闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1219話 遺跡進入

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蕭炎の視線が、次々と過去の宿敵たちに向けられる。

その瞬間、彼は苦渋の表情を浮かべた。

これらの連中が全員ここに集まっているとは、本当に予想外だった。

彼らが蕭炎の注目に気づいた時、一斉に視線を向け返した。

すると皆それぞれ複雑な表情を見せ始めた。

「ふん、こんな場所でこの小僧に出くわすとは……」

氷河谷の谷主・氷河尊者(ひょうごしゅう)は、冷ややかな眼光で蕭炎を見据えた。

古族への警戒から以前は退けたが、もしそれがなければ彼等を捕縛していたはずだ。

「ここに三教九流が集まっている。

もし無事に『逍遥』に入れば、機会があれば手を下すかもしれない。

その際には密かにやれば古族にも見つからないだろう……」

尊者は白い指輪を転がしながら、殺意の色を浮かべた。

「やはり運命の対決か。

丹塔の庇護がないなら、この男はもうどうしようもない。

彼の再起を阻むのは楽しみだ」

玄冥宗の宗主・辰天南(しんてんなん)も鋭い眼光で見つめながら、内心ではそう思った。

彼らがいくら隠しても、その殺意は蕭炎に感じ取られていた。

眉根を寄せた彼は、単体なら恐れなかったが、連携すれば厄介だと考えた。

「こんなにも多くの敵を作ってしまったのか……」

小医仙(しょういせん)と視線を交わすと、二人とも苦々しい表情になった。

彼らは意図的に敵対したわけではないが、結果として大勢の強者たちと対立していた。

「えっ? 萧炎さんですか?」

不意に驚きの声が響いた。

赤い衣装をまとった女性が目を輝かせて近づいてきた。

その美しい顔立ちを見て、蕭炎は一瞬で名前を思い出した。

「唐火(とうか)……」

彼女の隣には、紅袍を纏った老者が笑みを浮かべていた。

焚炎谷(ふんえんこく)の谷主・唐震(とうしん)だった。

「おや、久しぶりだね。

元気そうだな」

唐震は周囲の注目を集めながら、丁寧に挨拶した。

「唐谷主様もお変わりありませんか。

お見事です」

蕭炎は礼儀正しく応じた。

焚炎谷は中州屈指の大勢力で、唐震自体も強者として知られていたため、その行動が多くの視線を集めた。

鳳清(ほうせい)や氷河尊者らも眉をひそめ始めた。

彼らは蕭炎と焚炎谷の関係に驚いていたのだ。



たった二年で、あなたは丹会のチャンピオンに成り、さらに斗尊級まで昇進したという驚異的な速度だ。

老いた身にも情けない」という感想を抱いていた唐震が、周囲の人々の視線を無視して蕭炎を見やった。

彼の目には、かつて初めてこの青年と出会った時のこと——当時はまだ斗宗級に昇進したばかりだったが、再会時にはすでに斗尊級まで到達していたという記憶が浮かんでいた。

その驚異的な修業速度は、誰にも真似できないものだ。

蕭炎は唐震の感嘆に答えず、軽く笑みを浮かべて切り出した。

「唐谷主も遠古遺跡のために来られたのですか?」

「遠古遺跡は滅多に出ないが、斗聖級の強者が残した遺跡となるとなおさら稀だ。

今や現れた以上、見物に来たわけだ」唐震は笑みを浮かべながら、場内を見回した。

その鋭い目力で、蕭炎に対して敵意を抱く大勢力がいることに気づいていた。

「現在の状況はあまり好ましくないようですね?」

「運が悪いだけです」と萧炎は肩をすくめ、軽やかに答えた。

「ふん。

遺跡内での何かが必要な時は遠慮なく声をかけてくれよ。

かつてあなたが老夫のために火菩丹を作ってくれた恩義があるからだ」唐震は穏やかに言った。

「その時までには、蕭炎もきっと恥ずかしいお願いをするだろう」

萧炎は笑みを浮かべて頷いた。

唐震がこの大勢力たちと対立する理由は、昔の煉丹の恩義だけでなく、彼が八品薬師宗師であり丹会チャンピオンであるという二重の身分にあった。

薬師宗師という肩書だけでも多くの大勢力が引きつける存在だが、当時の煉丹の恩義だけではこの場で立ち向かうことはできなかった。

しかし八品薬師宗師というもう一つの立場があれば十分だった。

かつての蕭炎は、老一級の強者から同等視されることなど考えられなかったが、今はその資格を得ていた。

ただし、それが本当に成立するかどうかは別の話だ。

現在多くの強者が虎視眈々と狙っているのは天階斗技だが、それらを手に入れるまでは直接対決する可能性は低い。

そしてもし彼らが天階斗技を手に入れても、その時は新たな敵が現れてくるだろう。

「つまりこの状況は危険ではあるが、まだ蕭炎に助けを求める必要はないのかもしれない」

そうしたことを考えながら萧炎も笑みを浮かべ、顔を上げて周囲を見やった。

巨殿外には黒々と人海が広がり、さらに人々が続々と集まってくる様子だった。

しかし誰一人として巨殿の百メートル圏内に近づこうとはしない。

「ドン!」



約十分間の膠着状態が続いた時、大地が微かに震えた。

これまで無音を守っていた巨殿から轟々と重低音が響き渡り、その直後には赤銅色の石門が突然浮上した。

その背後に広がる漆黒の通路を見た瞬間、「大門が開いた!」

という声が上がった。

目の前で起こった光景に人々は血眼になった。

我慢できなくなった者たちが一瞬で通路へと駆け込み、哄笑を上げながら先頭を走る者が続出する。

その様子を見て人海が騒然となり、次々と通路に向かって飛び出した。

しかし蕭炎たちは動かない。

斗聖級の遺跡が簡単に侵入できるなどあり得ないと判断していたのだ。

「プ!」

という音と共に突然暗闇が赤く染まった。

堅固な床が割れ、熱い溶岩が噴き出し、通路の壁から妖艶な青い炎柱が四方八方に吹き出された。

その炎に触れた者は一瞬で灰燼となる。

この急転直結はたちまち通路内を人影無くした。

駆け込もうとした者たちは驚愕の表情で動きを止めたが、後ろから押し寄せる人々によってそのまま突っ込まれてしまった。

惨烈な悲鳴が響き渡り、巨殿外もまた混乱に陥った。

しばらくしてようやく静寂が戻ると、互いに顔を見合わせた人々の目には欲望が薄らいだ。

「ふん、区区の火道など…」大勢の強者が動いた。

彼らは膨大な斗気を纏い、炎柱に向かって突進した。

炎柱との衝突ではその力で一時的に防がれるものの、エネルギー切れで燃え尽きる者も続出した。

「ほんとだね、蕭炎君。

異火を持つならこの火道など問題ないでしょう。

行こうか」

唐震の笑みと共に九条龍の雷光を纏った炎が飛び出す。

その直後、紫褐色の蓮の形をした炎が現れ、小医仙を包んだ。

その瞬間唐震の顔色が変わった。

彼の炎に刻まれた龍紋が激しく揺らぎ、驚愕と恐怖が滲み出る。

「この子の異火…以前とは全く違う…」

「はい、唐谷主。

先を越えさせていただきます」

蕭炎の笑顔と共に炎が人々を乗せ、灼熱の通路へと突入した。

その背後で唐震はため息をついた。

「この男…本当に凄まじい」

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