吸血鬼を刺殺した

きりしま つかさ

文字の大きさ
26 / 251
0000

第0026話 吸血鬼領主ビルドを暗殺せよ!

しおりを挟む
帝国東8区南部台伯河騎士領、古ローマ風闘技場で;

吸血鬼であり騎士でもあるビルドは突然現れた黒衣の人々と遭遇した。

「死ねよ!」

ビルドは一言も返さず、その場に立ち尽くす。

左右から襲い掛かった二人の黒衣男がそれぞれ腰を斬りつけたが、

ビルドの体は断ち切られることなく、代わりに金属同士が擦れるような火花と不快な音を立てた。

「機甲?!」

二人の黒衣男が同時に驚き声を上げる。

吸血鬼であるはずなのに、なぜこんな重い人間用の機甲を着ているのか!

「はははは~」

ビルドは笑った。

「ずっとこの格好でいたんだよ!」

「まだ力があるか、混血種?」

「……」

返事はまた一刀だったが、やはり金属同士の擦れる音だけが響く。

「つまらない!」

瞬間、彼の身体は残像のように消えた。

次の瞬間には二人の黒衣男の頭部が捏ね潰され、血しぶきと共に倒れた。

「アフン!」

「アルー!」

他の黒衣男たちは悲鳴を上げる。

「混血種? 未完成品にも満たない屑だ!」

「屑は掃除すべきだ!」

「来い! 我が兄弟たちを見せてやろう! ハハハ~」

「出てこい、我が親しい兄弟たちよ!」

「ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ

「そのボロボロの機甲は飾り物だ。

一体誰の趣味なんだろう?」

「お兄ちゃん——」

「この連中が『南華共和軍』と名乗っているのは事実だが——」

「油断はできないぞ」大叔が注意を促す。

彼がそう言うとき、目ヂカラが鋭い。

「俺の経験は貴方の何倍にもなる」という先輩然とした態度で。

「観察してみようか——」周元が歯を食いしばって同意した。

周元が自分の意見を取り入れた瞬間、大叔は全身リラックスモードに切り替えた。

周元たちも身の安全だけを考えて遠くへ逃げ、強化食屍鬼群から離れたまま観戦を続ける。

強化食屍鬼は単独の観客をかじりながら暫く周元たちには関心を持たなかった。

黒袍人の中にその前身を知っている者がいたようだ——

彼らが現れた瞬間、目から血が出るほど怒りを露わにした。

「まずは彼らは置いておけ!優先すべきは——」

黒袍のリーダーが即座に命令した。

彼はまずブレイド・チカの前に飛び出した。

「ブレイド・チカ!!」

「人間の裏切り者、吸血鬼の処刑人!」

「うおおお、死ね——」

ブレイド・チカが相手の攻撃を弾き返す同時——

二人が交わった瞬間に黒袍人の外見が剥がれ落ちた。

その下にはボロボロの機甲が露になった——

「あいつか!まだ生きていたのか?」

『ドン』と機甲人がブレイド・チカに斬りつけたが効果なし。

「復讐もせずに死ねないものだよ」

観客席の某大叔はつぶやく——

「ブレイド・チカの軍功は人間反乱鎮圧で得たものか」

「そしてその軍功を基に吸血鬼になったのか」

悪党はどの時代にも存在する。

彼は嘆息しながら続ける——

「仲間の血で官爵を得るなんて……」

「これだけの軍功を得るために何人分の人間を殺したんだろう?」

「双方の憎しみが深いのも無理ないわ」

大叔は鼻をつまむようにして言う——

「吸血鬼にまで志願するなんて、二五仔もいいところだ」

他の黒袍人たちもブレイド・チカに囲み始めた——

彼の食屍鬼部隊はまだ遠く離れていたが、

ブレイド・チカは全く気にしていない。

剣さえ抜かずに。

「人間というゴミと比べてどうする!」

黒袍人たちはその狂言を無視し、ただ攻撃を続けるだけだった。

やがてブレイド・チカの頭部から目元から首筋まで切り裂かれ——

血が四方八方に飛び散る。

しかし彼は全く平気で——

そもそも人間ではない。

吸血鬼だ!

半分の顔を持ちながらも、ブレイド・チカは続ける——

「まだ分からないのか?」

「進化したんだよ!あははは!」

数人の黒袍人が囲み込むと、今度は腕を切り落とされた——

しかしブレイド・チカも反撃で吹き飛ばされる。

「そんな抵抗するの?」

「愚かさ、偏見、嫉妬——」

「新人類の強大さ、長寿、不老など想像できないのか?」

大叔がつぶやく——

「お兄ちゃん、このブレイド・チカって……」

「ああ、彼は元々人間だったんだよ」

周元が説明する。

「でも吸血鬼に変身した後も、軍功を積み重ねたんだろう」

大叔がため息——

「でもどうしてこんなに強くなるの?」

「吸血鬼の力は……」

「お兄ちゃん!危ない!」

周元が叫ぶと同時に、ブレイド・チカが黒袍人たちを一掃した。

「このままでは……」

大叔が顔を手で覆う——

「どうなるのかな……」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

過労死した俺、異世界で最強農業チートに目覚める。神農具で荒野を楽園に変えたら、エルフや獣人が集まって最高の国ができました

黒崎隼人
ファンタジー
「君、死んじゃったから、異世界で国、作らない?」 ブラック企業で過労死した俺、相川大地。 女神様から授かったのは、一振りで大地を耕し、一瞬で作物を育てる**最強の『神農具』**だった!? 右も左もわからない荒野でのサバイバル。 だけど、腹ペコのエルフ美少女を助け、頼れるドワーフ、元気な猫耳娘、モフモフ神狼が仲間になって、開拓生活は一気に賑やかに! 美味しいご飯とチート農具で、荒野はあっという間に**「奇跡の村」**へ。 これは、ただの農民志望だった俺が、最高の仲間たちと世界を救い、種族の壁を越えた理想の国『アグリトピア』を築き上げる物語。 農業は、世界を救う! さあ、今日も元気に、畑、耕しますか!

レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった

あめとおと
ファンタジー
異世界に転移した主人公が得たスキルは【地図作成】。 戦闘能力ゼロ、初期レベル1。 冒険者ギルドでは「外れスキル」と笑われ、 新人向けの雑用クエストしか回ってこない。 しかしそのスキルは、 ダンジョンの隠し通路、未踏破エリア、消えた古代文明の痕跡まで“地図に表示する” という、とんでもない能力だった。 生き残るために始めた地味な探索が、 やがて世界の秘密と、国家すら動かす大冒険へ――。 これは、 戦えない主人公が“冒険そのもの”で成り上がる物語。 同作品を「小説家になろう」で先行配信してます。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

処理中です...