国民の監察医(こくみんのかんさつい)

きりしま つかさ

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第0124話「上限」

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画像解析は上限が非常に高く、下限も実質的にかなり低い刑事科学の専門分野である。

上限に言及すれば、単なるノイズ除去技術だけでも無数のノイズモデルとクリアな画像モデルがあり、さらには増え続けている。

異なるノイズモデルとクリア画像モデル、そして異なる解法方法が組み合わさることで、種々のノイズ除去アルゴリズムが形成される。

その数は数百に上る。

例えばよく知られている3降噪(降噪)、非局所平均降噪など、類似する技術が存在する。

しかし画像解析におけるアルゴリズムの作成やモデル構築は、その分野の最上限を示すものではない。

実際の画像と映像に対処するためには、様々なアルゴリズムモデルを掌握しつつ、プロセスと方法に相当の経験を持ち、関連技術にも深い理解が必要である。

当然、そのような高い要求水準は省内でも全国的にも満たされるとは限らない。

寧台県のような地方では、通常、監視ビデオを取得し、対象人物を追跡するだけの最低限の要件さえ満たせば良い存在が画像解析室として機能している。

たまに追跡できない場合があっても構わない。

庄偉らは元々、最低限の要件を満たすためだけに働いていた。

しかし江遠は彼らに「準上限」の存在を見せつけたのだ。

その境界を超えることは非常に苦痛なプロセスである。

見えてはいるが触れられないという状態は本当に苛酷だ。

江遠が別のビデオを取り出し、隣に座る三代目の画像解析担当者を見ながら簡潔に述べた。

「異なるグラフィック画像には異なる方法が必要です。

現在の技術では全てのグラフィックに対応できる汎用アルゴリズムは存在しません。

ただし一般的なモジュールを試してみることは可能ですが、効果は期待外れでしょう」

そう言って江遠は先ほどとは全く異なる小波変換ソフトを開き、パラメータを入力し始めた。

画像強化の核心はアルゴリズムであり、使用するソフトウェアが異なるのは実質的に異なるアルゴリズムを選択していることに相当する。

ユーザーにとって重要なのは、アルゴリズムを選択した後、大量のパラメータを入力することである。

それぞれの案件のビデオは異なり、必要な処理プロセスも異なるため、これらは人工的に解決し、プログラムが自動で対応できない問題である。

例えば江遠が現在見ているのは逆光の広角監視ビデオだ。

対象となる二人は画面左下隅に位置しており、若干歪みがある。

こうした点はアルゴリズムが考慮しにくい部分であり、江遠がパラメータを入力して範囲と区間を指定する必要があった。

その際には他のプログラムの判断が必要になる場合もあれば、ユーザー自身が経験に基づいて判断することもある。

江遠は複数のソフトウェアを開き、大量の数字を入力した後、再びプログラムを実行させた。

三代目の画像解析担当者はその過程を見ていたが、次第に絶望感に陥り始めた。

「前回はそんなに多くのパラメータを入れませんでしたね」と一代目の庄偉が丁寧に江遠に尋ねた。

江遠はうなずきながら答えた。

「今回はビデオの条件が少し悪化しています。

また使用するアルゴリズムも異なり、一部のソフトウェアではより多くのパラメータが必要になるのです」

江遠は前回、画像処理室のパソコンで操作していたが、そのソフトウェアに選択可能なアルゴリズムや設定可能なパラメータは限られていた。

自分のパソコンにはより自分に適したプログラムをインストールしているため、結果的に複雑な処理が必要となった。

「どうしよう…」と三人の視線が交差する。

庄偉が率先して隣の椅子に座り、吴軍とタバコを吸いながらプリンターの音を聞き入っていた。

突然、カチリという音と共に紙が出てきた瞬間、魏振国は跳ねるように立ち上がり、二つ目の動画から四枚のスナップショットを取り出した。

その動作は若手のプロフェッショナルさを連想させるほど素早く。

江遠は今回も四コマの画像を一括処理したため、パラメータが多くなる理由の一つだった。

動画解析は複雑な作業であり、多くのフレームがあるほど情報が豊富になるからだ。

魏振国はテーブルに並べられた数枚の写真を見つめながら首を横に振り、「これなら同僚に見てもらおう。

もしかしたら最近の逃亡犯かもしれない」とスマホで撮影し、二つのチャットグループに送信した。

江遠がコピー用ディスクなどを庄偉に手渡すと、パソコンのファン音が静かになった直後、魏振国のスマートフォンが鳴り出した。

電話に出ると相手は即座に質問を投げかけた。

「どこで見つけてきた写真だ?」

「その詳細は言えない。

まだ捜査中だからね。

画像の人物は特定できるか?名前は分かる?」

相手が数秒間迷った後、「あの顔、張万傑ではないかと思うけど確信はない。

データベースで検索してみて」と返事があった。

「貴方の案件?」

「以前のものだ。

追跡リストに載っているはず」

魏振国は笑いながら電話を切ると、江遠が既にパソコンを開いて「全国逃亡犯情報システム」に「張万傑」と入力していた。

画面上には『強盗・略奪・侵入窃盗・大物強盗』と表示された。

「この手の犯罪者だよ」と魏振国はニヤリとした。

「何か見つけてやったぜ」

庄偉がため息をつく。

「部局レベルの逃亡犯を捕まえたんだからね」

日本の警察組織では、逃亡犯の追跡リストに『A級』と『B級』がある。

A級は公安部本部が直接指定する重点対象で、B級は地方公安が要請して作成されるものだ。

懸賞金や連絡窓口などは全て都道府県警察に委ねられる。

しかし、現場の巡査にとってはA級逃亡犯を捕まえるのは非常に稀なことだった。

画像捜索専門家にとっても、逃亡犯探しは日常業務だ。

長陽市の画像捜索班では常に警官が逃亡犯を探す作業に取り組んでおり、指紋データベースを探索するようなものだ。

現在の監視カメラ網なら誰でも動画の主人公になる可能性はあるが、その目利きができるかどうかが勝負なのだ。

もちろん難易度は高い。

特に公安部リストに載っている人物は県警や市警では手が出せないため、最終的に中央公安へと上がってくる。

各段階で必ず誰かが全力を尽くすわけではないが、様々な照合作業は行われている。



軽々しく逃亡者を捕まえるようなことなら、三等功くらいは手に入りそうだが、どこか凡俗な要素が混ざっている。

魏振国(ウィーチンゴー)は逃亡者の手前まで迫っていたが、歯を食いしばって言った。

「捕まえなければ意味がない。

単に情報を得ただけでは無駄だ」

「監視カメラの映像から追跡するのか?」

と庄伟(ソウイ)が積極的に声を出す。

魏振国は江遠(カンエン)の方を見やった。

「彼らの方が探しやすいだろう」江遠は現実的なことを言った。

彼の専門は画像強化技術で、監視カメラの映像を追跡する方法については詳しく知らなかった。

魏振国は庄伟に笑みを浮かべた。

「その方が相手の隠れ家を見つけられれば理想的だ」

彼は郭(カク)が張万傑(チャンバンケイ)とどう知り合ったのか気になっていた。

追逃リストに載っているような人物なら、警戒心も強いはずで、おそらく郭には自分の隠れ場所を教えないだろう。

庄伟は熱心に魏振国を自らのオフィスへ誘った。

寧台県(ネンタイケン)のような地方では数年間追逃専門官が来ないため、積極的になるのも当然かもしれない。

ただし庄偉たちがこれまで犯人を捕まえる能力を持っていたかどうかは疑問で、単に監視カメラの映像を追跡するだけなら、庄伟は十分だった。

魏振国は電話しながら画像解析室に入り込んだ。

郭の方では取り調べを強化すべきだ。

彼は郭に一定の期待も持っていた。

こんな愚かしい犯人が汽車駅で逃亡者を迎え入れたのは、友情のためだろうと魏振国は信じられなかった。

郭が生活水準を向上させ、芸術的な趣味を発揮し、盗みを日常の嗜好にしていることから、郭には新たな収入源があり、依然として愚かさを保っていることが分かる。

魏振国は郭を通じてさらなる情報を引き出すことを望んでいた。

「見てみよう。

汽車駅周辺の監視カメラ映像を探そう」庄伟がクラウドからさらに動画を検索し始めた。

魏振国も一緒に見ながら、時折ルート分析に協力した。

見ているうちに庄偉は感心して言った。

「江遠の運は本当にいいね。

大きな事件を連続で解決している」

魏振国が画面を見つめながら笑った。

「たぶん彼の技術の方が常人よりずっと優れているからだ」

庄伟は驚いて、よく考えてみれば確かにその通りだと悟った。

汽車駅の動画が彼らに渡されれば、それは水に浮かんだ石のように無意味なものになる。

追逃という行為自体も成り立たなくなるだろう。

庄偉が公安部門の画像解析部門について知っている限り、清河市警(セイケーシーチー)のレベルではそれほど高くなく、確実な証拠がない限り省庁級の部門には提出できないはずだった。

張万傑は警察システムの詳細を知らないかもしれないが、長年の逃亡生活から安全な境界線くらいは理解しているだろう。

江遠はその境界を超えることで簡単に犯人を突き止めたのだ。

庄偉が悟ると、さらに落胆した。

同僚や業界水準を超え、明確に優位になるというのは高いハードルだ。

それを理解したら、庄伟の緊張した体が緩んだ。

どうせなら誰か他の人に任せておけばいい。

疲れた。



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