえも斗宗級の超強者と複雑な関係を持つなど誰だって苦しいだろう。
ましてや人命を草芥のごとき殺戮を日常茶飯事にするような相手だらけ。
その言葉に通じたのか、吞天蟒が「シィ」と微かな鳴き声を上げた。
蛇の目は妖艶な光を宿していた。
「あー、それはいずれの問題だよ。
お前も腹いっぱいになったから働かせろや。
怠けたら紫晶源なんて与えねーぞ」消炎が吞天蟒の頭に軽く叩いた。
その瞬間、彼の心は一気に晴れやかさを取り戻した。
消炎の脅しは明らかに吞天蟒を圧迫していた。
小やつは慌てて頷きながら尾を振って七彩の光の塊となって消炎の前に現れた。
その速度は瞬時に消炎の視界から幾重もの光線が飛び交うように見えた。
頭を振り切ると、背中の紫雲翼がゆっくりと羽ばたいた。
彼の身体は次第に空へと昇り、静かに谷間へ向けて進み始めた。
その周囲では吞天蟒が行き来し、彼を守護するように飛び回っている。
消炎の飛行速度は極めて遅く、谷口まではほとんど音も立てずに到達した。
しかし、消炎が谷口からたった十メートルほど離れたところで、側面にいた吞天蟒が突然鱗を逆立てる。
鋭い「シィ」という鳴き声が谷間全体に響き渡り始めた。
その様子を見て消炎は驚きのあまり動きを止めた。
体内の斗気を駆動させながら、幽深な谷間に目を凝らすと──
時間と共に漆黒の谷から赤い光点が現れ始めた。
それが次第に大きくなり、低く重たい足音と共に月明かりの中には赤銅色の巨眼が浮かび上がった。
月光に映える雪魔天猿を見た瞬間、消炎は安堵の息を吐いた。
その毛並みは再び純白に戻り、かつての圧倒的な気魄も衰えを見せていた。
明らかに血脈覚醒後の衰弱がピーク期には至っていないようだ。
巨眼は半空の消炎──正確には彼の傍らの吞天蟒を死に物狂いに凝視していた。
同類である吞天蟒のその気配は雪魔天猿にとっても異質なものだった。
その不穏さと恐怖が混ざり合った。
月明かりの中、蛇と猿が互いに睨み合う。
両者の雄々しい気魄が次第に膨らんでいく。
消炎の今の実力では息苦しささえ感じられるほどの圧迫感だ。
突然、指先の黒い戒子から無形の霊力が放出され、消炎を包み込むと同時に吞天蟒と雪魔天猿の気魄を断ち切った。
薬老の声が彼の心に響く。
「吞天蟒で雪魔天猿を止めろ。
お前は谷中に『地心淬体乳』を探せ」
「うむ」消炎が微かに頷き、一匹の吞天忙(とんてんぼう)に向かって低く命令した。
「小坊主、止めてやれ」
「スー」
消炎の指示を受けて吞天忙は鋭い鳴き声を上げた。
その体から突然七色の光が爆発的に溢れ出し、同時に前足の先端から巨大な尾が伸びて空高く舞い上がった。
瞬間、その七彩の輝きに包まれた吞天忙は見る間に十メートルを超える巨体へと成長し、夜空を震わせながらゆっくりと動き始めた。
「眠り続けていたのに、この子の実力がまた上昇したか……やはり吞天忙という名にふさわしい。
もしもその頂点に達したら、天地を滅ぼすほどの力を得るだろう」消炎は雲嵐宗(うんらんしょ)での前回よりもさらに巨大化した吞天忙を見つめながら感嘆の声を上げた。
「吞天忙は確かに上古の異種だが、通常なら百年以上かかる進化をここまで早めたのは、メデューサ(みどろうさ)の魂が同調し続けているからだ。
この子が強くなっているのは、むしろメデューサの力を浪費していると言っても過言ではない」薬老(やくろう)は淡々と説明した。
消炎は黙って頷いた。
「メデューサ……その女は本当に恐ろしい存在だ」
深呼吸を一つし、約十秒間立ち止まっていた消炎が双翼を一気に広げると、影となって山谷から疾走していった。
消炎の動きに気付いた雪魔天猿(せつまてんえん)は怒りの咆哮を上げ、地面を蹴って巨大な体を砲弾のように突進させた。
その途端、七彩の光がさらに輝き始め、吞天忙の尾が空中から鋭く振り下ろされた。
雪魔天猿はその直撃を受け付け、山壁に叩きつけられた。
激痛に耐えながらも赤い目を充血させ、体表に氷結エネルギー(ひょうげんりょくりょく)を纏わせた。
巨大な牙を開いて半メートルにも及ぶ氷の渦巻球を作り出し、吞天忙に向かって放った。
空高く舞う吞天忙はその氷の渦巻を見つめ、七彩の輝きを爆発させた。
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