闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1505話 帰郷

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突然に響き渡った爽やかな笑い声は、大殿の空気を一瞬凍りつかせた。

次の瞬間、全員の視線が天井から差し込む光の中へと集まった。

そこには細身の影がゆっくりと現れ、その姿を見た途端に火尊者や雲老祖といった高位者が体を震わせて声を上げる。

「蕭炎!」

その名前と共に大殿は騒然となった。

雲老祖らも驚きの表情で目を瞬かせたが、すぐに自身の地位と関係性を思い出したようだ。

薬尊者(やくそんしゃ)という盟主の師匠であり、この組織の精神的支柱である人物が、その親分のような存在だったのだ。

「バキッ!」

椅子が粉々に砕けた音と共に、薬老は震える手で涙を拭った。

彼の体からは無意識に強大な気力が溢れ出し、周囲の空気にまで波紋を広げていた。

二年間の別離の中で常に心配していた相手を見た瞬間、これまでずっと抑えていた感情が一気に噴き出したのだ。

「ふふ、帰ってきたならそれでいいんだよ……」

その声は軽やかだが、どこか切ない響きを帯びていた。

薬老の蒼白な顔に初めて笑みが浮かぶと同時に、雲老祖らも驚いた表情で見つめ返す。

これまで彼らが見たことのないほど感情的な姿勢だったからだ。

「師匠……」

二人の間には言葉を要さない絆が流れる。

その瞬間だけは時間さえ止まったように感じられた。

やがて薬老は涙を拭いながら、何度も同じ言葉を繰り返すようになった。

「丹塔大長老も笑顔で言った」

「少当主様の帰還は本当にタイミングよくね。

これで我々も少し息抜きできるわ」

「彼の現在の実力なら、単独で魂殿の主を相手にしても問題ない」

大长老の言葉が途切れたその時、角ばった席に座る蕭晨は笑みを浮かべた。

口を開くと、

「さて、どうやら……」

その瞬間、大长老や薬老たちも一瞬で目を見開いた。

彼らは驚きの表情で蕭炎を見つめるようにした。

ここでは最も強力な存在である蕭晨がこうも平然と言うなら、誰も疑うことはできない。

「浄蓮妖火を煉化したのか?」

薬老が最も早く反応し、一瞬の間もなく声を上げた。

「運が良かった……」

蕭炎は笑みを浮かべて答えた。

「この子……」

隣にいる火雲老祖たちも深く息を吸い込み、互いを見合った。

彼らの目には驚きの色があった。

彼らはすべて妖火空間に入った者で、浄蓮妖火の恐ろしさを知っている。

それは丹塔老祖すら一歩も譲らずに引き合わすほどの凄まじい存在だ。

彼らは蕭炎が妖火空間から脱出するだけでも奇跡と感じていたが、その上さらに浄蓮妖火を制御したとは想像もしていなかった。

なぜなら、浄蓮妖火はあまりにも恐ろしいからだ。

数千年の間、蕭炎より遥かに強力な者たちがそれを制圧しようと試みたが、全員失敗し帰還したのである。

「よし、ははあん!」

最初の驚きを通り越して薬老も気を取り直す。

その古びた顔には喜びで満ちていた。

浄蓮妖火という異種炎は、煉金術師にとって望むことか叶わない神々しい存在だ。

かつての浄蓮妖聖がそれを制圧した以来、誰も再びその力を得ることはできなかった。

しかし今回は蕭炎が新たな奇跡を起こし、彼が浄蓮妖火を持つなら、魂殿の主と単独で戦っても負けることはないと薬老は確信していた。

「少盟主様のような援軍があれば、魂殿の攻勢に対抗する手立てがある。

本当に喜ばしいことだ」

大长老が笑顔で言った。

蕭炎が単独で魂殿の主と戦えるならそれは最良のことだ。

そうすれば彼は手を広げて連合側の圧力も軽減できる。

「ふふ、少盟主様は連合軍の副将ですね」

大殿の中の他の上層部たちは慌てて礼を言った。

彼らは連合で一定の発言権を持っていたが、蕭炎との地位差は計り知れないほどだった。

天府連合は蕭炎が一手に築き上げたもので、多くの苦労があった。

連合主の座は薬老が掌握しているものの、核心メンバーである火雲老祖たちも知っているように、薬老は実質的に蕭炎を助けながらその巨大な勢力を管理しているのだ。

この連合の中心は一人の人間、つまり蕭炎なのだ。

これらの見知らぬ面々だが熱心で畏敬の念を込めた顔を見ると、蕭炎は冷たくなく笑みを浮かべて会話を続けた。

普段は気取ったような者たちも特別扱いを受けたように見えた。

「ふふふ、今日はここまでにしておこう。

皆さん各自帰って部下を整備し、魂殿の動きを監視せよ。

彼らが連合と決戦を挑んできたなら、我々は事実で彼らに示すのだ。

今の連合は魂殿を恐れない」

「了解です」

薬老の激昂な挑戦の声に、人々の胸中もわずかに熱い血潮が湧き起こった。

この二年間、両大勢力の摩擦は多く、互いの間に大きな溝ができていたが、ようやく真剣勝負ができるという事態は多くの人々の内なる願いを叶えた。

そして今度の決戦は、中州における覇権を握る勢力を真正に決定するものとなるだろう。

老練な魂殿と新興の連合の対立が激化すれば、その時こそ中州全体が沸き立つであろう。

大殿での会議が終了した後、蕭炎は依然として熱意を保っている薬老たちと、この二年間の天府連合における大小の出来事を話し合い、ようやく久方ぶりに静かな院落に戻った。

「父上」

蕭炎が院落に入った直後、懐かしい驚きの声が響いた。

次の瞬間、小さな体が空中を弧を描いて飛び出し、彼に向かって投げられた。

「ふふ、小娘は随分と成長したわね……」

蕭炎は笑みを浮かべて腕を伸ばし、その小さくて可愛らしい体をしっかりと抱き上げた。

そして、胸元に埋もれるような幼い顔を見つめながら、ここが自分の家であることを実感した。

外の危険な世界とは異なり、この場所では彼は疲れを一瞬で癒すことができる。

「あなたが帰ってきたと聞いていたわね」蕭炎が小々を抱きしめる間、優しい声が近づいてきた。

視線を上げると、小医仙が黒い衣装に身を包み、笑顔で彼を見ていた。

二年ぶりの再会にもかかわらず、彼女の温かさは変わらなかった。

その穏やかな雰囲気は心を癒すように溶け込んでいく。

「一星斗聖になったのね?」

蕭炎が小々を抱きながら小医仙を見つめた。

彼の目には、後者の実力が一星斗聖であることが明確に映っていた。

二年間で半聖を超え、一星斗聖に到達したその速度は相当なものだった。

「妖聖精血のおかげよ」小医仙は微笑みながら答えた。

そして蕭炎の視線を感じてから続けた。

「あの九幽黄泉に入った後、彩鱗はまだ出てきていないわ。

でも心配しないで、青鱗と私は定期的に九幽地冥蟒族へ行き、彼女の気配は感じることができるわ。

ただ黄泉の底までは入れないの……」

その言葉に、蕭炎の表情がわずかに引きつった。

計算すると彩鱗は九幽黄泉でほぼ三年間過ごしたはずだ。

あの黄泉の底を訪れたことがある彼には、何か異常な気配を感じた覚えはなかった。

「もしかしたら更に深い場所なの?」

蕭炎が眉根を寄せながら考えた。

九幽黄泉は地の深層部と繋がっており、その陰寒さは彼ですら深入りできないほどだった。

彩鱗が七彩吞天蟒であることを考慮すれば、極寒の力に触れたことで何か奇遇があった可能性もあった。

「連合の問題を解決したら、九幽地冥蟒族へ向かう必要があるわね……」

蕭炎は首を横に振って心配事を一時的に封じた。

現在最も急務なのは魂殿という大敵との対決だった。



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