明ンク街13番地

きりしま つかさ

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第0400話「明ンク街、永遠に」

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神器【女神の憐み】は単なる「夜着」を超えた存在ではあるが、その初めから持つ機能を消せないため透明化の魔導効果を施した。

月の女神への侮辱そのものだ。

神に侮辱されれば、神からの罰が下るのは当然のことだ。

ただし「罰」とは必ずしも神自身の手で行われるわけではない。

普洱がカレンの前に顔を近づけ、目をパチクリとさせて言った。

「現在見るとベルナードは月の女神『共鳴』能力を持つようだ。

つまり彼の暗黒月眼か?」

「たぶんね」

「その目はあなたに」

すると書斎のドアが開き、家の中の通信魔法陣を最新化したばかりのケビン師匠が疲れた体で帰ってきた。

金毛犬の背中には工具袋と素材用バッグが乗せられ、鼻先には電焊用保護メガネのような墨鏡をかけている。

「仕事は終わったのか? 」普洱が振り返って尋ねた。

ケビンが微笑みながら頷き、慣性を利用して犬頭の位置を調整するように墨鏡の角度を変えた。

「我々は月の女神アルテミスについて話していた。

『秩序の光』には記載がある。

戦いの中で秩序神に傷ついた時、アルテミスが自分の夜着を被せて治療したというエピソードだが知っているか?」

ケビンが驚いて目を見開いた。

普洱は首を傾げた。

「ああ、知らないはずだよ。

あなたは成神が遅いからね。

前の紀元の終盤に近い存在で、秩序神が戦傷したのは前の紀元の上半期の光と永遠の陣営の戦いの時代だ」

ケビンが舌を出しながら頬を舐め、爪先を床に向けた。

しかし思い直して犬用マットの方へ向かい出した。

ケビンのマットはあちこちにある。

主寝室の隔間、書斎、倉庫、庭、アルフレッドの部屋など、この犬が人生について考えるのに好む場所だ。

爪先でマットを引っ搔き始めると狂ったように引き裂いていった。

ケビンは動きを止め、カレンと普洱に再び笑みを浮かべた。

何も言わなかったが、それで十分だった。

ラネダルが成神したのは前の紀元の末年で秩序神の威厳が最盛期だった時代ではあるが、少なくともその世界の一員だったのだ。

後世の人間よりはるかに近い立場で観察するだけでも便利だし新鮮だ。

普洱がため息をついた。

「現実というのは客の好みで髪型を変えられる娼婦のようなものさ」

カレンが普洱の尻尾を撫でながら指先で巻き取り始めた。

だからアルテミスは秩序神に傷ついた後に自分の夜着を脱いで治療したのではない。



秩序の神はアルテミスの寝衣を引きちぎり、己がものにした。

どう表現したらいいだろうか、これは上位紀元末期に秩序の神が示した行動様式そのものだ。

「では『月の囁き』の記述が美化されたというのは、初版では秩序の神を強く批判していたのだと推測できますね」

普洱は笑みを浮かべた。

「最初の版本では明らかに強い非難があったのでしょう。

その後何度か改訂・削除を繰り返し、最終的に曖昧さが残ったという流れでしょう」

カレンはうなずいた。

「『秩序の光』の記述で光明の神が秩序の神を目覚めさせたとあるように」

「そうですね。

前期使節団がヨーク城に到着し、既に一定の段階まで進んでいます」

「ではこのケンジェスの墓所は月の女神教会に関連しているのか? 『メジナ・メイリア』という教会の神器を所有する彼らが、今まさに秩序神教とヨーク城で協議を開始しようとしているからです」

「それは分かりません」

「私はもし本当に彼らが背後で動いているなら、外交介入が発生する可能性に危惧しています」

「その点は心配無用です。

この件では秩序神教は信頼できる存在ですから」

なぜなら秩序神教は虚勢を張るのではなく本音を出しているからだ。

これは演技ではない

カレンは普洱の頭を撫でた。

「我々のチーム編成なら、何を心配する必要があるでしょう?」

「そうですね」と普洱が笑った。

「それでは何も心配しなくていいわ」

「明日一日準備をして、全て整ったら明後日出発。

アルフレッドと話して全員の準備を統合してもらおう」

普洱は尻尾を立て肉足を上げて言った。

「はい、私の小チーム長カレン様!」

翌日の一整天、カレンはほとんど怠けていた。

指示したことは全て済ませており、自分が動くべき仕事も見当たらないからだ

これがリーダーの気分というものか……

朝は庭で新聞を読み、午後は湯船に浸かりながら過ごした。

任務が迫っているのにこんな余裕があることに罪悪感を感じつつも、試験前でもあるならこの時間は貴重だと感じていた

夕暮れ時になってようやく準備の確認に入った。

アルフレッドとムリがカレンの机の前に並んで報告を始めた

まず資料面では全員が詳細に読み込み済みで、学校時代のような暗記テストまでは必要ないものの、近隣の生命危険というものは無視できない

次にレマル氏はその爆発装置を完成させた。

小さな木箱に紐が付いており、引き出すと投げ捨てるだけ。

10秒後に爆発するため、手榴弾のような形状をしている

**の部分を補完し、作品風味を保ちつつ翻訳します:

「この銀貨は、丁格大区での訓練時に煙草筒を貸したピロ師範から頂いた浄化硬貨です。

小隊が文団(※原文の「文图拉」を日本語表記に変換)に貸し付けたものですが、価値を計算しておいてください」

「はい、主人様」

「文団への返済義務はありませんが、任務準備段階で『チーム』と『個人』の利益関係を明確化しておく必要があります。

これにより、任務完了後の収益分配が全員納得できる形になるからです」

夕方8時頃、カレンがアルフレッドとムーリーと共に庭に出ると、既に鍋の周りに皆が集まっていました。

「さあ、食事を始めましょう」カレンが立ち上がりながら言った



フロアの話では十数分で着けるし、荷物はいつものように準備済みだ。

起き出して洗顔したらすぐに出発できる。

しかしカレンは七時に目覚めた。

不安から眠れないわけでもなく、家猫が五時から服を捜し始めたせいだった。

「服を探すのよ」

プールの小遣いはカレンが特許で認めている。

派手な限りアルフレッドもこの猫の消費を制限しないので、そのクローゼットは服で溢れている。

主寝室には三つの大型タンスがあり、カレンは一つ半を使っている。

残り二つ半はプールの服で埋め尽くされていた。

普段は服を着ないが、それもまた買うのが好きだからだ。

ベッドに座ったカレンは、鏡に向かって帽子を試し始めた猫を見ていた。

思わず口元が緩む。

「ふん」

首を横に振ると立ち上がり、洗顔に行った。

洗髪と着替えを終えて再び寝室に戻ると、プールが準備万端だった。

「この組み合わせはどう?」

黒いフード、赤い小ベスト、ネックレスは真珠の串飾り。

前足にはリボンが結ばれている。

長い時間をかけて試した結果、やはり絵に描かれた通りのコーディネートを選んだようだ。

「とてもいいわ」

カレンはプールを肩に乗せると頭を撫でた。

「とにかく安全に気をつけなさい」

「承知しました」

部屋を出るとアルフレッドが準備完了。

荷物は車に積んである。

「様、今すぐ出発ですか?」

「ええ、彼らも早く下りで待っているはずよ」

アルフレッドが霊柩車を運転し、カレンは自慢の二台目のボンズ・カーを走らせた。

アランマンション前についた時、確かに全員が待ち構えていた。

フィロミーナとシェルミス先生はカレンの車に乗せられ、残りは霊柩車に乗り込んだ。

普段から人と話さない二人を同乗させることで、霊柩車内の雰囲気を良くするためだった。

旅が始まった。

二台の車はヨーク城方面へ北上し、午後二時半頃、道路脇のガソリンスタンド近くに停車した。

ここにはファストフード店と商店があり、昼食を済ませた。

休まずそのまま出発する。

「あのレストランの鰻は鮮度が悪いわ」

「だからポテトサラダ定食が最適よ」カレンは後視鏡越しに確認した。

「外食ならこのくらいなら腹痛にならないわ」

「でもせっかく遠出したんだから、ちょっと高級な店で失敗してもいいじゃない? たとえ下痢になっても記憶になるでしょう」

「前の探検では常備薬を持参していたのよ」

「はあ」

後席にはフィロミーナとシェルミス先生が黙々と座り、誰も会話しようとはしなかった。

車内全体が静かだった。

カレンは彼らを盛んに気分良くさせるのが面倒だと感じた。

山の上へ石を運ぶような無駄なことだ。

サンプル市は歴史的名所で、マクレ人侵攻時のウィーン前哨戦が行われた場所だった。

マクレ人はウィーン原住民ではなく、後から占領した民族なのだ。



現在の桑浦市は工業都市であり、帝国海軍の艦隊がほぼ全てこの造船所から出撃する。

カレンは約クル城の空気を汚いと感じていたが、山道を下りて遠くに見える街とその上に広がる濃霧を見た時、約クル城と桑浦市を比較すれば世界最適住みやすさランキングで争うほどだと気づいた。

カレンはハンドルを切って都市部ではなく海辺へ向かい、その後ろの霊柩車運転手アルフレッドがすぐ追従した。

黄昏に到着したのは海岸線にある町。

この街の基幹産業は監獄だった。

数千囚人の収容可能な巨大刑務所が町を活性化させ、現在進行中の拡張工事はさらにその未来を明るくするだろう。

夕食は街のレストランで済ませた。

ここはガソリンスタンドよりずっと快適で、カレンは普洱に中国茶の天ぷらを注文した。

食事を半ばにして、カレンが店の入口から大柄な男の姿を見た瞬間、立ち上がり外に出た。

男はカレンを見て笑みを浮かべ、明らかに知り合いだった。

拳を握って「仲良し」の雰囲気を作ろうと手を上げようとしたが、拳を上げたまま止まった。

なぜなら双方ともオーダー・ブリットンの隊長だが、地位や将来性は全く異なるからだ。

カレンは近くに7~8人の集団を見つけて笑顔で近づき、大柄な男の胸を叩いた。

「森西?」

「はい、僕です。

ニオ様のご指示通り全て実行済みですからご安心ください」

「ありがとう」

アルフレッドがカレンに礼盒を持ってきた。

カレンはそれを両手で受け取り森西に差し出した。

「これは挨拶の品です。

どうかお受け取りを」

「それは恐縮ですが…こちらも準備できていません」

「次回飲み会の時に返すからいいよ」

カレンが森西の肩を叩き、遠くの集団に向かって笑顔で手を振ると、彼らも応じた。

それからレストランに戻った。

礼盒の中には約クル城の工芸品が入っていたが、その下に3000枚のオーダー券が敷き詰められていた。

相手に頼むなら、この程度の配慮は当然だ。

ニオから学んだことだが、彼は小気味良くない時は節約する一方で必要な場面では惜しまず使う。

神教内部も人情社会なのだ。

車は町の警察署駐車場に停められた。

これからは車が通れない道を歩く必要があったため全員徒歩で海岸へ向かった。

夜8時、皆が海辺に到着した。

そこは非常に寂しい風景だった。



「休息して体勢を整え、4時間後に出発だ」

「はい、隊長!」

リチャードが周囲を見回すと、皆が素早く座ったり寝たりしていた。

その様子は規律正しく、これはループの門内での長い移動で培われた習慣だった。

「見ないで休息するんだ」メネスが注意を促した。

「彼らは君より多くの経験があるから、自然と連携が取れる」

リチャードは肩をすくめて言った。

「私もいずれそうなるだろう」

ここはウィーンなので、まだ墓場へ向かう船に乗り込む必要はないため、夜番の手配も不要だった。

カルンも目を閉じて少しだけ眠り、目覚めたのは11時半。

彼の胸元で寝ていたプーアの顔を優しく撫でた。

「起きよう」

プーアがゆっくりと目を開けて訊ねた。

「時間は来たのか?」

「うん」

「アセロスを呼び出そう」

「了解」

カルンが立ち上がり、プーアを肩に乗せると海辺へ向かった。

プーアが爪を振動させると赤い星芒が浮かび上がり、召喚が始まった。

間もなく

海面に波紋が広がり、アセロスの巨大な姿がゆっくりと現れた。

その光景はカルンが呼び出す前に既に全員が目覚め、リュックを背負って一列に並んでいた。

アセロスは高い知性を持ち、前回召喚された時と比べて海岸のチームが異なることに気づいていた。

「私は父と貴方の冒険話を聞いて育ったので、今や、お嬢様、貴方の大冒険隊がまた新たな航海を始めるのか?」

「そうだよアセロス」

「素晴らしい。

感謝するわ。

なぜなら私も物語を持ちたいから。

私は貴方の探検隊と共に海に波を刻む」

プーアが肉足でカルンの顔に触れた。

「アセロス、今日から貴方は彼の呼びかけに応じる。

この大海原では貴方が彼の陸地となり、彼の意志は貴方の行動指針となる

今や

貴方は新たな主君カルン殿下にお目にかかろう」

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