闘破蒼穹（とうはそうきゅう）

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第1222話 遠古の森

地界の妖怪傀儡を制御する過程は、蕭炎の予想を遥かに超えるほどスムーズだった。

これらの傀儡の中に一筋の霊魂の痕跡さえ見つけることができなかったことに驚きながらも、彼はその理由を推測した。

無限の歳月が霊魂の痕跡を磨滅させたのか、それとも当時の二星斗聖級の強者がこの手作りの傀儡に興味を持たず、至って軽視してしまったのか——いずれにせよ、蕭炎の霊力がこれらの傀儡に入り込むと、彼はたちまち彼らとの接点を確立した。

その容易さには驚くべきものがあり、他の誰かが試しても即座に制御できるほどだった。

十具の傀儡を納戒に収めた後、蕭炎の顔が奇妙に歪んだ。

灰衣老者を見やると、彼はその男がこの簡単な方法を知ったら血まみれになって噴き出すのではないかと想像した。

この若造…本当にこれらの傀儡を制御してしまったのか。

広場の人々もまた驚愕の表情で蕭炎を見つめていた。

たった数分の間に、十具の二星斗尊級の強力な傀儡が彼の手に落ちたのだ。

その光景は人々の顔を次々と引き締め、羨望と嫉妬の感情を露わにする。

二星斗尊級の傀儡はどこにでもあるものではない——その存在自体が人を惹きつける。

特に蕭炎と因縁のある人物たちは、雷尊者や氷河尊者らが眼差しを鋭くした。

彼らは羨望と不満の入り交じった複雑な感情で彼を見ていた——蕭炎の実力が強ければあるほど、彼らへの脅威も増すのだ。

その視線に気付いた蕭炎は軽く目を逸らし、これらの連中がどう見ようともここでは動けないことを暗に示した。

彼らの目的は遺跡内の天階級斗技であり、それを持ち帰るまでは決してこのグループと死闘するつもりはないのだ。

「ギイッ…」

十具の傀儡を納戒に収めた直後、閉ざされていた石門から機械音が響き始めた。

その重厚な扉はゆっくりと隙間を開け始め、遠古の森のような蒼涼な空気が流れ出した。

人々の表情は次第に厳粛になり、この遺跡自体が聖なる存在のように感じられた。

蕭炎は身を軽く揺らし、一歩前に進もうとしたがすぐに引き返した。

その様子を見て周囲から「狡猾な奴だ」という罵声が心の中で飛び交った。

明らかに彼は最初に入ろうとしているのではなく、誰かが先頭に立ってくれることを期待しているのだ。

石門が完全に開いた瞬間、機械音も途絶えた。

広場の人々は互いに顔を見合わせながらも、誰一人としてその中へ踏み出そうとはしなかった。

この謎めいた遺跡への最初の侵入者を決めるという重圧が彼らを引き留めていた。

蕭炎は周囲の沈黙に気づかず、納戒を撫でながら満足げな笑みを浮かべていた。

まさかこの遺跡に入ったばかりでこれほどの宝物を得られるとは——これが運命というものだ。



広場には時折強者が現れる。

彼らは明らかに火道の玄機を発見した者たちだ。

その数が増すにつれ、先駆組みと勢力団が我慢できなくなった。

やがて一人がゆっくりと石門内へと入った。

幸いにも惨叫は聞こえなかった。

リーダーが無事だと気付くと皆の心が安らぐ。

「行こう」

蕭炎が笑みを浮かべ、低い声で喝破した。

足元を踏ん張ると黒影となって石門後の遺跡へと駆け出した。

その後小医仙たちもすぐ後に続く。

「この狡猾なやつ！」

急いで来た強者を見た人々は心の中で罵りながらも速度を上げ、洪水のように大殿内に突入した。

蕭炎らが一気に石門を抜けた瞬間、巨殿の内部風景が眼前に広がった。

人間と比べて圧倒的に巨大な神殿の中では皆小さく見えた。

周囲を見回すと深い通路が無数に伸びており、既にいくつかの勢力や強者がその先へ向かっていた。

「紫研、感じ取れる？」

薬草の匂いが続く通路を前に眉根を寄せた蕭炎が隣の紫研に尋ねた。

ここは神殿の入り口に過ぎず、内部ほど複雑だろう。

「少しは分かるけど曖昧だ」鼻先を動かした紫研が答えた。

「ついてこよう」

紫研が左右の通路の中の一筋へと向かい始めたので皆も後に続いた。

通路は広く、鳥のように滑空する彼らの姿は軽やかだった。

他の強者たちとの遭遇はあるものの干渉されることはなかった。

通路の両側には時折楼閣が現れる。

そこへ群集が蜂のように押し寄せてその中にあったものを全て奪い取る。

この蛮行にも関わらず幸運な連中は地階級程度の功法や斗技を手に入れていた。

薬草の匂いに従って楼閣に入った蕭炎らも何も見つからず、やはり本物はここにはないのだと悟ったようだ。

紫研が先頭で進むことに皆が集中した。

約15分後、前方の紫研がやっと動きを止めた。



紫研が足を止めた瞬間、蕭炎たちの視線は一斉に前方へと向けられた。

そこには非常に古びた石門があり、その表面には多くの苔が這い上がり、青々とした色合いから時の流れを感じさせる。

紫研は指差しながら言った。

「ここが薬草の匂いが一番濃い場所だ。

おそらく薬草を保管する部屋だろう。

数百年経てば腐敗しているかもしれない」

蕭炎は首を横に振ると、慎重に近づきまずは罠や仕掛けがないか確認した後、ようやくその石門を開け始めた。

「ゴゴゴ！」

低音の響きと共に苔で覆われた重い石がゆっくりと開き、数百年もの間封じ込められていた濃厚な薬草の香りが一気に溢れ出す。

その匂いに皆の精神は引き締まった。

それを嗅ぎつけた蕭炎の目に喜色が浮かび、さらに力を込めて石を完全に開け放った。

その瞬間、眩しい光が四方八方に迸り、蕭炎たちの目は細められた。

体中の斗気を回転させながら、彼らは急いで後退し、何事か備える態勢に入った。

光が徐々に薄れると同時に、皆の視線も開けた。

そこには想像していた石室ではなく、一片の原始的な森があった——無数の希少薬草で構成された古来からの森林！

「くそっ……この場所の薬草と比べれば、我が万薬山脈のものは毛髪にも足りないわ」

熊戦が珍しい薬草の連なる光景に目を丸くした。

紫研は涎を垂らしながらも、エネルギー豊かな霊芝の中へ飛び込み、手で摘んで口に入れた。

この薬草たちは数百年もの間成長し、その濃密なエネルギーは紫研にとって大変補助になる。

ただし蕭炎の調合がなければ味は劣るものの、そのエネルギー量なら苦みさえも消せるほどだ。

彼女の行動に皆が笑いを禁じ得ない。

蕭炎は視線を周囲に走らせながら、この場所全ての薬草を納戒に入れる衝動を抑えつつ、手を振って森の奥へと進み始めた。

ここにはまだ魂嬰果を探す時間などなかった。

「行こう、魂嬰果を探そう」

小医仙たちは紫研を薬草から引き離し、蕭炎に続いて古来の森林の中に足を踏み入れていった。