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第0353話 仕上げ
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江遠が現場に到着したとき、警戒線の外には既に一団の人々が集まっていた。
覗き見する村民、好奇心旺盛な通りすがり、そして子供を捜し求める親たちの声が混ざり合う。
「警官!警官!うちの子は中にいるんですか?」
三輪車を路端に停めた夫婦が駆け寄ってくる。
手には子供の写真を握り締めている。
外側の警備員はため息をつき、写真を見つめて何か囁いた。
すると二人は抱き合いながら嗚咽を上げた。
江遠と同行する刑事はふてぶてしく視線をそらした。
未解決事件の場合、情報公開は上層部の許可が必要だ。
そのため、世間で騒がれるような案件でも警察は黙っていることが多い。
しかし現場での対応は規則に縛られないものだ。
技術畑の江遠たちには他人を教える資格などない。
陳腐な人間くさい匂いが鼻腔を突き刺す。
男の部屋のような雰囲気だった。
誰もその臭さを好まず、皆庭の中央に集まって話し合い、命令を出し合っていた。
実際ここは青年旅館の核心部分で、普段から李華強が外来的なチームやバックパッカーたちを観察していた場所だ。
たまに現実と理想が衝突すると、李華強は一儲けできた。
しかし今は彼も収容所にいる。
次に出てくるときには現場復帰は難しいだろう。
「江さん……」高長江の息が荒く、目を輝かせていた。
「ほぼ解決したんだよ。
少なくとも大部分はね。
余分に出た5人の子供は複雑さを増すけど、俺は怖くないぜ。
こんな難事件さえ突破したんだから、追跡して調べるくらい簡単だろ?ただ相手が誰かで決まるんだよな。
天才に付いたら大金持ちになるし、バカに付いたら貧乏人になる」
「5人の子供が増えたって聞いた?」
江遠は左右を見回しながら確認した。
「そうだ。
うちの連中はこの辺りで勝手に盗んでいたけど、残り3人は別のグループから買い取ったんだ。
その連中も前二つの都市から来たらしい。
現地警備も動いている」
「どうやって儲けるんだ?」
「急いで売りたい人やルートがない人には一~二万で売る。
俺たちみたいに三~四万で売れるし、逆に二~三万で買うこともできる。
数日間保管しておいて高値で売る場合もあるさ。
隠れ場所と販路があれば儲かるんだよ」
「つまり多くの人が関わってるわけだな?」
「ああ」
「一人四五万なら五人で25万、九人で45万になるのか?」
「商品として考えれば平均四万くらいで、粗利は三十五万程度かな」高長江が眉をひそめて説明した。
「参加者は30人近くで一人一万円にも満たない…」江遠が計算を続けながら言った。
「つまり彼らは一年に数件の事件を起こさないと、アルバイトより収入が少ないということか」
「ええ。
」高長江が重々しく頷いた。
算式そのものはそんなものだ。
この連鎖型組織の場合、最終売価が七八万円乃至十七八万円であっても、参加者の各段階で一万円程度の収益しか得られない。
つまり児童買春業者たちにとって意味のあるのは、少なくとも年に数件以上の事件を起こすことだ。
それ以外では外食より儲からないからだ。
高長江が首を横に振り、「我々はいくつか手掛かりを得たのでその方向で進めたいが、江専門家はどうなさるお計画ですか」
彼はもう命令する気力も失っていた。
任せて江遠に自由にやらせればいいのだ。
とにかく事件解決さえすれば任務の割り振りなどどうでもいいからだ。
高長江は権限を委譲し、江遠は軽やかに答えた。
「まずは現場を洗浄してみましょう。
洗浄後に見ます」
彼にとって捜査官として最も得意なのは犯罪現場の検証だった。
早い段階での現地調査が最善だ。
他の手掛りは後からでも追える。
さらに江遠にとっては、現場検証そのものが証拠を固定するプロセスなのだ。
犯人らに自白させるのは難しい。
重罪で長期の刑罰を求めるなら、証拠が極めて確実である必要がある。
江遠が二人を呼び寄せた後、青年旅館内で指紋を消去し始めた。
広い空間であり且つ頻繁に入れ替わる居住環境ゆえに有用な手掛りを見つけるのは困難だった。
しかし江遠は異常に丁寧に作業を進めた。
同時に彼は目の前の劉専門家(犯罪現場再現の専門家)を利用した。
位置や動線に関する分析において、その見識は相当なものだった。
一夜明けた翌朝、江遠が休息に入った頃、武夏は彼が分離させた指紋を全て照合済ませていた。
昼前にはDNA検査室から次々と報告書が上がってきた。
複数の出所者情報が浮上し、同時に複数の行方不明者のDNAや指紋が一致した。
確かに青年旅館内の手掛りは非常に多かった。
理論的には使用不能に近いほどだった。
しかしこのブラックマーケットが利用する人物と被拐売買被害者が混在している比率は異常に高かった。
これらの結果をまとめた時、高長江を含む多くの警官たちが黙り込んだ。
「ここは被拐売買の中継地になったんだ」高長江の声は暗く、事件解決への喜びの色は一切なかった。
児童買春業と一般的な犯罪との決定的な違いは、犯罪が持続し続ける点にある。
凶殺事件が恐ろしいのは事実だが、死は短時間で終わる。
強盗、放火、窃盗、さらには強姦まで含む犯罪行為の時間は限界がある。
拐売事件とは異なり、犯人が逮捕されるか被害者が死亡するまでは、被拐売者たちは常に侵害を受ける状態にあり、絶えず苦痛と無力感の中にいる。
そのため、事件の解決が非常に重大で深刻なものになる。
高長江は自宅に戻り数時間過ごした後、警署に戻ると即座に人員を選抜し出動準備に入った。
省庁の名を掲げた案件なら迅速に解決できるが、追及するほど深掘りする高長江は明らかに後者を選ぶつもりだった。
百名を超える刑事が六路に分かれて被疑者の刑満放免者を捜索に向かった。
被害者は見つけるのが難しいが加害者は隠れようともしない。
彼らの犯行や犯罪の目的はより良い社会生活を送ること、快楽を得ることであり、逆ではないからだ。
江遠は警署に留まり人間と事件を照合し続けた。
一方で被拐売された子供や女性が次々と救出されていった。
江遠は年末までずっとその場にいた後、静かに寧台県へ戻った。
覗き見する村民、好奇心旺盛な通りすがり、そして子供を捜し求める親たちの声が混ざり合う。
「警官!警官!うちの子は中にいるんですか?」
三輪車を路端に停めた夫婦が駆け寄ってくる。
手には子供の写真を握り締めている。
外側の警備員はため息をつき、写真を見つめて何か囁いた。
すると二人は抱き合いながら嗚咽を上げた。
江遠と同行する刑事はふてぶてしく視線をそらした。
未解決事件の場合、情報公開は上層部の許可が必要だ。
そのため、世間で騒がれるような案件でも警察は黙っていることが多い。
しかし現場での対応は規則に縛られないものだ。
技術畑の江遠たちには他人を教える資格などない。
陳腐な人間くさい匂いが鼻腔を突き刺す。
男の部屋のような雰囲気だった。
誰もその臭さを好まず、皆庭の中央に集まって話し合い、命令を出し合っていた。
実際ここは青年旅館の核心部分で、普段から李華強が外来的なチームやバックパッカーたちを観察していた場所だ。
たまに現実と理想が衝突すると、李華強は一儲けできた。
しかし今は彼も収容所にいる。
次に出てくるときには現場復帰は難しいだろう。
「江さん……」高長江の息が荒く、目を輝かせていた。
「ほぼ解決したんだよ。
少なくとも大部分はね。
余分に出た5人の子供は複雑さを増すけど、俺は怖くないぜ。
こんな難事件さえ突破したんだから、追跡して調べるくらい簡単だろ?ただ相手が誰かで決まるんだよな。
天才に付いたら大金持ちになるし、バカに付いたら貧乏人になる」
「5人の子供が増えたって聞いた?」
江遠は左右を見回しながら確認した。
「そうだ。
うちの連中はこの辺りで勝手に盗んでいたけど、残り3人は別のグループから買い取ったんだ。
その連中も前二つの都市から来たらしい。
現地警備も動いている」
「どうやって儲けるんだ?」
「急いで売りたい人やルートがない人には一~二万で売る。
俺たちみたいに三~四万で売れるし、逆に二~三万で買うこともできる。
数日間保管しておいて高値で売る場合もあるさ。
隠れ場所と販路があれば儲かるんだよ」
「つまり多くの人が関わってるわけだな?」
「ああ」
「一人四五万なら五人で25万、九人で45万になるのか?」
「商品として考えれば平均四万くらいで、粗利は三十五万程度かな」高長江が眉をひそめて説明した。
「参加者は30人近くで一人一万円にも満たない…」江遠が計算を続けながら言った。
「つまり彼らは一年に数件の事件を起こさないと、アルバイトより収入が少ないということか」
「ええ。
」高長江が重々しく頷いた。
算式そのものはそんなものだ。
この連鎖型組織の場合、最終売価が七八万円乃至十七八万円であっても、参加者の各段階で一万円程度の収益しか得られない。
つまり児童買春業者たちにとって意味のあるのは、少なくとも年に数件以上の事件を起こすことだ。
それ以外では外食より儲からないからだ。
高長江が首を横に振り、「我々はいくつか手掛かりを得たのでその方向で進めたいが、江専門家はどうなさるお計画ですか」
彼はもう命令する気力も失っていた。
任せて江遠に自由にやらせればいいのだ。
とにかく事件解決さえすれば任務の割り振りなどどうでもいいからだ。
高長江は権限を委譲し、江遠は軽やかに答えた。
「まずは現場を洗浄してみましょう。
洗浄後に見ます」
彼にとって捜査官として最も得意なのは犯罪現場の検証だった。
早い段階での現地調査が最善だ。
他の手掛りは後からでも追える。
さらに江遠にとっては、現場検証そのものが証拠を固定するプロセスなのだ。
犯人らに自白させるのは難しい。
重罪で長期の刑罰を求めるなら、証拠が極めて確実である必要がある。
江遠が二人を呼び寄せた後、青年旅館内で指紋を消去し始めた。
広い空間であり且つ頻繁に入れ替わる居住環境ゆえに有用な手掛りを見つけるのは困難だった。
しかし江遠は異常に丁寧に作業を進めた。
同時に彼は目の前の劉専門家(犯罪現場再現の専門家)を利用した。
位置や動線に関する分析において、その見識は相当なものだった。
一夜明けた翌朝、江遠が休息に入った頃、武夏は彼が分離させた指紋を全て照合済ませていた。
昼前にはDNA検査室から次々と報告書が上がってきた。
複数の出所者情報が浮上し、同時に複数の行方不明者のDNAや指紋が一致した。
確かに青年旅館内の手掛りは非常に多かった。
理論的には使用不能に近いほどだった。
しかしこのブラックマーケットが利用する人物と被拐売買被害者が混在している比率は異常に高かった。
これらの結果をまとめた時、高長江を含む多くの警官たちが黙り込んだ。
「ここは被拐売買の中継地になったんだ」高長江の声は暗く、事件解決への喜びの色は一切なかった。
児童買春業と一般的な犯罪との決定的な違いは、犯罪が持続し続ける点にある。
凶殺事件が恐ろしいのは事実だが、死は短時間で終わる。
強盗、放火、窃盗、さらには強姦まで含む犯罪行為の時間は限界がある。
拐売事件とは異なり、犯人が逮捕されるか被害者が死亡するまでは、被拐売者たちは常に侵害を受ける状態にあり、絶えず苦痛と無力感の中にいる。
そのため、事件の解決が非常に重大で深刻なものになる。
高長江は自宅に戻り数時間過ごした後、警署に戻ると即座に人員を選抜し出動準備に入った。
省庁の名を掲げた案件なら迅速に解決できるが、追及するほど深掘りする高長江は明らかに後者を選ぶつもりだった。
百名を超える刑事が六路に分かれて被疑者の刑満放免者を捜索に向かった。
被害者は見つけるのが難しいが加害者は隠れようともしない。
彼らの犯行や犯罪の目的はより良い社会生活を送ること、快楽を得ることであり、逆ではないからだ。
江遠は警署に留まり人間と事件を照合し続けた。
一方で被拐売された子供や女性が次々と救出されていった。
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