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第0993話 雷山
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雷山の頂上から偏僻な場所に降り立った蕭炎は山を回り込み風雷山脉外側の人混みを見やると、ため息と共に頭をかいた。
この大勢も四方閣大会のために集まっているんだろうと。
「さて四方閣大会は始まったのか?」
自問しながら彼は頬杖をつけて考え込む。
すると突然納戒から薄い透明な革の物を取り出し顔に被せた。
その瞬間輪郭が微妙に変化し粗野な目では区別できない程度になった。
この容貌変更アイテムは出雲帝国行きの際に小医仙からもらったものだった。
何年も放置していたのに役立つとは思っていなかった。
顔を隠すのは些事で、風雷閣との因縁が周知の通りであるため、堂々と現れたら風雷閣は袖手見舞いできない。
東閣には強者が多く特に風雷閣主・雷尊者も監視に来ている。
現在蕭炎が斗宗級とはいえその等級の強者相手では避けるべきだ。
彼が風雷山脈を訪れたのは風尊者を探すためで、万不得已でなければ姿を現したくない。
危険地帯に身を晒すリスクがあるからこそ容貌変更は必要だった。
顔を整えた後彼は密林を抜け大通りの人群中へと混ざり込んだ。
風雷山脈に向かって進む人々の中に入り込みながら、周囲の騒がしさに耳を塞ぎたくなるほどだった。
「くそ人間も多すぎんだぜ東閣でそんなに収容できるのか?」
「今日は大会が始まるから当たり前だよ四方閣全員が到着したって話だ」
「前回優勝は風雷閣だけど今回は誰になるかな?」
「分からないさ。
鳳清、唐鷹、王塵、慕青鸚の四人でしょ。
彼らは天目山脈の天山血潭に入ったと聞いたぜ。
斗皇級の実力者だからこそ血潭の力を借りてさらに進化したんじゃないかな?」
「そうかもな。
この四人はいずれも斗皇級の頂点に立つ連中だ。
血潭で突破すれば勝負は決まるかもしれない」
「分からないよ中州には隠れた名手がいくらでもいるんだから。
四方閣大会では毎回何人かのダークホースが出るんだぜ」
「ダークホースと言えば最近北域で騒動を起こしたあの若者・蕭炎だろ?風雷閣北支主・費天が直接戦った相手なんだぜ。
その強さは想像もできないレベルだよ」
「ふーん、でもここは風雷閣本部だぜ。
そんな危険な連中が来るわけないだろうに」
周囲の騒がしさがやっと自分の身に降りかかったと気付くと、蕭炎は思わず手が顔に触れた。
北域でさえもこの程度の名を呼ばれるとは思いもしなかったが、これは彼が望んでいたものではない。
もし魂殿の耳に入ればさらに厄介な状況になるだろう。
風雷閣の弟子たちが秩序を保つ山脈入口から入ると、空に浮かぶ領地は特別客以外は飛行禁止だったため、蕭炎は歩くしかなかった。
山の中に入った彼は群衆と離れて偏僻な林道へ向かい、急ぎ足で内部に向かった。
四方閣の開始日が近づき、風尊者も到着しているはずだと胸騒ぎがした。
「もし風尊者に会ったらまずは様子を観察し、その後接触するべきだ。
師匠は彼への信頼を絶対と言っているが、やはり慎重にならなければ」
山中を駆け抜けながらも、薬老と父の救出という重荷を背負う蕭炎は安全確保に気を配り続けた。
広大な風雷山脈を約30分で中央部まで辿ると、雷山が眼前に現れた。
その高さは雲海を超え、腰の上部から濃霧と雷光が交錯する様子は圧巻だった。
山頂には風雷東閣があり、大会間近ということもあり厳重な警備が敷かれていた。
山脚で行列に並ぶ蕭炎は強者たちを刺激しないよう待機し続けた。
登山道の先端では一般客用と参加者のための二つの石段が分かれていた。
二つの石道の前には、約百名の風雷閣の精鋭が立ちはだかっていた。
その厳しい表情から生じるほのかな圧迫感は、誰もが侵入をためらわせるほどだった。
その先陣にいるのは男女の老人二人で、蕭炎が目を凝らせば、その姿は天目山脈へと向かったあの日と同じ人物であることが分かる。
「この二つの実力は強く、変貌させた容貌でも彼らの審査を通るか?」
眉根を寄せながらそうつぶやくと、周囲で低く話し声が聞こえた。
「東閣の炎長老と木長老が選考に当たるとは意外だ。
この二人は風雷閣の中でも相当の地位にあるはず。
その厳しい選抜基準は名実ともに相応しい。
幸い私はただ見物に来ただけだから、審査を受ける必要はない」
その声に耳を傾けながら、蕭炎は内心で一瞬眉をひそめた。
どうやらこの二つの石道を通るためには特別な条件が必要らしい。
「我が風雷閣の規則は皆が知っているはずだ。
大会に出場するには第一に三星斗皇以上の実力、第二に三十歳未満であること、第三に老夫の前に五回以上耐えられることが必要だ。
これらの三つを全て満たす者だけが参加資格を得る。
それ以外は左側の石道から山頂へ上がればいい」
炎長老の淡々とした言葉に、場がざわめいた。
一つでも満たせない者がほとんどで、ましてや三つとも達成するのは至難の業だった。
ほとんどの人々が左側の石道を選んだが、蕭炎は一瞬ためらった末、その流れに身を任せて左へと向かった。
彼の目的は風尊者を探すだけだ。
ここでの闘いは避けたいと思っていた。
しかし少数の若者は右側の通路に挑戦しようとしたが、炎長老の一撃で次々と排除された。
彼らは三星斗皇の資格はあるものの、薬物や奇宝に頼った実力であり、実際には二星斗皇程度だった。
その弱い連中を無視するように炎木両長老が顔も上げない。
それを横目に見ながら、蕭炎は内心で笑みを浮かべた。
そして左側の石道に足を踏み出した瞬間、炎長老が突然振り返り眉をひそめた。
「止まれ!」
その声に反応して、蕭炎は袖の中の拳を握りしめながらゆっくりと振り返った。
炎長老の視線が彼の顔をじっと見つめる。
すると炎長老は淡々と言った。
「お前は参加資格を満たしているようだが、なぜ試みないのか?」
その言葉に周囲の視線が集まった。
これまで誰も通過できなかったのに、この平凡な男が可能なのか?
「大会には興味がない。
ここへ来たのはただ人を探すためだ」
少し声色を変えてそう答えると、蕭炎は炎長老から目を離し、山頂に向かって歩き始めた。
背後からは驚愕の視線が集中していた。
「この奴…ずい分と無礼だわ」
木長老が彼の背中を見つめて眉をひそめた。
「何か問題があるのか?ただ石道に入った瞬間に火属性の気配が一瞬揺れた気がした。
でもどうして分からないかしら」
炎長老も首を傾げてからため息をついた。
「まあ、気にしないでいいわ。
この程度の者なら」
そう言いながら、炎長老は再び厳しい表情に戻った。
この大勢も四方閣大会のために集まっているんだろうと。
「さて四方閣大会は始まったのか?」
自問しながら彼は頬杖をつけて考え込む。
すると突然納戒から薄い透明な革の物を取り出し顔に被せた。
その瞬間輪郭が微妙に変化し粗野な目では区別できない程度になった。
この容貌変更アイテムは出雲帝国行きの際に小医仙からもらったものだった。
何年も放置していたのに役立つとは思っていなかった。
顔を隠すのは些事で、風雷閣との因縁が周知の通りであるため、堂々と現れたら風雷閣は袖手見舞いできない。
東閣には強者が多く特に風雷閣主・雷尊者も監視に来ている。
現在蕭炎が斗宗級とはいえその等級の強者相手では避けるべきだ。
彼が風雷山脈を訪れたのは風尊者を探すためで、万不得已でなければ姿を現したくない。
危険地帯に身を晒すリスクがあるからこそ容貌変更は必要だった。
顔を整えた後彼は密林を抜け大通りの人群中へと混ざり込んだ。
風雷山脈に向かって進む人々の中に入り込みながら、周囲の騒がしさに耳を塞ぎたくなるほどだった。
「くそ人間も多すぎんだぜ東閣でそんなに収容できるのか?」
「今日は大会が始まるから当たり前だよ四方閣全員が到着したって話だ」
「前回優勝は風雷閣だけど今回は誰になるかな?」
「分からないさ。
鳳清、唐鷹、王塵、慕青鸚の四人でしょ。
彼らは天目山脈の天山血潭に入ったと聞いたぜ。
斗皇級の実力者だからこそ血潭の力を借りてさらに進化したんじゃないかな?」
「そうかもな。
この四人はいずれも斗皇級の頂点に立つ連中だ。
血潭で突破すれば勝負は決まるかもしれない」
「分からないよ中州には隠れた名手がいくらでもいるんだから。
四方閣大会では毎回何人かのダークホースが出るんだぜ」
「ダークホースと言えば最近北域で騒動を起こしたあの若者・蕭炎だろ?風雷閣北支主・費天が直接戦った相手なんだぜ。
その強さは想像もできないレベルだよ」
「ふーん、でもここは風雷閣本部だぜ。
そんな危険な連中が来るわけないだろうに」
周囲の騒がしさがやっと自分の身に降りかかったと気付くと、蕭炎は思わず手が顔に触れた。
北域でさえもこの程度の名を呼ばれるとは思いもしなかったが、これは彼が望んでいたものではない。
もし魂殿の耳に入ればさらに厄介な状況になるだろう。
風雷閣の弟子たちが秩序を保つ山脈入口から入ると、空に浮かぶ領地は特別客以外は飛行禁止だったため、蕭炎は歩くしかなかった。
山の中に入った彼は群衆と離れて偏僻な林道へ向かい、急ぎ足で内部に向かった。
四方閣の開始日が近づき、風尊者も到着しているはずだと胸騒ぎがした。
「もし風尊者に会ったらまずは様子を観察し、その後接触するべきだ。
師匠は彼への信頼を絶対と言っているが、やはり慎重にならなければ」
山中を駆け抜けながらも、薬老と父の救出という重荷を背負う蕭炎は安全確保に気を配り続けた。
広大な風雷山脈を約30分で中央部まで辿ると、雷山が眼前に現れた。
その高さは雲海を超え、腰の上部から濃霧と雷光が交錯する様子は圧巻だった。
山頂には風雷東閣があり、大会間近ということもあり厳重な警備が敷かれていた。
山脚で行列に並ぶ蕭炎は強者たちを刺激しないよう待機し続けた。
登山道の先端では一般客用と参加者のための二つの石段が分かれていた。
二つの石道の前には、約百名の風雷閣の精鋭が立ちはだかっていた。
その厳しい表情から生じるほのかな圧迫感は、誰もが侵入をためらわせるほどだった。
その先陣にいるのは男女の老人二人で、蕭炎が目を凝らせば、その姿は天目山脈へと向かったあの日と同じ人物であることが分かる。
「この二つの実力は強く、変貌させた容貌でも彼らの審査を通るか?」
眉根を寄せながらそうつぶやくと、周囲で低く話し声が聞こえた。
「東閣の炎長老と木長老が選考に当たるとは意外だ。
この二人は風雷閣の中でも相当の地位にあるはず。
その厳しい選抜基準は名実ともに相応しい。
幸い私はただ見物に来ただけだから、審査を受ける必要はない」
その声に耳を傾けながら、蕭炎は内心で一瞬眉をひそめた。
どうやらこの二つの石道を通るためには特別な条件が必要らしい。
「我が風雷閣の規則は皆が知っているはずだ。
大会に出場するには第一に三星斗皇以上の実力、第二に三十歳未満であること、第三に老夫の前に五回以上耐えられることが必要だ。
これらの三つを全て満たす者だけが参加資格を得る。
それ以外は左側の石道から山頂へ上がればいい」
炎長老の淡々とした言葉に、場がざわめいた。
一つでも満たせない者がほとんどで、ましてや三つとも達成するのは至難の業だった。
ほとんどの人々が左側の石道を選んだが、蕭炎は一瞬ためらった末、その流れに身を任せて左へと向かった。
彼の目的は風尊者を探すだけだ。
ここでの闘いは避けたいと思っていた。
しかし少数の若者は右側の通路に挑戦しようとしたが、炎長老の一撃で次々と排除された。
彼らは三星斗皇の資格はあるものの、薬物や奇宝に頼った実力であり、実際には二星斗皇程度だった。
その弱い連中を無視するように炎木両長老が顔も上げない。
それを横目に見ながら、蕭炎は内心で笑みを浮かべた。
そして左側の石道に足を踏み出した瞬間、炎長老が突然振り返り眉をひそめた。
「止まれ!」
その声に反応して、蕭炎は袖の中の拳を握りしめながらゆっくりと振り返った。
炎長老の視線が彼の顔をじっと見つめる。
すると炎長老は淡々と言った。
「お前は参加資格を満たしているようだが、なぜ試みないのか?」
その言葉に周囲の視線が集まった。
これまで誰も通過できなかったのに、この平凡な男が可能なのか?
「大会には興味がない。
ここへ来たのはただ人を探すためだ」
少し声色を変えてそう答えると、蕭炎は炎長老から目を離し、山頂に向かって歩き始めた。
背後からは驚愕の視線が集中していた。
「この奴…ずい分と無礼だわ」
木長老が彼の背中を見つめて眉をひそめた。
「何か問題があるのか?ただ石道に入った瞬間に火属性の気配が一瞬揺れた気がした。
でもどうして分からないかしら」
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