闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0552話 終幕

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暗赤色の光線が疾風のように空間を切り裂くように走り抜けた。

その光線が通り過ぎる場所では、わずかに漏れ出すエネルギーの糸が巨石を砕き粉々と散らす。

さらに地面には半メートル幅の深い亀裂が広がり、その巨大な破壊力は広場全体を完全に破壊してしまった。

金色の輝く光線が空の半分を占め、暗赤色の光線は月のように鋭い角度で飛び出した。

両方とも極めて鋭利なエネルギーを湛え、空間を波打たせながら亀裂を広げていく。

観客席からは驚愕と畏怖が溢れ出し、彼らは自分がその余剰のエネルギーに触れただけで即死するだろうことを悟らされた。

金色と暗赤色の光線が互いに向かって疾走する中、無数の視線がその衝突を待ち構える。

二人の戦士の間には、隕石同士がぶつかるような凄まじい衝突が迫っていた。

彼らがさらに接近するにつれ、人々の心は自然と引き締まった。

この恐ろしい対決で勝者は誰か?

期待と不安が交錯する中、空中では次の瞬間暗赤色と金色の光線が激しくぶつかり合った。

しかし観客たちは爆発音を待っていたにも関わらず、その衝突は全く音を立てなかった。

人々は驚愕の表情で空を見上げると、二つの異質なエネルギー塊が水のように互いに侵食しあっているのに気付いた。

接触点では空間が歪み、虚幻な不気味さを感じさせる光景だった。

その中から微かな唸り声が聞こえ、金色と暗赤色の巨大な雲は平和そうに見えるものの、互いを飲み込む欲望を持っていた。

蕭炎は鋭い視線で空中の二つの巨大なエネルギー塊を見つめ続けている。

彼の体は重さを失ったように震えており、手に持った重い光線が地面に触れているのが支えだった。

この一撃で彼の体内の全ての斗気は完全に枯渇したのだ。

柳擎もまた顔色が蒼白になり、空中のエネルギー塊を見つめながら緊張していた。

二人の戦士の視線が互いを貫くように交差する中、観客全員がその結果を待っていた。

突然、二つのエネルギー塊は沸騰する水のように激しく揺らぎ始めた。

人々の困惑の目の中では、次の瞬間に急激に膨張し始めたのだ。

その異様な現象から、不穏な予感が広がり始めた。



膨張が一定の臨界点に達した時、二つの巨大なエネルギー塊は突然動きを止めた。

異様な深い光輝きが突如として現れた——それは細い光点だった。

その光輝きと共に空間が激しく揺らぎ始めた。

蕭炎と柳梟がそれぞれ放った最強の一撃が接触し、相互に吸収しあう中で奇妙な変異を起こしていた。

この状況は彼ら自身さえも困惑させ、驚愕の表情を見せていた。

光点はエネルギー塊の中で急速に拡大し、最終的には刺眼なまでに輝き始めた。

空間の揺らぎもその激しさを増していった。

審判席では地階以上の斗技が天地のエネルギーで威力を増すことは知っていたが、同等の強力な技同士が衝突する際には予測不能な変化が生じるという事実に驚きを隠せなかった。

先ほどの状況から明らかだったように、蕭炎と柳梟の攻撃は相互吸収の中で奇妙な異常現象を引き起こしていた。

蘇千大長老は光点がますます巨大化する様子を見つめ、何かを感じ取った瞬間顔色を変えた。

彼は突然立ち上がり、審判席から姿を消した。

その直後、空の上に二つの光点が破裂し、異常なほど暴虐的な天地エネルギーが広がり始めた。

「轟!」

という巨響と共に暗赤と金色のエネルギー塊は天地のエネルギーの乱れに耐え切れず、驚愕をもたらすような雷鳴と共に強大な風圧波を半空から放ち出した。

その風圧波は空間を震わせながら広がり始めた。

観客席では人々が恐ろしさで顔色を変えた。

この風圧波がこちらに迫ってきたら、生き残れる者はほとんどいないだろうと直感したのだ。

「空間封鎖!」

突然現れた老人の声と共に巨大なエネルギーが放たれ、虚無の空間は水波のように震え、瞬時に凝固した。

その結果、広場上空の空間と拡散中の風圧波は完全に固定された。

蘇千が阻止した風圧波にもかかわらず、二つのエネルギーが溢れ出し、それぞれの技を発動させた二人の身体に光速で衝突した。

その衝撃で蕭炎と柳梟は口から血を噴き、地面に滑りながら反対側の観客席へと転がっていった。

その姿は黒線のように見え、場内に騒動が起きた。



蕭炎と柳擎が溢散するエネルギーで分解され、蘇千の顔色もわずかに変化した。

両者の斗技が相互に吸収し侵食しあった結果、その狂暴な力は純粋な斗気よりも遥かに強大だった。

現在の蕭炎と柳擎はほとんど油断ならない状態で、その衝撃を受けた後の影響は深刻だ。

顔を引き締めながら、蘇千が手印を猛然と動かし、冷たい声で叫んだ。

「破けろ!」

その言葉が消えた直後、凍りついたエネルギーの嵐は人々の驚愕の視線の中でゆっくりと消失した。

エネルギーの嵐を破壊した蘇千が手を振ると、二人の長老が審判席から飛び出し、倒れた方向へ向かって走った。

間もなく、彼らは血だらけでボロボロになった二人の姿を、すでに破壊された競技場に持ち上げた。

広場周辺の人々は急いで立ち上がり、意識不明の蕭炎と柳擎を見つめながら、それぞれ黙って唾を飲み込んだ。

彼らは暗い笑みを浮かべ、「二人が争うのは単なる十位争いだというのに、ここまでやるとは」とため息をつく。

先ほどの戦闘について「あー」と舌打ちした人々は、エネルギーの嵐が巻き起こった時の危険さを思い出し、後から恐ろしさを感じた。

皆の心拍数が自然と速まった。

蘇千が動いて場中に出ると、破壊された競技場を見ながらため息をついた。

「この大会でこんなに大規模な破壊は初めてだ」

彼女が二人の意識不明者に近づき、斗気を注入すると、すぐに安堵の表情になった。

傷は重いけれど死ぬことはない。

高台から多くの人々が飛び降りて来て、蘇千ら周囲に集まった。

厳浩が柳擎の血染みた姿を見つめながら、奇妙な意味合いを込めてささやいた。

「柳擎の実力でここまでやられるとは思っていなかった」

隣で林修崖は平静に頷いたが、袖の中の手が震えていた。

二人が作り出したエネルギーの二つの塊には恐ろしい破壊力があり、そのうち一つでも当たれば即死だった。

突然、蕭炎の傍に影が現れ、彼女の腕を握った。

しばらくすると、ほっと息をついて周囲に向かって笑顔を見せた。

「大丈夫です」

老眼で薰衣を見ていた蘇千は驚きの表情になったが、すぐに優しく微笑んだ。

「安心してください、彼は無事です」

人々は蘇千の和やかな笑いに驚いた。

内院での地位と凄まじい実力を持つ人物であるため、このような対応を受けるのは稀だった。

薰衣が蘇千にニッコリと微笑みながら答える代わりに、ただ心配そうに蕭炎の顔を拭き始めた。

その眉を寄せた姿は美しいもので、周囲の男性たちの胸を締め付けた。

「大长老様、二人とも意識不明です。

この試合はどうなるのですか?」

倒れた二人を見ながら長老がためらい気味に尋ねた。

その言葉に人々は耳を澄ませた。

これが最も重要な問題だった。

蘇千の眉根がわずかに寄せられた。

「ルールでは両方が場外に出たと認められ、現在も意識不明なので、どちらが勝ったのか判断できない」

その言葉が終わった直後、血染みた腕が驚愕の視線の中でゆっくりと上がってきた。

「咳…私はまだ生きているぞ」

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