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第1370話 八彩原石
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その言葉に応じて四人は急斜面の砂山を駆け上がり、瞬時に空間のブラックホール前に到着した。
周囲には時折人影が掠め、皆が彩鳞と小医仙に視線を留めるが、ここに来る者たちは些かも無知ではないため、意地悪な者はほとんどいない。
药老はその目を向けず、虚空中を歩みながらブラックホールの中に消えた。
その後ろで三人も続いた。
彼らがブラックホールに入る瞬間、一種の奇妙な力が体を撫でたが、それは敵意ではなくむしろ検査のようなものだった。
視界が一瞬黒くなり、次に光と騒音が広がった。
目を開けば灰色の空の下にある小さな町が広がっていた。
その上空には狂暴な空間の波動が感じられた。
「これが空間鎮だ。
ここは交易の場所で、古界のような広大さはないが十分すぎるほどだ」薬老は賑わう通りを見ながら笑った。
三人は頷いた。
この空間を開くのに必要な力量は並大根ではない。
確かに小さくても特別な存在だった。
「まずは気ままに見て回ろう。
ここには粗悪品はほとんどない、全てが希少なものばかりだ」
薬老が足を運び始めた通りの両側には青石の台があり、その上には巻物や玉瓶、武器の魔核などが浮かんでいた。
それらからは不気味な光が漏れ、明らかに凡品ではないことを示していた。
各石台の後ろには座る人物たちがいて、彼らは皆強大で危険そうな存在だった。
「地魔腿(ちまくつ) 地階上級武技」
「太玄決(たいげんけつ) 地階上級功法」
「万年血霊参(ばんねんけつりょうさん)」
視線を走らせると、様々な品々が飛び込んでくる。
その希少性は蕭炎の冷静ささえも揺るがせた。
隣で彩鳞と小医仙は目を輝かせて見入っていた。
「地心霊漿(ちしんりょうしょう) この薬材は六色雷雲を呼び覚ます」
蕭炎の視線がエネルギーに満ちた素材たちを巡らせると、彼の胸中も激しく動いた。
ここには想像を超えるものが並んでいたのだ。
街道は短く、敵陣地まで約100メートル程度だった。
蕭炎がその先端に到達した時、やっと目を離せずにため息をついた。
この通りで彼の心を動かしたものは少なくとも十種類以上あったが、実際的な効用はそれほど大きくない。
老練な商人たちが売り出す物々しい品々と引き換えに得られる価値も同程度だったからだ。
彩鳞の足が突然止まったので、蕭炎は不思議そうに彼女の視線方向を見やった。
そこには拳大の七色の石が転がっていた。
表面に七つの明確な模様があり、その中に特殊なエネルギーが滲み出ている。
「七彩原石か」
眉をひそめてその正体を認めた蕭炎は、さすがに驚いた。
この変わった石は七彩吞天蟒と深い関係があるという説があった。
伝説によれば、その種族の滅亡地帯で偶然発生するもので、吞天蟒の血を吸収したものは独特なエネルギーを持つ。
それは同種にとって大変貴重なものだった。
枯れた老人が石台に座り、彼らの存在に気づいても挨拶すらしなかったので、蕭炎は淡々と尋ねた。
「老先生、この七彩原石をどう換えますか」
老人はようやく目を開き、ゆっくりと答えた。
「三色丹雷以上の八品丹薬二つ」
「少し高すぎますよ」掌に石を乗せながら蕭炎は言った。
稀少ではあるが無限ではないし、他の種族にとっては全く役立たないものだ。
価値関係からすると確かに二つの高級丹薬と同等とは思えない。
一歩横で老人の腕組みをした藥老は黙って見守っていた。
彼の目には、この交渉が面白いのか何なのか分からないような笑みがあった。
「高いなら買わなければいいんだよ」老人は白眼を向けた。
「貴方様のような大人物がこんな小物に興味を持つとは思えない」
蕭炎も同じように白眼を返した。
だが怒るほどではない。
この程度の忍耐力がないなら、これまでの苦労は何だったのかとさえ思う。
交渉を続けようとした瞬間、彩鳞が彼の手を引き、冷たい指で掌に『買』という字を書いた。
その動作は突然だったので蕭炎も驚いた。
彩鳞は決して無知な女性ではないし、この石が重要かどうかは分からない。
それでも彼女は固く主張し、何らかの理由を暗示したのだ。
(続く)
彼女は突然、七彩原石を手に取ると、冷たい指先で一滴の血を垂らした。
その赤い液体が滑らかな表面に触れた瞬間、第七色の光紋から新たな彩色がゆっくりと動き出した。
「この原石の正体を見極めるには、七彩吞天蟒の血液が必要だ」
「八彩原石……」
薬老は笑みを浮かべながら、鼻で笑った。
もしこれが九彩なら彩鱗は大金もうけだったが、彼もまた欲目を垂らしていた。
八彩という事実に、彼女は納得の表情を見せた。
「この子よ、本当に貴重な品だわ」
小医仙がそっと原石を観察する間、薬老は街道の先端へと歩き出した。
その背中を見送りながら、彩鱗は指で八彩原石を撫でる。
しかし、彼女自身も気づかない間に、納戒に収めた瞬間、第八色の紋路から新たな微細な彩色が生まれていた。
「くそっ、老夫はまさかこんな宝物を見逃していたのか」
枯瘦い老人は玉瓶を手に取り、眉根を寄せた。
その視線は遠ざかる背中に向けられ、どこか不気味な笑みが浮かんでいた。
周囲には時折人影が掠め、皆が彩鳞と小医仙に視線を留めるが、ここに来る者たちは些かも無知ではないため、意地悪な者はほとんどいない。
药老はその目を向けず、虚空中を歩みながらブラックホールの中に消えた。
その後ろで三人も続いた。
彼らがブラックホールに入る瞬間、一種の奇妙な力が体を撫でたが、それは敵意ではなくむしろ検査のようなものだった。
視界が一瞬黒くなり、次に光と騒音が広がった。
目を開けば灰色の空の下にある小さな町が広がっていた。
その上空には狂暴な空間の波動が感じられた。
「これが空間鎮だ。
ここは交易の場所で、古界のような広大さはないが十分すぎるほどだ」薬老は賑わう通りを見ながら笑った。
三人は頷いた。
この空間を開くのに必要な力量は並大根ではない。
確かに小さくても特別な存在だった。
「まずは気ままに見て回ろう。
ここには粗悪品はほとんどない、全てが希少なものばかりだ」
薬老が足を運び始めた通りの両側には青石の台があり、その上には巻物や玉瓶、武器の魔核などが浮かんでいた。
それらからは不気味な光が漏れ、明らかに凡品ではないことを示していた。
各石台の後ろには座る人物たちがいて、彼らは皆強大で危険そうな存在だった。
「地魔腿(ちまくつ) 地階上級武技」
「太玄決(たいげんけつ) 地階上級功法」
「万年血霊参(ばんねんけつりょうさん)」
視線を走らせると、様々な品々が飛び込んでくる。
その希少性は蕭炎の冷静ささえも揺るがせた。
隣で彩鳞と小医仙は目を輝かせて見入っていた。
「地心霊漿(ちしんりょうしょう) この薬材は六色雷雲を呼び覚ます」
蕭炎の視線がエネルギーに満ちた素材たちを巡らせると、彼の胸中も激しく動いた。
ここには想像を超えるものが並んでいたのだ。
街道は短く、敵陣地まで約100メートル程度だった。
蕭炎がその先端に到達した時、やっと目を離せずにため息をついた。
この通りで彼の心を動かしたものは少なくとも十種類以上あったが、実際的な効用はそれほど大きくない。
老練な商人たちが売り出す物々しい品々と引き換えに得られる価値も同程度だったからだ。
彩鳞の足が突然止まったので、蕭炎は不思議そうに彼女の視線方向を見やった。
そこには拳大の七色の石が転がっていた。
表面に七つの明確な模様があり、その中に特殊なエネルギーが滲み出ている。
「七彩原石か」
眉をひそめてその正体を認めた蕭炎は、さすがに驚いた。
この変わった石は七彩吞天蟒と深い関係があるという説があった。
伝説によれば、その種族の滅亡地帯で偶然発生するもので、吞天蟒の血を吸収したものは独特なエネルギーを持つ。
それは同種にとって大変貴重なものだった。
枯れた老人が石台に座り、彼らの存在に気づいても挨拶すらしなかったので、蕭炎は淡々と尋ねた。
「老先生、この七彩原石をどう換えますか」
老人はようやく目を開き、ゆっくりと答えた。
「三色丹雷以上の八品丹薬二つ」
「少し高すぎますよ」掌に石を乗せながら蕭炎は言った。
稀少ではあるが無限ではないし、他の種族にとっては全く役立たないものだ。
価値関係からすると確かに二つの高級丹薬と同等とは思えない。
一歩横で老人の腕組みをした藥老は黙って見守っていた。
彼の目には、この交渉が面白いのか何なのか分からないような笑みがあった。
「高いなら買わなければいいんだよ」老人は白眼を向けた。
「貴方様のような大人物がこんな小物に興味を持つとは思えない」
蕭炎も同じように白眼を返した。
だが怒るほどではない。
この程度の忍耐力がないなら、これまでの苦労は何だったのかとさえ思う。
交渉を続けようとした瞬間、彩鳞が彼の手を引き、冷たい指で掌に『買』という字を書いた。
その動作は突然だったので蕭炎も驚いた。
彩鳞は決して無知な女性ではないし、この石が重要かどうかは分からない。
それでも彼女は固く主張し、何らかの理由を暗示したのだ。
(続く)
彼女は突然、七彩原石を手に取ると、冷たい指先で一滴の血を垂らした。
その赤い液体が滑らかな表面に触れた瞬間、第七色の光紋から新たな彩色がゆっくりと動き出した。
「この原石の正体を見極めるには、七彩吞天蟒の血液が必要だ」
「八彩原石……」
薬老は笑みを浮かべながら、鼻で笑った。
もしこれが九彩なら彩鱗は大金もうけだったが、彼もまた欲目を垂らしていた。
八彩という事実に、彼女は納得の表情を見せた。
「この子よ、本当に貴重な品だわ」
小医仙がそっと原石を観察する間、薬老は街道の先端へと歩き出した。
その背中を見送りながら、彩鱗は指で八彩原石を撫でる。
しかし、彼女自身も気づかない間に、納戒に収めた瞬間、第八色の紋路から新たな微細な彩色が生まれていた。
「くそっ、老夫はまさかこんな宝物を見逃していたのか」
枯瘦い老人は玉瓶を手に取り、眉根を寄せた。
その視線は遠ざかる背中に向けられ、どこか不気味な笑みが浮かんでいた。
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