国民の監察医（こくみんのかんさつい）

きりしまつかさ

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第0225話リズム

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取調べ室。

観葉植物はなく、裸々に。

四方のタイルはすべて寒色で、空調の温度が低すぎず、部屋全体を蒸し暑く包んでいた。

正面の鉄格子は見るだけで恐ろしく、その向こう側の警察官はさらに人間を畏怖させる存在だった。

鉄拳が顔に叩き込まれる前に多くの人が我慢できると思っていたが、実際にはほとんどが体験で証明したように、その重さは想像を超えていた。

王嵩は現在そんな心境だ。

服役することについて深く考えたことがある。

もともと自分が耐えられると思っていた。

まだ若いし、数年間服役してから出所したら、苦労を経ての功臣として扱われるだろう。

その頃には約束された金銭だけでなく、グループでの地位も変わってくるはずだ。

現在は後方部で無名の小職だが、一躍トップの側近になるかもしれない。

王嵩は以前海外出張したことがある。

建元と他の企業がアフリカで行っていたプロジェクトだった。

その地はどれほど荒れ果てていたかは別として、通常時は全員が工区内に閉じ込められ、外出禁止だった。

3～4ヶ月ごとに近隣都市に出られる日があり、王嵩にはそれが牢獄生活のように感じられた。

収入は年20万ドル程度で、食事や宿泊費は全て無料。

それでも牢屋と変わらない状況だった。

王嵩はそれより大きなことをするべきだと考えていたが、現在警察の取調べ室に座っている雷鑫（らいしん）は最悪な気分だった。

軽やかな重圧感が拷問椅子から取り外される前から部屋中に漂っていた。

外の空気は異臭もなく、雷鑫は誰も吐いたり下痢したり失禁していないと確信した。

むしろ程安（ていあん）が吐きそうだった。

さらに苛立たせるのは警察官の要求だ。

「ある文を10回書け」というのは大学生向けの褒賞制度だろう。

しかし、警官の鋭い目つきを見つめながら、雷鑫は黙々と10回書き続けた。

雷鑫は自分を軽蔑した。

その瞬間、学校で他の生徒に虐められた時と同じく、反抗する勇気もなく感じていた。

もっとも彼が最も恐れていたのは警官の存在だ。

監獄外の囚人たちは工場の仲間たちのように笑い合っているだろうか？

一大文字を書くのに10回も手間取るほど、雷鑫は苦労した。

10回書き終えると、雷鑫は大学生のようにノートを警官に渡した。

「専門家に見てもらいたい」文検（ぶんけん）が立ち上がり、コピーしたノートを持って出ていった。

取調べ室には清河市のアルバイト王嵩と長陽市から来た王嵩の専門家しか残っていない。

袁語堂（えんごどう）が死ぬ前までその事件は殺人未遂だった。

清河市では大規模な案件に昇格し、建元グループが上場廃止か否かに関わらず、重い圧力がかかっていた。

同時、文検が調達できる資源は少なくなっていた。

主に江遠が事件を解決するのに時間がかかりすぎたため、程安がまだ資源の再配分を間に合わせる前に白躍群が自首したからだ。

主犯が逮捕された以上、資源の投入は過剰すぎる。

長陽市刑捜支隊から王嵩専門家を借りようかと話題になったが、それは不可能だった。

加えて江遠は、8人の王嵩専門家を広間に並べた。

各自数枚の紙を見ながら互いに意見を交換するように指示した。

江遠は馬蹄鏡を持って、10通のコピーを細かく観察し、写真以外の原文も確認した。

彼はアラビア数字だけでなく、「微信」という文字や他の漢字の筆跡構造にも重点を置いていた。

王嵩専門家が元の文字と比較できないのは当然だが、他の文字との類似性も検討できない。

理論上、単純な字形ほど王嵩の判断に不利だった。

「微信」の字形は十分に複雑だったため、江遠は数枚の紙を見ただけで、筆跡を作成した人物が雷鑫であるとほぼ断定できた。

しかし残りのコピーも確認した。

雷鑫は意図的に筆跡を隠そうとしていないことが明らかだった。

「右手で書いた元の文書を左手で10回コピーする場合、その10枚の類似度が低いほど不自然だ。

普通の人なら同じ構造になるはずだが、異常な書き手は各ページに微妙な違いが出る」

十枚の紙を広げれば特殊人でも判別できるレベルだった。

雷鑫も訓練を受けたわけではないため、慣れた書き方で10回書いた場合、安定した筆跡が見られた。

文字間の差異が小さいほど隠蔽がバレる。

その隠蔽自体が問題を示していた。

次に自分の筆跡と証拠物との比較……破綻点は少なかったが、どこから切り込むか分からない。

他の2人の王嵩専門家も同様の表情だった。

最も難しいのは建元社員の中から「信使」ではない人物を選ぶことだった。

雷鑫が指摘される前まで、王嵩の仕事は複雑だった。

8人が一致して確認した後、文検は安堵し、「ありがとう」と言いながら自信満々に取り調べ室に戻った。

取り調べ室で待機していた雷鑫は、『あなたの努力』をどう書くかまだ決めていなかった。

「あなたが王嵩専門家と確認済みだと伝えた紙条を見せてください」文検が示したのは**の字条だった。

程安は唾を飲み込みながら黙った。

程安は言った：

「彼に興味があるのは、その口供を得て下位人物を脅かすためだ。

彼が話せばそれでいい。

それが殺人事件だから、曖昧にするわけにはいかない」

程安の目は赤く充血していたが、依然として言葉を続けた：

「あなたは彼の身近な人々が与えた条件を知っているはずだが、考えてみてください。

現在の状況では、私が約束したものを果たせると思うか？」

文検は説得を試みた。

「もしもあなたが言ったとしたら…はい、表現立功です」雷鑫の口調に迷いはなかった。

「それは認められません」文検は『汚女モード』を発動させた。

笑みは既に崩れかけていた。

「判刑がどれくらいになるのか？」

雷鑫は文検を見詰めながら鋭く訊ねた。

「その性質次第です。

彼は教唆犯と共同犯罪、故意殺人罪で二人の…」文検はそこで言葉を切った。

そして続けた：

「彼が主使を明かせば、捜査に協力すれば、判刑は重くならないでしょう」

雷鑫は深呼吸し、わずかに前に身を乗り出して強い調子で言った：

「七公子袁語郎です」その言葉を吐き出した瞬間、私は自然と流れが良くなった。

「写真を送って。

この人物のことを調べてほしい。

七公子は老八を見るのが快感だったと言っている。

老八の口汚さに腹立たしく、復讐したいと言っていた。

彼女を恥辱させたり一条の足を折るなど…七公子は老八の恋人が特別な存在だと考えていたのでしょう」

「彼らの動機については後でいいです。

具体的に何をしたのか話してください」文検は審問のペースを握り続けた。

答えが明らかになったとしても、私の表情からは何の変化も読み取れないようにしていた。

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