闘破蒼穹（とうはそうきゅう）

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第1122話 0004座を驚愕

全会場の視線は、石碑へとゆっくりと近づく蕭炎に集中していた。

前の人々のテストは確かに目を引いていたが、ここにいる誰もが最も熱望しているのは、彼の出番だ。

「彼の行動は葉家を代表するものだからこそ、この初試験でさえ叶家の運命が決まる。

五大勢力の一角としての名前が残れるかどうかは、今この瞬間の結果次第だ」

曹単は険しい目つきで蕭炎の背中を見つめながら、唇を歪めていた。

葉家が通過するためには各項目で上位三に入る必要があり、現在第三位にいる白鹿の魂値は755。

この三位はいずれも簡単な相手ではない。

曹単は彼がその能力を持ち得るとは思っていなかった。

石碑の前で足を止めると、蕭炎は指先で冷たい石を撫でた。

その感覚は氷のように鋭く、心にまで突き刺さるような痛みだった。

この触覚は人間の魂そのものに訴えるように感じられた。

「萧炎、葉家が今試験を通過するためには第三位を超える必要がある。

現在第三位は白鹿で、彼の魂値は755だ。

それを上回らなければ、葉家は存続の危機を迎える」

盛長老は石碑のそばに立って、緊張した表情で囁いた。

今度が失敗すれば、どんな言い訳をしても五大勢力から除外されるだろう。

蕭炎はゆっくりと頷いた。

彼自身が最もよく知っているように、今の彼は葉家の一族すべての運命を手にしているのだ。

目を閉じると、その瞬間から彼は完全に静寂の中に沈んだ。

呼吸すらほとんど聞こえなくなるほど微弱になり、大殿全体が重苦しい空気に包まれた。

約半分ほどの時間が経過した頃、突然、巨大な霊魂の圧力が蕭炎の周囲から爆発的に広がり始めた。

それは目覚めかけた巨龍のような存在感で、会場を震撼させる低音と共に空間を切り裂いた。

「ドォン！」

その瞬間、彼の周囲に無形の霊魂嵐が形成され、空間自体が歪み始めた。

盛長老は顔色を変えて急いで後退り、かつて曹颖が起こした異変と比較しながらも、明らかに蕭炎の方が規模が大きいことに気付いていた。

石碑前の丹軒や白鹿らも驚きの表情を浮かべ、十歩ほど離れた位置からその姿を見つめていた。

特に白鹿は目を丸くして、この蕭炎という存在がここまでまで到達したとは思っていなかったようだった。



曹家の席に座る曹颖玉が手中の円滑な玉を回す動作も、その場で止まった。

妖艶な瞳は石碑前のぼやけた影を見つめ、頬を染める驚愕の表情を浮かべた。

彼女はまさかこの男がここまで深く隠されていたとは思っていなかったのだ。

無形の魂魄の嵐が会場を騒然とさせた。

しばらくしてやっとその風が収まり、数十秒後には完全に消えた。

石碑から手を離す蕭炎は、全員の視線と共に一斉に鏡盤を見つめる。

「1！」

という赤い数字が目に入り、その数値は会場を瞬時に凍りつかせた。

人々の視線はその数字に釘付けになり、離れることもできなかった。

暫くの沈黙が大殿に広がった後、吐息のような声が響き渡る。

多くの目は石碑前の痩せた背中に向けられていた。

この数値はかつて曹颖が作った記録を三百を超える幅で上回っていたのだ。

当時の曹颖は初めての記録更新時に「妖女」と呼ばれたが、今や蕭炎はその遺した記録をさらに遥かに超えている。

この成績は驚異的だった。

曹颖はその赤い数値を見た瞬間、僅かに動揺し、次いで興味深げな目線で蕭炎を見つめた。

「面白いわね」と笑みを浮かべ、「中州は本当に才能が集まる場所ね。

以前は気づかなかったけど、こんな人材もいるのね。

今回の丹会は楽しみだわ」

その背後で曹単は石碑に目を凝らし、しばらくしてようやく現実を受け入れた。

彼の視線には憎悪が滲んでいた。

冷厳な彼女が正式に認めることなど滅多にないのに、この男はそれを達成したのだ。

かつて幾度となく嘲弄された莽炎が先を越したという事実は、曹単にとって受け入れ難い打撃だった。

葉家の席では葉重と欣藍がようやく安堵の息を吐いた。

蕭炎の業績はあまりにも眩しいもので、夢のような出来事に思えた。

彼らは彼の実力を疑ったことはなかったが、同時にこの第一試験で曹家妖女の記録を破るとは想像していなかった。

「葉家は救われたわ……」と葉重は震える手でテーブルを叩いた。

これまでの懸念は全て消え去り、彼は蕭炎が残り二試験でも上位に入るだろうと確信していた。



碑の傍らで盛長老は血色の数値を見つめていた。

しばらくすると彼はゆっくりと頷き、蕭炎を見る目を熱くした。

「この数値……他の人には意味が分からないかもしれないが、私はよく理解している。

これは蕭炎の魂の力が七品上位に達していることを示しているのだ」

そして最も貴重なのはその年齢だ。

この年齢で七品上位に到達したということは、現在の若手では曹颖と並ぶ存在である。

つまり丹塔は曹颖に次ぐ奇才を発見したのである。

もちろん盛長老がそれで蕭炎を曹颖と同等視するわけではない。

あの記録は三年前曹颖が作ったもので、今は彼女もさらに上位の領域に達しているはずだ。

年齢がほぼ同じであることを考えれば、比較するとやはり曹颖の方が優れているかもしれない。

しかし常識的に考えてそうだろう。

でもどうしてこの数値が蕭炎の全力なのかをどうやって知るか？

物事を完璧にするのは危険だという彼の常套手段は言うまでもなく、このような結果になったのも偶然だったのだ。

魂の価値が高い理由はその内側に存在する霊気と関係している。

斗気のような完成度はないが、魂を質的に変えるような効果がある。

同じランクの薬師で一人は霊気があるもう一人はない場合、テスト結果は雲泥の差になる。

先ほどの魂の嵐が起きた時蕭炎は暗に抑え込み、魂の力を完全に解放させなかった。

彼は常に自分に余地を残すことを信条としているのだ。

「ふふふ、なかなか見事なことだ」

盛長老がひげを撫でながら大笑いした。

その表情からは極度の興奮が滲み出ていた。

この情報を上層部に報告すれば必ず大きな反響を呼ぶだろう。

「魂のテストはここで終了する。

一位は葉家の蕭炎だ。

また記録を作ったことにもお祝いを言いたい。

この記録はしばらくの間、試験で破られることはないだろう」

成長老の声に大殿の中からため息が漏れた。

百足の虫死んでも足は動く葉家だが、最後の関門でこんな凄まじい援軍を見つけ出したとは……彼のこのパフォーマンスを見る限り次の二つの試験では上位三に入る問題はないだろう。

そしてもし試験に合格すれば葉家は存続の力を取り戻すことができる……

「次に残る最後の二つの試験を終えれば、本年度の五大家族試験の結果が明らかになる」

盛長老が蕭炎に笑みを浮かべた。

その表情には熱心さと親しみやすさが混ざり合っていた。

以前の冷めた様子とは対照的だった。

盛長老の熱意に対して蕭炎も微笑んで応じ、二歩後ろに下がった瞬間、彼は何か自身の魂を震わせるような視線を感じた。

顔を向けた先には曹家の首席席に座る黒衣の女性と目が合った。

その視線を受け取ると曹颖の唇端から妖艶な微笑みが浮かんだ。

妖気漂うその姿は堕ちた魔精のように見えた。

その魔精のような無遠慮な誘惑に対して蕭炎の心には警戒感が芽生えた。

この女とは近づけない……