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第0092話「山南省指紋交流グループ」
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二本煙の時間で大広間に戻ると、楊玲がまた来ていた。
省公安廳の指紋課は実に周辺化した部署だ。
办公厅や警務監察・法制・装備財政などの大部局と比べれば、刑事總隊の下にある科級小組織に過ぎない。
生態系全体から見れば存在意義はあるものの、体格や注目度という面では全く無視できる。
しかし地位は不変ではない。
白鯨が釣り上げられた時、その注目度は頂点に達する。
指紋専門家が指紋で事件を解決した場合、彼の価値も頂点に達するのだ。
一方、白鯨が繰り返し釣り上げられるなら状況は変わる。
指紋専門家が連続して事件を解決し、連続して殺人事件を解決する...
楊玲が江遠を見る目は白鯨を見るように鋭い。
もし江遠が突然死んだら、彼女は即座に碑文を刻むだろう。
「煙草に行きましたか?実はこの楼には喫煙室を作るべきだったんですよ。
あとで場所が足りなくなったので外に出したんです」
楊玲が江遠に挨拶しながら親切そうに言った。
「最近何か要望があれば、食べ物は慣れてますか?住まいはどうですか?」
彼女は江遠を見ながら話している。
他の人が要求を出しても構わないが...
「特に問題ないです」江遠はパソコンの前に座り、処理済みの指紋画像を前に置き、仕事を続ける準備をしているように見えた。
実際には本当に仕事を続けようとしていた。
もし生活の快適さを追求するなら、江村のサービスは省公安廳よりもずっと優れている。
楊玲がその様子を見てさらに満足した。
江遠が指紋業務に従事し続ける限り彼女の気分は晴れやかだ。
今回の指紋作戦もまた成功裏に終えるだろう。
それは全省上下の記憶に残る作戦になるはずだ。
「では皆さん、お仕事続けてください」楊玲がそう言いながら大広間の前でスマホを取り出しランキングの写真を二枚撮影した。
その時積み重ね解決ランキングのトップには江遠の名前があり、成績数は「9」と表示されていた。
二位の朱耀光の成績数は「6」でまた一枚指紋がヒットしていた。
正直に言って山南省の技術力ならこの数字は非常に見事だ。
往年の指紋作戦最終日にトップの指紋専門家が解決した事件数は五件か六件、稀に七件程度だった。
十件を超えることはほとんどなかった。
その理由は六・七枚の指紋をヒットさせるのがほぼ完全に消耗するからだ。
朱耀光の場合、最初二三日だけそんな熱心さを見せるが、優位性を得たかまたはそれを失った後は一日十二時間、十三時間程度で十四時間以上働くことはほとんどなかった。
しかし今年の状況は江遠の突然の登場により朱耀光は連日十六時間、十七・八時間も働いていた。
フロントの捜査員が指紋会戦を終えた朱耀光は、長陽市警の刑事課に戻ると少なくとも二ヶ月間ベッドから起き上がれないだろう。
その間に年賀状を書いたり各種報告書を作成したり通常業務に復帰しても一ヶ月程度でまた北京での指紋会戦に出征するかもしれない。
しかし指紋専門家の日常業務はそんな長期作業ではない。
積み上げた未解決の指紋ファイルに没頭し続けるわけにはいかない。
レベルの高い指紋解析官でも年間で当てる事件数は限られている。
当然一般犯罪より重大な命案の方が世話になるのは言うまでもない。
楊玲もその点を撮影していた。
「命案積み上げランキング」の下に江遠の三件の戦績が目立つ。
他の二人の専門家は一件ずつでその後ろには誰もいないが楊玲は興奮して「山南省指紋交流」グループに写真を送信した。
四百人規模のグループが一気に沸き立った。
「今年の指紋会戦に命案ランキングを設けたのか?」
「五件の命案を解決した!素晴らしいね」
「この『江遠』はどの部署の人か。
三件の命案なのか、それとも連続事件を解決したのか?」
楊玲がグループを見ながら笑みを浮かべて大部屋から出て廊下に立った。
「江遠は清河市寧台県の法医です。
指紋解析も非常に上手い。
若いけど既に複数件当てる実績があります。
今回の会戦では三件の命案指紋を連続で当てるという素晴らしい成績を残しました。
この回の指紋会戦は江遠が三件の命案を解決したということです」
グループには上層部も含まれていたが楊玲は気にせず情報を発信して反応を探った。
当然大半は痕跡捜査官で「積み上げランキング」と「命案積み上げランキング」の数字に注目していた。
『踏星』
膨大なメッセージの中、楊玲の回答を見た瞬間グループ全体が一時停止した。
「数日間で三件の命案を当てるなんて。
どんな事件がそんなに簡単に当たるんだ?」
「ちょっと神業すぎないか法医って」
「そう言うんじゃないわよ。
何と言っているのかしら。
私が画像を載せたら分かるわ」
最後の発言は『長陽市-水東区-痕跡捜査 何国華』だった。
彼はその事件の指紋データをスマホに保存していたが瞬時に血手形の写真を送信した。
「来ー。
江遠が解決したタクシー強盗殺人事件の後車窓から採取した血手形です。
皆さんどうでしょう?」
発言者の何国華はその指紋の最初の痕跡技術員で数年前にスマホに入れて保存していた。
それ以来何年もかけて比対作業を続けていた。
多くの痕跡捜査官は類似した習慣を持っている。
重要な事件の指紋データを常に携帯し空き時間があれば研究する。
バスや電車での待ち時間を有効活用して眺めたり、他の案件で類似ケースが見つかったら比較したりするのだ。
フ 多くの人々が何度も挑戦しても失敗する行為だが、誰も教わらず、誰も推奨せずとも全国的に広く存在している。
そのような行為は権力機関さえ規制できない。
警察のトップたちは命令一つで部下を動かせるように見えるが、本当にそれができるのはどのくらいの数だろう? 逆に、部下が熱心に何かをするのを止められるのはどのくらいの数だろう?
ホーグオハヺは血痕の指紋写真をグループチャットに投げ入れると、キーボードを叩き始めた。
そしてこう述べた。
「この事件の容疑者は今日逮捕されました。
取り調べもスムーズで、基本的な経歴は全て明らかになりました。
今回は単純な指紋照合で解決したケースです。
僕がこれまで見た中でも類例は少ないですが、皆さんに知っているような事例は?」
しばらくしてようやく誰かが返信してきた。
「ここまで酷い状態の指紋が再現できるなんて凄いですね」
その発言をきっかけにグループが沸き立った。
「単なる凄さを超えているんじゃないですか。
特別な処理が必要でしょうし、元々の押印カードはどうしたんですか?」
「この写真だけ見れば確かに驚異的です」
「逮捕された容疑者本人も気付いていなかったんでしょうね。
こんな状態の指紋なのに捕まっちゃったなんて…」
ホーグオハヺは質問が増えたところで続けた。
「画像を複数回処理した上で照合したので、どれだけ困難だったかは皆さん目に見えています」
「万相市-刑科捜査本部-指紋鑑定の玉林」と名乗る人物が発言した。
「我々も昨日何台もの車を動員して事件の容疑者を逮捕しました。
こちらも江遠との照合で解決です。
省庁からの通知がありました」
すると別の声が上がった。
「江遠さんからも放火事件の犯人との照合結果があります。
その犯人は収監中ですが、すぐに自供しました」
「指紋写真を確認してみてください」
「そうですね、いくつか照合された指紋写真を貼り出してみましょう」
話題が急に変わった。
このグループは省内の指紋鑑定担当者たちが交流するためのもので、楊玲もたびたび微信を通じて事前に連絡していた。
指紋写真はグループ内で頻繁に共有されるわけではないが、時折行われる。
すると徐々に酷い状態の指紋写真が投稿されてきた。
「こんな状態の指紋なんて初めて見た」
「汚れた指紋専門家ですね」
「僕も江遠さんに見てもらいたいような指紋を二つ持っているんですが、江遠さんはグループに入っていますか?」
一つや二つの高度な難易度の指紋ならまだ話題になるが、連続して酷い状態の写真が出されると江遠のイメージはグループ内で立体化した。
現代では誰もが汚れたような指紋を持っている。
処理しやすい、単純な指紋でも照合できない場合があるが、汚れていて形の崩れた指紋を照合する難易度はさらに高い。
それでも大規模事件に関連する指紋は残され続け、鑑定員たちが次々と挑戦してゆく。
楊玲の電話は当然のように鳴り響いた。
「楊課長、うちの県の強盗殺人事件の湖の事件の指紋がダメだったから江先生に見てもらえないか。
もしできれば我々も安心する」
電話の向こう側で硬いが理にかなった要求が伝わってくる。
楊玲はほほえみながら電話に向かい「任課長、その事件は知っていますよ。
うちのデータベースにもある……そうですね、今回の指紋作戦で貴方たちの事件も特別に出したんですが、やはり一致しませんでした……江遠先生が関わっているかどうかは私も詳しくないですが調べてみますか……分かりました分かりました」
楊玲が電話を切るとため息をついた。
息を整える間もなく新たな通話が始まった。
「はいはい、江先生に伝えておきます」
「大丈夫です、私が伝えます」
「えーと、やはり慎重に対処する必要がありますね……」
楊玲は連続電話で手が震えた。
スマホの熱さも忘れていた。
その時彼女の気持ちは最高潮だった。
「毎日こんな指紋作戦があればいいのに」そう自然に思った。
広い事務室で朱煥光がふと意識を失う寸前、頭がディスプレイにぶつかりそうになった。
ファイルをめくる手が止まる。
このまま寝なければ本当に死ぬかもしれない。
朱煥光は水を飲みながらゆっくり立ち上がった。
ドアの前に戻る際ランキングを見た。
積み重ねられた解決事件ランキングで江遠の成績は無意識に「10」になっていた。
アプリをダウンロードすれば無料で読める!
省公安廳の指紋課は実に周辺化した部署だ。
办公厅や警務監察・法制・装備財政などの大部局と比べれば、刑事總隊の下にある科級小組織に過ぎない。
生態系全体から見れば存在意義はあるものの、体格や注目度という面では全く無視できる。
しかし地位は不変ではない。
白鯨が釣り上げられた時、その注目度は頂点に達する。
指紋専門家が指紋で事件を解決した場合、彼の価値も頂点に達するのだ。
一方、白鯨が繰り返し釣り上げられるなら状況は変わる。
指紋専門家が連続して事件を解決し、連続して殺人事件を解決する...
楊玲が江遠を見る目は白鯨を見るように鋭い。
もし江遠が突然死んだら、彼女は即座に碑文を刻むだろう。
「煙草に行きましたか?実はこの楼には喫煙室を作るべきだったんですよ。
あとで場所が足りなくなったので外に出したんです」
楊玲が江遠に挨拶しながら親切そうに言った。
「最近何か要望があれば、食べ物は慣れてますか?住まいはどうですか?」
彼女は江遠を見ながら話している。
他の人が要求を出しても構わないが...
「特に問題ないです」江遠はパソコンの前に座り、処理済みの指紋画像を前に置き、仕事を続ける準備をしているように見えた。
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楊玲がその様子を見てさらに満足した。
江遠が指紋業務に従事し続ける限り彼女の気分は晴れやかだ。
今回の指紋作戦もまた成功裏に終えるだろう。
それは全省上下の記憶に残る作戦になるはずだ。
「では皆さん、お仕事続けてください」楊玲がそう言いながら大広間の前でスマホを取り出しランキングの写真を二枚撮影した。
その時積み重ね解決ランキングのトップには江遠の名前があり、成績数は「9」と表示されていた。
二位の朱耀光の成績数は「6」でまた一枚指紋がヒットしていた。
正直に言って山南省の技術力ならこの数字は非常に見事だ。
往年の指紋作戦最終日にトップの指紋専門家が解決した事件数は五件か六件、稀に七件程度だった。
十件を超えることはほとんどなかった。
その理由は六・七枚の指紋をヒットさせるのがほぼ完全に消耗するからだ。
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しかし今年の状況は江遠の突然の登場により朱耀光は連日十六時間、十七・八時間も働いていた。
フロントの捜査員が指紋会戦を終えた朱耀光は、長陽市警の刑事課に戻ると少なくとも二ヶ月間ベッドから起き上がれないだろう。
その間に年賀状を書いたり各種報告書を作成したり通常業務に復帰しても一ヶ月程度でまた北京での指紋会戦に出征するかもしれない。
しかし指紋専門家の日常業務はそんな長期作業ではない。
積み上げた未解決の指紋ファイルに没頭し続けるわけにはいかない。
レベルの高い指紋解析官でも年間で当てる事件数は限られている。
当然一般犯罪より重大な命案の方が世話になるのは言うまでもない。
楊玲もその点を撮影していた。
「命案積み上げランキング」の下に江遠の三件の戦績が目立つ。
他の二人の専門家は一件ずつでその後ろには誰もいないが楊玲は興奮して「山南省指紋交流」グループに写真を送信した。
四百人規模のグループが一気に沸き立った。
「今年の指紋会戦に命案ランキングを設けたのか?」
「五件の命案を解決した!素晴らしいね」
「この『江遠』はどの部署の人か。
三件の命案なのか、それとも連続事件を解決したのか?」
楊玲がグループを見ながら笑みを浮かべて大部屋から出て廊下に立った。
「江遠は清河市寧台県の法医です。
指紋解析も非常に上手い。
若いけど既に複数件当てる実績があります。
今回の会戦では三件の命案指紋を連続で当てるという素晴らしい成績を残しました。
この回の指紋会戦は江遠が三件の命案を解決したということです」
グループには上層部も含まれていたが楊玲は気にせず情報を発信して反応を探った。
当然大半は痕跡捜査官で「積み上げランキング」と「命案積み上げランキング」の数字に注目していた。
『踏星』
膨大なメッセージの中、楊玲の回答を見た瞬間グループ全体が一時停止した。
「数日間で三件の命案を当てるなんて。
どんな事件がそんなに簡単に当たるんだ?」
「ちょっと神業すぎないか法医って」
「そう言うんじゃないわよ。
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最後の発言は『長陽市-水東区-痕跡捜査 何国華』だった。
彼はその事件の指紋データをスマホに保存していたが瞬時に血手形の写真を送信した。
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皆さんどうでしょう?」
発言者の何国華はその指紋の最初の痕跡技術員で数年前にスマホに入れて保存していた。
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多くの痕跡捜査官は類似した習慣を持っている。
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フ 多くの人々が何度も挑戦しても失敗する行為だが、誰も教わらず、誰も推奨せずとも全国的に広く存在している。
そのような行為は権力機関さえ規制できない。
警察のトップたちは命令一つで部下を動かせるように見えるが、本当にそれができるのはどのくらいの数だろう? 逆に、部下が熱心に何かをするのを止められるのはどのくらいの数だろう?
ホーグオハヺは血痕の指紋写真をグループチャットに投げ入れると、キーボードを叩き始めた。
そしてこう述べた。
「この事件の容疑者は今日逮捕されました。
取り調べもスムーズで、基本的な経歴は全て明らかになりました。
今回は単純な指紋照合で解決したケースです。
僕がこれまで見た中でも類例は少ないですが、皆さんに知っているような事例は?」
しばらくしてようやく誰かが返信してきた。
「ここまで酷い状態の指紋が再現できるなんて凄いですね」
その発言をきっかけにグループが沸き立った。
「単なる凄さを超えているんじゃないですか。
特別な処理が必要でしょうし、元々の押印カードはどうしたんですか?」
「この写真だけ見れば確かに驚異的です」
「逮捕された容疑者本人も気付いていなかったんでしょうね。
こんな状態の指紋なのに捕まっちゃったなんて…」
ホーグオハヺは質問が増えたところで続けた。
「画像を複数回処理した上で照合したので、どれだけ困難だったかは皆さん目に見えています」
「万相市-刑科捜査本部-指紋鑑定の玉林」と名乗る人物が発言した。
「我々も昨日何台もの車を動員して事件の容疑者を逮捕しました。
こちらも江遠との照合で解決です。
省庁からの通知がありました」
すると別の声が上がった。
「江遠さんからも放火事件の犯人との照合結果があります。
その犯人は収監中ですが、すぐに自供しました」
「指紋写真を確認してみてください」
「そうですね、いくつか照合された指紋写真を貼り出してみましょう」
話題が急に変わった。
このグループは省内の指紋鑑定担当者たちが交流するためのもので、楊玲もたびたび微信を通じて事前に連絡していた。
指紋写真はグループ内で頻繁に共有されるわけではないが、時折行われる。
すると徐々に酷い状態の指紋写真が投稿されてきた。
「こんな状態の指紋なんて初めて見た」
「汚れた指紋専門家ですね」
「僕も江遠さんに見てもらいたいような指紋を二つ持っているんですが、江遠さんはグループに入っていますか?」
一つや二つの高度な難易度の指紋ならまだ話題になるが、連続して酷い状態の写真が出されると江遠のイメージはグループ内で立体化した。
現代では誰もが汚れたような指紋を持っている。
処理しやすい、単純な指紋でも照合できない場合があるが、汚れていて形の崩れた指紋を照合する難易度はさらに高い。
それでも大規模事件に関連する指紋は残され続け、鑑定員たちが次々と挑戦してゆく。
楊玲の電話は当然のように鳴り響いた。
「楊課長、うちの県の強盗殺人事件の湖の事件の指紋がダメだったから江先生に見てもらえないか。
もしできれば我々も安心する」
電話の向こう側で硬いが理にかなった要求が伝わってくる。
楊玲はほほえみながら電話に向かい「任課長、その事件は知っていますよ。
うちのデータベースにもある……そうですね、今回の指紋作戦で貴方たちの事件も特別に出したんですが、やはり一致しませんでした……江遠先生が関わっているかどうかは私も詳しくないですが調べてみますか……分かりました分かりました」
楊玲が電話を切るとため息をついた。
息を整える間もなく新たな通話が始まった。
「はいはい、江先生に伝えておきます」
「大丈夫です、私が伝えます」
「えーと、やはり慎重に対処する必要がありますね……」
楊玲は連続電話で手が震えた。
スマホの熱さも忘れていた。
その時彼女の気持ちは最高潮だった。
「毎日こんな指紋作戦があればいいのに」そう自然に思った。
広い事務室で朱煥光がふと意識を失う寸前、頭がディスプレイにぶつかりそうになった。
ファイルをめくる手が止まる。
このまま寝なければ本当に死ぬかもしれない。
朱煥光は水を飲みながらゆっくり立ち上がった。
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(。-人-。)
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