吸血鬼を刺殺した

きりしま つかさ

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第0002話 絶対に誰が犯人なのか?

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自分に小さな目標を設定する:億円ではなく、ただ生き延びること!

学校でのアルバイトなら…

モンブッシュ博士の研究室は良い選択だ。

給料が高いのか?

長期募集しているのか?

周元は少し疑問を持ちながらも頷いた。

しかし夕方を迎え、早めに行動を起こす必要があった。

「ふう、ふう——」

周元は息を切らせて柵を越えた。

柵の上には警告看板が『危険 立入禁止』と書かれていた。

「横になって入れればいいじゃないか、わはは?」

周元は冗談を言った。

柵の向こう側は食堂から実験棟へと続く唯一の近道だった。

その道は『トゲの道』と呼ばれており、狭い道路の両サイドに刺す灌木が生えていた。

以前学生が刺されて苦情を出したことがあったらしい。

その後学校側が閉鎖し、それを緑地帯として管理していた。

現在夕陽が沈み込み、その道には電灯も人影もない。

長期にわたって誰も通らない道の両サイドは灌木で道路中央まで覆い尽くされていた。

惨淡な月光が照らす曲がりくねった道の先には果てしなさを感じさせた。

周元は思わず身震いをした。

一呼吸置いてから深呼吸し、慎重に中に入った——

『ササッ ササッ』

足音か風音か分からない音が響いた。

『グーグー グーグー グーグー』

何種類の鳥の鳴き声だろうか。

「痛い! 痛死ぬわ!」

周元の叫びだった。

実は指先がトゲに刺されていたのだ。

十指連心、本当に痛かった。

ここには誰もいないから、彼は英雄気取りせず、思い切り悲鳴を上げた。

間もなく周元の胸が一瞬縮まった——

その直後『バァ』と音がした。

周元はバランスを崩し転びそうになった。

何だ!

あれは何だ!!

先程の風で周元の頭上を掠めた時、彼は体勢を変えて振り返った。

月明かりに映る影は——

月牙形の牙、三角耳、鋭い爪を持つ黒い影だった。

まさか吸血鬼か!!

その一瞬、周元は全身が凍り付いたように冷えた。

必死に体を支えながら奇妙な格闘ポーズを取った。

するとその影が歪んだ——

攻撃するのか!!

攻撃するのか!!

周元の全身の筋肉が引き締まった。

勝算はゼロでも構わなかった。

「おい! 吸血鬼、俺は女学生じゃないぜ なぜ襲うんだよ?」

次の瞬間——

その影が体を低くし、ようやく正体が判明した。

「ふぅー」周元は安堵の息を吐いた。

『あれ』は黒猫だったのだ。

黒猫が地上に落ちた周元の血を舐めつつ、突然消えた。

周元の神経は一気に弛緩し、全身がくったりと崩れた。

「自分で怖がらせちゃったな——」

しかし——

次の瞬間、周元は何か不気味な記憶を呼び覚ましたように叫んだ。

「違っ! 違うぞ!! 違う! 違いだ!!」

——

夜の学校警備センターの待機室で。

実は、学校に配置された警察官は食堂で周元と会ったあの落ちこぼれおじさんだった。



彼は依然として散らかっていたが、警察の外套を適当に羽織っただけで、肩には警章もなかった。

「つまり君は『吸血鬼猫』に遭ったのか?」

颓然とした中年男が尋ねた。

その口調には軽蔑が滲んでいた。

周元は相手の態度を無視し、前方の空気を見つめたままだった。

もしあの黒猫が連続殺人鬼ならば、あまりにも恐ろしい!

彼は懸命に回想しながら、ゆっくりと説明した:

「その黒猫の目は赤く、私に襲いかかろうとした」

「襲い掛からなかったら私の落とした血を飲んで逃げた」

「君も出血していたのか?」

「はい。

棘で手を刺されたので少し流れたのです」

周元が中年男に手を見せるのを受け入れ、相手は頷いただけだった。

すると中年男がテーブルを軽く叩いた——

瞬時に空中に立体的な全息写真が浮かび上がった。

周元が目を凝らすと、その光景に眼孔を開きそうになるほど衝撃を受けた——

女性の遺体は人間形態を完全に失っていた。

歪んだ姿勢、奇妙な角度で折れた骨、内臓が腔から引きちぎられ片側に投げ出されていた。

特に頭部——口腔が頸部まで引き裂かれ、歯並びが外側に剥き出し、鼻骨が露出し、目は開いたままだった。

「……」

周元は目を閉じた。

普段は強情な彼も心臓が苦しくなるほどだ。

しかし耳には不快な声が突入した:

「これらの遺体は全て消失している」

「君はまだ猫の犯行だと信じているのか?」

周元は自分が誤っていたことを悟った。

だが相手の圧倒的な勢いに負け、腹立たしさを感じていた。

もしかしたら吸血鬼黒猫は巨大化する能力があるかもしれない——

などと彼は思ったが、口に出さなかった。

「これを見てみろ」

中年男が余裕を装って続けた。

「うーっ!」

周元が目を開けた瞬間、即座に嘔吐衝動に駆られた。

次の瞬間には奇妙な憤りが湧き上がった:

「ひどい!」

「俺は処男だぞ——」

「こんなものを見せつけてどうしろと言うんだよ!一生トラウマになるんじゃないか!?」

「あーあー」

「その点、私の間違いです。

お詫びします」

中年男が恥ずかしげに笑った。

それは被害学生の下半身の全息写真だった——

ひどく惨憺たる光景だった。

「現場には血液・体液・破片・指紋など一切残っていない」

「ただし男性犯人、吸血鬼または人類と特定できる」

「……」

「学校は完全閉鎖式で、出入り全て記録される」

「最初の被害者が発生した頭二ヶ月間——」

「その期間に入学や就職した人々が首批容疑者だ」

「君もその中に含まれる」

中年男の勢いが急上昇し、周元を指差して叫んだ。

周元は全身が震えた。

しばらく経てようやく答える:

「でもなぜ私にそれを話すのか?」

そうだ。

たとえ疑われても——

なぜこんな詳細な情報を語りかけてくるのか?

「はははー」

「君には似ていないからだ!」

中年男が笑みを浮かべた。

——

「似ていない?」

路上で月を見上げながら周元は自問した。

その声には確信の欠片もなかった。

自分が二百数十年眠り続けたという異常な経歴さえも、もし自分が犯人なら——副人格や夢中殺人などと想像するだけで背筋が凍るほどだった。

「君はまだ猫の犯行だと信じているのか?」

「……」

周元は黙った。

彼の胸に広がるのは、未だに消えないあの赤い目と、血を飲む黒猫の姿だった。



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