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第1153話 地心魂髄の調和
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その緑色の石は遠目に見れば普通の石と変わりないが、近づいてみると奇妙な模様が刻まれており、表面に透明さを帯びていた。
強い光を当てると内部から粘稠な液体が흐르るようだ。
蕭炎の視線がその緑色の石に注がれたままだった。
やがて深呼吸をして胸中で沸き立つ驚きを抑え、身を屈めて掌サイズほどの緑色の石を慎重に手に取った。
掌に触れた瞬間温かみと清涼感が伝わってきた。
軽く揺すると内部から水滴が音を立てて動き回る。
「天麻翡石精(てんまひせきしょう)」という名前が浮かんだ。
蕭炎はその緑色の石を何度も確認し、ようやく確信を得た。
これが彼が必要とする最後の素材だったのだ。
「やはり万薬山脈……」納戒に慎重に収めた後、彼はため息をついた。
「外で探すなら大変な労力がかかるだろうが、ここでは腰を下ろして見つければいいだけだ」
紫研が石段の端に座っている場所を見やると、蕭炎は笑みを浮かべた。
「見つけました?」
紫研も元気づいて尋ねてきた。
彼は頷いた。
「じゃあいつ出発するの?」
紫研は興味津々に聞いた。
ここ丹界では美味しいものが多かったが、斗気大陸と比べて人気がないのが残念だった。
「密室を確保してほしい。
何かを作成しなければならないんだ」地心魂髄は非常に希少で、もし失敗すれば次回まで再現できないかもしれない。
彼の表情は真剣だった。
紫研は頷き、蕭炎と共に広場を通り抜け石殿の奥へと向かった。
「邪魔しないようにね」石室に入る際に彼が注意した。
「大丈夫だよ」紫研は頷いた。
その光景を見てようやく安心した蕭炎は、ゆっくりと石室に入った。
ドンと音を立てて石門が閉じた。
石室は狭かったが十分だった。
柔らかな光が周囲から差し込み暗闇を払う。
彼は即座に石床へと向かい、膝を折って座り込んだ。
すぐに手を動かすわけではなかった。
目を閉じて心の揺れや自身の状態を調整した。
地心魂髄の調合が成功するかどうかで、彼が八品への進化を果たせるかどうかが決まるのだ。
この重大な局面は一ミリも気を許せない。
約30分間目を閉じ続けた後、ようやく開いた漆黒の瞳は波立たず深淵そのものだった。
息を吐くように、喉の奥からゆっくりと息が漏れ出す。
蕭炎は掌で空気を軽く撫でると、眼前に三つの玉盒が浮かび上がった。
指先で蓋を開けると同時に、異様な香りが広がり、蕭炎の精神を一瞬で引き締めた。
三種類の素材がある。
地心魂髓と丹灵浆はそのまま混合できるが、天麻翡石精はまず内部の石精を精製する必要があった。
特に難しい作業ではない。
現在の蕭炎にとっては簡単なことだ。
掌を動かすと、先ほど入手した緑色の石が空中で軽やかに舞い上がり、彼の眼前に浮かぶ。
天麻翡石精を見つめる蕭炎は、口を開けて碧緑の炎を吐き出した。
その炎はたちまち石を包み込み、表面に細かい裂け目を作り出す。
わずかな香りが漂い始めた瞬間、蕭炎は頷いた。
炎の温度を急激に上げると、僅か半分もたたずに天麻翡石精の表面は網目状の亀裂が広がった。
その隙間にほのかな匂いが漏れ出す。
指先で軽く叩くと、石は「カ」っと音を立てて砕け散り、内部に隠されていた淡白い液体が現れた。
白色の液体が姿を現すと同時に、蕭炎は炎の温度を下げ始めた。
最後には一筋の火のつばだけ残し、その下で石器のように燉しているように見えた。
碗の中では微かに泡立つ白色の液体が、小さな気泡と共にほのかな腥味を発していた。
この臭いは石精中の不純物だ。
これを洗練させるのは簡単だった。
十数分もすれば全ての臭いは消え去り、清浄化された石精が完成する。
玉瓶や器皿を取り出すと、それぞれから細い液体が流れ出し、透明な碗の中に集まった。
「チリッ!」
と音を立てて三種類の液体が混ざると、薄い煙が立ち上った。
互いに敵意を向けるように泡立つ中で、丹灵浆と石精は完全に消滅し、残されたのは斑点模様の地心魂髓だけだった。
「ちしんこんすい……」蕭炎はため息をつく。
薬方によれば完成品は鮮やかな翠色だが、今の碗の中にあるのは明らかに失敗作だ。
初めての失敗に落ち込むこともなかった。
最初から成功するなら運が良すぎた。
ただ地心魂髓の貴重さを考えると、何度か失敗するとなると胸が痛む。
刻は変わりもせず、依然として三種天材地宝の配合比率を調整する日々が続く。
この調合において、わずかに多すぎたり少なすぎたりすれば、三つの液体間の均衡が崩れ、失敗となる。
そのため、調合時には決して失敗による心の揺らぎは許されない。
十一次の失敗を経て、蕭炎は三種天材地宝の量を約三分の一消費した。
その代償は大きくても、彼の表情には焦りは見せず、配合の手際も次第に冴えてきた。
現在の錬薬技術では同年代でそれを超える者は数えるほどしかいない。
この程度の失敗で心を乱すなど、群雄が集まる丹会での勝負に耐えられない。
玉碗を見つめる蕭炎の視線は鋭く、指先から三色の液体が凝縮される。
どの側面の量が減れば、その分だけ丁寧に補いながら均衡を保つ。
失敗を繰り返すうちに、玉碗内の液体は次第に透明で鮮やかな緑色になり、ほのかな香りが漂うようになる。
その匂いを感じた瞬間、彼の無表情な瞳孔に僅かに揺らぎが生じた。
指を軽く震わせると、一滴の石精が玉碗へとゆっくりと落ちる。
「嗤!」
という音と共に、白煙が立ち上り、その跡には翠色の粘稠体が残された。
液体の質を見極めた蕭炎は安堵の息を吐き、それを上品な玉瓶に注ぎ始めた。
しかし、魂髄の変化を得るためにはこれだけでは不十分だ。
だが初回成功という自信を得てからは、残りの三種天材地宝も約半分が配合できた。
翡翠色の液体で満たされた玉瓶を見つめながら、彼はようやくほっとした表情を浮かべた。
何度も失敗しても、この成果があれば今回の投資は報われる。
しかし「本当の勝負はこれからだ」という意識も同時に芽生える。
玉瓶を握りしめ、深呼吸を繰り返す蕭炎。
この変化が成功すれば丹会開始前に八品に昇級できる。
その資格を得てこそ、本気で優勝を狙えるのだ。
「三千焱炎火のためには必ずや成し遂げる!」
目の中の決意が鋭く輝きながら、彼は玉瓶を開けて口元へと傾けた。
首を後ろに反らせて大半の液体を飲み込むと、その瞬間眉心部で魂髄が急激に膨張し、激痛が頭蓋骨を突き抜けるように襲った。
強い光を当てると内部から粘稠な液体が흐르るようだ。
蕭炎の視線がその緑色の石に注がれたままだった。
やがて深呼吸をして胸中で沸き立つ驚きを抑え、身を屈めて掌サイズほどの緑色の石を慎重に手に取った。
掌に触れた瞬間温かみと清涼感が伝わってきた。
軽く揺すると内部から水滴が音を立てて動き回る。
「天麻翡石精(てんまひせきしょう)」という名前が浮かんだ。
蕭炎はその緑色の石を何度も確認し、ようやく確信を得た。
これが彼が必要とする最後の素材だったのだ。
「やはり万薬山脈……」納戒に慎重に収めた後、彼はため息をついた。
「外で探すなら大変な労力がかかるだろうが、ここでは腰を下ろして見つければいいだけだ」
紫研が石段の端に座っている場所を見やると、蕭炎は笑みを浮かべた。
「見つけました?」
紫研も元気づいて尋ねてきた。
彼は頷いた。
「じゃあいつ出発するの?」
紫研は興味津々に聞いた。
ここ丹界では美味しいものが多かったが、斗気大陸と比べて人気がないのが残念だった。
「密室を確保してほしい。
何かを作成しなければならないんだ」地心魂髄は非常に希少で、もし失敗すれば次回まで再現できないかもしれない。
彼の表情は真剣だった。
紫研は頷き、蕭炎と共に広場を通り抜け石殿の奥へと向かった。
「邪魔しないようにね」石室に入る際に彼が注意した。
「大丈夫だよ」紫研は頷いた。
その光景を見てようやく安心した蕭炎は、ゆっくりと石室に入った。
ドンと音を立てて石門が閉じた。
石室は狭かったが十分だった。
柔らかな光が周囲から差し込み暗闇を払う。
彼は即座に石床へと向かい、膝を折って座り込んだ。
すぐに手を動かすわけではなかった。
目を閉じて心の揺れや自身の状態を調整した。
地心魂髄の調合が成功するかどうかで、彼が八品への進化を果たせるかどうかが決まるのだ。
この重大な局面は一ミリも気を許せない。
約30分間目を閉じ続けた後、ようやく開いた漆黒の瞳は波立たず深淵そのものだった。
息を吐くように、喉の奥からゆっくりと息が漏れ出す。
蕭炎は掌で空気を軽く撫でると、眼前に三つの玉盒が浮かび上がった。
指先で蓋を開けると同時に、異様な香りが広がり、蕭炎の精神を一瞬で引き締めた。
三種類の素材がある。
地心魂髓と丹灵浆はそのまま混合できるが、天麻翡石精はまず内部の石精を精製する必要があった。
特に難しい作業ではない。
現在の蕭炎にとっては簡単なことだ。
掌を動かすと、先ほど入手した緑色の石が空中で軽やかに舞い上がり、彼の眼前に浮かぶ。
天麻翡石精を見つめる蕭炎は、口を開けて碧緑の炎を吐き出した。
その炎はたちまち石を包み込み、表面に細かい裂け目を作り出す。
わずかな香りが漂い始めた瞬間、蕭炎は頷いた。
炎の温度を急激に上げると、僅か半分もたたずに天麻翡石精の表面は網目状の亀裂が広がった。
その隙間にほのかな匂いが漏れ出す。
指先で軽く叩くと、石は「カ」っと音を立てて砕け散り、内部に隠されていた淡白い液体が現れた。
白色の液体が姿を現すと同時に、蕭炎は炎の温度を下げ始めた。
最後には一筋の火のつばだけ残し、その下で石器のように燉しているように見えた。
碗の中では微かに泡立つ白色の液体が、小さな気泡と共にほのかな腥味を発していた。
この臭いは石精中の不純物だ。
これを洗練させるのは簡単だった。
十数分もすれば全ての臭いは消え去り、清浄化された石精が完成する。
玉瓶や器皿を取り出すと、それぞれから細い液体が流れ出し、透明な碗の中に集まった。
「チリッ!」
と音を立てて三種類の液体が混ざると、薄い煙が立ち上った。
互いに敵意を向けるように泡立つ中で、丹灵浆と石精は完全に消滅し、残されたのは斑点模様の地心魂髓だけだった。
「ちしんこんすい……」蕭炎はため息をつく。
薬方によれば完成品は鮮やかな翠色だが、今の碗の中にあるのは明らかに失敗作だ。
初めての失敗に落ち込むこともなかった。
最初から成功するなら運が良すぎた。
ただ地心魂髓の貴重さを考えると、何度か失敗するとなると胸が痛む。
刻は変わりもせず、依然として三種天材地宝の配合比率を調整する日々が続く。
この調合において、わずかに多すぎたり少なすぎたりすれば、三つの液体間の均衡が崩れ、失敗となる。
そのため、調合時には決して失敗による心の揺らぎは許されない。
十一次の失敗を経て、蕭炎は三種天材地宝の量を約三分の一消費した。
その代償は大きくても、彼の表情には焦りは見せず、配合の手際も次第に冴えてきた。
現在の錬薬技術では同年代でそれを超える者は数えるほどしかいない。
この程度の失敗で心を乱すなど、群雄が集まる丹会での勝負に耐えられない。
玉碗を見つめる蕭炎の視線は鋭く、指先から三色の液体が凝縮される。
どの側面の量が減れば、その分だけ丁寧に補いながら均衡を保つ。
失敗を繰り返すうちに、玉碗内の液体は次第に透明で鮮やかな緑色になり、ほのかな香りが漂うようになる。
その匂いを感じた瞬間、彼の無表情な瞳孔に僅かに揺らぎが生じた。
指を軽く震わせると、一滴の石精が玉碗へとゆっくりと落ちる。
「嗤!」
という音と共に、白煙が立ち上り、その跡には翠色の粘稠体が残された。
液体の質を見極めた蕭炎は安堵の息を吐き、それを上品な玉瓶に注ぎ始めた。
しかし、魂髄の変化を得るためにはこれだけでは不十分だ。
だが初回成功という自信を得てからは、残りの三種天材地宝も約半分が配合できた。
翡翠色の液体で満たされた玉瓶を見つめながら、彼はようやくほっとした表情を浮かべた。
何度も失敗しても、この成果があれば今回の投資は報われる。
しかし「本当の勝負はこれからだ」という意識も同時に芽生える。
玉瓶を握りしめ、深呼吸を繰り返す蕭炎。
この変化が成功すれば丹会開始前に八品に昇級できる。
その資格を得てこそ、本気で優勝を狙えるのだ。
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